「暗黒牧場物語」「闇堕ちしたスターデューバレー」と呼ばれる墓地運営シミュレーションがiOS/Androidに禍々しく降臨【レビュー:Graveyard Keeper】

 蔓延する死に怯え、人々が魔女狩りと宗教に救いを求める暗黒期の中世。
 墓守となった主人公が夜な夜な運ばれてくる死体を埋める、背徳的な教会墓地運営シミュレーションゲームがスマホ/タブレットに登場しました。
 『Graveyard Keeper』です。

 「闇の牧場物語」としてPCで評判になっていた、開拓ゲームの”ヤバいやつ”
 PCでは2018年の夏に公開されており、海外では専用ゲーム機にも移植されています。
 制作したのは格闘家育成SLG『Punch Club』の開発陣で、その点でも注目だった作品。

 『Stardew Valley(スターデューバレー)』と同じく、牧場の開発と運営を行う『牧場物語』に影響されたゲームですが、そのコンセプトを忠実に踏襲したスターデューバレーとは違い、こちらは墓地と死体とあやしい宗教にまみれた冒涜生活がテーマ。

 と言っても、主人公は悪逆非道なわけではありません。
 事故で異世界に転生されてきた一般人であり、平気で死体を切り刻めたりしますが、殺人鬼なわけではなく、チート能力もありません。モテモテでもありません。
 墓守になったのは成り行きで、生活はほぼ自給自足。
 木を伐り、岩を砕いて土地を開拓し、道具を自作しながら、荒廃した教会と墓地を建て直していきます。

 その地道で真っ当な展開に、グロヤバオカルトゲーを期待していた一部のユーザーや、牧場物語のフォロワーだと知らなかったプレイヤーから「地味すぎるわ!」、「作業ゲーだ!」と言われたりしていたようですが、そもそも牧場物語系は、その地道な開拓作業を楽しむもの。

 開発ゲームとして見た場合、しっかり丁寧に作られていてボリュームもあり、農業・釣り・醸造など出来ることが多く、単なる不気味なゲームでは終わっていません。ストーリー展開も楽しめます。
 スターデューバレーと並び立つ、時間を忘れてやり込める本格的な土地開拓ゲームと言えます。

 価格はiOS版1200円、Android版1080円。Steam版は1999円
 ただし、Steam版では無料アップデートだった、ゾンビを使役できるようになる「Breaking Dead」はiOS版360円、Android版320円の有料コンテンツになっています。
 これについての詳細は後述します。

 iOS版は「すぐ落ちる」という苦情の影響で低評価となっていますが(2019/8/20現在)、そのトラブルはアップデートですでに解消されており、現在は問題なく遊べますのでご安心下さい。
 PCで公開された当初はバグが多かったようですが、私がプレイした限り、目立ったバグには遭遇しませんでした。
 現在はほとんどのバグも修正されているようです。

 以下、iOS版(Ver 1.129)のレビューになりますのでご了承下さい。
 PC版とは一部の仕様が異なる可能性があります。

 愛する人の待つ家へと帰る途中、不慮の事故に遭い、異世界に連れてこられた主人公。
 赤い目の男と、お喋りなしゃれこうべ「ジェリー」の案内により、死体を埋める墓守としての生活を行うことになります。

 基本的には、数日に一度、”資本主義野郎”に使われているロバが死体を運んでくるので、墓地に穴を掘って埋め、「埋葬証明書」を獲得し、それを酒場で換金して生活します。
 ただ、このゲームに空腹はないので、サボっても餓死するようなことはありませんが。

 しかし町からやってくる神父や、近くの村に住む人々から、教会の復興を頼まれます。
 ずっと放置されていた教会と墓地は荒れ放題。
 ボロボロの墓を修理して、新たな墓には飾り付けをし、立派な墓地へと変えていかなければなりません。

 そのためには、木を伐って木材を、岩を採掘して石材を集め、それらを加工する技能を修得し、制作に必要な道具や設備を整えなければなりません。
 こうして、教会と墓場を運営するための開拓が始まります。

 ただ、このゲームは序盤にチュートリアル的に言われる目標が、全然達成できません……。
 開始直後、しゃれこうべのジェリーから「死体から肉を切り取って、酒場で売って金にしろ」と言われるのですが、酒場に持って行っても「王国印が押されていない肉は買い取れない」と言われます。
 王国印を手に入れるには数々のクエストの達成が必要で、売れるようになるのはずっと先。

