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窃盗から人身売買まで──毎週のように“デジモン犯罪”が横行するニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』に、情緒をぐちゃぐちゃにされてる。このやばいアニメを今すぐ観てくれ

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窃盗、強盗、誘拐、違法賭博、人身売買、殺人、戦争犯罪。毎週のようにデジモンを使った重犯罪が起きる──

現在、視聴者の間で「おもしろいけど楽しくない」という奇妙な評価が定着しつつあるアニメがある。毎週日曜朝9時より絶賛放送中の『DIGIMON BEATBREAK(デジモンビートブレイク)』だ。

本作はいわゆるニチアサアニメ。この時間帯に放送されるアニメといえば、正義が勝つ「勧善懲悪の物語」が定番だろう。それは私たちが休日のエンタメに求める、気楽な“楽しさ”そのものであるはずだ。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

しかし、『ビートブレイク』が描いているのは、そうしたシンプルな“楽しさ”だけではない。

目を背けたくなるような社会の不条理や、大人の身勝手さ、人間の醜さと強制的に直面させられる。本作は児童向けアニメのフォーマットを借りた、過酷な社会を生きる少年少女たちのドラマであり、ルポルタージュでもあるのだ。

当然、そうした物語を観るにはストレスが伴う。心が抉られるのだ。本当に楽しくない。だが、本作にはそれでも強烈に惹きつけられる圧倒的な “おもしろさ”があるのだ。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

さまざまな事件を解決しながら、少年少女たちが成長し、デジモンが新たな姿に進化していく様にはカタルシスがある。迫力のある作画で描かれるデジモンバトルも見応えたっぷりだ。

ただ、そのバトルの舞台が「人身売買組織の違法賭博闘技場」だったりするのが『ビートブレイク』という作品なのである。悪い大人をぶっ飛ばす子ども達の姿は爽快そのものだが、それにしたって大人があまりに悪すぎる

その結果、本作は視聴者の間で「おもしろいけど楽しくない」と評され、「深夜33時アニメ」だと言われたりしている。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

『ビートブレイク』は文句なしにおもしろい。

筆者はもともと尖ったコンテンツを嗜好するタイプではあるが、『ビートブレイク』のエッジの効きかたは朝の児童向けアニメとしては近年稀にみる鋭利さである

デジモンが軽々と重犯罪に利用される事態に最初は戸惑ったものの、数話観た時点ですっかり魅了されてしまった。

なにせ「血の繋がり以上の絆」を描くために、子ども相手に懇切丁寧に「兄弟盃」や「親子盃」を教えてくれるアニメなのだ。おもしろいに決まっている。

ただ同時に、あまりにこの作品が知られていないことに憤りも覚えることになった。これほどおもしろいのに、世間の盛り上がりがいまいち足りない気がするのである。裏番組の特撮が強すぎるのか、「今のデジモン」を知らない人が多すぎるのか。理由はともかく、この状況をとても許すことはできない。

だからこそ本稿では、本作が描くディストピアの構造と、そこに生きる少年少女たちの反逆という視点から、『ビートブレイク』が持つ魅力を解き明かしていきたい。

文/サメ映画ルーキー
編集/竹中プレジデント

※この記事は『DIGIMON BEATBREAK』の魅力をもっと知ってもらいたい東映アニメーションさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


窃盗から戦争犯罪まで「犯罪大博覧会」と化したニチアサ。これが「デジモン治安ブレイク」

本作はとにかく治安が悪い

東映アニメ作品であることを鑑みても、異常なほど気合の入った治安の悪さであり、デジモンを利用した凶悪犯罪が日常茶飯事となっているのだ。

窃盗・強盗・傷害などはまだ軽いほうで、未成年者略取、薬機法違反、人身売買、果ては戦争犯罪まで何でも揃っている。

デジモンが持つ異空間の出入り口を作る「ミラーワールド」の能力を悪用し、貸金庫に侵入する犯罪者が登場したエピソードでは、「デジモンをそう使うか!」と筆者も思わず膝を叩いてしまったほどだ。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第16話/ ミラーワールドを使った貸金庫泥棒

なぜこれほどまでに治安が悪いのか。それは本作の世界が、一見理想的に見えて、その実態は特権階級とそこから弾き出された大衆に分断された「荒みきった超格差社会」だからだ。

この世界では、人間の思考や感情「e-パルス」をエネルギー源とするデバイス「サポタマ」が広く普及している。しかし、そこから稀に未知の存在であるデジモンが誕生してしまう。国は社会の動揺を防ぎ体制を維持するため、その事実の隠蔽と情報管理に躍起になっているのだ。

