『サメ映画』を知らないとゲーマーを名乗れない時代がもう来ている!? 入門用『サメ映画』10本を紹介

 1975年6月20日、とある作品の上映が北米の映画館で開始された。水平に描かれた海、水面を泳ぐ女性、そして底深くから頭を持ち上げ天に向かって突き進むサメの顔。

 その作品こそが、スティーヴン・スピルバーグ監督の出世作ともなった『ジョーズ』だ。映画史においては「サメ映画」というジャンルが明確に誕生した瞬間である。

(画像はAmazon.co.jpより)

 『ジョーズ』の上映から35年が経とうとする昨今、現在もサメ映画は多数制作され続けており、ときには誰もが創造し得ない進化を遂げてきた。その人気はゲームでも拡大し続けており、ほとんどの人は気づいていないかもしれないが、ひそかに「サメゲー」というジャンルが根付きつつある(はずである)。

 たとえば2014年には『Depth』、2017年には『Shark Simulator』、2018年には『Raft』、2019年には『Death in the Water』『Shark Attack Deathmatch 2』が発売。ほかにも『Shark In Aquarium』『Shark Castle』『Double Head Shark Attack』『Megaquarium』『Last Tide』『Deep Diving Simulator』『Ruthless Water』など多数の作品が存在し、2020年には多くのゲーマーの注目を集めているオープンワールドサメゲーム『マンイーター』が発売予定となっている【※】

※サメが登場しているだけのゲーム、Z級のゲームも含みます。

※『マンイーター』の予告映像。

 粗製濫造の気配を感じる人もいるかもしれないが、これは完全にサメがエンターテイメント業界に食らいつき始めているひとつの現象である(はずである)。新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められる昨今、そしてサメというジャンルが盛り上がりつつある昨今、その源流であるサメ映画の歴史を学ぶべきときが来ているのではないだろうか?

 映画は現在、デジタル配信のおかげで外に出ることなく、しかもスマートフォン上でも楽しむことが出来る。今回はそんな気軽に楽しみサメ映画に入門できる10作品を紹介したい。

文/Squ
編集/ishigenn
協力/サメ映画ルーキー


津波で水没したスーパーにサメ、襲来。
「パニックマーケット」(2012)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2012年
製作国: オーストラリア/シンガポール合作
総再生時間: 89分
原題: BAIT
監督: キンブル・レンドール
サメの数: 2匹
犬の有無: 有
犬の死: 無
あらすじ: 突如発生した地震によって津波が発生、主人公含む13人は津波に飲み込まれ水没したスーパーで孤立してしまう。水没したスーパーには津波で流れ着いた魚達に紛れ、凶暴なサメと殺人カニが……!果たして主人公達は無事生き残れるのか!

 まず紹介するのは『パニックマーケット』。2012年に制作されたオーストラリアとシンガポールのスタジオによる合作映画だ。
 じつはこの映画、つい先日、電ファミニコゲーマーのDiscordサーバーで上映会を開催したのだが、結果は大好評であった。

 サメ映画と聞くとB級以下の品質を想定し、あまりいい印象を抱かれる方は少ないだろうが、この映画は初心者にオススメなサメ映画のひとつだ。

 粗削りな部分も多いが、サメのCGは一定水準以上の出来であるし、人の襲い方も毎回違った新しい方法を魅せてくれる。くわえて単純で分かりやすいストーリーがあるほか、個性的で覚えやすいキャラクターたちが魅力的で、サメに追われているときには応援したくなってしまうのである。

 とくに筆者のイチオシは、地下駐車場で車内に閉じ込められたカップルである。サメが泳いでいる状況下で喧嘩を始めてしまうが、内容は「プレゼントした靴がグッチか否か」といった内容であり、緊迫しすぎた空気を和らげてくれる。

