6月27日(月)に開催されたIndie Games Connect 2022にて、ところにょり氏の最新作となるパズルアドベンチャー『違う冬のぼくら』が展示された。
本作は家出したふたりの少年が主人公のパズルアドベンチャー。2人プレイ専用のタイトルで、お互いの画面を見ることはルール上禁止とされていることがもっとも大きな特徴で、家出した少年ふたりが「どこか遠く」を目指して冒険する様子が描かれる。
しかしトレイラーやSteamページでは腐敗した鹿の死体のような物体の隣で倒れる少年たちや、頭部が機械になったふたり、動物になったふたりが死体の横で笑顔を浮かべる場面などが映され、なにやら不穏な空気が漂いまくっている。『ひとりぼっち惑星』などで独特な体験を描き続けてきたところにょり氏の新作ということもあり、そこにはなにか物語的な仕掛けがきっとあるのだろう。
会場では、そんな本作のベースになると思われるパズルゲーム部分を試遊することができたため、その様子をレポートする。
本作にてふたりのプレイヤーは協力してパズルを解くことで、地続きの次のステージへ進んでいくことができる構成だ。
少年たちのジャンプやしがみつきといったモーションがかわいらしいことも魅力で、画面全体の色合いと二頭身のキュートな少年たちの姿はやさしい印象をプレイヤーに与える。しかし、家出という手段を取ってまで「どこか遠く」を目指すふたりの旅路はどこか不穏だ。
プレイしたステージでは箱や秤、ロープウェイのようなものなどを使ったギミックが登場した。このほかにもふたりで乗ると崩れてしまう足場や、沈むと一発で溺れてしまう水たまりに注意しながら進む必要がある。さらに高い場所から落ちるとゲームオーバーとなってしまうため、カゴに入った藁を落下位置にセットしたりと危険を回避しながら進む。
以下の画像のステージでは、ひとりがロープウェイのようなもので先に対岸へ渡りロープを登って箱を落とす、もうひとりが落とされた箱を足場に左側のロープを登るといった手順で先に進むことができる。
プレイヤー同士の連携がうまく取れた際に次のステージに進むことができる楽しさは大きく、どちらかがギミックに気付いて試したり、交代に箱を押して互いに助け合うほのぼのとした時間が流れた。
また、操作面ではジャンプの動作が独特な重さを感じさせるゆっくりなものとなっているほか、移動速度がやや遅めである点も印象的だった。この点は、ひとりでプレイするアクションゲームとは違い、一緒にプレイしている人とタイミングを合わせる場面の多い本作と噛み合っているように感じられた。
今回試遊にてプレイした範囲に、トレイラーやSteamストアページに見られるような不穏な要素は見られなかったものの、ほのぼのとした体験が積み重なっていく中で確実に訪れるであろうこの後の不穏な展開を思うと、単にほのぼのな作品とは言い切れない本作。ところにょり氏の他の作品にも見られる、スローテンポながらもプレイヤーの倫理観を問うような演出にも期待できそうだ。
『違う冬のぼくら』は8月6日にPC(Steam)向けに発売予定となっている。