デジモンとは、いわば超常的な力そのもの。そんな“便利な力”が、社会に追い詰められた人間や悪党の手に渡ればどうなるか? 毎回なにかしらの刑法に抵触する「犯罪大博覧会」がくり広げられてしまうのである。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第1話/ AIサポートデバイス「サポタマ」

人生の成功が厳格に定義され、格差社会が極まっているこの世界では、ごく普通の一般市民すら容易にデジモンの力の誘惑に負けてしまう

学業に伸び悩む子どもが、自分より成績がいい学生を拉致監禁してしまう事件。あるいは、特権階級の街を追放された父親が、自分ひとりの偽造身分証を作るためだけに、唯一の家族である娘を裏社会の危険な仕事で使い潰す事件。

過酷な格差社会は人間の利己性を極限まで引き出し、血の繋がった家族の絆すらも容赦なく破壊してしまうのだ。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第9話/ デジモンを闇取引しているクリーナー親子

さらに、反社会的勢力はこうしたデジモンの力を組織的に悪用している

彼らはデジモンが生まれたばかりの市民を「闇バイト」としてリクルートし、高値で取引される半導体の強奪や、再開発に伴う立ち退き交渉の暴力装置として使役する。

「こいつら気軽にデジモンを犯罪に使いすぎだろ……」とドン引きしてしまうのだが、本作の絶望的な構造はここからだ。

あろうことか、そうしたデジモン所有者の情報を暴力団に金で横流ししているのは、デジモンを管理し市民の安全を守るはずの国民保護省の官僚なのである。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第5話/ 住民立ち退きに使用されるケンキモン

ただ、こうしたデジモン犯罪ですら、じつはまだまだ序の口に過ぎない。あろうことかこの世界では、デジモンが軍事利用すらされているのだ。

この腐敗した食物連鎖の頂点に君臨するのが、ライバルチームを率いるクレイ・アルスランである。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第23話/ 朝に映していい顔ではないクレイ

彼は表向きこそ慈善事業に熱心な篤志家だが、その裏では貴重なデジモンを売り捌く闇オークションやデジモン同士の闇賭博の胴元を務め、さらには私兵組織として紛争地域にデジモンを派兵している。

このようなド迫力の犯罪録が、ファンの間で「デジモン治安ブレイク」と呼ばれる所以である。販促対象であるはずの自社IPをここまでハードに使いこなすとは……。東映アニメ、容赦がない。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第18話/ 紛争地帯に派兵されるデジモン

心を壊してからが本番。この作品がファンの間で「デジモンハートブレイク」と呼ばれる理由

本作におけるデジモンは、人間の感情を喰らう「捕食者」として描かれている。デジモンに襲われ、感情エネルギー(e-パルス)を完全に奪われた人間は「コールドハート」と呼ばれる植物人間状態に陥ってしまうのだ。

しかし同時に、彼らはパートナーの抱えるトラウマや弱さ、醜さに深くリンクし、それを容赦なく直視させる「人間の合わせ鏡」でもある

一時でもドス黒い感情に呑み込まれれば、デジモンもその影響をモロに受ける。妻と子どもに捨てられた男からは「有毒ガスを撒き散らす化け物」が生まれ、親に捨てられることを恐れた少女の元には「他者の心を操る悪魔」が生まれる。

凶悪事件を引き起こすのはデジモンだが、その根本的な原因は常に「人間の心の闇」にある。本作では、その残酷な事実が徹底して描かれている。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第10話/ 人やデジモンの影に取り憑くシェイドモン

では、心優しい人間のもとに生まれたデジモンは救われるのか? 答えは否だ。この過酷な世界は、ただ優しくあることすら極端に難しくしてしまう。

紛争地域に派兵され、人間を殺しすぎたデジモンは重度のPTSDを発症し、人間を襲う罪悪感に耐えきれなくなった野良デジモンは自ら衰弱死を選ぼうとする。

デジモンを通じて、人間の心を真摯に描こうとするのが本作のいいところだ。しかし、「そのために1回心を完全に壊しておく」という製作陣の容赦のなさから、本作はファンの間で「デジモンハートブレイク」の異名で呼ばれている

そうした製作陣の歪んだ寵愛を一身に受けているひとりが、ライバルチーム「タクティクス」に所属するグラニットだ。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第16話/ 戦災孤児・グラニット

紛争地域で生まれたグラニットは、爆撃を受けるなか「難民キャンプで出会った少女を守りたい」という強い想いから、防御特化のパートナーデジモンを発現させる。

だが、すべては遅かった。守りたかった少女は爆風で消し飛び、生き延びてしまったグラニットは激しい悔恨から「自分の死に場所」を探し求めるようになる。

挙げ句の果てには大人に「盾」として使い捨てされそうになり、あろうことかグラニットはそれを甘んじて受け入れようとするのである。製作陣には人の心はないのだろうか?

