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クイズに正解するだけで勝ち組になれるゲーム『サバイバルクイズシティ』に熱くなるあまり、朝10時から「クソ!私は一問目を正解した女だぞ!」と台パンする異常成人女性になってしまった話

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 ああ、勝ち組になりたい。みなさんもそうだろう。
 あとさらに言うなら勝ち組になった暁には「私のような勝ち組がなぜ貴様らのような負け組に……!」と悪役まっしぐらなセリフも言いたい。せっかく勝ち組になれたのなら高慢な勝ち組として華々しく散りたい。可能ならそのあと泥臭く這い上がってもみたい。これってわがままでしょうか?

 でも、こんな二律背反とも言える願いを胸の内に秘めている人はきっと少なくないはず。「勝ち組」あるいは、魅力的なヴィランになりたいみなさんに朗報だ。このふたつを叶えてくれるステキなゲームがこの世には存在する。

クイズに正解するだけで勝ち組になれるゲーム『サバイバルクイズシティ』プレイレポート_001

 『Survival Quiz CITY(サバイバルクイズシティ)』。本作はクイズに答えるだけで「勝ち組」に、そして足をすくわれて「負け組」となり歯ぎしりする悪役ムーブまでをも一挙に体験できる非常にお得でグレートなタイトルだ。

 今回は3月4日(金)の発売を目前にメディア体験会に参加することができたので、みなさんより一足先に勝ち組にならせていただいた。私がクイーン、ここが私のクイーンダムである。

 と、思っていたものの、ポップなビジュアルや緻密なデザインによる計算され尽くしたヘイト管理がなされた本作は思っていたよりも居心地がいい。なんだか懐かしい気分にまでなってしまい、プレイ後の感覚はなぜかほの暖かいものであった。

 本作に熱くなるあまり、朝10時から「クソ!私は一問目を正解した女だぞ!」と台パンする異常成人女性になりながらプレイしたので、その様子をお届けしたいと思う。

文/anymo


分断を煽るシビアなゲーム性

 本作の何よりの特徴は、クイズの正解/不正解によって「勝ち組」、「負け組」のふたつにプレイヤーを分断することだろう。用意されているルールは、「サバイバルルール」「賞金稼ぎルール」のふたつ。前者は最後のひとりまで生き残り、後者はより多くのコインを稼いだプレイヤーが勝利となる。

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 ちなみに、クイズはただ正解すればいいわけでもない。例えば、選択肢ごとに足場があるものの乗れる人数に制限のかかっている「ダッシュクイズ」では答えがわからなくとも、競争率で正解の目星をつけることだって可能だ。爆弾を投げるなど、作戦次第では他のプレイヤーを妨害して自分がその選択肢を獲得することだってできる。

 そうして他のプレイヤーの妨害をすり抜け、無事正解を勝ち取った「勝ち組」となった暁には、必死こいてる負け組を高所から眺めながらステージ外へ吹っ飛ばす威力のある爆弾や、エイムを合わせることで狙い撃ちできる銃を使って妨害することができる。いわゆる「無双状態」であり、これがまたすごく気持ちいいのだ。

 反対に、「負け組」はまずクイズに不正解となった時点で画面にデカデカと「不合格」の文字が表示されたのちに足場が開き、アスレチックステージへと粗雑に運ばれてしまう。

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 アスレチックステージで求められるアクションのレベルは高くないものの、広大なコースは冷静に進まないとあっという間に迷子になってしまう。
 初心者の場合は必死こかないとゴールもままならないのだが、そこに勝ち組が爆弾やら銃やらで邪魔をしてくるため、ひたすらそれに耐えながら、そして勝ち組へのヘイトを貯めながら、なんとか進むこととなる。

 しかし勝ち組もただ余裕があるわけでもなく、慢心していれば足をすくわれる。「賞金稼ぎルール」の最終ラウンドの「下剋上ステージ」では塔の一番上にあるボタンを負け組が押すことで、勝ち組の足場を崩壊させて最下位へ叩きのめすことができるのだ。

 さらに負け組には「コースをクリアできなかった場合、全財産を失う」というシビアなルールが科せられている。全財産を失うと、ラウンドの合間の「買い物タイム」で他のプレイヤーがどんどんアイテムを購入するのを尻目に店の前に落ちている小銭を拾い集めるハメになるので、ぜひともしっかりクリアしておきたい。

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 なお、これらの厳しい戦いを勝ち抜いたとて、勝者に用意されているお立ち台はビール箱(一応、ペンで”WINNER!”とは書かれているけれど)で作られた簡素なものだ。クイズシティ、なんと厳しい町だろう。

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「ポップでキュートでカオス」が包み込むシビアさ

 本作のシビアすぎるほどのゲーム性をマイルドにしているのは、なんといっても「ポップでキュートでカオス」なデザインだろう。

 マッチ終了時に流れるスタッフロールのような演出や、「終」の文字、テロップを思わせる視認性に長けたグラフィック、ゲームを進行する天の声・ラミィちゃんの要素は、もっとも多くの人が触れるであろうコンテンツの「テレビ番組」らしさを感じさせてくれるうえ、誰もが一眼見てわかるポップな演出として機能している。

