唐突ですが、ナツメというゲームメーカーをご存知でしょうか?
『メダロット』『特救指令ソルブレイン』『ザ・ニンジャウォーリアーズ アゲイン』『WILD GUNS』『北斗の拳 世紀末救世主伝説』『おさわがせ!ペンギンボーイ』『クレオパトラフォーチュン』などなど……。様々なゲームソフトの開発を手がけてきたナツメは、確かなゲーム性を持つ名作を数多く生み出してきたメーカーとして、ファンに親しまれてきました。
ナツメが手がけたゲームソフトには、いわゆる ”隠れた名作” と呼ばれるような、世間的な知名度が高くない作品も多いのですが、いくつかのソフトにはプレミア値がつき、レトロゲームファンの間で高値で取引されています。
現在はアタリと合併し、ナツメアタリ株式会社となったナツメは、『ザ・ニンジャウォーリアーズ アゲイン』の25年ぶりのセルフリメイク作品『ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン』や、『WILD GUNS』の22年ぶりのセルフリメイク作品『WILD GUNS Reloaded』などを開発し、高い評価を受けています。
そんなナツメが開発を手がけたゲームソフトの1つに『奇々怪界』シリーズがあります。“元祖巫女さんシューティング”を謳うこのシリーズ、その始まりは、タイトーが開発したアーケードゲームでした。
そして、この作品のライセンス契約を取得したナツメが開発したのが『奇々怪界-謎の黒マント-』『奇々怪界-月夜草子』。可愛らしい見た目とは裏腹に高い難易度を有するこれらのソフトはスーパーファミコンで発売され、その練りこまれたクオリティの高さが評価されており、現在はどちらのソフトもプレミア値で取引されています。
そして、2022年4月21日。『奇々怪界』シリーズ最新作であり、『奇々怪界-謎の黒マント-』の30年ぶりの続編である『奇々怪界-黒マントの謎-』が発売されました。
『TENGO PROJECT』という、全員が『奇々怪界 謎の黒マント』に携わったスタッフから成るスペシャルチームが開発したこの渾身の作品について、今回はレビューをしていきたいと思います。
文/DuckHead
前作を思い起こすステージと、高い難易度
こちらが本作のタイトル画面。この可愛らしいタイトル絵は、前作でもイラストを担当された漫画家のあさりよしとおさんが手がけたものです。
しかし、前作が『謎の黒マント』で、本作が『黒マントの謎』。タイトルが非常に似ていて結構ややこしいですね。
それでは、早速ストーリーモードをプレイしていきましょう。まずは難易度選択から。最初から出ている難易度は、ノーマルとハードの2つ。普段であれば、ハードを選んで、難易度の高さに咽び泣きながらゲームを進めているところですが、今回はしっかりとプレイをしていきたいので、ノーマルでスタートします。
まずは、プロローグから。人里はなれた山奥の神社で巫女として平和に過ごしていた主人公の小夜ちゃんのもとに、仲良しの化けダヌキの魔奴化(まぬけ)が、山の妖怪が暴れまわっていると助けを求めてやってきます。
大暴れする妖怪たちが神社に乗り込んできたところで、ステージ1がスタート。前作では、小夜ちゃんか魔奴化のどちらかを選んでからゲームスタートだったのですが、今作のストーリーモードではキャラクター選択はなく、小夜ちゃんでのプレイとなります。
さて、『奇々怪界』のゲームジャンルは、アクションシューティングゲーム。主な攻撃方法は、前に弾を飛ばす遠距離攻撃である ”お札投げ”と、ほぼ全ての敵の弾を打ち返すことも可能な近距離攻撃である”お祓い”。これらの攻撃を駆使してキャラクターをステージの先へ進めていき、ステージ最奥に待ち受けるボスを倒してステージをクリアしていくという流れです。
そして、本作はライフ制。画面左下に表示されている、敵キャラクターや弾に命中することで減少していくライフが0になると、残機が1つ減ってしまいます。そして、残機が0の状態でライフを全て失うとゲームオーバーです。