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第16話/ 過去のグラニット。このころはまだ笑顔を見せていた

本作はデジモンという存在を通して、登場人物と視聴者の心を徹底的に壊してくる。しかし、その先には確かな救いも描かれている

主人公のトモロウもまた、パートナーデジモンという「合わせ鏡」を通じて、否応なく自分自身の内面と向き合うことになるのだ。

彼のパートナーは、いつでもトモロウの気を引こうとする、ワガママで衝動的なまさに子どもそのものだ。トモロウはそんな鬱陶しいパートナーを一度は突き放してしまう。

しかし、やがてその姿が「かつて兄に甘えていた、弱くて幼い自分自身」であることに気づき、和解を果たす。本作は教えてくれる。人間は弱くても醜くてもいいのである

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

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第12話/ パートナーデジモン「ゲッコーモン」と向き合うトモロウ

居場所としての「ファミリー」

治安もハートもブレイクしてしまう本作だが、物語のすべてが暗澹としているわけではない。最大の救いとして、本作は何より「家族」の絆を描いている作品である。

だが、少年少女を過酷な状況に追い込むことに、製作陣は一切の余念がない。主人公チーム「グローイングドーン」の面々には、基本的に親がいない。

「家族を描くには、まず家族を失わせる」。それこそが彼らのやりかたなのである。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
主人公の天馬トモロウは10歳で両親が逮捕され、唯一の家族だった兄も目の前で野良デジモンに「コールドハート(植物人間)」にされて行き場を失ってしまう
ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
咲夜レーナは8歳で親が蒸発し、施設送りから抜け出すようにクリーナー(デジモンによる事件解決を生業とする職業)の道へ進む
ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
久遠寺マコトは最上級富裕層の出身でありながら、デジモンが生まれたというただそれだけの理由で特権階級の街を追放された

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

デジモンという「合わせ鏡」を通じて己の醜さや弱さと直面することは、大きな苦痛を伴う。

たったひとりでその苦痛に耐えきれるほど人間は強くないし、子どもならなおさらである。だからこそ、失敗して挫けても決して見捨てられず、共に食卓を囲んでくれる「帰るべき場所」が必要になるのだ。

それを象徴するように、本作ではとにかくよく一緒に飯を食う。食事の作画監修がつくほど「共に食べる」描写が強調されており、製作陣も明確な意図を持って、その救いを描いているはずである。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第4話/ 食卓を囲むグローイングドーン

さらに本作は「血の繋がり」を決して絶対視しない。先述した己の欲望のためにじつの娘を利用するクズの父親がその最たる例だ。

一方で、トモロウたちは自らの意志で選び取った家族である。だからこそ、レーナは誰よりも金にうるさく誰よりも前に出て戦うし、キョウはファミリーを危険に晒すようなことを絶対にしない。

その象徴的なエピソードが、地上げ屋に抗う「熊猫組」の笹竹親分とパンダモンの出会いだ。ふたりは親子盃(おやこさかずき)を交わした仲であり、その絆は血よりも遥かに濃い。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第5話/ デジモンと人間で親子盃を交わす

「半分こすることで、嬉しいことも楽しいことも倍になる」という言葉に導かれて、ゲッコーモンはパンダモンと兄弟盃を交わすことになる。

互いのために命を捨てる極道たちの姿から、血縁を超えた「本当の家族」の在りかたを学んでいく。任侠との触れ合いで家族の絆を学ぶ。それが『ビートブレイク』というアニメだ

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第5話/ パンダモンとゲッコーモン

このファミリーとしての温かさは、ライバルチーム「タクティクス」との対比によってより鮮明になる。

彼らにとってメンバーは仲間ではなく「使い捨ての駒」に過ぎない。失態が続けば容赦なく追放され、負ければ植物人間にされてしまう闇バトルの駒として使い捨てられるのだ。

作中では、タクティクスから追放され居場所を失った惣田ライトとトモロウが対峙する展開が訪れる。デジモン単体の戦力で見れば、ライトの勝敗は火を見るより明らかだったが、勝ったのはトモロウだった。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

