セピアのひとことレビュー
『ムジュラの仮面』の怖さは、瞬間的なビジュアルショックで驚かす「西洋的ホラー」と、雰囲気やセリフでじわじわと震えさせる「東洋的ホラー」が同居していることにあります。
私は特に「東洋的ホラー」の要素こそが、このゲームを至高の作品に引き上げているものであると感じます。
このゲームの登場人物は皆、3日後に滅亡する世界の中で「今」を精一杯生きています。
世界の終わりを覚悟しつつも自らの生を全うしようとする者、ひたすら怖気づき何もできなくなっている者、自身の悲しい境遇により滅亡を歓迎する節のある者……、実にさまざまな人がおり、そこから垣間見える人間模様は実に生々しいものです。
この生々しさこそが『ムジュラの仮面』の最大の特色であり、ゲームをプレイすれば、自分自身と重なって見える登場人物が必ずいるはずです。
ダンジョンは4つと少なめですが、それぞれ構造が非常に良く練られていて、特に後半の「グレートベイの神殿」と「ロックビルの神殿」は『ゼルダ』シリーズ史上最高傑作のダンジョンです。
難易度のそこそこ高いアクションを要求されるため、コアなゲームファンの方でもやりごたえバッチリです。
ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
発売年月日 | 開発元/発売元 | プラットフォーム |
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2000年4月27日 | 任天堂 | NINTENDO64 |
特記事項 | ||
ゲームキューブ版(2004年※クラブニンテンドーの景品『ゼルダコレクション』に収録)、Wii版(2009年※バーチャルコンソール)、ニンテンドー3DS版(2015年※『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D』)、Wii U版(2016年※バーチャルコンソール)あり |
(C)2000 Nintendo