およそ6年前、私はたまたまApp storeを開いた時にセールスランキング1位になっていた『Fate/Grand Order』を自分のスマホにインストールした。
━━━その日、運命に出会う。
お恥ずかしい限りではあるのですが、当時中学生だった私の面白いソシャゲ観は「セールスランキングの上位に居座っているソシャゲであれば、とりあえず面白いに違いない」という至極単純かつ短絡的な思考で塗り固められており……まぁとにかくセールスランキング以外で面白いソシャゲを調べる方法を知らなかったのです!
なので、私は「Fate」シリーズ及びTYPE-MOON作品には『Fate/Grand Order』から入りました。ちょうど私が始めた時には『Fate/Zero』とのコラボイベントが開催されており、その時に自身初の星5サーヴァント「イスカンダル」を引き当てて、「このおっちゃんめっちゃカッコいいやんけ……」と思いアニメ版『Fate/Zero』を見始めたりしてるのですが……それはまた別の話。
とにかく、私は中学の時に『FGO』から型月に入って、そこから6年間ずっと『FGO』を遊び続けていたのですが……なんと今回、「Fate/Grand Order Fes. 2022 ~7th Anniversary~」にライターとして取材の招待をいただいてしまいました。
【カルデア広報局より】
— 【公式】Fate/Grand Order (@fgoproject) July 30, 2022
★FGO Fes. 2022情報★
「FGO Fes. 2022 ~7th Anniversary~」1日目が開場いたしました!
ステージイベントは配信もございますので、ぜひご視聴ください!
詳しくは→ https://t.co/IoMVUAwSXy#FGO #FGO7周年 pic.twitter.com/fSXd2hsZGW
いや~~~……人生って何があるかわかりません。中学の頃からずっと触り続けていたゲームに仕事で関われるなんて……運命とは、まこと不思議なものです。
ちなみに「Fate/Grand Order Fes. 2022」当日のメディア陣の取材開始時間は「朝の8時」だったので、海浜幕張駅には大体「朝の7時」には到着していなければならず、心の中で「(部活か……!?)」と思いながらJR京葉線に揺られていました。
昨今の時勢もあり、今回のFGOフェスは現地に足を運ぶのを断念した方も居るかと思います。どうか、この記事から現地の熱狂や盛り上がりを感じ取っていただければ幸いです。7月30日開催のDay-1、7月31日開催のDay-2……と、順番にその模様をお届けしましょう。
文/ジスマロック
※この記事には『Fate/Grand Order』第2部 第6章「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」の多大なネタバレが含まれています。未クリアの方は、どうかお気をつけください。
巨大ケルヌンノスのお出迎え、和氣あず未氏は「ウマ」がお好き……?
FGOフェスの会場、幕張メッセにたどり着いた私を待ち受けていたのは……超巨大ケルヌンノス! 第2部 第6章「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」の大ボスにして、そのあまりの強さで数多くのマスターを霊脈石の行使にまで追い込んだ呪いの厄災。
……なのですが、よく見ると意外とかわいいので、公式からぬいぐるみが販売されたりして既にマスコット化が進行している。いや、アトラクション化されるの早くない!?
等身大……とまではいかないものの、会場のどこにいようとも大体ケルヌンノスのふわふわボディが見えるその巨大さは圧巻。幕張メッセにぽっかり空いた穴にハマりながら、会場に集ったマスターたちを見守ってくれいています。呪いは……撒いてないはず。
会場の入り口、「ウェルカムビジョン」では円形のモニターに今回の「英霊夢装」が映し出されており、いつもとは違う装いの英霊たちが会場に辿り着いたマスターたちを出迎えてくれます。
動乱と絢爛の平安の世を想起させる和装に身を包んだメリュジーヌ、今の大河ドラマに出てても気付かなそうなマンドリカルド……。あーっ! 信長様!! そんな格好をされては困ります!! 信長の女量産機と化してしまいます!!
