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フロム・ソフトウェアの2大タイトル『エルデンリング』と『アーマード・コア6』が「PlayStation Partner Awards」を受賞。現地で北尾氏がDLCの開発進捗について語る

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ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、2023年12月1日にこの1年でヒットしたPlayStation 5とPlayStation 4向けゲームの中から受賞作品を表彰する「PlayStation Partner Awards 2023 Japan Asia」を開催した。

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その中で、2022年10月から2023年9月の期間に全世界売上の上位にランクインし、なおかつ特に注目すべき活動成果を果たした作品に贈られる「PARTNER AWARD」では、フロム・ソフトウェアの『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(以下、アーマード・コア6)と『エルデンリング』が受賞。『アーマード・コア6』については、それに加えて総ゲームプレイ時間が多かった上位30タイトルに贈られる「USERS’ CHOICE AWARD」も受賞している。

授賞式に先駆けてメディア向けのセッションが行われた。こちらでは、その中からフロム・ソフトウェアの『アーマード・コア6』と『エルデンリング』に関しての質疑応答の模様をピックアップしてご紹介していく。なお、別記事でほかのタイトルについてもご紹介していく予定だ。

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『アーマード・コア6』ディレクターの山村優氏
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『エルデンリング』の授賞式で、宮崎英高氏に変わり出席したフロム・ソフトウェアの北尾恭大氏

文/高島おしゃむ


一番難しかったのは現代風の直感的な操作を目指したところ──『アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン』開発者インタビュー

山村優氏(以下、山村氏):
この度は、このような素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。10年ぶりの新作ということで、リリースには不安もありましたが、こうして多くの人に楽しんでいただけて、本当に嬉しいです。

これもひとえに、本作に関わってくださった全ての皆様、頑張ってくれたスタッフ、新たに『アーマード・コア』に興味を持ってくださった皆さんと古くからのファンの皆さんのおかげだと思っています。ありがとうございました。

小倉康敬氏(以下、小倉氏):
山村がほぼ言ってくれたので、同じ感想になってしまいますが、本当に感謝しております。ありがとうございます。

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写真右はディレクターの山村優氏、左は執行役員/プロデューサーの小倉康敬氏

──フロム・ソフトウェアでは、『ダークソウル』シリーズや『Bloodborne』、『エルデンリング』といった、いわゆるソウルライクといわれるゲームで知られるようになりました。その後に出た『アーマード・コア』の新作ということで、以前と比べて欧米でも知られるようになったのではないかと思います。そちらの感想についてお聞かせください。

小倉氏:
海外展開を行っていただいているバンダイナムコエンターテインメントさんから、まだ詳細なレポートをまだいただいておりませんので、あくまで肌感覚という形でお答えます。これまでの弊社タイトルを好きになってくれた方々がたくさんいらっしゃる中で、「メカならではの新しいアクション」というところでご支持いただけたのかなと思っています

──本作の発売後に、世界中のプレイヤーの方々から多くの声が集まったとおもいますが、日本以外の海外からの声で特に印象に残っているものがあれば教えてください。

小倉氏:
弊社は国内での販売プロモーションをおこなっておりますので、海外のユーザーさんからの言葉を直接聞くことがあまりありません。そのなかで様々なメディアやSNSなどから、新しいフロム・ソフトウェアとしてのアクションという意味で、楽しんでいただけたのではないかと思っています。

──約10年ぶりのシリーズ最新作となりましたが、10年も経つとゲームを取り巻く時代も変化していきます。そうした中で、開発中に最も苦労した点があれば教えてください。

山村氏:
一番難しかったのは、現代風の『アーマード・コア』にするということで、直感的な操作を目指したところです。「操作が難しいからこその『アーマード・コア』だ」ということを把握しており、私としてもそういう考え方があったので、すごく悩みました。

操作の難しさで『アーマード・コア』の面白さが伝わる前に投げられてしまうのが一番の不幸だと思っていたので、結果的に広く受け入れてもらえたのは本当に幸いでした。

──アップデートを幾度も重ねて調整され続けていますが、最終的に目指しているプレイフィールドは何かあるのでしょうか? たとえば『アーマード・コア』はどのようなものとお考えでしょうか?

山村氏:
発売後のアップデートに関しては、なるべくすべてのパーツに光が当たるように調整してきました。
『アーマード・コア』としてはユーザーの皆さんひとりひとりが違う多様性のある状況が理想だと思っており、それを目指してアップデートをおこなってきました。
これからもなるべく、多様性と個性が見られるようなゲーム作りを目指していきたいと思っています。

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──シリーズファンだけではなく、新規のプレイヤーも多く手に取ったかと思います。開発の方々から見て「シリーズのファンに刺さった」と思うポイントと、「新しく入ってきたファンに刺さった」と思うポイントをそれぞれと、教えてください。

山村氏:
シリーズを遊んできたファンの皆さんに対しては、ここが面白いという部分を現代風にアップデートして基本の味は変えないまま遊びやすく調整してきました。そこが受け入れられたのではないかと思っています。新規のファンの皆さんには、アクション部分でいうと、近年我々の開発で培ってきたバトルデザインと元々持っていた三次元の立体戦闘というシナジーが新しいシリーズとして好評頂いたのではないかと思っています。

──宮崎英高さんからは、開発中や発売後の環境について言われた印象的なことはございますか?