 他にも「墓を修理しろ」と言われますが、墓の修理には「修理キット」が必要。
 序盤に貰える修理キットはすぐ尽きてしまいますが、自作するには相応の技能が必要なうえに、材料も「木板」や「クギ」といった、様々な素材と設備が必要なものばかり。

 結果、「じゃあどうすりゃいいのコレ……」と途方に暮れてしまいがちです。
 この投げっぱなし感はなかなか”洋ゲー”的で、日本のゲームのように丁寧だったスターデューバレーとは同じに考えない方が良いでしょう。

死体解剖シーン。墓に埋葬する前に死体からパーツを取り出します。
最初に「肉を取って売れ」と言われますが、本文で述べたように肉は当分売れないので、食用にしかなりません。
しかも肉を取ると死体の評価を示す白ドクロが減ってしまいます。
血液と脂肪は取り除くことでマイナス評価の赤ドクロが減り、プラス評価の白ドクロが増えるので、当面はそのふたつを取って埋葬しましょう。
頭蓋骨と皮膚は取ると赤ドクロが増えてしまいますが、頭蓋骨はイベントで大量に必要になり(計25個)、皮も作成材料になるので、できれば取っておきたいところ……。
墓地の設計画面。埋葬前に、設計台で墓の設置場所を決めておく必要があります。
花壇は作れる場所が決まっているので、そこを避けて配置しましょう。
なお、死体は野外に放置していると腐敗が進んでいくので、ほったらかしにしないように。
野外より地下、地下よりパレットや解剖テーブルに置いた方が、腐敗は進みにくくなります。
墓の評価画面。死体の赤ドクロの数だけマイナスになり、装飾によってプラスにできますが、評価の上限は白ドクロの数まで。
つまり、赤が少なく、白が多い死体を埋めれば、装飾によって高い評価を得ることができます。
石の装飾はしばらく扱えないので、まずは木製の十字架や墓柵を作って飾りましょう。
赤ドクロが多い死体は埋めるより、川に捨てるか、火葬した方が良いです。
火葬には大量の木材(よこ切り丸太材)が必要ですが、墓場の敷地を占有することなく埋葬証明書を受け取れます。

 まずは深く考えず、自分の判断で自由気ままに開拓していきましょう。
 その方がむしろスムーズに進むはず。
 近くにある岩を砕き、木を切り倒し、丸太をかついで「薪置き場」に放り込み、疲れたら自宅のベッドで休みます。

 iOS/Android版はスティック操作に若干のクセがありますが(スティックをタッチするだけでは動かない。必ず指をスライドする必要がある)、それほど悪い操作性ではありません。(良好とも言いがたいですが)
 また、ボタンの長押しで連続で作業を行ってくれます。

 採集していると赤や緑の玉が出てきて、ポコポコという音と共に吸収されていきます。
 これは経験値で、赤が”工作”、緑が”自然”をあらわし、これを消費して様々な技能を獲得できます。

 技能は6系統もあり、ツリー形式で数多くのスキルが用意されています。
 まずは設備を用意しなければならないため、「建築」と「鍛冶」のカテゴリのスキルを獲得していきましょう。
 ゲーム序盤は、溜まった経験値でスキルを獲得 → 作れる設備が増える → 自宅横の設計台で必要な材料を確認 → 材料をそろえて建設 → その設備で作れるものをチェック → 必要な材料を得て加工品を作成、といった形で進んでいきます。
 そうこうしているうちに、別のスキルを獲得できる経験値が溜まるはず。

 設備と作れるものが増えたら、墓の装飾や修理キットも制作することができるでしょう。
 準備ができたら墓地を改修し、マイナスの墓地評価をプラス目指して上げていきます。

 なお、経験値には青色の”精神”もあるのですが、これは教会がオープンしないとまともに得られません。
 当面は気にしなくても良く、青の経験がないと修得できるスキルがないという状況になったら、墓地の修繕を急ぎましょう。