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第20話/ 戦力差をひるがえしライトに勝利するトモロウ

ライトは「ただそこにいるだけでいい」という居場所を作れなかった。「天才」を自負するプライドゆえに己の弱さを隠し、何よりパートナーデジモンを道具としてしか見られなかったのだ。

対するトモロウには、どんな無様な姿でも受け入れてくれる「家族」がいた。だからこそ、己の弱さを受け入れ、パートナーデジモンと真に心を通わせることができた。

「心が強い方が勝つ」というのは少年向けアニメの王道展開ではあるが、そこに至る道程を逃げずにしっかり描いているからこそ、説得力のある劇的な勝利だったと言える。

パンクとしての善性

トモロウたちが持つ「無償のやさしさ、善性」は、この狂ったディストピアに対する明確な反逆であり、極めてパンクな生き様だ。

なぜなら、本作の舞台である2050年の社会では、他人を蹴落として特権階級の街を目指すことや、自己の利益のために他者を搾取することが、システム上の「正解」として罷り通っているからである。国民保護省の腐敗や私兵組織の暗躍が示す通り、この弱肉強食の世界では一度の失敗でやり直しが一切認められない。

そんな冷酷な世界において、トモロウたちのスタンスは異端中の異端である。彼らのチーム「グローイングドーン」の唯一の掟は「デジモンをデリート(消去)しない」ことだ。

賞金首となったデジモンを政府に引き渡せば手っ取り早く儲かるにもかかわらず、リーダーのキョウは「誰にだってやり直すチャンスはある」と語る。そして、たとえ賞金が減額されようとも、幼年期に戻ったデジモンを匿い続けるのだ。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪

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第7話/ シェルター・ニリンソウ

当初は、兄を奪われた恨みからデジモンを激しく憎んでいたトモロウも、こうしたファミリーとの連帯を通じて変わっていく。目の前で困っている人がいれば、そこに意味がなくとも自らの心のままに助けることを選ぶようになるのだ。

彼らは損得勘定を抜きにして、傷ついたデジモンや居場所を失った人々を救おうとする。社会から弾き出されたはぐれ者である彼らが、誰よりも他者の痛みに寄り添い、無償の優しさを提示するのだ。理不尽な世界でただ優しくあろうとすることは、きっととてつもなく難しい。

それでも彼らは泥臭く「善」を貫く。その姿は、巨大なシステムという絶対的な力に中指を立てる、最高にロックでヒロイックな振る舞いなのである。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第3話/ サポタマにe-パルスを込めるトモロウ

大人にこそ観てほしい児童向けアニメ

本作は、酸いも甘いも噛み分けた大人にこそ深く刺さる作品だ。

なぜなら我々大人は、世界が理不尽で、決して綺麗事だけでは生きられない場所であることを知っているからだ。だからこそ、その残酷さに何度も打ちひしがれながらも、泥臭く足掻き続ける少年少女たちの姿が、どうしようもなく胸を打つのである。

これまで本作の異常性について散々語ってきたが、真に目を見張るべき点はそこではない。

この絶望的な世界観の中で、「それでも他者に優しくあろう」「自分の弱さを受け入れ、居場所を作ろう」という、児童向けアニメ特有の真っ直ぐでナイーブなメッセージを、一切の冷笑抜きで描き切っている「アツさ」こそが、本作の最大の魅力なのだ。

長期展開というハードルはあるかもしれないが、本作は定番のニチアサアニメではないし、単なる悪趣味な「エグいアニメ」でもない

すでに製作陣からは「今後のストーリーはもう一、二段階上がある」と犯行予告めいたものが出されている。

非常に気がかりではあるが、どんな絶望が待っていようとも、トモロウたちはきっと乗り越えてくれるはずだ。

明らかに死相が出ている沢城キョウ(どう見てもレオモンの系譜である)も、きっと生き残ってくれるはずである(頼むから生き残ってくれ……!)。

さらなる治安の崩壊と心を抉る展開で盛り上がること間違いなしの本作、追いつくなら今を置いて他にない。

ニチアサアニメ『デジモンビートブレイク』レビュー・感想・評価:デジモン犯罪
第15話/ 慈母・沢城キョウ

© 本郷あきよし・フジテレビ・東映アニメーション

ライター
日本サメ映画学会会長。サメ映画バイヤー、サメ映画翻訳家、東京国際サメ映画祭実行委員として『ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦』や『シャーケンシュタイン』など40作以上の海外サメ映画を日本に上陸させる。プロデュース作に『松島トモ子 サメ遊戯』。実はサメ映画より児童向けアニメや特撮の方が好き。
Twitter:@Munenori20
編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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