まずプレイを始めて思うのは、ステージ・キャラクター・BGMの雰囲気が非常に良いということ。操作キャラクターはもちろんのこと、敵キャラクターも可愛らしく、非常に和やか。本作はドットを一粒一粒全て打ち込んで作られていると言うから驚きです。私がそうであったように、ドット絵が大好きなプレイヤーは歓喜の渦に飲み込まれること間違いなしでしょう。
そして、前作のBGMを担当された岩月博之さん作曲のBGM。これがまた前作の雰囲気を纏ったレトロな曲調で、聞いていて心地のいい、いつまでも耳に残る素晴らしい楽曲となっています。
しかし、その可愛らしいほのぼのとしたゆるい雰囲気とは裏腹に、ステージ1から中々の難易度の高さ。恐るべき敵の密度の高さ。気がつけばあっという間に周囲を敵に囲まれ、体力と残機がゴリゴリと削られていきます。
そして、ボスにたどり着くことなく残機が0に。小夜ちゃんは天に召されてしまい……
無情にもゲームオーバー。アーケード版や前作のプレイを通じてある程度の覚悟はしていましたが、やっぱり今作も難しいですね。「全体的に可愛らしい雰囲気なのに、ゲーム性は非常に硬派で高い難易度を誇る」というところが、『奇々怪界』シリーズの大きな魅力の1つ。
この魅力は同時に弱点にもなりやすく「子供向けかと思っていたのに難しすぎる」といった意見を見かけたりもするのですが、過去作に触れてきた身からすると、「奇々怪界はこうでなくっちゃ」とテンションが上がってきます。
しかし、いくらテンションが上がったところで、プレイ技術が向上するわけではありません。何度やり直してもボスの顔すら拝めず、ゲームオーバーを繰り返してしまいます。
……ステージ1にして早くも暗雲が立ち込めてきました。いや、まだ最初のステージですよ? ある程度覚悟はしていたとはいえ、こんなにステージクリアのビジョンって見えないもんですか?
ということで、特に見所も展開もないまま、ステージ1で長時間苦戦を強いられることになりましたので、ここで一度ゲームプレイから離れて、本作のシステムなどについてお話ししておきましょう。
天に召されている小夜ちゃんの左隣にある緑色の球が、お札攻撃の性能をグレードアップしてくれる ”力玉” というアイテム。このグレードアップアイテムには、橙、青、緑の三種類があり、それぞれの玉によってアップグレードの方向性が異なります。
そして、これらのアップグレードされた攻撃は、同じ種類の力玉を集めていくことでより攻撃が強化されていき、強化レベルがマックスに到達すると、非常に強力な攻撃を一定時間出し続けることができるようになります。
しかし、操作キャラクターは敵の攻撃を受けると力玉を落としてしまうことがあり、こうなると強化レベルが下がってしまいます。落ちた力玉は、もう一度拾えば再び攻撃をパワーアップさせることができるので、なるべく回収しておきたいところ。ですが、無理に拾いに行こうとした結果、目も当てられないほどの大惨事になるということもよくあるので、その辺はしっかりと見極めていく必要があります。
そして、現在使用している力玉とは異なる種類の力玉を拾うと、攻撃方法が新しく取得した力玉のものに上書きされます。せっかくレベルを上げて育ててきた攻撃が別のものに変わってしまうということもあるので、力玉は闇雲に取っていくのではなく、場面によってはスルーすることも重要になってきます。
そして、敵や弾を避ける方法は、主に”スライディング” と “ボンバー” 。
”スライディング”は、普通に歩くよりも瞬時に遠くまで移動できるので、敵の回避に使えますが、移動後の隙が大きく使い所に注意が必要です。
そして、”ボンバー”は、シューティングゲームではお馴染みの、いわゆる ”ボム” と呼ばれる周囲を大きな攻撃力で攻撃するアクションです。敵弾を消すこともできるこの技は、非常に効果的で強力ですが、使用回数には制限があります。ボンバーの使用回数を増やすアイテムもありますが、基本的には貴重なもの。
