ケーブルは正しく保管しよう!
ここまで長々とつらねてきたが、しっかりと目的のハードをHDMIに繋げられただろうか?
いずれのケースも一筋縄ではいかず、時間もかかっただろうし、少なくない金銭的コストが必要だったはずだ。「おとなしくミニファミコン買えばよかったなあ」と思ったかもしれないが、あらゆる経験は財産になるはずだ。
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ここまで見てきたとおり、レトロゲームハードの映像端子は多種多様。質が良いものも悪いものもあり、接続に苦労するものもあれば、さくっと片付くものもある。
だが、本当に苦労したのは接続なのか?
本当はケーブルを探し出すことに苦労したのではないだろうか?
筆者は電源ケーブルもAVケーブルも区別せず、ケーブルをすべて「ケーブル入れ」に投げ込んで収納している。これでは必要なものを探そうと思っても見つからないし、見分けられないし、いらないものに見切りをつけて捨てることもできない。
ここではちょっとしたコラムとして、ケーブルを保管するときに役立ついくつかの小技を紹介しよう。
8の字巻きでケーブルを大切にしよう!
ケーブルに負担をかけない方法をご存知だろうか。
あらゆるケーブルはビニールカバーに包まれただけの細い金属の縒り線であり、意外なほど繊細にできている。折れやすく、劣化しやすく、断線しやすい。
とくにねじれはケーブルを痛める原因になりやすい。適当に折りたたんで輪ゴムで縛っておくなんてもってのほかだ。
8の字巻き【※】は、ケーブルに余計なねじれを与えることなく丸める方法だ。変な癖や折れ目がつかず、絡まりにくく、何よりケーブルが長持ちする。
※「シールド巻き」や「ローディ巻き」などと呼ぶ。音楽界隈から来た言葉で、前者はギターやベースの信号をアンプに送るケーブルを「シールド」と呼ぶことから、後者はライブ会場の機材を管理したり、準備する人を「ローディ」と呼ぶことにちなむ。
実際の巻きかたを言葉で説明するのはなかなか難しいが、動画とあわせて少し言葉で解説してみよう。
ケーブルにねじれが発生する原因は、同じ方向に延々と巻き続けるからだ。ケーブルをグルグルと軸に沿って回し、輪っかを延々と同じ方向に適当に作っていくのは楽だが、ケーブルは軸を中心に、時計の針が回るように一定方向にぐるぐるとねじれ続けてしまう。
ねじれは丸めると絶対に発生する。しかし、ねじれをある程度の範囲に抑えることはできる。
軸を中心に時計回りに30度ねじれたら、次は反時計回りに30度ねじれが生まれるように巻けばいいのだ。時計回りにケーブルを巻いたら、次は反時計回りにケーブルを巻く。これを交互に繰り返すことで、ねじれがある程度打ち消される。これが「8の字巻き」である。
実際に巻くときは、ケーブルの端を持った手首を手前に回して、もう片方の手で押さえる→後ろ向きに回してもう片方の手で押さえる→という動きを繰り返すイメージだ。
ちなみに、片側の端子の根本あたりに、適当なバンドや紐を括り付けておくことをお勧めする。丸め終わった端子を、バンドや紐で縛れば、簡単にはバラバラにならなくなるからだ。
ジップロックでまとめておこう!
丸めて縛ったはいいが、結局は「ケーブル入れ」にポイ、ではまったく意味がない。肝心なのは、そのケーブルがなんのケーブルなのか、用途と所在を明らかにしておくことだ。管理できていないものは存在していないのも同然だ。
無難なのはチャック付きポリ袋、商品で言えばジップロックなどを使うことだろう。小分けにでき、見分けや選別がしやすく、かさ張らず散らからず、それが何であるのかを書いておける。何より絡まない。書き込むことができるラベル付きのジップロックがあればケーブル保管にまつわるほとんどの問題は解決できる。
また、電源ケーブルとAVケーブルを分けると探すのが面倒になるので、「これはスーパーファミコン」、「これはメガドライブ」……と機種ごとに分けるといいだろう。普遍的なケーブルは端子の形状を書いておけばいい。
AV出力ケーブルの終焉
細かく正確な話はもっとできるだろうし、RGB21ピンなどシビれるような映像端子の話もあるのだが……2018年の現時点でレトロゲームハードと呼ばれているものを、いまのモニターで遊ぶにはひとまず十分だろう。
忘れないでほしいのは、時代は移ろうということだ。今回紹介した映像端子のうち、ほとんどの端子はもはや見かけなくなってしまった。
陳腐化したから消えていったものもあれば、法的な都合で廃止されたものもある。
直近でいえば、2014年1月以降に販売されているBlu-rayレコーダーやプレイヤー、ドライブを搭載した機器にはアナログ映像出力端子が搭載されていない。
Blu-rayの映像を簡単・高画質にコピーされてしまうと大変だからだ。これはあくまでもBlu-rayの映像を出力する機器に限る規制だが、当然、モニターやほかの出力機器からも、アナログ出力端子は消えつつある。
使い道が狭まり、将来性のなくなったアナログ出力端子にコストを割いていられるほど、メーカーは豊かではない。
いずれはアナログ端子が絶滅するときがくるかもしれない。つぎはまったく新しい形式の出力形式が現れ、HDMIなどのデジタル端子が駆逐されるかもしれない。
スマートフォンやタブレット、そしてBluetooth接続のコントローラーでビデオゲームを楽しむことも多いいま、そもそも「ケーブルで繋ぐ」という習慣自体がなくなっていくかもしれない。もっといえば、頭の中に電極が埋め込まれるようになるかもしないし、根本的に娯楽自体が禁止される社会が立ち現れるかもしれない。
未来のことはいくら予想してもし尽くせない、しかし、備えておくのはいいことだ。自分がゲームを通じて過去を振り返るときに、誰かと思い出を共有するときに、歴史を後世に伝えるときに、「繋ぐ方法がわかりません」では話にならない。復刻版のゲームハードを買い続けるのもひとつの手だが、押し入れの中の大切だったものがゴミにならないように、いまに繋げられるような知識だけは持っておくべきだろう。
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