2002年12月19日、PlayStation 2向けソフトとしては初となる「サガ」シリーズの9作目『アンリミテッド:サガ』が発売された。
当時、「これがSaGa? これがRPG?」とパッケージに銘打たれた本作は、キャッチコピーのとおり過去の「サガ」シリーズからゲームシステムをほとんど一新した、ある意味で革新的な作品だった。
多くのRPGで十字キーでの移動がまだ主流だった当時、本作はアナログスティックを“傾け続ける”ことで移動できるという、独自の操作システムを採用。HPとLPの関係もシリーズ過去作とは異なり、HPではなくLPがゼロになると戦闘不能になり、HPはLPの減少を低下させるというシールドのような役割になった。
さらに戦闘時に発動される攻撃やさまざまな行動の成否は、画面上で回転するルーレットで決定するという、特異なリールシステムも存在している。
しかし多数盛り込まれた複雑怪奇な新システムや機能は、残念ながら多くのプレイヤーに受け入れられず、さらにチュートリアルや取扱説明書の説明不足もあいまって、発売当初の本作への世間の反応は「複雑でよくわからないゲームだ」と冷え切っていた。
実際、発売からまもなくしていわゆる「ワゴン売り」の仲間になったことは、当時本作を追っていたゲーマーであれば周知のとおりである。上記写真は、筆者宅にある『アンリミテッド:サガ』の“一部”を集めて撮影したもの。
複数の『アンリミテッド:サガ』を買い集めるのが容易なほどに中古市場で値下がりしていたのが本作であり、中古相場では100円(税抜き)で投げ売りされているタイミングすら存在した。
また、5000円のゲーム福袋に『アンリミテッド:サガ』が3本も封入されていたというコラージュ写真が出回り、当時のインターネットの住民たちを賑わせたことすらある。それがコラージュではなく本当の写真だと信じる人が出るほどに、本作は過酷な評価を受けていた時代もあったのだ。
しかし現在、発売から十数年が経過し、「『アンリミテッド:サガ』は新たな次元に挑戦した意欲作だった」という評価が固まりつつある。このように再評価されたのは、発売から17年のあいだ、多くの人が『アンリミテッド:サガ』をプレイし続け、その複雑怪奇なシステムが実は練り込まれた奥深いシステムだと判明してきたからに他ならない。
今回の記事では、この『アンリミテッド:サガ』がいかに複雑なゲームなのかを、十数年にわたる『アンリミテッド:サガ』のプレイヤーたちの歴史と照らし合わせていく。「サガ」シリーズ史上、もっとも評価が変化したであろう本作の歴史を紐解いていこう。
「フィールドの移動方法がわからない」
『アンリミテッド:サガ』では、まず最初に7人の主人公の中からひとりを選んでゲームをスタートする。選んだ主人公によって難易度は激変するが、選択時に表示される解説「デザイナーズノート」を読めば、“基本的に”初心者向けのキャラクターはすぐにわかる。
しかし、どの主人公にも共通していることがある。オープニング終了後、街で簡単な情報収集や買い物を終えたら、ほとんど説明もないままにすぐさまシナリオへ放り出されることだ。
そこでプレイヤーがまずつまづく可能性があるのが、マップの移動である。『アンリミテッド:サガ』は、地続きのワールドマップやエリアを自由に動けるというゲームではなく、マス目のように分けられたマップの区間を1つずつ移動していく、TRPGやボードゲームのような作品となっている。
移動する先の区間に何が待ち受けているのかは隠されており、また周囲を探索するといった行動でも1ターンを消費するなど、「サガ」シリーズの過去作および一般的なRPGとはまったく異なる代物となっていた。
さらに本作は移動する先の区間を選択して決定ボタンを押すのではなく、コントローラの左スティックを移動させたい方向に一定時間“傾け続ける”という特殊な仕様を採用しており、これもプレイヤーに戸惑いを与える原因となった。
当時のPlayStation2のゲームでは左スティックを活用しているゲームが少なかったこともあり、いまでは考えられないかもしれないが、そもそもフィールドで移動ができないと報告するプレイヤーも少なくなかった。
奇っ怪なシステムに相反する「薄い説明書」
このような基本的な操作方法やシステムは、ゲームの取り扱い説明書で解説されるべきものだが、この説明書にも問題があった。説明書はゲームの世界観や別ゲームの販促に多くのページを割いており、基本的な操作や戦闘の説明が圧倒的に欠けていたのだ。
『アンリミテッド:サガ』の取り扱い説明書は宣伝部が作っていたそうだが、開発に余裕がなく宣伝部に丸投げした結果、非常に内容の薄い説明書になってしまったことが、『サガ・フロンティア2』10周年の開発者インタビューにて分かっている。
