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手持ちのレトロハードを物置から引っ張り出して、現行モニターに繋いでみよう【2018年版:映像端子豆知識付き】

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S端子──かつての”高画質”の代名詞!

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(画像はS端子 – Wikipediaより)

あなたのピンの数は何本?

 S端子は、黒いプラスチックの外装に、銀色の円筒、その中に並んだ細くて小さい4本のピンという形状をしている。
 
「こんなのレトロゲームハードで使っていたかな?」と思う方もいるかもしれない。それもそのはず、スーパーファミコンなどの機種においては本体同梱ではなく、周辺機器として別売対応といった位置付けだった。しかしよく見れば、レトロゲームハードの本体側に、S端子の入る『スカイリム』のファルメルの顔みたいな口があるはずだ。
 


 
 このS端子は、アナログ信号の時代において、高画質な映像出力端子の代名詞的な存在だった。実際にはもっと高画質なものもあったのだが、接続の手間もなく、普及率も高めであったので代名詞“的”と言えるだろう。
 気をつけなければならないのは、S端子はあくまでも映像出力端子なので、音声は別に拾ってこなければいけない。普通、S端子ケーブルには、RCA端子のうちの赤と白のステレオ音声端子もセットでついているはずなので、この2本も忘れずに物置から探し出しておこう。
 RCA端子の接続は、レトロゲームハード本体と、モニター側の端子の色に合わせて挿すだけなので、簡単だが、念のため、前ページからRCA端子についての知識も簡単に仕入れておくといい。

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S端子とRCAの赤白(音声)がセットになったケーブル
(画像はAmazon | 8ONE S端子ケーブル Sプラグ1本ピンプラグ2本-Sプラグ1本ピンプラグ2本 2m EVS-420 | Eight one | S端子ケーブルより)

 ちなみに、このS端子のような「丸形」で「ピンが複数本立っている」形状のコネクタをDIN(ディン/ダイン)コネクタと呼ぶ。これが面倒な話で、S端子は4本のピンを持ったDINコネクタなのだが、4本ピンのあるDINコネクタはS端子とは限らない。
 S端子は映像用の端子でも、DINコネクタは特定の用途のない規格であり、ゲーム以外にもキーボードの接続などにも使われているためだ。

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キーボード用6ピンDINコネクタとUSB2.0の変換アダプタ
(画像はAmazon | uxcell PS/2オス-USB2.0メスポート変換アダプタ PCキーボード、マウス用 2個入り | uxcell | PS/2アダプタ 通販より)

HDMI変換法:コンバータを見つけよう

 S端子はそれなりにメジャーな端子なので対応は楽だ。RCA端子と同じで、「S端子」、「HDMI変換」と検索窓に打ち込めば、4,000円~6,000円ほどの価格で、しかるべきコンバータが見つかるはずだ(筆者の知る限りでは、3色のRCA端子+S端子対応のコンバータが多い)。

 しかし、中にはS端子と見せかけてピンの数が違うDINコネクタを採用しているレトロゲームハードがある。代表的なものでは「メガドライブ」がそうだ。

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メガドライブとその北米版のGENESIS
(画像はメガドライブ – Wikipediaより。Photo by :Evan-Amos

 メガドライブの本体側の端子は8つのピンのついたDINコネクタ、「メガドライブ2」は9つのピンのついたミニDINコネクタ(DINコネクタよりひと回り小さい)となっており、これが本体付属のケーブルに対応していた。
 あげくに音声出力はモノラルで、ステレオで音楽を聴きたいと思ったらフォーン端子(イヤホンやヘッドフォンで使われている、小さな1本ピンのもの)が必要だったり、結局、映像出力側はコンポジット端子だったりする。このようなDINコネクタは、ほかにも「MSX」や「ネオジオ」、「PCエンジン」系の一部機種などでも採用されている。

 これらのDINコネクタはまともに解説すると悪夢のようになるので、モニターへの入力側の端子の形状から2色~3色のRCA端子やS端子と同等として扱って対応するといい。

