スピーディーに攻防が入れ替わる中華アクションに力を入れて開発──『Wo Long: Fallen Dynasty』開発者インタビュー
平山正和氏(以下、平山氏):
まずは「PARTNER AWARD」という素晴らしい賞を受賞できたことを大変心から嬉しく思っております。この受賞に際しまして、プレイしていただいたユーザーの全ての皆様に、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。
『Wo Long: Fallen Dynasty』は、今月12月12日にダウンロードコンテンツ3弾も発表され、リリースさせていただくことになっており、より皆さんに楽しんでいただけるようこれからもチーム一同頑張ってまいりたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。
──三国志全体を考えると、ストーリーはまだはまだこれからという感じです。次回作や今後の展開について、展望や希望されているものはございますか?
平山氏:
現在はチーム全体としてDLC第3弾に向けて全力投球しているという状況です。そのため、残念ながら現段階で続編などの情報をお伝えすることはできません。また、本作の後の時代に関しては、諸葛孔明や龐統が活躍するなど、軍師の時代として地略巡る争いというので、また『Wo Long』と違う魅力がある時代だと考えています。作れるチャンスがあればぜひ検討していきたいと現段階では思っています。
──戦闘システムに非常に高い評価が集まっていますが、開発者視点から手応えはいかがでしょうか?
平山氏:
当初から中国を舞台にしていることもあり、スピーディーに攻防が入れ替わる中華アクションに関してはずっと力を入れて開発をしてきました。その部分に関してはある程度の実現ができたと思っています。ただ、アップデートを通じていろいろな調整を継続している部分もあり、自分自身がもっともっと良くしたいとか、こういうことをやりたいなというところについてはまだあります。なのでチャンスがあれば、次回開発も含めて戦闘システムを引き続き磨いていきたいと思っています。
──具体的に今いえることはございますか?
平山氏:
中華アクションは、裁き方もすごく多種多彩で、そこは地上や空中も関係ありません。あとは物や打撃など、さばきも本編のテーマではあるので、そこはバリエーションを出すなどアクションの深みをもっと出していきたいと現段階では思っています。
──本作は、『無数』シリーズとも『仁王』シリーズとも微妙に異なる立ち位置にあるゲームだと思います。その辺りに関して、反響がこのふたつのシリーズと異なっている地域などはありますか?
平山氏:
三国志を題材にしていることもあり、『三國無双』シリーズとは地域比率が近しい傾向がありました。基本的には、中国を中心としたアジア圏というところが一番強い地域になっており、北米、欧州が同じくらいというのが大まかな状況です。北米、欧州の皆様に関しましては、三国志というIPというよりも。アクションゲームとして興味を持っていただいたという傾向があります。
──Team NINJAというと高難易度アクションのイメージがあります。本作に関して、ユーザーの受け止め方をどのようにご覧になっていますか?
平山氏:
リリースした後で一番印象的だったのが、「簡単」と言うユーザーと「難しい」と言うユーザーに意見が構分かれていたところです。『仁王』シリーズと比較して、アクションで乗り越える比率が少し多かったタイトルだったと考えており、そうした部分が原因としてあったのかなと思います。
ただ、幅広い方に楽しんでいただきたいと考えておりただ数値として簡単にする、強く弱くするだけではなく、ボスであればアクションを変えてAIを調整するとか、プレイヤーサイドの攻略を簡単にするという部分でいえば、プレイヤーアクションの改善やRPGの横の広がりみたいなところを強化していくことを意識してアップデートをしてまいりました。
ストーリーを重視して現代に蘇らせた──『クライシス コア ―ファイナルファンタジーVII― リユニオン』開発者インタビュー
佐藤万里子氏(以下、佐藤氏):
この度はこのような素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。この賞をいただいたのも、応援してくださった方や開発の皆様が頑張ってくださった結果だと思うので、本当に嬉しく思います。
また、来年には『ファイナルファンタジー VII リバース』(以下、『FF7 リバース』)の発売も予定していますので、『クライシス コア』も合わせて楽しんでいただければと思います。
──日本ほどPSPが普及しておらず、今回初めてプレイした海外ファンも多かったのではないかと想像できます。海外のファンからの反応はいかがだったでしょうか?
