編集部のひとことレビュー
厳格な“薔薇の掟”に縛られた子どもたちが支配する、夢とも現実ともつかない世界へ迷い込んでしまったら……。
本作はそんな不幸な19歳の少女、ジェニファーの物語だ。
両親を飛行船事故で亡くしたジェニファーは、奇妙な少年の導きで、怪しげな“ローズガーデン孤児院”に辿り着いてしまう。孤児院を探索しているうちに子どもたちに襲われ、気がつくと不気味な飛行船の中で目を覚ますのだが……。
この飛行船内では子どもたちが貴族のような階級制度を作って共同生活をしていた。迷い込んだジェニファーは最下層の“さびしいびりっけつ”にされ、いっしょに船内で生活をすることに。彼女は子どもたちに要求される“貢ぎ物”を捜しつつ、この飛行船を脱出するために探索を始めるのであった……。
暗く古めかしい飛行船の内部にはさまざまな謎が仕掛けられており、“妖精さん”と呼ばれる敵も出現してジェニファーの行く手を阻む。
この妖精さんは不気味な姿をした子どもで、多彩な種類が存在する。それぞれ独自の攻撃方法を持ち、手に持った武器などでジェニファーに襲い掛かってくるのだ。
だがジェニファーは非常にか弱く、戦闘が苦手。フォークやナイフ、鉄パイプなどの武器で反撃もできるが、途中で相棒になる愛犬のブラウンの力を借りて戦い抜くのがポイントだ。
戦闘だけではなく、嗅覚の鋭いブラウンはアイテム発見や船内のギミックを解く鍵になりもする。
状況に合わせて命令を下すことで物語が進んでいくのだ。
本作で注目したいのはミステリアスなストーリー。貢ぎ物を要求する少年ショシュア、ジェニファーに辛く当たるダイアナを初めとする個性的な少年少女たち。絵本を残していく謎の大男やホフマン先生、掃除婦のマーサなど、怪しげな大人たちも印象的。
物語が進むに連れて、徐々に不気味さを増す登場人物たちは、醜悪な姿をしたボス敵として登場することさえある。
彼らはいったい何者なのか? はたしてこの飛行船は現実なのか……?
企画原案はラブデリックで『moon』、パンチラインで『チュウリップ』などを手がけた木村祥朗氏。
絵本をモチーフとした印象的な世界や、謎めくストーリーの解釈などで、現在でも何かと話題に上るホラー作品となっている。
寝苦しい夏の夜にぴったりの不思議な世界へ、ジェニファーといっしょに迷い込んでみよう。
RULE of ROSE
発売年月日 | 開発元/発売元 | プラットフォーム |
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2006年1月19日 | パンチライン/ソニー・コンピュータエンタテインメント | PlayStation®2 |
特記事項 | ||
なし。 |
(C)Sony Computer Entertainment Inc.