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『オーバーウォッチ 2』新サポートヒーロー「ライフウィーバー」がクセ強な予感がする。“味方を動かす”という尖った性能を持つ彼がゲームにもたらす新たな戦略を開発陣に聞いてきた

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──パッシブの“散華の形見”についても少し確認させてください。ライフウィーバーがデスしたとき、その場に“形見”を残し、最初に拾った敵や味方を回復するという性能になっていますよね。
 直接的に「敵を回復してしまう」という効果のアビリティはこれまでの『オーバーウォッチ』には見られなかった要素のように思えます。

Alec氏:
 はい、この「敵を回復する」という“散華の形見”の効果は開発の中でも後半になって生まれてきたアイデアでした。こうした効果を持たせることによって、フランカータイプのヒーローがライフウィーバーをキルしてHPを回復しつつ、さらに次の敵を狙うようなシチュエーションが生まれてくると考えています。

 「敵のサポートを狙う」というのは『オーバーウォッチ』の基礎的かつ、非常に重要な戦略です。そうしてゲームの流れをくみ取って生まれたのが“散華の形見”の仕様ですね。補足しておきますと、“散華の形見”は味方に対しては250、敵に対しては75の回復を与える形になっています。

Gavin氏:
 くわえてライフウィーバーのアビリティでは“ペタル・プラットフォーム”も敵側のヒーローが利用できてしまうので、これらは今までの『オーバーウォッチ』にはなかった新しい要素と言えると思います。 

──なるほど。では次に『オーバーウォッチ』の要でもあるアルティメットアビリティについてお聞きしたいです。ライフウィーバーのアルティメット“命の樹”は範囲内の味方を回復する樹を生やす、というものですが、本体が当たり判定を持つというのが面白いポイントだなと思いました。例えば、相手の退路を物理的に塞いでしまうような使い方もできますよね。

Alec氏:
 はい、その通りです。こちらも基本的には強力な範囲回復としての運用を想定していますが、仰るように相手をブロックするような使い方も可能となっています。一方で耐久値も設定されていますので、「バスティオン」のような高火力のヒーローたちがフォーカスを合わせれば破壊することもできるでしょう。
 “命の樹”の耐久値は高めに設定してありますが、その強力さが皆さんに伝わるにつれ、連携して破壊するようなシチュエーションも増えていくと思います。

 また、当たり判定を持つことによってさまざまな使い方ができるのも“命の樹”の面白いところですね。
 私はすでに、とあるプレイヤーが「アッシュ」のアルティメット“ボブ”の目の前に樹を植え、ボブの射線を完全にふさいでしまうような戦略を生み出したのを目の当たりにしました。今後、プレイヤーの皆さんによって多彩な活用法が編み出されていくことを楽しみにしています。

Chonlawat氏:
 実際の開発の中では「命の樹」に関するいくつもの技術的な課題がありました。しかし、それらを乗り越えて実装するだけの価値があるアビリティだったと私たちは感じています。

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──ここまでライフウィーバーの性能をご紹介していただきましたが、彼はゲーム中ではどのようなヒーローと相性が良いのでしょう?

Alec氏:
 彼の弱点のひとつに、単純な回復力の少なさが挙げられます。そのため、チームを維持するためには「アナ」「バティスト」のようなヒール能力の高いサポートヒーローとタッグを組むのが良いかと思います。
 特にアナについて言えば、彼女は高いヒール力と長い射程を持ちながらも機動力は低いため、ライフウィーバーの“ペタル・プラットフォーム”で高所の強いポジションへ移動させてあげることも優れた戦略のひとつとなるはずです。

Chonlawat氏:
 ライフウィーバーの回復力自体はそれほど高くありませんが、先ほどもお話したように“ヒーリング・ブロッサム”は細かいエイムを必要とせず、かつ長い射程を誇ります。そのため、機動力の高いヒーローを安全な位置から援護するような動きは得意としていると言えるでしょう。いざとなれば“ライフグリップ”で救い出すこともできるといった具合ですね。

──アビリティを見ていくと味方に作用するものが多い、純粋なサポートキャラクターといった印象のライフウィーバーですが、彼はどのようなプレイヤーに特に愛されるでしょう?

Gavin氏:
 私たちはライフウィーバーを幅広い層のプレイヤーさんに楽しんでもらえると思っています。ただ実際に動かし、活躍するうえでは習得すべきことや学ぶべきことがたくさんあるヒーローでもあります。初心者の方はまず、自己回復もできるダッシュスキル“若返りの風”を使いつつ、なるべく長く生き延びられるように動くのが良いでしょう。

Chonlawat氏:
 私たちもライフウィーバーをプレイするたび、彼のアビリティの新たな活用法に気づかされるような新鮮な体験を日々味わっています。これまでの『オーバーウォッチ』にはなかった変化を与えてくれる素晴らしいキャラクターになっているのではないでしょうか。

──ありがとうございます。少しネガティブな話題になってしまいますが、彼のアビリティを見ているとトロール行為にも使えてしまうことが気がかりでした。例えば“若返りの風”でマップ外に飛び出して、味方を“ライフグリップ”で環境キルしてしまうような。

Alec氏:
 そうですね……実際、ライフウィーバーではそういったプレイもできてしまいます。しかしそうした行為が何度も確認され、またそれが故意であると判断された場合にはペナルティの対象となる場合があります。

──なるほど。ではここからは性能面以外の、彼のキャラクター性について少しお聞きしていきたいと思っております。まず、彼の誕生の経緯はどういったものだったのでしょうか?