私は、敵に囲まれてどうしようもなくなった時に緊急回避方法として敵が一体だけでも使用したりしていましたが、上手い人が上手いところで上手いタイミングで使えば絶大な効果を発揮するはずです。……本当に巧い人は、このアクションの使用を縛ってプレイしてもクリアできると思いますが。
また、本作には補助アイテムがいくつか存在し、何発か敵弾を無効化することができるお守りや、
乗るとしばらくの間無敵状態になって進める狛犬などが登場します。ちなみに、こちらの狛犬、乗っている間は止まることができないという少しクセのある性能をしています。
ここまで紹介してきましたこれらのアイテムは、主にステージ道中に置かれているつづらを壊すと出現するもの。どのつづらからどのアイテムが出てくるのかは固定……だと思うので、ステージの構造をしっかりと頭に入れておくと、プレイを効率的に進めることが出来ます。
……さて、時間も稼ぎましたので、この辺でゲームプレイの方に戻ってみましょう。
どうやら、ようやくボス戦に突入したようですね。ステージ1のボスは、豆頭(ずず)。
この妖怪は、アーケード版と前作でもステージ1のボスだったキャラクター。『星のカービィ』シリーズで言うところのウィスピー・ウッズのような常連ボスです。
さて、豆頭との初戦の結果ですが、ここに来るまでに体力を消耗しきっていたということもあり、あっけなくゲームオーバー。完敗でした。
「ステージの最初からやり直しかー」と天を仰いでいましたが、コンティニューを選択すると、ステージの中間、豆頭が登場する少し前からゲームスタート。これはありがたいです。前作では、たとえボス戦までたどり着いていたとしても、ゲームオーバーになると問答無用でステージの最初からやり直しだったので、本作は少しプレイヤーに優しくマイルドになっています。
コンティニューによりステージ中間から再開できるこの仕様のおかげで、簡単にボスとの再戦にこぎつけることができるため、攻撃パターンを掴みながらじっくりと豆頭の攻略を進められました。
時間はかかりましたが、ようやく豆頭を撃破!
よし、これでステージ1をクリアだ!……と思っていると、
いや、そのパターンは知らない!ちょっと待ってください。前作では巨大化なんてしなかったはずじゃないですか!急にどうしちゃったんですか!ってか、ステージ1のボスから第二形態あるんですか!?
予想の範疇を超えた展開を目の前に焦りが生まれ、プレイに精細を欠いた結果、ここでも制作側の思惑通り、しっかりと超特急でゲームオーバーへ一直線。これは……前途多難ですよ……。
その後何度かのコンティニューを経て、ようやく巨大化した豆頭を撃破。流石に第三形態はありませんでしたが、ステージ1からやり応えは十分。苦戦こそ強いられたものの、操作が洗練されていき研ぎ澄まされていく感覚は心地よく、筆舌に尽くしがたいものがありました。この感覚を味わえるのが、高難易度ゲームの醍醐味ですね。
そして、ステージクリアの余韻と同時に、「果たして、こんな調子でストーリーモードをクリアできるのか?」という不安も襲い掛かってきます。非常に個人的な話ですが、私、ゲームは大好きで色々な作品をプレイしているんですが、肝心のプレイ技術が全く伴っていないタイプでして、ゲームからは全く好かれていないのです。しかも、視力がかなり悪くて乱視もきついため、集中して画面を見つめ続けないといけないシューティングゲームが特に苦手という。
「じゃあ、このゲームに全然向いていないじゃねぇか。辞めちまえ。」って話なんですが、何故プレイし続けているのかというと、その答えは単純です。楽しいからです。楽しいという感情が苦手意識を上回っているからなんです。
確かにこのゲーム、難易度は高いのですが、その難しさは理不尽さを感じるようなタイプのものではなく、ゲームオーバーになるたびに、「次こそはクリアできそうな気がする」と根拠のない自信が沸きあがり、気がついたらコンティニューしてステージに再挑戦をしています。本作は、この辺の難易度設定の塩梅が絶妙だと思います。