開発スタッフ「取り扱い説明書は宣伝部が作っているのですが、 本当は開発側で内容確認したり、必要な資料を出したりしなきゃいけないんです。 でも開発にも余裕が無くて、丸投げになってしまったためにあんな出来になってしまいました。
アンリミテッド・サガはもともと某社が開発していた携帯ゲーム機に向けて企画していたゲームでした。そのハードが中止になってしまったので、衣替えしてPS2向けのゲームになった次第。それで、まるでスマホのゲームのようなダンジョン操作&表示になったわけです。
— 河津秋敏 (@SaGa30kawazu) January 29, 2014
なお、同インタビューやTwitter上での開発者の発言により、もともと『アンリミテッド:サガ』は携帯機向けに作られていたゲームを急遽PlayStation 2向けに変更したことが分かっており、開発の当時のドタバタは相当なものだったのかもしれない。
『アンリミテッド:サガ』ではさらにチュートリアルの不備もあり、結果としてプレイヤーは独自のシステムを理解できない状況でゲームに挑戦させられることになった。
一方で、本作の後に発売された初代のリメイク作『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』(2005年)、『アンリミテッド:サガ』以来となるシリーズ新作『サガ スカーレット グレイス』(2016年)では、チュートリアルやゲーム内で見られるTipsが相当充実しており、サガシリーズ特有のシステムの難解さこそあれ非常に遊びやすい作りになっている。
独特すぎる戦闘:「5回行動」と「リール」
RPGの花形である戦闘だが、冒頭で述べたHPとLPの関係性をはじめとして、こちらも非常に分かりづらいものとなっている。
まず本作の戦闘では、1ターンにつき5回分の行動を決定することになる。パーティー5人でひとつずつ行動を選んでもいいが、ひとりで5回行動を選んでも良いという、RPGのみならずユニット単位で戦略を組むゲームとしてはかなりめずらしい作りだ。
いきなり相対すれば間違いなく面食らうこのシステムで、ひとりで5回行動を選ぶことが正解なのか、ひとりで行動し続けるとペナルティがあるのかどうかすら、プレイヤーには分からない。
前述のように、シナリオがスタートしフィールドで移動する時点でも戸惑うのだが、戦闘が始まった瞬間にも、さらに頭の中の疑問符は増えていくことになる。
さらに戦闘で取る行動は、回るリールを止めることによって決定する。強い技をひらめいていたとしても、リールでの目押しを成功させなければ技が出せない。
このリールはひとつの目を押す猶予が6フレーム(約0.1秒)となっており、RPGであるのに関わらず猶予フレームを意識しながらプレイしないといけず、本作の独自性がありすぎるシステムを象徴するものとなっている。
上書きの成長能力と、強大なラスボス
さらに『アンリミテッド:サガ』特有の要素が成長システムである。従来のRPGなら戦闘終了後に経験値が成長のために得られるが、『アンリミテッド:サガ』はシナリオのクリア後にランダムで割り振られたパネルの中からひとつを選択し、7つのマスのどこかに配置することで成長するというシステムになっている。
マスクパラメータ(隠しパラメータ)として、パネルごとに能力値が成長しやすいパネル、術の威力に関係する五行値が成長しやすいパネルなどが設定されているが、ゲーム内では各パネルについて曖昧な説明しかなく、それを確認することはできない。
しかもパネルの置き場所は7つしかなく、ゲームを進めていくと必然的に上書きをしなければならないため、誤った成長をさせるとキャラクターが弱体化してしまう。主人公を変え周回クリアするころになると、必要のないパネルを置いても問題のない“捨て場所”が分かってくるのだが、そこまで到達するにはゲームを長時間プレイした上でかなりの知識が必要となるだろう。
最後に、ラストバトルの異常な難易度である。ここまで難解なシステムを誇るゆえに、『アンリミテッド:サガ』ではメインの物語をどう進めればいいか分からなくなることはあるのだが、実はボスを倒すことに苦戦するという場面は意外にも少ない。
そのため、よくシステムが分からないままに最終シナリオまで到達することができてしまう。そして、最終シナリオでセーブをすると、街へ戻ることは不可能になっている。
ここで適当にキャラクターを成長させながらゲームを進めていると、いわゆる“詰みデータ”が作成されてしまう。
最終ボスとなる「カオス・ルーラー」は、第一形態から第四形態まである強敵で、「仲間を鍛えたパーティーで勝率が6割あればよい」というバランスで作られている。つまり、適当にプレイして最終シナリオまで来てしまったデータでは、よほどの熟練者ではない限りまず勝てないように設計されているのだ。