Chonlawat氏:
 私たちが新たにヒーローを生み出すときのパターンは大きく分けて2種類あります。ひとつは「アッシュ」のように先んじてシネマティックムービーなどで登場していたキャラクターをプレイアブルにする形ですね。しかしライフウィーバーの場合は、まず彼の持つ能力から考え出されました。すなわち「植物」をモチーフにしたキャラクターです。

Gavin氏:
 試作段階のアートを見たとき、透明感のある輝く植物のデザインは、いわゆる自然界にある植物のイメージからはズレたものでした。そこで私たちは、彼を『オーバーウォッチ』世界の巨大企業「ヴィシュカー・コーポレーション(以下、ヴィシュカー)」に関連するキャラクターにしようと決めたのです。

 プレイヤーの皆さんがご存じのように、すでに「ルシオ」「シンメトラ」といったヴィシュカーに関連するヒーローは複数がゲーム本編に登場しています。『オーバーウォッチ』のストーリーを描く中で、ヴィシュカーに背き、反抗するような新たなキャラクターを生み出すことはとても理にかなっていました。そうした経緯があって、彼の能力は光で紡がれた植物「バイオライト」を用いるものとして表現されています。

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──ありがとうございます。彼とヴィシュカーとの関係について、もう少し詳しくお話していただくことはできますか?

Gavin氏:
 もちろん。まず彼はタイの裕福な家庭で生まれ育ち、豊かな自然の中で素晴らしい少年時代を送りました。しかしあまりにも優秀過ぎた彼は家族や教師の手におえず、最終的にヴィシュカーのアカデミーへ送られます。そこで彼はシンメトラと出会い、ふたりは互いを深く理解し合える関係を築きます。

 そして『オーバーウォッチ』のストーリーを把握されている方はご存じのように、ヴィシュカーは自社の利益のために自然を傷つけることを厭わない企業です。しかしライフウィーバーは彼が愛する自然が傷つけられていくのを許せず、「バイオライト」の研究を始めました。

 ヴィシュカーはもちろん「バイオライト」の技術を企業の利益のために利用しようとしますが、ライフウィーバーはそれに先立って研究成果とともに逃亡します。それ以来、彼はヴィシュカーに狙われ続ける生活を送っているといった具合です。こうした経緯があるため、ヴィシュカーに所属し続けているシンメトラとの関係にも軋轢が生じてしまいました。ゲーム内ではふたりの会話にも注目してみてください。

──なるほど。彼の人となりについても少しお聞きしてみたいです。

Gavin氏:
 彼は機知に富んでいますし、先述したように非常に優れた人物ですが、人をけなすことのない温かい人物です。他のヒーローに対しても刺々しくなったり、高圧的になったりすることはなく、物腰柔らかく接している様子をゲームプレイ中に見ていただけると思います。個人的には、特に「ルシオ」との会話がお気に入りです。

 ただ、一方で「モイラ」をはじめとする一部の人間に対しては決して心を許していません。特にモイラは科学の発展のためであれば人の命を何とも思わない科学者なので、こうした彼女のスタンスとは真っ向から対立するのがライフウィーバー……本名で呼べば「ニラン・プルクサマニー」というキャラクターですね。

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──ありがとうございます。最後になりますが、タイ出身のヒーローは『オーバーウォッチ』では初めてですよね。彼について、タイ文化の観点からご紹介していただけるポイントはありますか?

Chonlawat氏:
 はい、まず背中の背負いものや“ヒーリング・ブロッサム”はタイの宗教的なシンボルでもある蓮の花を模したデザインとしています。また彼が着ている衣装も、タイの伝統的な衣服に近未来的でSF風のエッセンスを織り交ぜたデザインとしていまして、これは非常にうまく調和させることができたと感じています。

 私自身、ひとりのタイのプレイヤーとして『オーバーウォッチ』にタイ人のヒーローが登場したことを誇らしく思っています。彼にはタイ語で話すセリフも収録されていまして、私としてはゲーム内で自分たちの母国語を聞くことができて非常に興奮しました。

 ちなみに彼の姓「プルクサマニー」はタイ語で「森の宝石」を意味します。私個人としても、これは最高に素晴らしいネーミングだと思いますね。プレイヤーの皆さんが新たなヒーローとして登場するライフウィーバーを楽しみ、気に入ってくださるのを待ちきれない思いです。

──ありがとうございました。(了)


 以上となります。インタビュー中でも触れられていますが、ライフウィーバーの最たる特徴は“味方を動かす”能力に尖っている点です。文字通りチームメイトを救い出す「ライフグリップ」や、一時的に高所を作る「ペタル・プラットフォーム」は、さまざまなヒーローと組み合わさることによって『オーバーウォッチ 2』に新たな戦略性をくわえることが容易に想像できました。

 一方で単純なヒール量は少なめ、かつ自衛手段も限られており、何より味方との連携が欠かせないため、果たして実戦で活躍しやすいかというと……やっぱり激ムズの予感がします。ただ、連携の練度が段違いなトッププレイヤーたちの間で運用された場合にはすさまじいポテンシャルを発揮するような気もするので、とにかく本実装が本当に待ち遠しい……!

 期待の新サポートヒーロー「ライフウィーバー」は、4月12日(水)に開幕する『オーバーウォッチ 2』のシーズン4にて登場する予定です。後日には「ライフウィーバー」の先行プレイのインプレッションもお届けしますので、ぜひそちらもご覧ください。

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ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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