 サメと言えば海のイメージが強いだろうが、あえて津波を利用してスーパーに人間とサメを閉じ込めるという大胆な発想のコンセプトは高く評価できるポイントだ。

 「我こそは、サメ映画初心者!」という人はまずこの作品から視聴を始めてみるのがいいだろう。ただし、B級っぽさはあまりないので、B級映画を見たい場合はほかの候補から選んでいただきたい。

殺したはずのサメが幽霊になって帰ってきた!
「ゴースト・シャーク」(2013)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2013年
製作国: アメリカ
総再生時間: 87分
原題: GHOST SHARK
監督: グリフ・ファースト
サメの数: 1匹
犬の有無: 無
犬の死: 有(直接的な描写無し、鳴き声のみ)
あらすじ:ある夜、ボートで釣りを楽しんでいた一行の竿に掛かったのは巨大なサメだった。
しかし恐怖のあまりサメを撃ち殺してしまった彼らを、復讐のため蘇ったサメが襲う―!!
それから数日後、人ごみで賑わうビーチが騒然とする。青白く光るサメが出現し、人々を襲ったのだ!(Amazon商品説明文より引用)

 続いてご紹介するのは『ゴースト・シャーク』。2013年制作のアメリカ映画だ。この映画を手掛けるのは『ジョーズ キング・オブ・モンスターズ』の監督や、『シン・ジョーズ』で脚本を務めてきたグリフ・ファースト氏。無許可で続編が製作されたというエピソードがあるほど人気の本作に登場するサメは、タイトルの通り「幽霊」である。

 この映画の嬉しいポイントは、本編開始1分半でサメが出ることである。大方のサメ映画は予算の都合上、サメの出現をもったいぶるため、本編終了30秒前まで登場しない映画まで存在する始末なのだが、本作は1分半という驚異的な速さで顔を出してくれる。もちろん、すぐ顔を出すといっても幽霊になるためなので、逆恨みで親子に殺されるわけだが。

 この映画の捕食シーンは、パターンの数に加え、アクロバティックな喰われ方が多いため、芸術点がとても高い。筆者は先日「日本サメ映画学会」で実施された「サメ映画センター試験」において、この映画の問題だけは即答出来たほどにこの映画を愛しているが、それほどこの作品には見どころが多いため、忘れられない一本となるだろう。

もう何処にも逃げ場はない。家の中にもサメはいた。
「ハウス・シャーク」(2017)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2017年
製作国: アメリカ
総再生時間: 111分
原題: HOUSE SHARK
監督: ロン・ボンク
サメの数: 1匹
犬の有無: 有
犬の死: 有(鳴き声等無し、何も繋がっていないリードが見つかるだけです)
あらすじ: 息子テオと二人暮らしの元警官フランク。ある夜、シッターのベッツィに家を預け帰宅した彼が見たのは、血の海となった自宅トイレの中に引きずり込まれていくベッツィの凄惨な最期だった。
 家にサメらしき怪物がいると主張し、自分の家以外でも同様の事件が起きていることを知ったフランクは、怪物「ハウス・シャーク」の駆除専門家という人物を探し出す。ハウス・シャークとフランクたちとの奇想天外な戦いが幕を開ける!(Amazon商品説明文より引用)

 次にご紹介するのは、2017年製作のアメリカ映画『ハウス・シャーク』。さてご紹介する前に、事前に読者の方と認識をすり合わせておきたいと思う。ひとつ、サメは一般的にどのご家庭にも潜んでいる可能性があること。ふたつ、はるか昔サメはバッファローと同じ陸の生物だったということだ。

──はるか昔サメはバッファローと同じ陸の生物だった。

 もうすでにぶっ飛んでいる本作だが、実は製作費をクラウドファンディングにて調達している。その達成率は目標金額の「1150%」超だったそうだ。ロケ地はすべて監督の自宅で行われており、そのことを踏まえてみると窓を封鎖するための演技で釘を優しく打ち付けたり、そもそも打っていなかったりという様子も見逃せない。水も流せないので水はすべてCGでゴリ押したりなど、ところどころ家に優しい描写を見ることが出来る。

