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『サイバーパンク2077:仮初めの自由』新シナリオは“ドロドロ”なシナリオと「全要素の進化」で“集大成”になる。新パーク「あーしの力」「エッジランナー」をはじめ、気になる新要素をローカライズマネージャー・西尾勇輝氏に聞いてみた

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新ラジオには国内で活躍するSSW・春ねむりさんの楽曲も収録

──「仮初めの自由」より新たなラジオ「グラウルFM」が追加されましたが、コンペ形式で募集され、国内のアンダーグラウンドな音楽シーンで一目置かれるSSW・春ねむりさんの楽曲が収録されます。どのような経緯から「グラウルFM」の収録楽曲から決まったのでしょうか?

滝真柚子氏(CD PROJEKT RED ジャパンPR&コミュニティマネージャー):
 私も少しだけ選考に関わる機会があったのですが、本当に音源ファイルのみの一覧から選ばれていて、ネームバリューではなくフィーリングベースで選考していました。

 全世界で7800曲以上の応募がありまして、そこから選考しています。選考の際に応募アーティストの一覧が共有されたのですが、国内からもたくさんのアーティストに応募していただきました。 

『サイバーパンク2077:仮初めの自由』西尾勇輝氏インタビュー_014
(画像はCD PROJEKT REDの日本公式Twitterアカウントより)

──7800曲とは、凄まじい応募数ですね(笑)。

西尾氏:
 春ねむりさんのお名前は存じ上げてはいたのですが「グラウルFM」に収録されることが決まってビックリしました。そもそも春ねむりさんがこのコンテンツを見つけてくださったことに驚いています(笑)。

 『サイバーパンク2077』の収録楽曲はかなり力を入れているので、彼女の力を借りてバラエティ豊かなラジオになると良いなと考えております。他にももちろんすばらしいアーティストの楽曲が収録されているので、ぜひお時間あるときに聞いていただけると幸いです。

──ぜひ「ドッグタウン」を走りながら収録楽曲を聴いてみたいです。

西尾氏:
 我々としても、WAVで聞くのと、作中の車内で聞くのとで印象が変わると感じました。なので「仮初めの自由」内で楽曲を聞いて頂きたいですね。

新キャラクターの「信用できなさ」を日本語ローカライズで表現

──このたび「仮初めの自由」の冒頭をプレイさせて頂いて、「ドッグタウン」に暮らす住民も、これまでの雰囲気と違う印象を覚えました。ローカライズにおいて意識されたことはありますか?

西尾氏:
 ローカライズに関しては場所による違いはあまりないですが、所属する組織や設定による変化がありますね。

 例えばハンセン大佐率いる私兵集団「バーゲスト」は、実際に街を統治しておりギャングというよりは「軍隊」に近いです。そのため、タイガークロウズといったギャング集団における“オラオラ系”で若者言葉に近い言葉より、「軍隊」として相対的にフォーマルなスタイルを採用しました。

 このような点を意識して吹き替えやテキストで調整しつつ、キャラクターのニュアンスが伝わる様なローカライズを心がけています。

『サイバーパンク2077:仮初めの自由』西尾勇輝氏インタビュー_015

──なるほど。「新合衆国」にまつわる出自を持った新キャラクターのロザリンド・マイヤーズ、ソングバード、リード・ソロモンは、どのようなプロセスでローカライズが行われたのでしょうか?

西尾氏:
 元の英語のテキストと吹き替え音声に、私自身がそれを感じ取って変換したうえで調整を行いました。

 ただ、「キャラクターバイオ」は開発段階で用意されているので、翻訳をはじめる前からある程度土台になる情報はこちらでも用意し、予め方向性を定めています。

『サイバーパンク2077:仮初めの自由』西尾勇輝氏インタビュー_016

 例えば先行プレイの中でもマイヤーズは大統領とは思えないぐらい銃の扱いに長けていて、ゴリゴリに戦えますよね。それは、彼女は元海兵隊員で、ミリテクの社長を経て現職の新合衆国大統領についているからです。

 そういったキーワードのような情報は散りばめられているので、日本語にしたときに「こういう口調かな」「こういう一人称があってるかな」といった仕様を決めています。よっぽどのことがなければ変更はないですね。

 ソングバードリード・ソロモンも予め共有されているため、作業工程としては事前の情報からキャラクター像を固めていく。実際に声が届くと「マイヤーズもゴリゴリに軍人っていうよりは、少し大人しめの声なんだな」といったニュアンスから調整をすることはありました。

──西尾さんがローカライズするなかで、一番好きになったキャラクターは誰ですか?

西尾氏:
 マイヤーズですね(即答)

──即答ですね(笑)。どの辺りが魅力的なのでしょうか?

西尾氏:
 先行プレイのなかでもマイヤーズは頼りがいがあり、テキパキ動き、ロボットのように戦える非常に強い女性なんです。でも、ところどころ変な自信の無さや弱さ、人間臭さがある。

 さらに「こいつ、本当に信用して良いのか?」という胡散臭さも、今回のローカライズではうまく出来た自信があるので、とても気に入ったキャラクターになっています。

──実際にプレイさせて頂いて、マイヤーズはかなり複雑なキャラクター像であると感じました。

西尾氏:
 マイヤーズ、リード、ソングバードの三角関係と、それぞれが持っている過去は作中で重要な要素になるので、その点もぜひ期待してください。

 「会話の流れ」には凄く気を付けてローカライズしているので、アニメーションなどによる表情の変化にも注目すると、より楽しめるかと思います。

『サイバーパンク2077:仮初めの自由』西尾勇輝氏インタビュー_017

 
──最後に、拡張パック「仮初めの自由」を楽しみにしてくれている読者に向けてメッセージをお願いいたします。

西尾氏:
 改めまして、今回「仮初めの自由」という『サイバーパンク2077』の拡張パックを紹介させて頂きました。

 本編の発売から2年半、これまでずっと『サイバーパンク2077』を愛していただいたファンの皆様にまずこの機会を持って感謝を伝えさせて頂きます。そういった方々に今回「ひとつの答え」のような作品を提供できると思っています。

 また、アニメや「仮初めの自由」を知っていただいた方など、全ての方々に対して素晴らしいゲームを提供できるよう、現在も努力しておりますので発売をご期待ください。

 ……買ってね……いや、買ってください!!!!!

一同:(笑)。

西尾氏:
 あとひとつあるとすれば、本編でも日本語へのローカライズに関してはかなり良い評価を頂けたという印象を持っています。そのクオリティは変わらず「仮初めの自由」でも吹き替えを含め日本語ローカライズを行っていくため、引き続き期待していただければと思います。

──本日はありがとうございました。

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編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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