……と、個人的な不安はさておき、ストーリーに戻ります。
小夜ちゃんに倒された妖怪たちは、正気を取り戻しました。
正気になった豆頭に事情を聞くと、宴会の席にいきなり現れた黒マントに何かされたと思った後、気がついたらここにいたとのこと。小夜ちゃん・魔奴化は妖怪たちを暴れさせた張本人であろう黒マントを追いかけることにします。
ステージ2は混乱の森。ここで、操作キャラが小夜ちゃんから魔奴化にチェンジ。どうやら、ストーリーの展開に合わせて操作キャラクターが次々に変わっていくシステムのようですね。
そして、操作キャラクターが変化したことで攻撃スタイルも変化。その操作感はこれまでの小夜ちゃんとは完全に別物です。こういったキャラクターの変化による性能の変化は、プレイに違った味わいが生まれるので楽しいですね。
しかし、ステージ2も当然のように敵の数が多く、シューティングゲーム苦手部の民にとっては恐怖すら感じるレベル。キャラクターの操作の違いを楽しんでいる場合ではありませんでした。キャラクターの操作を体に覚えさせなければ。このステージでも、ゲームオーバーを繰り返しながら少しずつ先に進んでいきます。
と、ここまでプレイを進めてきて、気になったことがあります。実はステージ1とステージ2は、ステージのタイトルや登場する敵と中ボスといった様々な要素が、前作とほぼ同じなのです。ステージ1の舞台が神社で、ボスが豆頭というのは、アーケード版の『奇々怪界』でも同じなので「お約束ってやつなのかな」と思い、あまり気にしていなかったのですが、ステージ2も前作と似た構成になっているのは不思議な感じがします。
久々の続編ということで、前作のリアルタイムファンが懐かしめるような演出になっているのでしょうか。
そして、もしもこのステージが前作と同じような構成なのだとすれば、ボスまでの道のりはまだまだ長いはず。
時間をかけたのに、ステージの序盤にしか到達できていない……。少し心が折れそうになったこのタイミングで、本作の隠し要素が頭をよぎります。その隠し要素とは、”エクストライージーモード”。イージーじゃないんです。”エクストラ” イージーなんです。並大抵のイージーとはわけが違います。
公式サイトでは、“アクションゲームが苦手な人でも、最後までクリアできる”と謳われているこの難易度。その中身は、ゲームオーバーの概念がない ”残機無限モード” となっているため、途中で投げ出しさえしなければ必ずストーリーをクリアすることができます。
そして、この ”エクストライージーモード” の解放条件が、ゲームコインを合計で3000枚集めること。ゲームコインは、ステージ中にいる七福神にアイテムルーレットを回してもらうために使ったりするもので、敵を倒せば簡単に回収できるため、ゲームを繰り返し遊んでいるだけで自然と貯まっていきます。
つまり、「3000枚貯まるまでプレイしてもクリアが厳しそうなら、残機無限でストーリークリアをしてみてはいかが?」という救済措置ですね。
できることなら、この難易度に頼りたくはないのですが、余りにも進みが悪い場合には解禁する必要が出てくるかもしれません。そんなことにならぬよう気を引き締めつつ、更にプレイを進めます。
前作で見覚えのある中ボスを相手にしつつ、
ステージの舞台は水上へ。魔奴化は乗り込んだイカダの上で戦うことになるのですが、そのイカダはそこまで広くない上、水に落ちればダメージを受けてしまいます。
逃げ場が少なく四苦八苦。尻尾を振る近距離攻撃で敵の弾を弾き返すなど地道に対処し、先に進みます。
そして、ついに出ました!ステージ2のボス、ヘルクラーケンです。「やっぱりボスはお前だったか、前作でも戦ったもんな!」と思っていたのですが、よく見てみると前作とは見た目がちょっと違います。名前もスネークラーケンだったはず。ステージ1の豆頭も巨大化しましたし、大枠では同じに見えるボスでも、少し変化が加えられているようです。