 また、登場人物が少ない割に個性が濃すぎるのが特徴で、海が嫌いなドイツ人のハウスシャーク研究家や、やたら仲間になりたがるエイブラハム・リンカーン(米国大統領とは別人)とともに、主人公フランクはハウスシャークと対峙することになる。

 特に水なしで撮影された水のシーンは、アイデアと努力の結晶だと感じるほど完成度が高い。
 映画として見ると、クオリティは低いものの面白さで勝負しており、先日の電ファミニコゲーマーで開催した鑑賞会でも、つねに笑いに包まれていた。

 面白さの尖り方が強烈なため、人は選ぶが、ハマる人はハマってしまう悪魔のような魅力のある作品と言える。

海面上昇!陸枯渇!生態系の頂点でニューウェーブを起こすのは、このサメ~!
「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」(2016)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2016年
製作国: アメリカ
総再生時間: 90分
原題: Planet of the Sharks
監督: マーク・アトキンス
サメの数: 正確な数不明
犬の有無: 無
犬の死: 無
あらすじ: 時は近未来。温暖化による氷河の融解の影響で、地表の98%が海に覆われていた。僅かな生存者たちは、海上に建てられた基地や船の上でなんとか生きながらえていた。
 もはや、地球の支配者は人類ではなかった。今、生態系の頂点に立っているのは獰猛な鮫であった。そして、さらなる水温の上昇で海中は食糧不足に陥り、空腹となった鮫は人間を狙い始めていた…。(Amazon商品説明文より引用)

 さて、続いては名前やあらすじからすでにすごい危ない香りがしているこの作品を紹介していこう。けっして、『猿』や『ウォーターなワールド』との関係はない。

 本来、こういった危ない名前は日本版のタイトルだけの場合が多いと思うのだが、この作品に関しては原題も『PLANET OF THE SHARKS』なのである。『トランスモーファー』『アトランティック・リム』など、有名作品のアイディアをまったく敬意を払わずにオマージュした作品を多数製作しているアサイラムの作品である。止められるはずがない。

 あらすじでは地球温暖化が本作のテーマであるかのように記されているが、べつにアメリカに地球温暖化を考えるきっかけを与えようとしたわけではない。一貫してシリアスなストーリー展開をしようとしているが、地球温暖化に関する間違った知識で構成されているため、笑って見れることに間違いはないだろう。

 CGもCG臭さが抜けていないチープな出来。粗は目立つが磨けばハリウッドも目ではない作品だ。

巨大なダイヤは最凶サメの腹ん中!命知らずの強奪戦!
「シャーク・キラー」(2015)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2015年
製作国: カナダ/南アフリカ合作
総再生時間: 88分
原題: Shark Killer
監督: シェルドン・ウィルソン
サメの数: 3匹
犬の有無: 有
犬の死:有(直接的な描写無し。鳴き声のみ)
あらすじ: ダイヤを飲み込んだサメと人間の激闘を描くシャーク・スラッシャーアクション。サメ退治を生業とするチェイスは、兄の依頼を受け、巨大ダイヤを売人ごと食い千切った「黒ヒレの大サメ」を捕まえることに。(Amazon商品説明文より引用)

 なかなか濃い作品が続いたので、ここで一度小休止を挟みたいと思う。次にご紹介する作品は『シャーク・キラー』だ。

 物語はビーチで鮫が発見され、無事退治される展開から始まる。市長は早急に再オープンさせようと躍起になるが、主人公チェイスはまだ時期尚早だと主張する。しかしチェイスの静止もやむなく、ビーチは再オープンされてしまい、結果的に第二のサメが現れることになる。

 どこかで聞いたことがあると感じた人もいるだろう。そう、1975年公開の『ジョーズ』とそっくりなのである。おそらく意図的なのだろう、昨今のサメ映画と違い『ジョーズ』に対する敬意を感じられる作風は、なかなか好印象である。しかし完璧な掴みのくだりが終わると物語は一気に急展開し、主人公たちは南アフリカへと渡ることになる。

