オーストラリア・メルボルンに拠点に置くBig Ant Studiosは、従来のスポーツゲームから一線を画したリアル志向の本格的なスポーツゲームの開発を手掛け、ユーザーから支持を得ているゲームスタジオだ。ラグビーやクリケットなどのスポーツゲームを開発しているが、2018年には『AO Tennis』という本格テニスゲームを開発・発売して高く評価された。
世界で70万本の累計販売本数を記録したテニスゲーム『テニス ワールドツアー』の続編を、この『AO Tennis』で実績があるBig Ant Studiosが任されることになった。それが日本では昨年12月にオーイズミ・アミュージオよりPlayStation 4、Nintendo Switch向けソフトとして発売された『テニス ワールドツアー 2』だ。
この『テニス ワールドツアー 2』が今度は次世代機であるPlayStation 5向けソフトとして登場する。内容をグレードアップした『テニス ワールドツアー 2 COMPLETE EDITION』は、本日6月24日に発売となった。4K/60fpsでのプレイが可能となり、グラフィックや操作性はさらに進化。さらに、ロード時間も短縮されている。加えて、オリジナル版のDLCがすべて収録されているので、追加購入を行わずにすべてのコンテンツを楽しむことができる。
『テニス ワールドツアー 2』は錦織圭選手を始め、ロジャー・フェデラー選手、ラファエル・ナダル選手、アシュリー・バーティ選手などの世界のトッププレイヤーがゲーム中に登場するが、『テニス ワールドツアー 2 COMPLETE EDITION』では、アンディ・マレー選手、マリア・シャラポワ選手、ビクトリア・アザレンカ選手などが追加されている。
『テニス ワールドツアー 2 COMPLETE EDITION』ではリアル志向の本格テニスゲームが、さらにリアルとなって楽しめるわけだ。本記事では、テニスファンの心をくすぐる本作の概要を紹介して、その魅力に迫ってみよう。
文/バニシングポットちゃん
※この記事は、テニスゲームをもっと応援したいオーイズミ・アミュージオさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
現実のテニスを観戦している臨場感とテンポ感
デフォルメされたキャラクターたちによるテニスゲームではなく、現実のテニスを観戦している臨場感で本格的にテニスが遊べるゲーム、それが『テニス ワールドツアー』シリーズのコンセプトだ。
実際のテニスの試合で聞くような靴やボールの音、選手の入場シーン、観客の歓声、会場のアナウンス、ボールパーソンの補助、カメラアングル、リプレイ映像のタイミング、そういったテンポ感や空気感が本作では緻密に再現されている。
光源の処理やオブジェクトの質感などの強化に加えて、選手たちの動きはモーションキャプチャーが使われているため、PlayStation 5のパフォーマンスを駆使した60fpsのフレームレートによってさらにリアルな動きに近づいたといえるだろう。
後述することになるが、本作は「リアル志向」の謳い文句に違わず、歯応えのある難度を誇る。そのためにも何度も試合に挑戦したり練習を重ねることが大切だ。
これが『テニス ワールドツアー 2 COMPLETE EDITION』ではPlayStation 5に搭載されたSSDによってロード時間を短縮。テンポよくプレイすることができるだろう。
まずは「エキシビジョンモード」でゲームの感触を掴もう
まず本作には5つのゲームモードがあることを紹介しておこう。
■「エキシビジョンモード」
シングルス、ダブルスの試合を楽しむことができるモード。
■「キャリアモード」
オリジナルの選手を作成して、世界のトッププレイヤーを目指すモード。
■「トーナメントモード」
自由にカスタムしたトーナメントや実在するトーナメントでCPUと対戦するモード。
■「テニススクールモード」
ゲームの操作を基礎から学ぶことができるモード。
■「オンラインモード」
最大4人のマルチプレイが可能なモード。
このようにたくさんのゲームモードがあるため、最初に何をすればいいのかわからないかもしれない。まず本作を初めてプレイする人は「エキシビジョンモード」で、ゲームの感触を掴むといいだろう。
このモードはもっとも手軽にテニスを遊ぶことができるモードで、グランドスラムで優勝したロジャー・フェデラー選手をはじめ、ラファエル・ナダル選手、アンディ・マレー選手、マリア・シャラポワ選手といった総勢48人のテニスプレイヤーを操作することができる。
会場は日本、香港、アメリカ、オーストラリアなど各国のコートを選択することが可能で、コートの環境や、気候、時間帯、さらにはセット数、試合開始時におけるコートの位置取り、相手AIの強さなどのカスタマイズが可能だ。