「一回で倒してやる!」と息巻いて挑んだヘルクラーケン戦でしたが、厳しい道中で残機を失い続けたへっぽこダヌキでは倒しきれず、あえなくゲームオーバー。
コンティニューはステージ1と同じくチェックポイントからスタート。集中力が無く、戻し作業が苦手な私にとって、本当にこの仕様はありがたいです。チェックポイントがあるってのは実に健康的で素晴らしいですね。
何度目かの挑戦で、ヘルクラーケンをなんとか撃破!魔奴化の残機も体力もほぼ0という死闘。どうやらプレイヤーはギリギリの戦いがお好きなようです。とにかく、これにてステージ2をクリア。ステージ1を遥かに上回るボリュームで非常に楽しかったです。
それにしても、ここまで前作とストーリーや敵がほぼ同じ続編というのも珍しいような気がします。前作よりもドットによるグラフィックが綺麗になるなど、随所にパワーアップしている点があるとはいえ、これでは続編というよりリメイクに近いのでは?などと考えていますと、ここでストーリーが急展開。
前作を懐かしむステージは終わりを告げ、今作の新たなステージに突入します。ちなみに、この敵が前作とよく似ているという違和感は、後にストーリーでしっかりと回収されるのですが、今回は割愛させていただきます。
新たなステージと新たなアクションと新たな操作キャラクター
ステージ3がスタート。操作キャラクターは魔奴化から再び小夜ちゃんにチェンジ。
そして、このステージから、”攻撃昇華” と ”お祓いチャージ” というアクションが新たに使えるようになりました。この2つのアクションは、操作キャラクターによってその効果が大きく異なるのですが、ザックリ言うと、”攻撃昇華”は攻撃補助、”お祓いチャージ”は防御強化のアクションです。
ステージ3はトリッキーな攻撃をしてくる敵キャラがとても多く、やはり一筋縄ではいきません。思うように先に進めない悔しさと面白さが同時に心に芽生え、トライ&エラーがより一層はかどります。
そして、ステージ3を突破!残機0クリアの死闘は基本!
さて、ステージ3はステージ1と2に比べて随分とアッサリした紹介になってしまいましたが、実を言いますと、ステージ3辺りからプレイにかなり熱中してしまいまして、スクショをほぼせずにゲームを進めてしまっていました。
本作の魅力である難易度や熱中度の高さがこういった悲劇を招いてしまうとは思いませんでしたが、これ以降のステージ内容やボスについては、是非とも本編をプレイして、ご自身の目で確かめていただければと思います。
次のステージでは、本作が初登場のキャラクター、アメノウズメに操作キャラクターが交代。巫女の始祖で神様でもある彼女は、両サイドに従えた勾玉から弾を打ち出して攻撃をするキャラクターで、空を飛んでいるため水や奈落に落ちないという特性があるなど、小夜ちゃんとも魔奴化とも大きく性能が異なります。
個人的な感想としては、弾の発射位置がアメノウズメの真正面ではなかったりするなど、全体的に少し操作性のクセが強いキャラクターかなと思います。
そして、次に出会ったのが蛍御前。彼女も新キャラクターです。主君と共に命を落とした武者である彼女は、他のキャラクターのように弾を飛ばして戦うキャラクターではなく、薙刀や大太刀を使って戦うため、こちらもプレイ感覚が大きく異なります。
このステージは、ステージ1と同じゲームとは思えないほどステージや敵キャラクターの世界観が変わっており、ステージのドットにも更に気合が感じられ、プレイヤーを飽きさせません。
そして、ようやくゲームに慣れてきたのか、この辺から比較的順調にステージをクリアすることができるようになってきました。ゲームが下手ということは、伸び代しかないということ。最初はあんなに難しいと感じていたはずなのに、プレイを重ねていくうちにいつの間にかスイスイと進めるようになり、上達を如実に感じ取ることができるのも本作の楽しいところです。
……ひょっとすると、「ステージをクリアすると体力の最大値が増える」という仕様のおかげでクリアしやすくなっているのかもしれませんが。
