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手持ちのレトロハードを物置から引っ張り出して、現行モニターに繋いでみよう【2018年版:映像端子豆知識付き】

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RF端子──ビデオデッキが必要な最高難度の端子!

恐怖心を煽る難関の端子、RF端子の役割とは?

 もしも、あなたが世界最古の家庭用ゲームハードである「マグナボックスオデッセイ」【※】や初期のファミコンを現代のテレビに繋いで遊びたいなら、茨の道が待っている。
 第一の関門は、テレビモニターに接続して、テレビ視聴とゲームプレイを両立させるためのユニット──RFスイッチが、プレイに必要なユニットだと気付けるかどうかだ。

手持ちのレトロハードを物置から引っ張り出して、現行モニターに繋いでみよう【2018年版:映像端子豆知識付き】_005
※後述するが、RF端子を介して現代のテレビに繋ぐ場合、日本のレトロハードと海外のレトロハードとでは、後者の方が数段難しいことに注意してほしい。画像は世界初の家庭用ゲーム機、オデッセイ
(画像はMagnavox Odyssey – Wikipediaより)

 RFスイッチは、ゲーム機からの信号を受け取る部分、テレビ信号を同軸ケーブルから受け取る部分、テレビ側に信号を送る部分、そしてそれらの信号を中継して変換する内部機構から成立しているユニットだ。
 RFスイッチと呼ばれるのは、扱う信号をRF端子と呼ばれる形で入出力するため。

手持ちのレトロハードを物置から引っ張り出して、現行モニターに繋いでみよう【2018年版:映像端子豆知識付き】_006
ファミコン用のRFスイッチ

 そのRF端子は、基本的には赤白黄色のビデオケーブルと似た形状。円形の端子で、中心に丸みのある太めの軸が1本立っている。色の区別はなく、軸の周りを囲む環状の部分が数枚に分かれていることがほとんどだ。
 たとえばファミコンの場合、RFスイッチからRF端子の付いたケーブルが伸び、これをゲームハード側のRFの受け用端子に接続する。オデッセイの場合はゲームハード本体からRF端子の付いたケーブルが伸びており、これをRFスイッチに繋いでプレイするなど、ハードによって若干扱いが異なる。

 この端子は、テレビの信号ケーブルである同軸ケーブルを接続しやすい形に変換したもので、RFスイッチはこの端子の受け口としての機能と、テレビ視聴とゲームプレイの両立のために必要となるのだ。

 ちなみにテレビ単体で使用されるとき、同軸ケーブルそのものの先端は、近年はL型をしたプラグやF型接栓と呼ばれるプラグに覆われていることがほとんどだ。皆さんの中には、同軸ケーブルと聞くと、被覆と網状の膜を剥いて現れる銅線をイメージする方もいるだろう。
 L型プラグやF型接栓を取り外すと、中からはその銅線が現れるのだ。

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同軸ケーブル
(画像はRG- 59B/U – MIL規格(RG型同軸) 特殊同軸ケーブル – 同軸ケーブル/コネクター – 産業電線/資材/工具 :オヤイデ電気オンラインショップより)

 
 さて、この同軸ケーブルをテレビ側のVHF/UHF入力端子【※】と呼ばれるテレビ放送信号を受け取る部分に直接差し込めれば話は早いが、そうもいかない。まずはプラグを噛ませて、テレビの入力端子の形に合わせた出力端子に変換するのだ。このとき出力端子の形状は、L型コネクタや、F型接栓、古いブラウン管テレビであればフィーダー線と呼ばれるカニばさみがふたつ飛び出しているような、ネジで締め付けるタイプのものなどがある。

※VHFはVery High Frequency=超短波の略で、地上アナログ放送などに使われるもの。UHFはUltra High Frequency=極超短波の略で、地上デジタル放送に使われるもの。

 ここまでの時点でも相当に面倒くさいが、当時のゲーマーにとっても相当に面倒くさい接続方法だったので、ゲーム機の接続をより簡易にすべくRFスイッチは導入され、現在でも便利なゲーム周辺機器を製作しているHORIからはRFブースタースイッチやRFスイッチボックスなど、名前の似ている便利な商品も発売されていたわけだ。

 RF端子は、機械が苦手な方には以上のようになかなか難しい端子だ。だが諦める必要はない。
 ここではL型プラグなど、アンテナプラグ形状のRFケーブルに絞り、HDMIに接続する方法をガイドするので、ぜひチャレンジしてほしい。

HDMI変換法:いまどきビデオデッキ?

 話が前後してしまったが、ここでRFスイッチについて改めて説明しておこう。RFとはRadio Frequency、つまり高周波のことだ。
 もう少し噛み砕くと、テレビの場合、放送以外の外部入力(ビデオ映像やゲーム映像など)と区別して、放送用の高周波信号を指すことが多い。

 そしてRFスイッチとは、テレビの空いているチャンネルを乗っ取るための装置だ(だからアンテナプラグと同じ形をしている)。
 ここでいう空きチャンネルは、いまのテレビでリモコンの入力切替ボタンを押せば出てくる「ビデオ入力」や「HDMI」などの真っ黒な画面のことではない。
 1チャンネルや2チャンネルなど、本当に空きのある地上アナログ放送のチャンネルに映していたのだ。

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(画像は何も映っていないテレビのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとやより)

 ちなみに、日本では1チャンネルと2チャンネルしか空きがなかったので、ファミコンには両方の周波数に対応できるスイッチ(=RFスイッチ)がついている。

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ファミコンの裏側。CH1/CH2の切り替えスイッチを確認できる