ひとりでシングルス、ダブルスの両方を楽しむことができるのはもちろん、シングルス、ダブルスともにローカルで協力・対戦プレイが可能となっている。1対1の戦いはもちろんのこと、ダブルスならば最大4人でのプレイも楽しめるというわけだ。
スター選手たちの熱い試合を、友達や家族と楽しむことができることに加え、「オンラインモード」ならば遠く離れたプレイヤーと対戦も行える。
ショットの重要な要素は「正確さ」と「パワーの度合い」
試合では、ボールの近くにいればラケットは自動的に振れるようになっている。だが、それだけではショットを決めることはできない。正確なショットを打ちたいときは左スティックでボールを打ち込みたい場所を決めつつ、ボールに近づいて、ショットボタンを押そう。
またボタンを押したままにしておき、タイミングを見計らってボタンを離すことで、強力なパワーショットを打つことができる。これらはスイングの位置とボタンを離すタイミングが重要となるため、相手の行動を予測しつつ、適切なタイミングでボレーを決めよう。
先述したように本作は「本格テニスゲーム」というだけあって、かなりの歯ごたえがあるゲームとなっている。
「エキシビジョンモード」で操作がひと通りわかったので、「トーナメントモード」や「キャリアモード」でCPUに勝ち進んでいこうと挑戦すると、思わぬ壁にぶちあたるかもしれない。
CPUは強敵で、途中からその難度が急上昇することもある。だがその分、勝ったときの喜びは大きくなるはず。本当のテニスの試合さながらの緊張感、勝ったときの喜び、負けたときの悔しさを感じることできるはずだ。
相手のミスを誘ってコートの反対側に移動させたとしても、ショットのタイミングや狙った位置を誤ってしまうと、せっかくの努力が水の泡になることもあるだろう。相手がミスをしたときの、数秒のチャンスを逃さないようにしてポイントを取るか、ポール回しなどのテクニックを駆使してもいいかもしれない。
実際のテニスの流れが再現されているため、本作では試合運びが何より重要だ。コート上で相手を押したり引いたりしながら、的確なウィナーを決めていこう。
「テニススクールモード」では、ゲームのチュートリアルを学べるだけではなく、個別の課題に挑戦して腕前を磨くことができる。壁にぶちあたったときは、改めて「テニススクールモード」で基礎と応用を学ぶことが勝利への近道となるだろう。
「スキルカード」システムとは
なお、本作には使用すると試合中にステータスが向上する「スキルカード」というシステムも存在する。
これらのカードにはシルバーやゴールドなどのレア度が設定されており、後述する「キャリアモード」で稼いだゲーム内のコインで、カードショップから購入可能。このカードを使って、試合中に自分のスキル(持久力、パワー、精度、敏捷性など)を上げたり、相手のスキルを下げたりすることができる。
最大5枚までカードを装備できるので、どのようなデッキを構築するかという戦略性を与えてくれるだけではなく、カードをコレクションするという、やり込み要素も楽しめるはずだ。カードを試合中に使うことによって、現実のプロテニスプレイヤーが試合中にときおり見せる、超人的なパフォーマンスを再現することができる。
「自分はテニスの試合だけに集中したい! デッキを構築する戦略を考えたくない」という方も安心してほしい。試合前のカスタマイズからは、スキルカード機能をオフに設定することも可能だ。
本作の真骨頂「キャリアモード」
本作の大きな特徴のひとつとして実在の選手が登場することは、改めて強調するまでもない。だが、あえていうと、本作の真骨頂はグランドスラム優勝を目指す「キャリアモード」にある。
キャリアモードは、自分だけのオリジナルキャラクターを作成して、エキシビションマッチやトーナメントなど、さまざまなイベントをこなしていくシミュレーション・モードとなっている。試合には参加費が設定されており、参加費が高いほど、成功したときの獲得賞金も高くなっていく。
キャラクターのキャリアレベルを上げ、評判を高め、新しいエージェントと契約することで、体力増強などのパフォーマンスを高めることができるようになっている。
ただし、試合ばかり参加していると疲労度が上昇し、パフォーマンスに影響を与えるので注意が必要だ。適切な休憩を取り、万全のコンディションを保つことが大切だ。その道のりは険しいものになるが、グランドスラム優勝を目指してがんばろう。
本格的なテニスゲームが遊べるだけではなく、キャリアモードやスキルカードによって、試合以前の戦略を本気で考える奥深さを持っている本作。
多彩な選手・コートのほか、ユニフォームといったアクセサリーなども充実しており、何時間も遊ぶことができるコンテンツの豊富さ。次世代コンソールであるPlayStation 5向けの本作の登場によって、最高のテニスゲーム体験が可能になったといえる。
まさにテニスファンのために開発されたといえる本作は、リアルさを志向する人ならばマストな作品といえるだろう。