実際にゲーム内でも「英霊夢装:魔王信長」を交換しました。pako先生、ありがとう……。いつも『FF14』一緒にやってくれてありがとう……。
こちらの英霊夢装に身を包んだサーヴァントたちの一部は物販近くの「サーヴァントと巡る世界展 – 休憩処 -」にもパネルとして設置されており、より大きいサイズで英霊夢装サーヴァントたちのその姿を拝むことができます。バックに枯山水が置かれているのも良い感じ。
約3年ぶりの開催となった今回のFGOフェス。もはやこれまでの鬱憤を晴らすとでも言わんばかりに会場のアトラクションとステージが目白押し!
様々なステージイベントを生で観覧できる「Open STAGE」コーナーの第1弾は「『Fate/Grand Order カルデア・ラジオ局 Plus』妖精騎士スペシャル」!
パーソナリティーの大久保瑠美氏、そしてゲストには妖精騎士トリスタン(バー・ヴァンシー)役の和氣あず未氏と、妖精騎士ランスロット(メリュジーヌ)役の高野麻里佳氏が登壇!
こちらのステージでは、和氣氏と高野氏のふたりに担当サーヴァントの演技ディレクションや、おふたりの好きなサーヴァントをたっぷり語っていただく1時間となっていました。
メリュジーヌを演じる前から、アニメ版の『Fate/Zero』を既に見ていたという高野氏。最初は「ランスロット」という名前だけでオファーが来ていたため、「あのランスロット!?」と驚いたそうな。
メリュジーヌの演技ディレクションに関して、「最初はクールだけど、徐々にやわらかい印象になる」という、彼女の繊細な感情の起伏を表現するのが難しかった……とのこと。
バー・ヴァンシー自身はお嬢様っぽい見た目なので、もっとおしとやかな口調なのかと思いきや、「~~~だろ!」みたいな男っぽい口調で喋るのが意外だったという和氣氏。とにかく情緒不安定なバー・ヴァンシーの演技ディレクションに、こちらも苦戦したとのこと。
おふたりの好きなサーヴァントを発表するコーナーでは、まさかの「赤兎馬」をチョイスした和氣氏。ウマがお好きなんですって……。実際隣にもうひとりいらっしゃいますからね、ウマの人が。君の愛馬が……じゃないよ! これFGOのイベントだから!!
続いての「Open STAGE」コーナー第2弾は、「『Fate/Grand Order』Spotlight Event History」! 大久保瑠美氏、高橋花林氏、そして我らのノッブこと島﨑信長氏を迎え、これまでに開催された「イベントクエスト」の中から、特に思い入れのあるシナリオをひとつ選び、それを紹介するコーナーとなっています。
大久保瑠美氏が選んだのは、やはり「ハロウィン・ライジング! ~砂塵の女王と暗黒の使徒~」。80年代ビキニアーマーになったり、急に機械化したり、ハロウィンの季節が訪れる度に新たな進化を見せてきたエリちゃん。
なんとこのイベントでは、そもそもの「何故エリザベートがハロウィン担当サーヴァントなのか?」という疑問について、奈須きのこ氏から直々に回答が用意されていました。
今明かされる、静岡にハンバーグ食べに行った帰りに寄ったホビーイベントで見たメカ〇ジラのフィギュアからメカエリチャンの着想を得ていたという衝撃の真実。今明かされる、姫路城とチェイテ城とピラミッドをぴょんぴょん登っていくあのイベントは『クレイジー・クライマー』から着想を得ていたという衝撃の真実。
一応真面目な理由としても、「『Fate/EXTRA CCC』の頃からエリザベートの要素のひとつに暗黒童話があったので、ハロウィンのホスト役にはぴったりだと確信していました」……と語られました。
俺たちのノッブ……島﨑信長氏が選んだイベントは「深海電脳楽土 SE.RA.PH」。『Fate/EXTRA CCC』とのコラボイベントに見せかけて、実はガッツリ1.5部のメインに相当する超重要シナリオ。現在では「メイン・インタールード」に追加されており、恒常でプレイが可能となっています。
ポエミーだったり、少年漫画チックな熱さだったり、奈須きのこ氏は多種多様な物語のアプローチを見せてくれるけど、「乙女心」や「恋する乙女」の話を描いているシナリオだからこそ、「深海電脳楽土 SE.RA.PH」が好き……と語る島崎氏。理解度が……高すぎる!