 なぜこの2つのチャンネルなのか。
 かつての地上アナログ放送では、関東圏では1チャンネルがNHK総合、3チャンネルがNHK教育で、2チャンネルが空だった。そして大阪圏では2チャンネルがNHK総合で、1チャンネルが空だった。そのため、東西地域のどちらでも対応できるようにスイッチがついていたというわけだ。
 
 さて、どうすればRFスイッチを介してレトロゲーム機と、現代のテレビを繋ぐことができるだろうか? 結論からいえば、画面を普通に映すのは無理だ【※】
 なぜなら、信号の形式がデジタルとアナログでは全く異なるからだ。しかも、地上デジタル放送は地上アナログ放送の12チャンネルまでが使っていたVHF帯ではなく、より周波数の高いUHF帯を使っているので、VHF帯のRF信号を発する機器が介入できる余地はない。もちろんテレビ番組の映らないモニターなどは、はなから乗っ取るべき空きチャンネルがない。アンテナプラグが活躍できる場所はすでにないのである。

※ただし、メーカーやモデルによってまちまちだが、だいたい2010年頃までのデジタルテレビで、「地上デジタル放送」「地上アナログ放送」を切替できる機能がついているなら話は別。この場合はHDMIに繋がなくとも「地上アナログ放送」に切り替えるだけで、昔のテレビと同様の接続方法で端子から出力できる(そんな過渡期のテレビを“現代のテレビ”と呼んでいいのかは非常に微妙だが)。

 では、もう打つ手はないのか、といえばそうでもない。非常に面倒くさいが、ビデオデッキを使う方法がある。
 日本ビクター(当時)が開発した家庭用ビデオ規格で、もはや、それ自体もレトロな響きを持つVHS(Video Home System)ビデオデッキのことである。

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VHSビデオが楽しめるDVDレコーダー「DXR170V」
(画像は新着情報|DXアンテナより)

 レコーダーでテレビ番組がどのように録画されているのかはご存知だろうか。
 当たり前だが、モニターに映っているテレビ番組をレコーダーがいちいちキャプチャしているわけではない。アンテナプラグとモニターのあいだにレコーダーが割り込み、テレビ番組の信号を記録しているのだ。『nasne』『torne』の地デジチューナーを接続したことのある方ならわかりやすいかもしれない。アンテナプラグを通して受信したものを録画できるように、『nasne』や地デジチューナーを挟んでテレビに繋いでいるのだ。

 アナログ放送時代のビデオデッキには、アナログ放送用のアンテナプラグを接続できるVHFかVHF/UHFと書かれた入力端子が付いている。

 そこで、アンテナプラグを差し込めるVHF入力を備えたビデオデッキを探し出し、アンテナプラグをビデオデッキのVHFに入力>ビデオデッキの赤・白・黄色の3色のAVケーブルことコンポジット端子から信号を出力し、テレビに繋いでしまえば、テレビチャンネルを乗っ取る方法から、普通に外部から入力できるのだ。
 一度コンポジット端子に変換できたら、HDMI信号にするのは簡単だ。こちらでコンポジット端子をHDMIに変換する方法を記載しているので、参照してほしい。

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コンポジット端子のついたケーブル
(画像はRCA Cable – Holt AVより)

 ただし、注意点がふたつある。
 第一に、当然ながらビデオデッキを用意する必要があるということだ。VHFに対応しているかどうかは入力端子を見ればすぐに確かめられるし、いまだに需要のある製品なので入手に困ることはないだろう。だが、アナログテレビを買うほどではないにせよ、その存在感はなかなかのもの。置き場所を確保してから購入しよう。また、ビデオデッキ用の電源がもうひとつ必要になることも地味に気をつけたい。

 第二に、もしも海外製のレトロゲームハードで同じ方法を試すなら、上記の方法ではうまくいかない場合がある。海外と日本では、当然、テレビチャンネルの仕組み(周波数帯域)が違うし、カラーテレビの映像方式も違う。
 海外製のレトロゲームハードもビデオデッキを介してコンポジット端子に変換できるが、そのメーカーがある国のビデオデッキか必要になるし、ゲーム機のカラー映像方式ににそのビデオデッキが対応している必要がある。海外まで簡単に出向くことができたり、ビデオデッキを扱っている免税店などに心当たりがあるならいいが、そもそも入出力端子がちゃんとあるのか、日本の電源で壊さずに使えるものなのか、確認は困難を極めるだろう。単に遊びたいだけなら海外のアナログテレビを購入してしまうのが手っ取り早いのだが、現代のテレビで遊びたいとなると、かなりハードルが高くなるのだ。

上記のとおり、RF接続は非常に面倒で手間のかかるものだ【※】。だがこれ以上に接続が難しいケーブルもない。
 アンテナプラグをHDMIに変換して遊べるようになれば、たいていの接続は乗り切れるし、DVD化されていない貴重なVHS作品も楽しめるようになるのでお得感も高い。ぜひ挑戦してみてほしい。

※困難を極めるのは、あくまでもレトロゲームをRF端子で現代のテレビに接続できるように変換する場合。逆に現代のテレビゲームをRF端子でレトロテレビに繋ぐのは難しくなかったりする。じつはごく最近まで、意外なほど多くのゲームハードがRF接続に対応していた。さすがに現世代ゲームハードは非対応だが、一世代前、たとえばプレイステーション3にはRF接続用のキットが純正品で存在している。非純正品にはなるが、Xbox 360やWii U用のキットもある。

【目次】

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2 RF端子──ビデオデッキが必要な最高難易度の端子!
3 コンポジット端子──よく見る3色のあの端子!
4 S端子──かつての”高画質”の代名詞!
5 D端子──Digitalではない、Dの形のD端子!
6 コンポーネント端子──画質も端子の数も最大級!
7 ケーブルの保管方法

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