お手軽に高画質で遊べる絶滅危惧種

 さて、ここからはS端子について解説していこう。
 S端子のSは「Separate(分離)」の略だ。では何を分離しているのかといえば、「輝度(Y)」と「色差(C)」の信号を分離しているのである。輝度(Y)や色差(C)についてはRCA端子のカコミで説明している。ここでは、改めて簡単に説明しておこう。

 モニターは、ふたつの情報があれば映像を映せる。

 ひとつは「輝度」=人間が感じる明るさであり、この輝度と色の関係の研究結果から、(Y)という記号で代用されることもある。

 もうひとつは赤・青・緑の光の三原色の配合である「色(RGB)」だ。
 ただ、色については(R)、(G)、(B)と3つも信号があると送るのがたいへんなので、ひとつの色の濃さと、ほかのふたつの色の濃さの“差”である「色差」を使う。
 レトロゲームハードでは赤の色差である(Cr)と、青の色差である(Cb)を使うが、人間の目は色を捉える力が弱いので、多少の情報劣化を覚悟で(Cr)と(Cb)をひとまとめの(C)という信号にする場合もある。この(C)と(Y)があれば、すべての明るさと色の濃さを計算で再現できるのだ。

 先述のコンポジット端子(3色セットのAV出力ケーブルのうち、黄色のRCA端子)は、(Y)と(C)をさらにひとまとめに合成してモニターに送信する仕組みだった。

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緑色の線で書かれた(Y)の信号の隙間に、(C)の信号が入っている
(画像はSony ProMediaより)

 ゆえにコンポジット(=合成)端子という名前だったが、輝度と色の濃さは本来は別々の信号だ。

 かなり無理やりひとつにして送っているので、モニター上では色がにじんだり、余計なドットが大量発生したり、汚い虹のようなものが湧いたりと、画質の面ではあまりいいことはなかった。

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ドット妨害の例
(画像はDot crawl – Wikipediaより)

 そこでS端子である。コンポジット端子の画質の問題は、輝度と色差を合成して送っていたせいで起きるのだが、逆をいえば、輝度と色差を分離するだけで画質は格段に向上するのだ。

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(画像はS端子 – Wikipediaより)

 再掲になるが、上記のS端子のアップをみてほしい。上ふたつのピンのうち、左は輝度(Y)、右は色差(C)を送るものだ。ちなみに下2本は、上2本に対応するGND(Ground=グラウンド、大地の略)と呼ばれているもので、いわゆるアースといわれているものと同じ役割を果たし、信号を安定させる働きを持つ。ちなみに4本のピン以外に黒くて四角い突起もあるが、これは何の信号も流していない。端子を固定し、安定させるためにある。

 こうして(Y)と(C)を分離することで、輝度と色差が混じってしまうことで発生する色のにじみなどのトラブルが防止でき、解像度こそ上がらないものの、モニター側は非常にきれいな映像を得られる。
 
 ただしこのS端子にも弱点はある。「接続方向がある」ということだ。
 コンポジット端子が“差し込む向き”を気にしなくていいことに対して、S端子は上下の向きを合わせなければいけない。モニターの裏に繋ぐ場合、丸形なので、手探りでは上下の違いがわかりづらく、失敗すると細いピンを痛めてしまったり、壊してしまったりするため、いちいち回り込む必要がある。

 現在、S端子は市場において絶滅寸前だ。我々のようにレトロゲームハードをたしなみたい人向けなのか、ケーブルだけは生産が続いているようだが、ここ10年ほどは新作モニターに搭載されることがほとんどなくなってしまった。
 もともとが地上波アナログ放送用の端子であり、ハイビジョン以上のモニターに対応できないという将来性のなさが響いた結果だ。アナログ信号ならコンポジット、デジタル信号はHDMIで十分……という流れの中で、S端子はゆるやかにその姿を消しつつある。

【目次】

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2 RF端子──ビデオデッキが必要な最高難易度の端子!
3 コンポジット端子──よく見る3色のあの端子!
4 S端子──かつての”高画質”の代名詞!
5 D端子──Digitalではない、Dの形のD端子!
6 コンポーネント端子──画質も端子の数も最大級!
7 ケーブルの保管方法

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