 残念なことに主人公がサメハンターな都合上、序盤のシーン以外では「サメパニック」的な見どころは少ないため、パニック要素は期待しすぎないほうがいいだろう。しかし、サメの腹の中にダイヤを入れるという奇抜な発想に加えて、南アフリカというロケ地をふんだんに生かした撮影も特徴だ。

 サメは添え物として控えめな作品に仕上がっているので、サメ要素が濃すぎると困る場合にチョイスしたい作品と言える。

シン・シャークVS炎上しなかったの方の巨人
「メガ・シャークVSグレート・タイタン」(2015)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2015年
製作国: アメリカ
総再生時間: 89分
原題: Mega Shark vs. Kolossus
監督: クリストファー・レイ
サメの数: 1匹
犬の有無: 無
犬の死: 無
あらすじ: メガ・シャークの襲撃から1年後。世界は経済危機に陥り、国際情勢の緊張は高まるばかりだった。そんな中、大西洋沖で不法採掘をするロシアの漁船が、巨大なサメを引き上げる。そのサメは、倒したはずのメガ・シャークの卵から再生された新メガ・シャークだったのだ。世界は、今まさに未曾有の危機を迎えようとしていた…。(Amazon商品説明文より引用)

 続いてご紹介するのは『メガ・シャークVSグレート・タイタン』だ。じつはシリーズモノの4作目であり、通常であれば本作をいきなり紹介するのは少々問題があるのだが、今回登場する「メガ・シャーク」は過去作のメガ・シャークの卵から生まれた新たなメガシャーク……つまり「シン・メガシャーク」であり、存在が冗談のような製作会社アサイラムが製作している以上、いきなり本作から見てもストーリーに関して心配することはないだろう。

 しかし、もし仮に『メガシャーク』シリーズを過去に見たことがある場合、シリーズで謎に包まれていた、メガシャークが誕生する理由なども判明するため必見だ。もっとも判明する内容は、どこかの怪獣映画で聞いたことのある設定であるが。

 さて、問題は対戦相手である「コロッサス」と呼ばれる巨人だ。この巨人、どこかで見た記憶はないだろうか。そう、この映画の公開後に公開を控えていたあの作品である。

 そう、実写版『進撃の巨人』だ。このことから、巷では「炎上しなかったの方の進撃の巨人」と呼ぶ人たちもいるとかいないとか。

湖に解き放たれたサメ その数、46種類
「シャーク・ナイト」(2015)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2011年
製作国: アメリカ
総再生時間: 91分
原題: SHARK NIGHT 3D
監督: デヴィッド・R・エリス
サメの数: 46種類(パッケージ裏記載)
犬の有無: 有
犬の死: 無
あらすじ: 美しい水と緑に囲まれたクロスビー湖。
夏になるとリッチな若者たちがバカンスに訪れる、この世の楽園にやってきた大学生サラと、6人の仲間たち。しかし、地元に取り残された男たちは、邪悪な欲望と共に、健康な肉体を持った餌食を待っていた。本来存在しないはずの湖に解き放たれた大小様々なサメ。屈強なアメフト奨学生マリクの腕が食いちぎられ、激しく動揺するサラたちの前に、地元のダイバー、デニスと、その仲間レッドが、救助に現れる。しかし、それは彼らが仕掛けた残酷なショーの始まりだった…。(Amazon商品説明文より引用)

 ここまでサメの数があまり多くない映画ばかり紹介してきたので、ここでは登場するとされているサメの数が多い作品をピックアップしようと思う。それが、この『シャーク・ナイト』である。
 監督は『ファイナル・デスティネーション』シリーズ『スネークフライト』のデヴィッド・R・エリス。パッケージ裏に記載されているサメの種類は46種類だそうだ。