佐藤氏:
まさに海外のファンの方からも多くの声をいただきまして、好評な意見が多くて嬉しかったです。当時はPSPがあまり海外では普及していなかったので、今回やっとプレイできたという声がすごく多くありました。「ストーリーは知っていたけど、実際に体験できて本当によかった」という声を本当にたくさんいただき、この『リユニオン』を発売することができて本当に嬉しかったですね、
──来年『リバース』が発売されますが、これから本作をプレイする人に対してここに注目しておくとより楽しめるような部分があれば教えてください。
佐藤氏:
あまりたくさんは言えませんが、この『クライシス コア ―ファイナルファンタジーVII― リユニオン』というのは、オリジナルの『FF7』より前のお話というところが、ひとつポイントになっています。そこで、本作の主人公のザックスはもちろんのこと、『FF7』に出てくるセフィロス、エアリス、クラウドなど重要なキャラクターたちの過去のお話が描かれているというのがポイントです。ここで何があったかということを、本作を実際にプレイして体験していただき、『FF7 リバース』をプレイしていただくと、あっ、こういうことだったのかと分かる部分もあります。
『ファイナルファンタジー VII リメイク』(以下、『FF7 リメイク』)を既にプレイした方は分かると思いますが、「あれ? 『FF7』とか『クライシスコア』のお話とマッチする部分とすれ違っている部分がある?」ということに気がつくと思います。その謎を楽しんでいただきたいのが、『FF7 リバース』となるので、来年の発売も楽しみにしていただければと思います。
──『FF7』は多くのコアなファンを抱えていますが、プレイヤーからの反応で特に印象的だった大きい声を教えてください。
佐藤氏:
いろいろな声を発売後にいただきましたが、個人的に印象に残っているのが「ストーリーは知っているのに泣けた」とか「感動した」という方がすごく多かったところです。オリジナルが発売されてから15年という年月が経っていますが、ストーリーは色褪せずに人を感動させることができるなと思いました。これから10年とか20年先も、人を感動させていくことができる作品なのかなと思ったのは、すごく印象深い感想です。
──『クライシスコア』という人気の高い作品を現代に蘇らせるうえでこだわった部分や大切にしたところを教えてください。
佐藤氏:
ひとつ目はやはりストーリーを変えないところです。ストーリーがすごく人気の作品だったので、今回もストーリーを重視していますし、私がこの作品の大ファンということもあるので大事にしたいとこだわっています。この作品は、『FF7 リメイク』を遊んだお客様が手にしてくださるのかな、というところを考えたので、プレイしても違和感がないようにするところもかなりこだわりました。たとえば、手触りやバトルもかなりこだわって、調整に調整を重ねて開発をしたというのがこだわったポイントです。
全人類に遊んでもらいたい──『ストリートファイター6』開発者インタビュー
松本脩平氏(以下、松本氏):
『ストリートファイター』は長い歴史がありますが、今回、開発チームの中山(貴之氏)ディレクターが大きなチャレンジをしています。格闘ゲームではなく、本当に新しい『ストリートファイター』を作ろうとやってきたことがお客さんに伝わり、それがだんだん広まっていって、結果的にこうして嬉しい賞をいただけた。チャレンジして取り込んだことが、このような受賞につながり、そこはものすごく嬉しいし、開発チームの努力や皆さんに感謝しています。
──ワールドツアーというモードは、普段格闘ゲームをプレイしないような方にも遊んでもらえるような意味もあったと思いますが、発売後はどのようなフィードバックがありましたか? また、今後も『ストリートファイター』シリーズとしてこのモードは実装されていきますか?
松本氏:
『ストリートファイター6』自体は、今まで遊んできてもらった人にも全力を尽くしたいし、これから新しく入ってくる人に対する全力尽くしたいと思っています。そのひとつが「ワールドツアー」です。今まで遊んできた人は「ワールドツアー」を遊ぶことで、ストーリーを改めて理解することができます。
新しく入ってきた人に対しては、格闘ゲームの広範を学べるようなゲームデザインになっています。「ワールドツアー」を遊んでいただけるとクリアする頃には、「リュウの好物が何なのか」とか「気づいたら波動拳が出せるようになっている」というところを狙って作っています。
そこを体験していただくことで格闘ゲームや『ストリートファイター』の面白いところにについての理解が深まると思います。また、「キャラのことをもっと好きになった」という声もいただいているので、『ストリートファイター』のブランドとしてもすごくよかったです。
「ワールドツアー」を今後も実装していくかについては、これから考えるところです。新しく入っていただいたユーザーのプレイ動向を見て改善点やアプローチを考えなければなりません。そちらと付随して、DLCやゲームの遊び方を考えることになるのかと思います。
──メディアミックスなどは今後考えていますか?
松本氏:
『ストリートファイター』自体は、昔から音楽や映像、漫画、アニメ、コミックなどメディアミックスをやってきた歴史があるので、それをきっかけに好きになってくる人もいると思います。『ストリートファイター』が好きな人は、戦うのが好きな人もいれば、キャラが好きな人もいたり、ストーリーが好きな人もいたりするし、いろいろなお客様がいっぱいいて36年ずっとやってこられたので、そこは引き続きやっていきたいです。
──本作のアクセシビリティに対応して「SPECIAL AWARD」も合わせて受賞されていますが、「モダンタイプ」など裾野を広げて格ゲー界の歴史を大きく動かしている作品になっているのではないかと感じています。制作サイドとして、どのように感じられていますか?