そして、ストーリーも次第に佳境へ。ストーリーが進むにつれて、前作が『謎の黒マント』で、今作が『黒マントの謎』であるということの意味が理解できてきました。
確かに、今作のストーリーは『黒マントの謎』で、前作のストーリーは『謎の黒マント』です。黒マントの謎が謎のまま終わってしまった前作『謎の黒マント』に対し、今作『黒マントの謎』は、黒マントの正体に迫っているのですから。
ストーリーはかなり進んできましたが、プレイを続けてちょっと疲れてきたので、ここで少し一休み。ストーリーモードは、ゲームを中断してタイトル画面に戻ったとしても、 ”続きから” を選ぶことで、直前までプレイしていたステージからゲームを再開できるのが嬉しいですね。こういったところからも、前作よりも難易度が下がり、プレイヤーに優しくなっているのを感じます。
そして、このタイミングでエクストライージーモードが解禁されました。いつのまにか3000枚もコインが貯まってたんですね……
しかし、残念ながらエクストライージーに頼る必要はもう無さそうです。ステージ1の頃の私と今の私は最早別人。ここまでの冒険で身につけたプレイスキルと自信を武器に、チェックポイントからのコンティニューを防具に、ストーリーモードを突き進みます。
激しさを増す敵の攻撃をくぐり抜け、
とうとう、黒マントとの決戦です。ついにこの時が来たな。
ちなみに、小夜ちゃんは操作をしばらくしていないとアクビをするんですが、それが黒マントとの決戦直前というメチャクチャ大事なタイミングでも発動してしまったので、悲しいかな、緊張感の無い画像になってしまいました。
それはさておき、黒マントとの戦いは壮絶な死闘となりました。これまでそうしてきたように、コンティニューを重ねて黒マントに挑み続けることで攻撃パターンを掴み、少しずつ攻略を進めます。
こうして、数多の小夜ちゃんの屍を越えて行き、ついに黒マントを打破!
ネタバレを避けるために画像は差し控えますが、ストーリーは一抹の寂しさを残しつつも大団円を迎えます。
いやぁ、良いゲームでした。プレイしている間、ずっと楽しかったです。まさか2022年にフルドットのシューティングゲームが出来るとは。しかもそれが『奇々怪界』シリーズの新作とは。
前作の難易度がかなり高かったので、下手すると序盤ステージで挫折し、エクストライージーでレビューをするという醜態を晒す事になるのではないかと覚悟していたのですが、まさかストーリークリアをすることができるとは思っていませんでした。
『奇々怪界 -月夜草子-』はまだプレイしていませんが、恐らく本作は『奇々怪界』シリーズの中で、最も難易度が低い作品なのではないかと思います。シューティングゲームが苦手な私でもなんとかクリアすることができたので、上手な方なら、難なくクリアできるのではないでしょうか。
まぁ、難易度が低いとは言っても、そもそもの平均点が高いので、難しいということに変わりはないんですけどね。
好きなキャラクターで好きに遊べるフリーモード
さて、ストーリーをクリアしたことで、好きなキャラクターを使ってステージ攻略を目指す ”フリーモード”で遊べるようになりました。このモードは、前作ではストーリーで遊ぶことができた、2人での協力プレイをすることが可能な唯一のモードともなっています。
ちなみに、この ”フリーモード”はゲームコインを10000枚集めることでも解放可能で、正直なところ、プレイ開始前は10000枚集めてフリーモードを出すことになるんだろうなぁと思っていました。何とか10000枚貯金する前にストーリーをクリアすることができて一安心です。
それでは、早速その ”フリーモード” をプレイしてみましょう。
前作は小夜ちゃんと魔奴化しかプレイできるキャラクターがいなかったので、本作でプレイヤーが一気に増えたのは嬉しいですね……あれ、右下にストーリーでは見ていないキャラがいます。隠しキャラか何かなのでしょうか?
