「──流血の捧げものの
中断をお許し下さい。
永い夜の蜂蜜酒を
少しばかりお分け下さい。
恐るべき『オスコレイア』の
手を遠ざけて下さい。
許しがたきことあれば、
お示し下さい。
必ずや、短き春の一日に、
『ヴァリン・ホルンの儀』にて
報いますことを──」
儀式は滞りなく終わった。
『村』の心は一つだと、
確かめられた。
……本当は、そうじゃない。
僕はずっと悩んでいるし、
レイズルさんはずっと
涼しい顔のままだ。
そして『狼』は……
『村』の心は一つじゃない。
……『村』?
『村』、とは……
「それではみなさん、
少し早いですが、
眠ることにしましょう。
フレイグが『護符』を
持っていますから、
あまり離れないように
して下さいね」
……まずい。
深夜になって『狼』が来れば、
全てが嵐に閉ざされて、
意識も失ってしまう。
何も考えられなくなる。
まだ何も思いついてない……!
【ルート分岐:糸口】
これじゃ駄目だ。間に合わない。
明日の朝、死体発見をきっかけに、全ての道が閉ざされる。こうなったら、寝ずに考えるしかない。
まず考えろ。どうやったら寝ずに済むか。
これまでの『5回分』から、考えるんだ。