『不思議の国の冒険酒場』や『不思議の国の鍛冶屋』など、ガラケー時代から続くモバイルの人気アトリエ系RPGシリーズに最新作が登場しています。
『砂の国の宮廷鍛冶屋』です。
鍛冶屋と冒険者を兼任する主人公が、職業や性別を自由に設定できる4人の仲間とフィールドを探索し、素材を持ち帰ってさまざまな武具を作成、お店で販売してお金と名声を得ていくゲーム。
模範的で遊びやすいシステムと難易度バランス、育成の多様さ、そして庶民の生活をテーマにしているところが特徴です。
生産や育成などの町で行う活動は『不思議の国の鍛冶屋2』を、探索や戦闘などの野外で行う活動は『マレニア国の冒険酒場』をベースにしており、今作は両作品の長所を融合した、最新作らしい作品となっています。
過去作とストーリーの繋がりはないので、今作から始めても大丈夫。
価格はiOS/Android共に860円。Androidのみ無料体験版あり。
開発はライドオン、販売は「ケムコ」のブランドで知られるコトブキソリューションが担当しています。
今作の舞台は砂漠と荒野の王国「ムスペルヘイム」の一角にある町「ザントブルク」。
海辺の町が多かった今までとは雰囲気が異なります。
軍事国家のようで、物語中にも何度か戦争が起こりますが、主人公はあくまで一般市民。
英雄や魔王なんてものはどこか遠いところの話で、日々の生活のために鍛冶仕事に励みます。
まずは材料集めから。郊外に出かけて鉱石を採掘し、敵と戦って魔物由来の素材も収集。
『不思議の国の鍛冶屋2』にはフィールドがなく、探索シーンはバトルを繰り返すのみでしたが、今作では『マレニア国の冒険酒場』のようにダンジョンの中を歩き回ります。
ただ、急に敵が出てくるランダムエンカウント方式ではなくなりました。
フィールド上をモンスターがうろついていて、それに接することで戦いになるシンボルエンカウント方式。
敵はそれほど多くなく、主人公パーティーの移動も速いので、戦闘を回避しながら探索することも可能。
ダンジョンからはいつでも脱出でき、ストレスなく遊べるつくりになっています。
戦闘はターン制のコマンドバトルで、一般的なJRPGですが、とにかくバランスが良いです。
どのダンジョンもはじめての時は苦戦しますが、挑んでいるうちに目に見えてラクになっていき、楽勝になったあたりでボス戦を経て次のダンジョンへ、という工程が繰り返されます。
オートのボタンがあり、弱い相手ならサクサク倒せるので、とても遊びやすいですね。
町に戻ったら工房で生産を行いますが、様々な依頼を受けられる「冒険者ギルド」や、食事をすることで経験値を得られる「酒場」、好きなモンスターと戦える「闘技場」といった施設もあります。
町はフィールド型ではなく、行き先を選択するコマンド式。
特徴的なのは酒場で、このゲームは戦闘で得られる経験値よりも、1日1回の食事で得られる経験値の方が多いです。
食事にはお金が必要ですが、素材や在庫が十分にあって探索しなくても稼げる状況なら、酒場と工房の往復だけでレベルアップでき、時間の経過で自然にキャラが育っていきます。
一方で、キャラクターのカスタマイズが豊富。
「冒険者ギルド」ではアンロック済みの好きな職業に何の制限もなく転職でき、レベルが上がればサブ職業も設定可能。
各職業には多彩なスキルが備わっており、どのスキルを鍛えるかも自由です。
装備にも「ルーン石」と呼ばれる強化アイテムを付加して、能力の追加や補填を行えます。
ルーン石は取り外しできるため惜しむ必要はなく、もちろん鍛冶屋ですから、装備は自分で作り出せます。
工房の「商品棚」に作った武具や日用品を並べ、「開店」のボタンを押せば売上が集計されて一日が終了。
開店ボタンの位置はちょっとわかりづらいので注意。商品リストの右下にあります。
ギルドで受ける納品や討伐の依頼と、お店の売上げ&評価目標の達成により、鍛冶屋のランクが上がってメインストーリーが進行していきます。
とにかく模範的に作られた、遊びやすくて日本らしいRPGです。
強いて難点を挙げると、あまりに良バランス過ぎて、起伏がないというか、平坦で一本道な印象を受けること。
もうちょっと試練のようなものがあってもよかった気もしますが…… でも、これは勇者ではなく職人の物語。
最近は難しいRPGは叩かれることもありますし、このぐらいストレスなく遊べた方が良いのでしょうね。
「ジュエル」という課金通貨があり、素材の所持数を増やせるカゴや、採掘の回数を増やせるツルハシ、強力な効果のルーン石などを購入することができますが、カゴやツルハシはゲームの進行でも強化され、ジュエルも戦闘や日数の経過で得られるため、課金は必須ではありません。
しかしゲームがかなりラクになるので、支援を兼ねて購入しても良いかも。
今回もアトリエ系のRPGが好きな人なら、時間を忘れてハマれること間違いなし。
万人にお勧めできる作品です。
砂の国の宮廷鍛冶屋
砂漠の町で鍛冶屋と冒険者を営むアトリエ系RPG
・RPG(アトリエ系)
・開発:ライドオン(日本)
・販売:コトブキソリューション / ケムコ(日本)
・iOS/Android 860円
文/カムライターオ
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