気になって少し調べてみたところ、右下にいるのはイカヅチというキャラクターで、ストーリーモード1周目に蛍御前が登場している場合、2周目のプレイの時に蛍御前の代わりに登場するらしいとの情報を入手することができました。この情報にどこまで信憑性があるのかは分かりませんが、どうせなら全キャラクターを使いたいので、ストーリーモードをもう一度プレイしてみることに。
ちなみにですが、イカヅチがストーリーモード1周目で登場し、2周目で蛍御前が登場するというパターンだったプレイヤーもいるそうで、具体的なストーリー分岐条件は今のところ不明とのこと。
それでは、2周目をやっていきましょう。ハードモード1つ、お願いします。
ハードモードでは、ノーマルモードにはいなかった、敵を倒した時に弾がプレイヤーに向かって飛んでくる、いわゆる ”打ち返し” が搭載された敵キャラが出てきたり、ノーマルモードよりも中ボス・ボスの攻撃がより激しくなるなどの変更が加えられていました。
ノーマルモードでもかなりのやり応えでしたが、ハードモードはそれ以上。このままハードモードをプレイしてストーリークリアを目指しても良かったのですが、流石に時間がかかりすぎてしまいそうなので、”エクストライージーモード” を使ってストーリーをクリアし、イカヅチの出現を狙うことにします。なるほど、エクストライージーは、キャラクターを手っ取り早く出したい人に向けた救済措置でもあったのですね。ありがたき幸せ。
先ほども少し触れましたが、エクストライージーモードは、残機の概念がなくゲームオーバーが存在しない難易度。
とにかくストーリーを体験したいという人にはオススメのモードなのですが、私の場合、悲しいかな、ゲームオーバーの概念がなくなった結果、プレイが明らかに雑になってしまいました。トータルで考えると、ノーマルでプレイしていた時よりも残機を多く失っている気がします。「このモードでストーリーをクリアする頃には、またド下手なあの頃の自分に戻っているんだろうな」と思いつつステージ行脚を続け、
ようやくイカヅチが使えるようになりました。先ほどの情報通り、蛍御前に代わっての登場でした。彼女は、”雷獣”という異名を持つ非常に強い力を持った天候を操ることができる貂(テン)の妖怪のキャラクター。設定からして強キャラ感が凄いですが、実際かなり使いやすいと思います。恐らくですが、本作の中で最も使いやすい強キャラなのではないでしょうか。
力玉によってパワーアップした攻撃は非常に強力で、ボス戦も難なく勝利。なんと、一度もライフを0にすることなくクリアすることができました。このプレイのしやすさの理由は、単にエクストライージーモードでプレイしているからというだけではないと思います。
また、ストーリーの大きな流れこそ変わりませんが、出会うキャラクターが蛍御前からイカヅチになったことで、ストーリーグラフィックも変化します。
そして、難なくストーリーをクリア。ゲームオーバーの概念がないためストレスフリーでプレイできましたが、どうしても作業感が出てしまいますね。やはり残機やゲームオーバーがあるひりついた状況下でやるのが、シューティングゲーム・アクションゲームの醍醐味なんだなと改めて感じました。
ということで、大手を振ってフリーモードに凱旋してみると、イカヅチも使用可能になっていました。これで本作のプレイヤーが全て出揃ったことになります。
せっかく5人のキャラクターを全員そろえることができたので、それぞれの性能を確認する意味も込めて、ひとまず全部のキャラクターでステージ1だけをプレイしてみることに。
やはり、キャラクターがそれぞれ個性的な性能をしているため、同じステージをプレイしても、そのプレイ感には大きな差が生まれていました。
キャラクターによってここまでプレイ感が大きく変化するということは、新鮮な気持ちでフリーモードを5周は遊べるということ。もっと言うと、ハードモードを含めれば、10周も新鮮な気持ちで楽しめます。ストーリーはクリアしましたが、まだまだこのゲームでひりついた状況を楽しむことができそうです。
さて、今回レビューしてきました『奇々怪界-黒マントの謎-』は、パッケージやゲームプレイ画像だけを見ると、子供向けゲームという印象を受けます。しかし実際のところは、子供では投げ出してしまうかもしれない、非常にやり応えのある難易度とシステムになっているため、硬派なゲームが好きな方にオススメです。
また、『奇々怪界-謎の黒マント-』の続編である本作の発売までには、前作から数えて30年もの月日が経過していたわけですが、発売から間もない現時点で既に本作の続編を期待してしまっている自分がいます。たとえ、その続編が今から30年後に発売されるとしたとしても待ち続けたい。『奇々怪界-黒マントの謎-』は、そんな風に思わせてくれる作品です。