ツリー形式のスキル習得画面。バッグのボタンを押して、本のタブを選べば表示されます。
上部のアイコンでカテゴリの切り替えが可能。とりあえず木工や石工の技能から修得していきましょう。
墓の装飾の作成は神学のカテゴリで修得します。
伐った木は(復活する場所にあるものなら)自然に再生しますが、切り株が残っていると再生しないので全部取るように。
クギや鉄の部品は村の鍛冶屋で買えますが、「炉」と「木の打ち付け台」を作り、早く鉄の加工ができるようにしたいところ。
鉄鉱石は自宅近くの沼地で採掘できますが、なくなったら西の橋を修理し、その先に向かわなければなりません。
木を伐ったときに出てくる丸太は、かついで自宅前の「薪置き場」に入れないと材料として使えません。
翻訳が微妙で、「丸太置き場」なのに表記が「薪置き場」になっているので注意。(薪は普通にバッグに入れられる)
鉄の精製は、炉に棒や薪を入れて、まず「火」の数値を上げ、それから鉄鉱石を放り込みます。あとは放置。
巷には「砥石が摩耗して道具を修理できなくなってハマる」という意見が見られますが、それは初期のPC版の話。
少なくともiOS版は、そんなに早く砥石が摩耗することはありません。
なお、「墓場のスペースを拡張」を実行すると、墓場じゃなくて自宅前の作業スペースが拡張されます。
教会がオープンしたら、その地下にある研究テーブルで青の経験値を入手できるようになります。
研究するには、まず「メモ」を「腐敗化」させて研究ポイントを得なければなりません。信仰ポイントも必要。
どのアイテムで何色の経験値を得られるかは、バッグでアイテムを選べば確認できます。
まずは死体のパーツや墓の装飾を研究してみましょう。
農作物なども研究すると錬金器具で加工ができるようになります。
研究ポイントがなくなったらメモを手に入れなければなりません。月の日に灯台に現れる占星術師の元を訪れてみましょう。

 教会がオープンしてからが、本当のスタートです。
 主人公は週に一度、集まってきた人々に説教をする聖職者としての活動も行うことになります。

 え? そんなに簡単に聖職者になれるのかって?
 大丈夫。 格好を整えて、テキトーにそれっぽいことを言っておけば、信心深い人々は勝手に感動してくれます。
 しかし格好は重要。 燭台、イス、懺悔室など、教会の設備を整える必要があります。

 信頼されれば、村人から様々な依頼を受けるようになるでしょう。
 このゲームには「元の世界に帰る」という目標とストーリーがあるのですが、そのためには人々の頼みを聞いて、自分に対する「評価」を上げなくてはなりません。
 依頼はそのほとんどが、目標達成に必要な”メインクエスト”だと考えて下さい。

 そのうち、高度な制作や料理、高額な権利書の購入、農場の拡張やワイン造り、さらにダンジョンでの戦いが必要な依頼を受けることになります。
 教会と墓地の評価もさらに高めなければなりません。
 こうして、墓場で死体の処理をしながら、村人の信頼を得るために活動を続けることになります。

バッグのボタンを押して虫眼鏡のタブを選ぶと、登場人物の一覧と、彼らから受けたクエストを確認することができます。
何をやれば良いかわからなくなった時は、ここを確認して次に達成すべき依頼を選びましょう。
なお、死体運びのロバがストライキを起こした時に必要な「油」は、町の東の外れ、大壺の側に住んでいる老人から買うことができます。
使うと種油が手に入りますが、ビンのまま渡すこと。
時間と曜日の表示。特定の日にしか出てこないNPCが多いため、攻略するうえで重要ですが、最初は意味がわかりづらい。
一番下が今日の曜日です。
牧場物語のフォロワーなので、農業もあるのがお約束。
まず農場の設計台を調べ、それから酒場のマスターに農場について聞いてみましょう。
種は麦畑の南にある農家で買うことができ、植えるだけで育ちます。このゲームで水やりは不要。
ただ、植える前に「肥料コンポスト」で作れる「ピート」という肥料を使っておきましょう。
作物は売ってもほとんど儲けにはなりませんが、料理の材料になります。
ゲームが進むと醸造用のブドウやホップも作れますが、それらは「魔女の丘」の横、専用の畑で栽培します。
ブドウの種は商人から、ホップの種は麦畑の北の農民から購入可能。
なお、金のワインは商人しか買取ってくれません。ビールも酒場では銀ランク以下しか買取られません。
この手のゲームには「釣り」が付きもの。蝶やウジといった虫は釣りのエサに使います。
釣りはコツがわかりづらく、浮きが沈んでからボタンを押すのですが、かなり素早く押さないと間に合いません。
浮きが沈む直前に浮きの周囲の波紋が消えるので、それを見たら即ボタンを押しましょう。
その後は黄色の範囲をボタンで動かし、動く魚をその中に入れ続けます。
なお、クエストに必要な魚の切り身は灯台にいる釣り師からも買えるので、ゲーム進行に必須なものではありません。