そうやって、ようやくラストバトルに勝利し、エンディングに辿り着いてゲームをクリアすることは、けっして不可能ではない。
しかし、なんとなくプレイし、ひとり目のキャラクターをエンディングに到達させても、おそらくほとんどのプレイヤーは、ゲームシステムをまだまだ理解できていないだろう。
そのラストバトルに勝利した1周目は、『アンリミテッド:サガ』においては「はじまり」にしかすぎないのだ。筆者はすでに本作を何周もプレイしているが、全主人公7人すべてをクリアして、ようやくその全容が見えてくるくらいのものだと感じている。
「これが説明書」と謳われた攻略本
そんな複雑怪奇な『アンリミテッド:サガ』の評価が見直されることになった一番の契機は、間違いなくゲームのリリースから5ヶ月後となる2003年4月に発売された攻略本『アンリミテッド:サガ 解体真書』だ。
「アルティマニア」や「解体真書」といった攻略本シリーズの編集・執筆を手がけている、株式会社スタジオベントスタッフが発売した著書である。
170万部を超えるヒットを記録した『ファイナルファンタジーVII 解体真書』をはじめ、当時のスタジオベントスタッフではRPGをコアに攻略する本を多く世に出しており、『アンリミテッド:サガ 解体真書』もそのひとつであった。
攻略の充実度については、「解体真書」シリーズの前評判どおりで、従来の攻略を超えて今まで解明されていなかったゲームの解析やマスクパラメータなど、多くのものがこの『アンリミテッド:サガ 解体真書』の発売とともに明らかになった。
それは「全656ページからなるこの本が真の”説明書”だ」という語り草が生まれるほど。実際、韓国でローカライズされてPlayStation 2のローンチソフトとなった韓国語版『アンリミテッド:サガ』では、本書から流用した分厚い説明書が付いている。
やり込みプレイをするための攻略本ではなく、システムを理解してプレイする上で、本作は必須の本である。
ここからさらに『アンリミテッド:サガ』の研究が進み、本作が「複雑怪奇だが奥深いゲームシステムを持つ作品」と評価されていったのは、ゲームのストリーミング配信による影響も大きい。
YouTubeがサービスを開始したばかり、ニコニコ動画は存在すらしていなかった2006年ごろのインターネットコミュニティにおいて、本作の遊び方講座を配信するというムーブメントが起きた。
そこで『アンリミテッド:サガ』を見た視聴者たちは、本作を購入し、さらにそのプレイヤーが配信して購入者を増やしていく。当時では中古版が低価格で買えたということも後押しし、多くの視聴者が『アンリミテッド:サガ』を購入し、攻略を始めたという事象がある。
そして、『アンリミテッド:サガ』は7人の主人公をすべてクリアすると真のエンディングに到達するという構成になっているが、彼らは7人全員をクリアするだけでは飽き足らず、いかに『アンリミテッド:サガ』を早くクリアできるかを競う“タイムアタック”に挑むようになった。
『アンリミテッド:サガ 解体真書』からも強力な技やゲームの進め方を知ることができたが、早くクリアするためにはどうすればよいかという観点で研究が進んだことにより、急速に『アンリミテッド:サガ』に対する知識は深化していった。
それは杉田玄白がオランダの医学書『解体新書』を翻訳し、さらにそれを読んだ日本の医師が各地で研究を進め知識を広めるかのごとき歴史だった。
たとえば、ラスボスであるカオス・ルーラーの第二形態は、LPが16の赤形態とLPが26の青形態が存在し、『アンリミテッド:サガ 解体真書』では第二形態の色はランダムと書かれていたため、規則性はないと信じられてきた時期があった。
しかし、これは誤りである。『アンリミテッド:サガ 攻略Wiki』にて、とあるユーザーが「第二形態の色は第二形態に移行するまでのターン数に依存する可能性」を指摘したのだ。
この指摘を契機に、プレイヤーたちは数の暴力で数十通りのラスボス戦の映像を録画して検証し、この指摘が正しいことを実証している。
『アンリミテッド:サガ』はランダム性が非常に強いゲームだが、そのランダム性をある程度操作することに成功し始めたのは、このころからだ。
たとえばシナリオのクリア後に出現するパネルについて、体術の技である“パンチ”を戦闘で多く使うとパンチのパネルが出やすいという大まかな情報は、『アンリミテッド:サガ 解体真書』にも記載されていた。
ここからさらに検証を発展させた結果、ゲーム内データでは行動毎に履歴が記憶されており、パンチなら0回、1~4回、5~19回、20回以上の4区分で使用回数が記憶されるということが判明している。