山村氏:
本作は、宮崎がイニシャルディレクターとして基本的な世界観やストーリーの骨子のような原薬にあたる部分を担当しています。それを受けて私らの方で肉付けしていくという形で進行していきました。開発が終わった後に「魅力的なものにしてくれて嬉しかったよ」と、ねぎらいの言葉をもらいました。

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小倉氏:
宮崎は、開発初期のイニシャルディレクターとして、いわゆる『アーマード・コア』の大きな方向性や目指すものなど、骨格部分を小さなプロジェクトで始め、それを我々に託してくれました。山村はそれをベースにしながら、彼の中での世界観を広げていたのかなと思っています。私の方は、そのベース部分を見ながら、何か困ったことがあったときはそこを見るという形でやってきました。

開発中も宮崎の方から、「困ったらそこに立ち戻るんだよ」ということは常々言われおり、本当にいいアドバイスだったなと今は思っています。

──『アーマード・コア』シリーズでは、プレイヤーが極まった戦い方をするのが有名です。発売前のイベントでもスーパープレイが出ましたが、直近では「相手のバズーカの銃口が揺れたのを見て0.25秒だけシールドを出して弾を消す」や「ショットガンの銃口が揺れたのを見てキックで潰す」などのプレイも見られます。そうした、プレイヤーの遊び方で面白かったところや、想定外なものがあったら教えてください。

山村氏:
私が見た限りだと、ターゲットアシストを振るどころか、マニュアルエイムで完全なシュートゲームでプレイして、それを貫いているユーザーさんもいました。そこに熟練傭兵の凄みと意地みたいなものを感じてかっこいいなと思いましたね。

マニュアルエイム機能自体は、ほとんどのユーザーが使いこなすことができないため、実装にも議論がありました。それを「いる」と言ってくれたスタッフがいたので、よかったです。

小倉氏:
ユーザーの皆さんは、我々の想像を超えていくため、驚きと共に嬉しく思っています。今回は武器を外すとパンチやキックができるので、「多分これは使われるだろう」と思っていたのですが、本当に銃や武器を使わずに殴る蹴るで倒すというのを披露されているところを見ると、さすがだなと思いました。そういった熱い思いや、愛のある方々がやっていただけているのは非常に嬉しいです。

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攻略の自由度の高さから長く遊んでもらえるものになった──『ELDEN RING』開発者インタビュー

北尾恭大氏(以下、北尾氏):
『エルデンリング』は、2020年の2月に発売され、2022年もアワードでふたつの賞を頂きました。それが一過性のものではなく今年も賞を頂くことができました。実際に遊んでくださったユーザーの皆さんが、様々な形で感想や評価を話題にして広げてくださった結果です。あらためて、ユーザーの皆さんにお礼をお伝えしたいと思います。

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──世界中で非常に高い評価とセールスを獲得して、名実ともにフロム・ソフトウェアを代表する新たなIPになったのかなと思います。そちらの感想を教えていただけますか?

北尾氏:
我々も予想していなかったような、たくさんのユーザーの皆さんに遊んでいただいて率直に驚いていますし、本当にありがたいですね。感謝以上のことはないという形になります。

──リリースから2年近く経つ作品ですが、『エルデンリング』という作品を振り返ったときの気付きや、当時とは制作に関する考え方が変わったところなどがあれば教えていただけますか?

北尾氏:
こんなにたくさんの方が遊んでいただいた理由についてはまだ分析できおらず、セールスに関しては「まったく分からない」という感じです。基本的には、開発に対するスタンスというのは変わっていません。

そのスタンスは「面白くて価値があると思えるゲーム」ですね。それを真面目に一生懸命作るというのが昔からのスタンスですし、今後も『エルデンリング』みたいなすごい大ヒットを狙うという考え方ではなく、面白くて価値のあるゲームを作るというところは変わらないと思います。

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──最近新しいオフィスに引っ越されたそうですが、これは『エルデンリング』の大成功も関係しているのでしょうか? また、新オフィスによって開発の環境が具体的に変わった部分はございますか?

北尾氏:
『エルデンリング』発売前から、単純に社内の人数に対して手狭になってきたというのがあったので、それが一番の理由です。ゲーム開発により集中できるような環境を整えるというのが、今回の移転の目的だったので、開発環境自体はまだまだ途上ではありますが、すごく良くなっていると思っています。

──DLCに期待しているユーザーも多いですが、開発の進捗やユーザーがどんな体験ができるようになるのか教えてください。

北尾氏:
DLCについては、また別の機会にお伝えさせていただきます。残念ながらそれは、まだ少し先になります。しかし開発は順調で、モチベーション高く開発しています。我々のDLCは、『ダークソウル』シリーズや『Bloodborne』と同じ形式ですが、「新たな舞台がある」「新たな脅威がある」という形のものになっており、新しい部分にご期待いただければと思っています。

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──運用型ではないタイトルが2年連続で選ばれるのは稀なことだと思います。発売からまもなく2年が経過しますが、人気が持続していることについて、どのような点かユーザーに受け入れられたとお考えでしょうか?

北尾氏:
持続という意味でいうと、本当にたくさんの方々が話題にしてくれたこともあると思います。そのようになった要因がひとつあるとすれば、「攻略の自由度の高さ」です。これは、元々開発のテーマとして持っていたものですが、ユーザーさんによって体験や遊び方が違ってくるというところで、長く遊んでいただけるものになりましたし、いろんな話題の仕方が生まれたのかなと思っています。(了)

ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

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