「タワーディフェンス」というゲームジャンルがある。砦や拠点など特定のエリアを、次々と進行してくる敵から防衛するゲーム、あるいはそのような要素を持ったゲーム全般を指して呼ばれることが多い。
タワーディフェンスの大きな特徴の一つに、「戦略性が求められる」というのがある。防衛するといっても、ただ漫然とやってくる敵を倒していくのではなく、武器やユニットのコスト管理や防衛エリアの地形把握など、何かしら頭を使う要素がちりばめられていることが多い。そしてそれこそが、このゲームジャンルが多くの人々に好まれる理由の一つでもある。
そんなタワーディフェンスゲームだが、実は私自身それほどこのジャンルに造詣が深いわけではなく、ほとんど遊んだことがない。むしろ、この手の頭を使って戦術を立てていくゲームというのは私には些か難しすぎやしないかと、若干食わず嫌いになってしまっている節があった。
そんな折、電ファミ編集部からとあるタワーディフェンスゲームのレビューを書いてみないかと話を頂いた。DMM GAMESより展開されている『千年戦争アイギス』というゲームだ。
DMM GAMESのタワーディフェンスゲーム……。確かに興味がそそられる話ではあった。それは私が以前こういった記事を書いていることからも分かるように、可愛らしいキャラクターが見たいという理由と、そしてもうひとつは、この機会にタワーディフェンスゲームを真面目に遊んでみたいという思いからであった。
前置きが長くなってしまった。ではここからは、実際にこのゲームを遊んでどのような感想を抱いたのか、ゲーム内容を解説するとともにお伝えしていこう。
文/植田亮平
このゲーム、思った以上に深くないですか?
『千年戦争アイギス』の基本的なゲーム部分をまずは解説しよう。このゲームのジャンルは先ほども説明したように「タワーディフェンスゲーム」だ。ユニットを適宜エリアに配置して、本拠地まで侵入されないように敵から防衛するのが目標となっている。画面を見れば分かるように、タワーディフェンスとして見れば王道な作りになっていると言えるだろう。味方、敵ユニットどちらもドット絵で描かれているのが特徴的だ。
各ユニットにはそれぞれ名前とクラス、そして固有スキルが設定されている。クラスは大まかに近接ユニットと遠距離ユニットに分けられており、全てのクラスを合わせるとその数はなんと150を超える。
それぞれにそれぞれの役割があり、はっきり言って全てを把握するだけでも大変だが、実際に戦場に配置してみると各ユニットの個性が見られて非常に面白い。各ユニットは時間経過に応じてスキルを発動できるのだが、自身を強化するスキルや味方を回復するスキル。あるいは敵味方全てに影響を及ぼすような強力なスキルなど、バラエティに富んでいる。
1チームには主人公である自身を除いて15人まで編成できるのだが、チーム編成次第で戦い方が大きく変動するのもこのゲームの長所だろう。より詳しい話は後ほど。
各ユニットには出撃コストが設定されている。出撃コストは時間経過で徐々に貯まっていくほか、一度出撃させたユニットを撤退させたり、出撃コスト回復のスキルを持ったユニットのスキルを発動させたりして回復できる。出撃可能なユニットの最大数も決まっているので、「誰」を「どこ」に配置するのかが非常に重要になる。
例えば、地上を歩いてくる敵には近接ユニットを出撃させなければ進行を食い止めることができない。同様に、上空を飛びながら進行してくる敵に対しては遠距離ユニットを配置しなければならない。さらに、そういったプレイングを、限られたコストの中で行わなければならない。
要するに頭を使わなければならないのだが、これが非常に難しい。戦闘はリアルタイムで進んでいくので、悠長に考えていれば容易に突破されてしまうという時間的制約も存在する。タワーディフェンス上級者にとっては「そんなことはできて当たり前」だと笑われるだろうが、あまりこういった王道タワーディフェンスを普段遊んでこなかった私にとっては、最初のうちはとてもじゃないが上手くはこなせない。無論、それこそがタワーディフェンスの醍醐味なのだが。
舐めていた、と言わざるを得ない。タワーディフェンスというジャンル、あるいは『千年戦争アイギス』は、私の想像していた以上に奥深く骨太なゲームだった。
出撃コスト、敵が進行してくるタイミング、各ユニットのクラス、配置位置、スキル発動のタイミング。それら全てをそつなくこなしたと思っていても、まだ敵の進行を食い止めることができない。
そうして試行錯誤を繰り返し、いよいよ「自分チームの編成を見直そう」かと考え始めたとき、私はすっかりこのゲームの「深さ」にはまり込んでいたのだった。
気づけば最強のチーム編成を考えはじめていた
このゲームのユニットは基本的にはガチャを回して手に入れることになっている。もちろんレア度に応じて段階的な強さの幅があり、「強いキャラ」「弱いキャラ」というのも存在する。しかし、強いキャラばかりを編成に組み込めばよいかというとそうではない。
例えばこの「紅の踊り子ブレリア」を見てみよう。彼女のクラスは「ダンサー」、範囲内の味方の攻撃力と防御力を強化するという特性を持っているが、彼女自身は直接的な攻撃には参加しない。
つまり、味方ユニットと組み合わせて初めて意味を成すユニットと言える。しかし、複数の味方を範囲内におさめるなどすれば他のユニットを1体配置した時よりも戦局を有利に進められる場合があり、彼女のレア度は星4ながら使い方によってはより高いレア度のユニットよりも有効となる。
