スマホ初期の超ヒットアプリ『アングリーバード(Angry Birds)』。
シリーズの累計ダウンロード数は30億を超え、アニメ化、グッズ化、映画化など、さまざまなメディアミックス展開もされているスマホゲームです。
日本ではすっかり下火ですが、欧米ではまだキャラクターとして人気があります。
そんな『アングリーバード』は今年に入って、バーチャル世界に突入しました。
2月にPC(Steam、Oculus Store等)とPlayStation VRで『Angry Birds VR: Isle of Pigs』が発売され、VRヘッドセットを通した仮想世界で遊べるように。
そして先日、iPhone/iPadのAR機能を利用して、机や床の上に立体的な『アングリーバード』を映し出すアプリも公開されました。
『Angry Birds AR: Isle of Pigs』です。
私はARのゲーム利用については否定的でした。
好きな体勢でゲームができないし、ずっとデバイスを構えていないといけないので手が疲れる。
なにより、ARである必要性のないゲームが多く、有効に利用されているのは『ポケモンGO』で写真を撮るときぐらいです。
しかしこの『アングリーバード』は、驚くほどARと相性が良い。
机や床の上に簡単に『アングリーバード』の、あの積み木のような建物を出現させ、それを壊していくことができます。
デバイスを動かすことで建物に接近したり、違う角度から眺めて弱点を探すこともでき、立体表現が有効に活用されています。
多くのARゲームは一定の広さの平らなスペースが必要で、巨大な机がないとゲームができなったりしたのですが、今作は割と小さなスペースでもプレイが可能。
この辺りの調整もしっかりしています。
ゲームはおなじみの、鳥のような弾をパチンコで撃ち出して、建物を崩していくカジュアルな物理ゲーム。
それほどボリュームはないのですが、無料で公開されています。
強制動画広告はありますが、この技術的に必見のゲームをタダで体験できるのはありがたいですね。
オリジナルの『アングリーバード』は2D(平面)でしたが、今作は見てのように3D化しています。
よって建物は前作以上に、リアルな崩れ方をします。
基本ルールは変わっておらず、3発ほどの鳥の弾丸を撃ち出して、建物に乗っている「ブタ」を全滅させればクリア。
ブタが1匹でも残っている状態で弾切れになったらアウトですが、リトライは何度でも可能です。
ノーマルな赤い鳥、貫通ダッシュできる黄色い鳥、分裂する青い鳥などがいて、各ステージで使えるものが決まっています。
ステージが進むと頑丈な石ブロック、爆発するTNTボックスなどが登場し、どの鳥をどこに撃つかがポイントになるのですが…… ただ、そんなに難しいゲームではなく、リトライもサッと行え、とてもテンポ良く進行します。
大きな特徴は接近、見下ろし、のぞき込み、自由自在なこと。
ARなので、表示の拡大や回転ではありません。
デバイスを建物に近付けることで「接近」し、プレイヤー自身が動くことで眺める位置を変えられます。
そして、パッと見では弱点がなさそうな建物も、のぞき込むと屋根の下に爆発ボックスがあったり、側面にすき間があったりします。
そういうところに撃ち込めば、一撃で崩壊させられることも。
オリジナルではあり得なかった、近づいて間近から撃つこともできます。
ステージをクリアすると、壊したブロックや余った弾丸がスコアに換算され、★1~3の評価が付けられます。
そして評価の数だけコインを得られ、その数によって上位エリアがアンロックされていきます。
ただ、条件はかなり甘く、それほどハイスコアを狙ったシビアなプレイをしなくても、容易にラストまで到達できます。
万人向けの簡単なバランスにしているようですね。
ひとつのエリアは12ステージ+ボスステージ。
4つのエリアあり、合計50ステージ以上ありますが、サクサク進むため短時間でクリアできるでしょう。
これはこれで、手軽に遊べて良いと思います。
商用アプリというより、技術的な研究とアピールを目的としているような作品です。
VRやARは新体験ができる分野として注目されていましたが、色々とハードルが高いうえにゲームへの有効活用は難しく、今では若干元気がなくなっています。
しかし、ゲーム以外の分野では活用が模索されていますし、一時の空騒ぎが過ぎ去って、落ち着いた研究がようやくはじまったところのようです。
今作は、その過程のひとつといえるでしょうか。
ともあれ、シンプルに楽しめて、拡張現実の面白さも感じられるゲームです。
なによりタダなので、iPhoneユーザーなら一度体験してみるのをオススメします。
Angry Birds AR: Isle of Pigs
ARバージョンの3D『アングリーバード』
・物理投射パズル
・開発:Resolution Games(スウェーデン)
・販売:Rovio Entertainment(フィンランド)
・無料、動画広告あり
文/カムライターオ
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