松本氏:
アクセシビリティに関しては、実は前作の『ストリートファイター5』のときからチャレンジしていました。そのチャレンジに対して、ブラインドの方から意見をいただいていたんですね。でも『ストリートファイター5』ではアップデートができなかったため、『ストリートファイター6』でちゃんと改善し、もっといいものを作ろうという取り組みがありました。
基本的に、『ストリートファイター6』は「全人類に遊んでもらう」という目標があったので、身体もそうですが、性別や年齢しかり、全員に遊んでもらいたいと思っています。当然アクセシビリティが必要になるので、操作タイプも「クラシック」、「モダン」、「ダイナミック」というのがあります。
『ストリートファイター5』のときに老人ホームで大会をしましょうというイベントが結構ありました。というのも、ひとつ押すだけで楽しめて、そこからコミュニケーションが生まれるからです。そのときからやれることは全部やりたいと思っていました。実際に行われているというところを見るのはすごく嬉しいですし、チームも誇りに思っていますし、まだまだ改良できることはしたいと思っています。
──格闘ゲーマーだけではなく、初心者のストリーマーの配信もかなり広がっています。印象に残っているユーザー主催のイベントがあれば教えてください。
『ストリートファイター5』のアーケードエディションくらいのタイミングから、ストリーマーやVTuberなど、いわゆるTwitchやYouTubeで配信する人たちにプレイしてもらいたいと思っていました。『ストリートファイター6』は2018年から開発をしていましたが、『ストリートファイター5』を運営しているタイミングから開発が開始されていたことになります。
たとえば、にじさんじさんが『ストリートファイター5』をイベントで遊ばれていましたが、絶対に逃したくなかったんですね。ただ『ストリートファイター5』だと、それを見てやってみたいと思っても、操作が難しかったり難易度が高かったりすることから離脱しやすいだろうなと考えていました。でも、その時点で『ストリートファイター6』には「モダンモード」があったり見やすかったり、何が起こっているかわかるようなものがあるということが自分は知っているので、そこはずっと狙って動いていました。
特に日本ではストリーマーやYouTubeの人に遊んでもらい、それを見て入ってきた人もやっぱり「モダンタイプ」があるから続けてもらえています。イベントだけではなく、その後も継続して遊んでもらえるということが大事で、そういうところがズバっとハマりました。
個人で開かれている大会というと、やはり「CRカップ」はすごいインパクトですよね。もともと他のシューターなどのゲームではやられていて、当然あのようなな大会を『ストリートファイター6』でもやりたいと思っていました。
『ストリートファイター6』は新キャラの比率が多いのですが、新キャラの名前を知っている人がすごく増えたんです。それはストリーマーが使っているからだと思います。今後のストリートファイターのブランドとして、マリーザやマノンというキャラを知ってもらえることは大きなアドバンテージです。そういったところも含めてやって良かったですし、これからも続けていきたいですし、そういう動きを止めたくないです。
PS VR2は体験価値として非常に奥深いポテンシャルがある──『バイオハザード ヴィレッジ VRモード』開発者インタビュー
神田剛氏(以下、神田氏):
この度「SPECIAL AWARD」を受賞して本当に嬉しく思っております。まずは開発を代表してお礼申し上げます。『バイオハザード ヴィレッジ』は、今回で3回目の賞をいただいています。大変多くの方に、長い間遊んでいただけて本当に光栄に思っています。
──本作は制作環境も前作から大きく変わったと思いますが、PS VR2に対応するということでこだわった点があれば教えてください。
神田氏:
PS VR2 Senseコントローラーのゲームプレイへの対応というところが非常に苦労もしました。特に銃アクションの細かいところにこだわりすぎると、集中やサバイバル・ホラー感がどうしても薄れてしまいます。マガジンを入れ替えて、コッキングして撃つというところも、それとなくSenseコントローラーであればゲームプレイの中でもかっこいいアクションが感じることができましたので、そこが難しいところでもあり、最終的には非常に達成感があります。
──『バイオハザード ヴィレッジ』の発売前から、ドミトレスク夫人というキャラクターが非常に人気です。今後さらにこのキャラクターを活用したいというお気持ちはございますか?
神田氏:
『バイオハザード ヴィレッジ』のアイコン的なキャラクターとして、メインビジュアルに使用しています。可能な限りドミトレスク夫人を活用したいという気持ちはあります。今後の『バイオハザード ヴィレッジ』に関しては、今のところ追加コンテンツの予定はございませんので、引き続きVRモードで体験いただきたいなと思います。
──今後のシリーズで、VRモードを実装していく予定はございますか?
神田氏:
『バイオハザード』とホラーとVRの相性がよく、そうした反響をいただいています。開発期間やリソースなどいろいろありますが、カプコンとしては可能な限り前向きにそういう姿勢は持っていきと思っております。
──今作はPS VR2に対応ということでポテンシャルや独自性など、作り手側が見たときに気づいた部分や特徴があればお聞かせいただけますか?
神田氏:
解像度が上がるので、体験価値として非常に奥深いポテンシャルがあると思いました。特に昨今のハイエンドゲームでは、平面でもすごく解像度が高いグラフィックが楽しめます。VRでは、さらに体験が進めていけます。先ほどドミトレスク夫人の話がありましたが、間近でスケール感のある敵やキャラクターを見ると、それをさらに追求していきたいと思いました。
Senseコントローラーの体感部分がマッチすれば、ゲームプレイ体験としては非常にまだまだ価値の高いものを作り出せるんじゃないかと思っています。(了)