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 マッチ中やゲームを終了したときに見ることができる天の声・ラミィちゃんのさまざまな表情はイラストのタッチとあわせて1990年代を感じさせるものになっており、これだけでもグッとくるユーザーがいることは想像に容易いほど魅力的だ。

 これらの要素による過剰なまでのポップさ、そしてシビアなシステムの組み合わせによるシュールさが本作独自のポイントだ。プレイ中は常に妙な高揚感に浮かされているような感覚があり、勝ち組/負け組といった言葉に対しても不思議と嫌悪感を感じることはない。

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 また、プレイヤーの分身である「ギャーくん」もこのポップさに大きく貢献している。

 ギャーくんは本当にかわいい
 立ち姿がなんだかぼんやりしすぎでかわいい。歩いても走っても前のめりすぎるちょっと変なフォームがかわいい。時折見える足の裏は歩くたびに「ぱこぱこ」と音が鳴りそうでかわいい。スタミナ切れでヒイヒイしているのがかわいい。バナナの皮でひっくり返ってる姿がかわいい。強化していくにつれてめちゃくちゃ弱そうなチンピラみたいになるのがかわいい。泣いているエモートを見ているとキュートアグレッション(かわいらしいものを加害したくなる気持ち)が爆発しそうになる。手のひらに乗せてギュッと握りたい。上下に引っ張りたい。とにかく、ギャーくんはかわいいのだ。

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 ギャーくんがかわいいのはもちろんだが、プレイヤーは細かい違いはあれど概ね同じデザインのギャーくんになることで、自分を投影したアバターというよりは「ゲームの参加者」として、勝ち組/負け組の烙印を面白がりながら受け入れることができるのだろう。

 「チャンスタイム」の前に出題されるクイズについても触れておきたい。チャンスタイムはゲージが溜まると発動し、「エベレストは1年に1回だけ標高が1mになる」、「糖分はとりすぎない方がいい」などの荒すぎる問題がマルバツで出題される。

 正解することで勝ち組は武器の弾数が無制限、負け組はスタミナが二倍になるチャンスタイムに突入するのだが、このクイズはゲームに集中していた思考をかなり掻き乱す。ツッコミどころがありすぎるカオスなクイズは、本作のユーモアがもっとも表出している場面のひとつだ。

「あの頃」みたいに集まれる場所として

 先述のテレビのような演出と天の声・ラミィちゃんの1990年代のアニメを感じさせるキャラクターデザインは、多くの世代にリーチする「懐かしさ」を持っている。

 また、本作は製品版を持っているプレイヤーの作成した「カスタムマッチ」にのみ参加が可能な無料体験版「Visitor’s Pass」を配信している。あわせて「オリジナルクイズ」を作成して出題すれば、友人との内輪ネタで盛り上がったり、配信者とリスナーで盛り上がったりすることができる。

 本作の持つ多くの人が楽しめる最大公約数的な「懐かしさ」と、内輪ネタの組み合わせは学校の休み時間のような空気を感じさせてくれるのだ。

 それをもっとも強く感じたのは、最終ラウンドにてすでに敗退したプレイヤーが「観戦者モード」にて勝ち組のプレイヤーを妨害しているのを見て大笑いしたときだった。

 本作では「サバイバルルール」でステージクリアに失敗すると、オープンカーに乗って小銭や紙吹雪を撒き散らすことができる「観戦者モード」に突入する。もちろん、観戦者モードのプレイヤーが勝ち組を妨害しようともなんのメリットもない

 そんなメリットのない無駄な行為はゲームの中では大抵が「荒らし」となってしまう。しかし本作の中では、「武器を構えるキャラクターの前でそれにあわせて俊敏に動くオープンカー、しかもどちらも真顔」というシチュエーションに直面したとき、純粋にとても面白く、本当に友人の間でふざけているときのような楽しさを確かに感じた。

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 ボイスチャットを使えるシューティングゲームで集合する小学生は今やたくさんいる。筆者も『フォートナイト』に小学生のフレンドが複数人いるが、フレンドがフレンドを呼び続け、気づいたら15人ほどの大所帯でカスタムモードを楽しんでいることも少なくない。

 しかし、ゲームを楽しむ大人が「ガチ」ではないまま集まれる場所としての「ゲーム」はそんなに多くない。少なからず勝利に向けて協力し、同じ敵を倒すという目標を掲げてプレイするだろう。実力差だって考慮しなければならない。

 しかし、本作はゲームをプレイするという感覚はありつつも、一緒にテレビを見て騒いでいるような感覚が同居する
 あの頃の友達の家のような、あるいはサークル席のような、教室の隅のようなメタバースとしても期待できそうな一作だ。ぜひ手にとって、そうでなくとも身の回りにプレイしている人がいれば、体験版からでもいいのでプレイしてほしい。

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ライター
ベヨネッタとロリポップチェーンソーでゲームに目覚めました。 3D酔いと戦いつつゲームをする傍ら、学生をしています。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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