……しろい。
めざめたときに思うことは、
いつも『しろい』。
でも、けさは……
しろくて、さむい。
『護符』のちからが、
なくなりかけてるんだ。
……フレイグが、
おこしにきてくれない。
ちょっと不安になって、
がんばってひとりでおきた。
えらいでしょう?
みんなをおこしに
いきましょう。
【フレイグ死亡】
【3日目の夜明けを迎えた】
【生存】
ゴニヤ、ビョルカ【死亡】
フレイグ、ヨーズ、ウルヴル、レイズル
「うっ、うっ、ぐっ、ぇぐっ、」
なきたくなんて、なかった。
もうだれもいないんだもの。
ゴニヤもおとなにならなきゃ。
なのに、ないてしまった。
きもちがぐちゃぐちゃで、
がまんできなかった。
「……何を泣いているのですか、
あなたは」
まわりのゆきよりつめたい、
ビョルカのこえ。
「すべて、
あなたのせいでしょう?
『狼』はあなたなのでしょう、
ゴニヤ!?」
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(そう
わたしのせいよ
フレイグが死んだのは
でもそれはあなたのせい
『狼』のせい
そうなのでしょう ビョルカ
そうでないと
そうでないと
おそろしくて
じぶんが怪物だということを
認めてしまいそうで
こどものように
抗うことしかできない
死にたくなるほど こどもだ
わたしは)
つめたい怒りが、
悪意が、
ゴニヤのこころにつきささる。
いっしゅん、いきがとまって、
それで、ともった。
ゴニヤの中にも。
つめたい怒りのほのおが。
かおをなんども振って、
ほおをなんどもたたいて、
なみだとしゃっくりをとめて、
ビョルカにむきなおる。
「……そう言うしかないわよね、
ビョルカ!
じぶんでない、
もうひとりが『狼』だって!
ゴニヤだって言うわ!
みんなを死においやったのは
あなたよ、ビョルカ!」
「──なに、を、」
「──とぼけたかおが
おじょうずね!
『狼』がこわくて、
ぶれていくウルじいを、
ちゃんと止められなかった!
そのうえ、指さしてころした!
あなたじゃない! ビョルカ!」
「みんなが不安で、こわくて!
そんなときに、
ちゃんとみんなを導かないで、
『ヴァリン・ホルンの儀』
なんてもので、
じぶんがわるくないように
ごまかした!」
「みんなをろうやから
連れ出して、
むちゃくちゃにして、
死なせたのは、
むのうなリーダー!
あなたでしょ、ビョルカ!!」
「……は、い……?
何を言ってるのか、よく……
……いえ、
はっきりさせておきましょう。
あなたは、私がただ無能ゆえ、
皆さんを死に追いやったと
非難しているのですか?
それとも私が『狼』だと
告発しているのですか?」
「……おなじことだと、
ゴニヤは思うわ。
わすれたかしら、
レイズルのことば。
『狼』は、なかまわれで、
ゴニヤたちをほろぼす
やくめなのでしょう?
べつに、なかみを
いじらなくてもいいの」
「たよりになる猟犬とおもって、
あんないについていくと、
けものみちにまよいこむ……
『狼』ってきっと、
そういういみだわ!
むのうだからほっとかれた
リーダーのことよ!!」
ビョルカは、めをむいた。
そしてうつむいたわ。
あたまをかかえた。
……わらってるの?
「……はは、
全て私のせいですか。
そうかもしれませんね。
レイズルやフレイグも、
私の失策に呆れるあまり、
弾けて死んだのかも
しれませんね……!」
「……こっ、
こまかいことは知らないわ!
どうしてよるに死ぬのか……
獣におそわれたとか、
魔術のなにかかも
わからないでしょう!」
「ええ、ええ、いいでしょう!
よく分からないけれど、
何もかも私のせい、
それで構いませんよ!
それで、あなたの望みは?
信仰を捨て、禁忌を捨てて、
その鎌で、私を刺しますか?」
かってに、
のどがつばをのみこんだ。
ビョルカはわらってるけど、
おこってる。
きっと、
信仰はまげてくれない。
じぶんから
死んでくれたりはしない。
『死体の乙女』に……
『儀』に、ゆだねるつもりだ。
【ルート分岐:ばつ】
のこったのはビョルカとゴニヤだけ。
ビョルカのせいで、みんな死んでしまった。
やれることは、もうほとんどない。ゴニヤは、ビョルカをゆるせない。ゆるしたくない……
だけど……どうするべき、かしら……