「重装兵長マチルダ」の場合はどうだろう。彼女のクラスは「ヘビーアーマー」だ。通常地上ユニットが相手に出来るのは敵一体までで、それ以上の敵は足止めできずに進行を許すことになる。
しかしヘビーアーマーの場合は別だ。彼女はその巨大な盾で敵を3体まで同時に相手取ることができる。HPも非常に高いので、出撃コストの回復を待ったり、スキルを発動するまでの時間を稼いだりなど、非常に使い勝手のいいユニットになっている。ヒーラー系のクラスを持つユニットと組み合わせた場合は特に強力だ。
しかし、彼女もまた完璧なユニットという訳ではない。彼女のネックは、その重い出撃コストにある。出撃コスト19というのはコストが貯まるまでにかなりの時間を要する。
このコストを捻出するために他のユニットを配置しないのであれば、その間他の低コストユニットだけで場をしのがなければならない。その間はヒーラーを出撃させることもできないので、実質彼女のためにいくつかのユニットを使い捨てなければならない。例えば、王子とか……。
重すぎるコストはチーム全体を苦しめることになる。しかしまた、そんなコスト問題を解決するためのユニットも存在する。「魚人戦士オーベッド」の出撃コストは9、クラスは「シーソルジャー」、2体までを足止めできるうえにコストもそれほどかからない。ただ、それ以上にこのユニットが有能なのは、なんといってもスキルにある。
「出撃コストが10回復」、これが非常に大きい。彼がスキルを使うだけで、ほぼ一人分のコストを捻出することができる。そこから彼を撤退させてさらにコストを稼いだり、ヒーラーを出撃させてもう一度スキルを撃てるように維持させたりと、チーム全体の潤滑油的な役目を果たしてくれる。
ユニット自体のレア度は星3つのシルバーで、それほど強いユニットというわけではないが、強いユニットを編成するのであれば一体ぐらいは採用しておきたい。
このように、『千年戦争アイギス』に登場するユニットの総数は1000を超える。そのひとつひとつが、個性的な能力と独自の強さを備えている。どのようなユニットを編成し、どのように戦うかは全てプレイヤー次第。戦いの中で自チームの得手不得手を理解し、バランスよくチームを編成するのが肝要となる。さらに、それぞれのユニットはしっかり一体一体ドット絵のキャラクターデザインが用意されているという作りこみだ。
チーム編成を考えるのは楽しく、気づけば私はその奥深さにすっかり魅了されていた。なにせ今こうして記事を書いている最中も、まだチーム編成画面とにらめっこを続けているのだ。
ユニットを育て、さらなる高みへ……
ただユニットをガチャで引いて編成するだけでは、チームは強くならない。優秀なチームが完成したと思ったのなら、ユニットたちを育ててあげることも重要だ。
いくつかご紹介しよう。まずは「合成継承」だ。これはソーシャルゲームにおけるキャラクター育成に近い。育てたいユニットを選んで、その後食わせたいユニットを選ぶ。レベルが上がると能力値が向上する。
キャラクターによっては、クラスそのものを強化することもできる。必要な素材ユニットや覚醒オーブを使用して行う「クラスチェンジ」「覚醒」を行えば、キャラクターのクラスはより上位のものへと変化していく。
そして忘れてはならないのが、ユニットとの「交流」だ。気に入ったユニットには、メニュー画面の「交流」からプレゼントを渡すことが出来る。プレゼントに応じてキャラクターからの好感度が上昇し、ユニットの能力値などが上昇する。
好感度が上昇すると、キャラクターによっては専用の会話イベントも用意されている。この辺りはさすがDMM GAMESといった感じで、キャラの生い立ちや性格が色濃く反映された会話が楽しめる。能力値を上げるというよりも、好きなキャラと仲良くなるための機能という側面が強いので、自分の推しキャラにどんどん貢ごう。
タワーディフェンスゲームマニアの方から見た場合、本作がどの程度ツボを抑えているのかは分からないが、少なくとも私にとっては、本作は驚くべきゲームであった。というのも、正直言って、これほど本格的なタワーディフェンスゲームがDMM GAMESからリリースされていると知らなかったからだ。
頭を使いながらああでもないこうでもないとチームを組み、巧みに進行してくる敵を捌いているとき、私は確かにこのゲームに「深さ」を感じた。ストーリーやデイリークエストなど、遊べるモードがかなり大量に用意されているので、ボリュームについても満足できる量ではないだろうか。
これを読んでいる方にも、食わず嫌いせず是非一度触ってみてほしい。もしかしたら、このゲームジャンルにハマる第一歩がそこから始まるかもしれない。『千年戦争アイギス』はスマートフォン、PCでプレイ可能だ。
なお、現在『千年戦争アイギス』では納涼キャンペーンが実施中。
期間限定の「浴衣プレミアム召喚」からはヒーラー『癒しの夕涼みリアナ』、ぬりかべ『祭夜のぬりかべシラヌイ』、道化師『不敗の縁日ラトゥール』が出現する。
また、「浴衣復刻プレミアム召喚」も実施され、以前に登場した期間限定ユニットたちも再び獲得できるチャンスだ。
ほか、期間限定の緊急ミッション「金魚姫と夏夜の肝試し」では特定の条件を満たすと★5ユニットのイビルプリンセス『夏祭りの金魚姫スキュレ』が手に入る。交換所ではこちらも期間限定で『夜涼の射的兵ダニエラ』が追加されるとのこと。
いずれのキャンペーンも8月10日(水)メンテナンス前までの実施となるので、本稿を読んで気になった方はぜひこのタイミングで参入してみてはいかがだろうか。