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「やっぱ楽しいわ」鈴木達央が語る、フリー転身後と20年間の役者人生。

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「僕は今、どっちかって言うと『やっぱ楽しいわ』です」

──ありがとうございます。最後に、鈴木さんから読者の方々に伝えておきたいことはありますか?

鈴木さん:
今やっている作品【※】やこれからの話ですと、『ケンガンアシュラ』ですね。

実はSeason2からはアクションの声や演出にも参加しています。

『ケンガンアシュラ』は、本当に自分の魂の一欠片のようなものを置いてきた作品なんです。あんな作品はなかなか無いと思います。

※取材は2023年12月に実施。

──絶賛ですね。

鈴木さん:
ええ。僕が演じる「十鬼蛇王馬」という一人の人生をちゃんと描ききっていた。

原作をご存知の方はわかるように、ラストはあなたの目で確かめてほしいのですが……一人の人間をあそこまでアニメで描くことなんてほとんどないんですよ。

本当に魂を一個預けてきたような感じの作品です。さきほども言ったように、自分自身がエンターテイメントに一度殺されて救われている。
「人生経験って、こんなにも声に出るんだ」っていうぐらい王馬と同じことが起きたんですよ。

王馬って今回のSeason2では、ほぼ寝ているんです。
で、起きたら何だかわからないけど、悟ったような感じになっている。
今までのことを倒れている間に整え直して、最後の馬力を出すための覚悟をした。
まるで同じことが起こったなぁ、と思いました。

作品のスタッフさんも「タツさんの声も変わったんですよ。王馬が王馬になっていたんです……」と言っていて。これはすごいかもしれないと。
それがちゃんとフィルムと声に乗りました。

『ケンガンアシュラ』は、クオリティを追求しつつも、「誰ひとり置いてけぼりにしない」という形を取っていました。なので、スタッフ陣とも制作についてはかなり熱く語り合うことも多くて。
監督の岸誠二さんを筆頭に「原作を預かっている以上は絶対にやらなくちゃいけない」、「現場単位で妥協は許されない」というスタンスでした。

決着を付ける話なのに、「なんでそんな有耶無耶なことを自分たちでやるんですか」って。そんな話題も思い出深いです(笑)。

──熱いですね。『ファイナルファンタジーXV』(以下『FF15』)のお話と同じく、開発陣に対しての鈴木さんの熱い想いを感じます。

鈴木さん:
ええ(笑)。『FF15』の開発陣の方々とは今でも仲良くさせていただいていますよ。

──鈴木さんが演じた「ノクティス・ルシス・チェラム」は、世界中で愛されていていますよね。

鈴木さん:
本当にありがたいです。以前、海外のYouTubeなどのマネジメントをやっている方が僕に「どんな作品やってるの?」って聞いてきたんですよ。
『七つの大罪』とか『ケンガンアシュラ』と答えたら、「そんなのやってるんだ。他には?」って聞かれて。

「ゲームだと『FF15』でノクトをやってます」って言ったら急に「写真撮ろう」って。「とりあえず一回写真撮ろう、みんなに自慢するから」って(笑)。

──『FF15』はスクウェア・エニックスで2番目に売れたタイトルですからね。『FF15』は、ただRPGで戦うだけのゲームじゃなくて、あの4人組がどうなっていくのか、というロードムービー的にキャラクターを掘り下げる作品じゃないですか。

鈴木さん:
「このゲームは魔法と剣の世界なんだよな? 今日ずっと俺ら友達と会話してるぞ?」って役者同士で話した記憶がありますね。なんか、4人でずっとダラダラ喋る。当時、アフレコでも、「俺たちいつ魔法使うんだろう?」って話したり(笑)。

ずーっと日常会話。あれが欲しいだの、これが嫌だの。「こんなことばっかやってるのダルいよな~」って会話ばっかり。

──「やっぱ辛えわ」ってノクトのセリフも有名になりましたよね。

鈴木さん:
唯一、僕がネットミームにできた言葉ですから思い出深いですよ。

僕は今、どっちかって言うと「やっぱ楽しいわ」ですけどね。(了)

声優・鈴木達央インタビュー:フリー転身後、20年間の役者人生_014


取材を担当した電ファミの副編集長・豊田さんと鈴木さんのご縁があり、実現した今回の単独インタビュー。
取材の同席、執筆を担当を終えた今、改めて思うことは鈴木達央という人はなんと魅力的な人なんだろう、ということだ。

約10年前。TVアニメ『Free!』で初めて彼のことを役者として認識し、当時のバンドの楽曲をずっと聞きながら、この10年を過ごしてきた。

この記事もバンドのアルバムを流しながら執筆した。
そんな、誰かの人生にいい影響を与え、色褪せることのないものをたくさん生み出してきた彼は、2021年以降、逆境に立たされた。

本文中にもあったように、自分の撒いた種だと言えば、それまでの話になってしまうのだが、不必要なまでに追い込む現代のSNSについては、疑問を感じずにいられなかった。
彼の人格やこれまでつくってきたものは、個人的にはとても素晴らしいと思っている。ただ、それすらも屈折した捉え方をされるのは、ひとりの人間として、憤りを感じずにいられなかった。

別の媒体で鈴木さんにお会いしたのが、約3年前。3年ぶりに対面した彼は、非常にスッキリした顔で、前向きに真摯に物事に取り組んでいた。

内緒だが、取材中に何度か目頭が熱くなった。「本当に元気でよかった」って。

これからも多くのシーンで鈴木さんの名前を見ることも増えていくだろう。
私も何かの形で仕事のご縁があるように、精進していきたい。

これからの彼に吹く風が逆風ではなく、追い風であることを願いながら筆をおきたいと思う。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。
ライター
宣伝・編集・執筆...色んな仕事をしています、川野優希です。
Twitter:@ougaan21

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