 映画を見終えたあとに思う感想は、「いや46種類もいた覚えないよ!!」である。

 そう思い、よくよく見なおしてみると、「これまでに46種類見たことがある」という趣旨のセリフがあるだけで、実際にはサメは5種類ほどしか出ていないことが分かった。劇場公開時のポスターでも堂々と書いてある辺り、意図的な気がしないでもないところだ。

 しかし、さすがサメ映画。詐欺をしたところでサメ1種類すら扱えているのか怪しい映画が多々あるため、5種類も出ていれば「星2.5以上」が確定しているようなものである。じつはサメ映画なのにサメが出てこない作品が世には多数ある。

 映画本編に目を向けると、本作はパニック映画というよりかは、どちらかというと“人間って怖いんだよ”という統のサイコパス映画だ。主人公たち学生組はこの手のホラーではめずらしく真面目であり、未成年飲酒や喫煙はせず、いたって健全な生活を送り、色恋沙汰も起きる。実に健全な青春の別荘生活をエンジョイしていて、そのまじめさがサイコパスへの恐怖心をより引き立ている。

 基本的に人が恐怖する対象であるサメをサイコパスが使役することによって、「人>サメ>人」の人間サンドイッチから繰り出される絶妙なハーモニーは、とてつもない破壊力を持っている。サメの出番はあまり多くないが、それでも足りすぎないわけでもない程よい塩梅に心臓をドギマギさせながら見ることをオススメする。

 普通のパニック映画では飽き足らないサイコパス映画好きのあなたに送る作品だ。

浅瀬に潜むサメ。 デッドプールは来てくれない。
「ロスト・バケーション」(2016)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2016年
製作国: アメリカ
総再生時間: 90分
原題: THE SHALLOWS
監督: ジャウマ・コレット=セラ
サメの数: 1匹
犬の有無: 有
犬の死:有
あらすじ: 亡き母が教えてくれた秘密のビーチ。
医学生のナンシー(ブレイク・ライブリー)は休暇を利用し、ついにそのビーチを訪れる。
母に先立たれた父と幼い妹の世話、医師となる為の勉強漬けの日々から解放されるナンシー。
そんな彼女の最高の休暇は、一匹の巨大な人喰いザメによって、一転恐怖に支配されることになる―。
脚を負傷し、大量に出血しながらも、無我夢中で近くの孤立した岩場に泳ぎ着いたナンシーは、自分が絶望的状況に追い込まれたことを知る。
生存へのリミットが刻一刻と迫る中、彼女が選んだ究極の決断とは―。

 続いて紹介するのは、シチュエーション・スリラーの傑作『ロスト・バケーション』。主演を務めるのは映画『デッドプール』で主演を務めたライアン・レイノルズの妻、ブレイク・ライブラリーだ。
 この作品も、間違いなくサメ映画初心者に勧められるサメ映画と言えるだろう。筆者がこの映画を見たときの感想は、「ああ……普通のサメがちゃんと映っている……」

 当たり前と言えば当たり前なのだが、予算のかかっているサメ映画はすごいと再認識することができる。これほどまでにサメの背びれに恐怖を感じたことがあっただろうか。この作品は「岸まで200mなら普通に泳げばいいだけだろ」という浅はかな気持ちを全否定するし、少し希望を持った瞬間にサメが襲ってくる。こわい。この映画の“キーバード”となるカモメの「スティーブン・シーガル」が唯一の癒やしであり、彼がいなければ辛い気持ちになってしまうほどだ。

 とくに中盤でのナンシーVSサメのシーンは必見だ。このワンシーンだけでも、「なんちゃらシャークVS〇〇系」作品の全シーンを上回る迫力があると思える。ぜひ、サメの恐怖をひしひしと感じられる作品を、スティーブンを側に感じながら見てほしい。

参加者全員サービス絶賛増量中!気になるプレゼントは恐怖!
「海底47m」(2015)

(画像はAmazon.co.jpより)