 このゲーム、やってみるとわかりますが、結構忙しいです。
 埋葬、採集、生産、農業、売買など、色々とやることがあり、しかも特定の曜日にしかいない人が多く、それに間に合わせようとして時間に追われがち。
 そんなときに死体が運ばれてきて「あぁ、もう! 忙しいのに!」となったりします。
 牧場物語やスターデューバレーはスローライフがテーマでしたが、こちらはあまりスローではない。

 ただ、退屈な時間が少ないとも言え、それは開発ゲームでは長所であり楽しさでもあるでしょう。

 しかし「忙しすぎる!」と思った人は…… 課金コンテンツ「Breaking Dead」を買うのも手です。
 これは死体をゾンビにして簡単な労働をやらせるという、背徳極まりない行為をアンロックするもの。

 導入するとゾンビ農場やゾンビ採石場を建設できるようになり、ゾンビジュースで作ったアンデッドの新入社員に採集や運搬を行わせることができます。
 給料不要、年中無休、福利厚生なしで文句も言わずに木材や石材、麦やニンジンなどを生産してくれるため、主人公は加工に専念できます。

 ただし、ゾンビ化に必要な設備の材料は、ゲームが相応に進んでいないと得られません。
 ゾンビ化の技術を得るイベントも、教会の地下にある鍵のかかった門の先で発生するので、そこまでクエストを進めておく必要があります。

 課金コンテンツではありますが、課金すればすぐ利用できるものではないので注意して下さい。
 しかし牧場物語系で”従業員”を得られるというのは、面白い要素です。

ゾンビが働く伐採所。これさえ用意できれば丸太は自動で蓄えられていきます。
ゾンビの労働効率は白いドクロが多いほど高くなり、赤いドクロは無関係。
ゾンビの労働施設の建設地は自宅の北西、崖崩れを撤去した先にあります。
教会が復興した後は、毎週太陽の日に信者の皆さんにありがたい説教を行います。
すごくテキトーな説法ですが、鰯の頭も信心から。信仰ポイントはこれで入手。
その際に「祈りの言葉」を選びますが、できるだけ早く「繁栄の祈り」を使えるようにしましょう。
これを実行すると、売ることでお店のステージポイントを大きく増やせる「商業の祝福」というアイテムを得られます。
店のステージランクを上げないと売買できないものが多いので、攻略上必須です。
ダンジョンでスライムと格闘中! 教会の地下、閉じられた門の先には敵だらけのダンジョンがあります。
初期の装備では話にならないので、さびてない剣と鉄の鎧を制作してから挑みましょう。
このゲームは攻撃でスタミナが減るので、スタミナ回復用の料理やお酒も忘れずに。
ダンジョンは敵を全滅させることで次の階に進め、次回は到達した階から再開できます。

 やる前は「どれだけダークで不謹慎なゲームなんだろう」と思っていたのですが、意外としっかり開拓がメインのゲーム。
 一方で、明確な目標と、そのための数々のクエストがあり、その達成に向けて進んでいく内容は、生活自体が目的と言える『牧場物語』や『スターデューバレー』とは異なっている印象です。

 取っ付きづらいのは否めませんが、やり応えがあって魅力のある作品。
 アンダーグラウンドな雰囲気とストーリーが重視されている点からは、『Punch Club』のスタッフらしさも伝わって来ます。

 「闇の牧場物語」というワードに惹かれる方なら、間違いなく没頭して楽しめるゲームでしょう。

Graveyard Keeper

墓守となった男が毎晩死体を埋めていく墓地運営SLG

(画像はGraveyard Keeper – AppStoreより)

・開拓ゲーム(牧場物語系)
・開発:Lazy Bear Games(ロシア)
・販売:tinyBuild(アメリカ)
・iOS版1200円、Android版1080円、Steam版1999円

著者
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。
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