ほかにも、強力な術が使えるようになるパネル“術合成”は、通常プレイでも出すのが難しいが、術合成が出やすくなる”占い”の履歴のみを20回以上で溜めることで出やすくなるという結果も報告されている。
2000年代後半、やり込みプレイヤーたちによって散発的に攻略法やシステムが解明されていくなか、2010年頃に開設されたサガシリーズの解析サイト『ちょい研究所』によって、本作の研究はさらに発展を遂げていく。
当時、『アンリミテッド:サガ』の解析は各々が各自のWebサイトやブログなどでバラバラに公開しており、これらの情報を集積する場は存在していなかったのだ。
完全なダメージ計算式や全モンスターの完全なデータ、さらには技の閃きやすさや術の効果の正確な解明など、ちょい研究所がはたした役割は計り知れない。
そして、忘れることができないのは匿名のプレイヤーたちの功績だ。『アンリミテッド:サガ』でモンスターを倒すにはLPダメージを与えてLPを0にする必要があるのだが、このLPダメージ計算式が最初に公開されたのは、当時の2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の掲示板だ。
匿名という点で言うと、このようなエピソードもある。『アンリミテッド:サガ』の主人公のひとりであるヴェントのストーリーでは、冒険選択から選ぶ通常のシナリオの他に、「運び」というシナリオを選ぶことができる。
そして、運びのみを続けているとキャラクターの成長速度が落ちることが前々から指摘されてきた。
しかしある日、『ニコニコ生放送』でヴェント編のRTA(リアルタイムアタック)に挑戦したプレイヤーのコメントに突如書き込まれた匿名コメントとして、「冒険選択を選ぶとパネルのランクに関わる値が更新される」というものがあった。
おそらく何気ない一言だったのだろうが、前述したようにパネルは本作の成長要素の要であるだけに、この発見はヴェント編のRTAの進め方に一石を投じることとなった。
このように各所で『アンリミテッド:サガ』の研究が進み、現在そのムーブメントは海外にもその輪が広がっている。上記画像は海外のRTAイベントで披露されたワンシーンだ。
『アンリミテッド:サガ』は海外でも発売されており、カオス・ルーラーの第二形態がどの形態でもLPが16である、「身のこなし」というモンスターとエンカウントする確率を下げるスキルが絶対に失敗しないなど、日本語版と仕様が異なるものもあり、今後の発展が期待されている。
また、『アンリミテッド:サガ』はひとりでラストバトルに挑むといったいわゆる”縛りプレイ”も頻繁に行われているタイトルだ。
LPがもっとも低いキャラクターであるミシェルで、かつHPを一度も成長させずに初期HPのまま最高難易度であるマイス編のラストバトルで見事勝利するやりこみプレイも、昨年の11月に達成されている。
そして、ここまで解析が進みながらも、いまだに分かっていないことも多く、『アンリミテッド:サガ』は底の見えない穴のように、複雑怪奇かつ奥深い作品としてやり込みプレイヤーを魅了し続けている。
それを象徴するものとして、「外道の書」という魔道板が『アンリミテッド:サガ』には存在する。これは2周目のプレイ限定で出現するレアモンスターが気が遠くなるほどの低確率でドロップする魔道板となっているが、これほど解析が進みながらも確実にドロップさせる”状況再現”の手段がいまだ確立されていない。
2019年現在においても、両手で数えられるほどしか発見報告がされていない。
また、『アンリミテッド:サガ』ではふたつの乱数を使っているとの情報は比較的早い段階から分かっていたが、乱数がどのように動いているのか、また乱数をどうやって制御すればいいのかについてはまだまだ発展途上だ。
当時、低い評価を与えられワゴンの片隅に埋もっていたそのゲームは、今や10年以上にわたり研究するような、熱量のあるプレイヤーによって遊ばれる対象へと変化していった。それは「サガシリーズだからやり込む」といった知名度によるものでもなければ、「クソゲーをやり込む」といった奇をてらった行為のためのものでもない。
十数年の時を経て、『アンリミテッド:サガ』はもはやワゴンゲーなどではない、魅力的なゲーム作品へと昇華されたのだ。その道程を踏破したのは、ひとえにプレイヤーの熱意による賜物だろう。
発売から17年が経過して、なおやり込みが続く『アンリミテッド:サガ』。PlayStation 2が動く環境を持っている人も年々減ってきている状況だが、幾人ものやりこみプレイヤーたちによっていまだに遊ばれ続けており、今後もプレイされ続けていくはずだ。
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