製作年: 2017年
製作国: イギリス
総再生時間: 90分
原題: 47 Meters Down
監督: ヨハネス・ロバーツ
サメの数: 2匹
犬の有無: 無
あらすじ: メキシコで休暇を過ごすリサとケイト姉妹は現地の男友達から、海に沈めた檻の中から野生のサメを鑑賞する“シャークケージダイビング”に誘われる。臆病なリサは尻込みするが、好奇心旺盛なケイトに強引に押し切られ、挑戦することに。姉妹を乗せた檻はゆっくりと水深5mの海へと降りていく。初めて間近で見るサメの迫力に大興奮の二人だったが、ワイヤーが切れ、檻が水深47mの海底まで落下してしまうのだった…。(Amazon商品ページより引用)

 続いて紹介するのは、ケージ系サメ映画【※】の傑作『海底47m』だ。

※ケージ系サメ映画:
 檻が登場するサメ映画のジャンル。派生としてニコラスケイジが出演するサメ映画を指す「ケイジ系」というジャンルも存在する。

 『ロスト・バケーション』と同じシチュエーション・スリラーという形式をとりながらも、海の囲まれた岩場から、舞台は海底47mへ。酸素ボンベという新たな縛りが追加された。

 リアリティは十分、CGの質も高く常に緊張感が漂う。その時点ですでに筆者の体は震えていた。さらに、付きまとうようにやってくる不穏なBGM、与えるだけ与えて奪われる希望、広い空間の中で感じる閉鎖感。ほかのサメ映画と違い、サメが飛んだりしてくれないので、余計に恐怖が付きまとう。せめて頭が複数あったりしてくれないと怖くて仕方がない。無意識に呼吸を止めてしまうほどだ。

 個人的にかなり恐怖を覚えてしまったために、気楽には勧められない作品のひとつではあるが、内容はとても素晴らしく、先日続編である『47 Meters Down: Uncaged』もリリースされたばかり。主演は名優シルベスター・スタローンの実娘システィーン・ローズ・スタローン、女優デビュー作品となる。現在日本での公開日は未定となっているが、その前の予習として見るのは十分にアリだ。

人食い鮫+巨大竜巻=サメ台風
「シャークネード」(2013)

(C)2013, THE GLOBAL ASYLUM, INC. All Rights Reserved.

製作年: 2013年
製作国: アメリカ
総再生時間: 90分
原題: SHARKNADO
監督: アンソニー・C・フェランテ
サメの数: 正確な数不明
犬の有無: 有
あらすじ: 映画業界人やハリウッド俳優たちも熱狂させたモンスターパニック。突如カリフォルニア・ビーチにサメの大群が現れ、人々を襲い始める。さらに強大なハリケーンが発生し、サメを巻き込んだ状態でL.A.の都市部へ上陸。街中を絶望の渦に呑み込んでいく。

 さて、今回の記事の最後を飾るのは、サメ映画においてとてつもなく大きな爪痕を残したであろう『シャークネード』だ。本来はシリーズ作品をすべてをご紹介したいところだが、Amazonプライムでは記事執筆時点で見放題対象ではないため、唇をかみしめシリーズの1作目にあたる本作を紹介する。

 『シャークネード』はアサイラムによる『メガ・シャークシリーズ』に次ぎ、とてつもない人気を博した世界一有名なB級サメ映画と言っても過言ではなく、日本でのサメ映画という概念に追い打ちをかけるように登場した。
 
 「人食い鮫+巨大竜巻=サメ台風」というとてつもなく無茶な方程式により生み出されたこの化け物は、人気すぎてついには大人気カードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』でカード化してしまったほどだ。

(画像は『マジック・ザ・ギャザリング』公式サイトより)

──何故?

しかもこのカード、本作同様よく見るサメとハンマーヘッドシャークの2種類で構成されている。つまりどう考えても狙っているカードなのだ。冗談は本編だけにしてくれと言いたい。おそらく全読者が思っているだろう。少なくとも私は思っている。

 さて、このシリーズ、筆者が初めて見たサメ映画ではあるものの、実はまだ話の内容を理解していない(理解できる人間はこの世に存在するのだろうか?)。あまり考えてみる映画ではないのだが、6作品を通して見ると謎の感動が生まれるのだ。ぜひ、それを何も考えずに体験してほしい。

 この映画の内容に関して短文でまとめられることがないのでお楽しみ要素をここに記しておく。

1. シリーズ通して全ての作品にサンタミラ(SANTAMILA)というキーワードが隠れている。
2. シリーズ通して全ての作品にペチュニアという名前のオポッサムの剥製が隠れている。

 このシリーズを視聴する機会があれば、ぜひ隠れミッキーのような感覚でぜひ楽しんでほしい。


 さて、ここまで10本のサメ映画をまとめてきたが、おそらくここまで読み進めてくれた読者は疑問に思っていることがあるだろう。それは、「サメ映画はどこに向かっているのか?」ということだ。

 今回はそんな疑問に、サメ映画研究の第一人者であるサメ映画ルーキー氏よりお言葉を頂戴したので、これを最後に締めさせて頂こうと思う。

サメ映画ルーキー氏
 今後のサメ映画は、作品の予算やそれに伴う質の点における「二極化」が進むように思われます。

 2018年に公開された『MEG ザ・モンスター』はサメ映画としては有り得ない規模の製作費が投入された結果、見事に『ジョーズ 』を追い抜きサメ映画の歴代興収No.1を記録しました。『MEG』のヒットに続けと言わんばかりに、すでに複数の大手映画プロダクションが劇場公開を見込んだ新作サメ映画の製作に取り掛かっています。サメ映画はそのほとんどがビデオスルー作品であった事を鑑みると、一般の視聴者が「映画」と呼んでくれるようなサメ映画のリリースが続くのはかなり異例の事態と言えます。

 このようにメジャー会社がサメ映画に参入する裏では、ふたつの大きな出来事がありました。ひとつは、大ヒットシリーズである『シャークネード 』の完結と、それに伴う中規模予算サメ映画の供給減少が挙げられます。アサイラム作品を始めとしたビデオスルーのサメ映画のほとんどがアメリカのケーブルTVチャンネル「Syfyチャンネル」向けに製作・放映されてきました。

 Syfyチャンネルがサメ映画に多額の出資を行ってきたのは一重にシャークネードの大ヒットの結果だと言えます。つまり、今後はケーブルTV向けのサメ映画が新たに製作される見込みはあまり無く、アサイラムぐらいの予算とクオリティを持った中堅的なサメ映画は減少していくのでは、と個人的に予想しています。

 もうひとつの大きな出来事は、クラウドファンディング型サメ映画の台頭です。古くは 『Snow Shark: Ancient Snow Beast』に始まり、最近は『ハウス・シャーク』、『Bad CGI Sharks』『Skysharks』などがCF型サメ映画にあたります。こうしたサメ映画は支援金さえ獲得できればやりたい放題で、クオリティ・コントロールなどどこ吹く風と言った調子の衝撃作ばかりです。

 これは、CFで資金さえ集まれば誰もがマーク・ポロニアやブレット・ケリー級のサメ映画を製作できるようになったことを意味しています。また、CF型サメ映画のような「超低予算」の先をいく「無予算サメ映画」もYouTubeサメ映画界隈を賑わしていることも付記しておきましょう(たとえば『ジョーズ19』)。誰でもサメ映画監督になれる、世はまさに大サメ映画時代です。

 つまり、「1) メジャーのサメ映画参入」、「2)ケーブルTVチャンネルのサメ映画からの撤退」、「3) CF型サメ映画の台頭」により、今後のサメ映画はとても良いサメ映画かとても酷いサメ映画のどちらかというように二極化していくのではないでしょうか。

 サメ映画があらゆる人に開かれたのははたして良いことだったのか?その問いの答えは歴史の審判を待つしかないでしょう。

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