こちらも「深海電脳楽土 SE.RA.PH」のシナリオを担当した奈須きのこ氏から直々に「CCCコラボを開催することになった経緯」について語られました。
もともと1.5部自体がライターひとりにつき一個担当で、その中で奈須氏が担当したのがこのシナリオだったこと。メルトリリスとパッションリップをメインキャラとして描くのは『Fate/EXTRA CCC』の頃からの「やり残し」のひとつだったので、それをこのイベントで果たせたこと。当然の如く重要な裏話がバンバン出てきます。
他にも面白い裏話がたくさん語られているので、まだ視聴していない方はぜひアーカイブから「『Fate/Grand Order』Spotlight Event History」の視聴をオススメします。意外と……と言うと失礼かもしれませんが、想像以上に満足感のある番組でした。
3Dプリンターで10時間かけて制作!? リアル宝具の展示に、圧巻の「アヴァロン・ル・フェ」朗読劇
回廊のような作りになっており、先ほど紹介した休憩処と同じく世界各国をイメージした英霊夢装サーヴァントの大きなパネルが設置されている「サーヴァントと巡る世界展 – Re:Collection -」。
岡田以蔵にバー・ヴァンシー、カーマに曲亭馬琴、ついに先日実装されたばかりのクリームヒルトも旦那様と一緒に手を繋いでデンマークのニュータウンをデートしちゃっています。幕張メッセでノロケを見せられるこっちの気持ちにもなれ。
さらに「宝具展示」コーナーでは、アルトリア・キャスターがその手に携える「選定の杖」やダ・ヴィンチちゃんの装備「ウルティモ・マニピュレーター」、今回新たに制作されたメリュジーヌの得物「イノセンス・アロンダイト」も展示!
一部宝具は隣にデザイン画も置かれており、その細部にまでこだわられた装飾をより楽しむことができます。私事ですが、最近『ゼノサーガ』のEP1からEP3までを一気に遊んだので、CHOCOお父様がデザインした武器を原寸サイズで見れるのがめちゃくちゃ嬉しい!!
続いての「Open STAGE」第3弾は、「『Fate/Grand Order』スタッフトーク」。カノウヨシキ氏を筆頭にFGO開発陣が集結し、さまざまな開発裏話や最新情報を発表するマスター必見のコーナー!
どうでもいいんですが、個人的にずっと「カノウさんってJリーグのディフェンダーに居ても気付かなそうな雰囲気だよな……」と思っていて、いつの日か生でカノウさんの顔を見て本当にJリーグのディフェンダーに居そうなのかどうかなのか確かめたかったのですが、この日、ついにその夢が叶ってしまいました。
いや、別になんかそういうイジりとかではなくて、純粋に心の底から「Jリーグのディフェンダーに居そう」と思っていたんです! 何の邪な思いもない純然たる思いで、Jリーガーっぽいと思っていたのです!
ちなみにこのコーナーの終了後に通路で一瞬カノウさんとすれ違ったのですが、超至近距離で見ても本当にJリーガーっぽい雰囲気でした。夢が叶って良かったです。カノウさん、ありがとう……。
開発陣コーナーというだけはあり、先日実装されたばかりの曲亭馬琴の設定画や、「イノセンス・アロンダイト」の造形制作資料も公開!!
なんと設定画の時点では、6世紀ブリテンから異聞帯時空までまでの「アロンダイト」という武器の変遷、メリュジーヌが装備しているナックルシールドとの合体方法まで書かれており、もはや「アロンダイトという武器の歴史」とでも言える凄まじい資料となっています。
先ほどの宝具展示コーナーに置かれていたリアル「イノセンス・アロンダイト」。あれはこの設定画を元に立体化を図ったそうなのですが……形状そのものが長物ということもあり、なんと3Dプリンターでも「10時間」かかったそうです。アロンダイト作ってる間にアニメ1クール見終わるやんけ。
そしてステージ後半の「数値でわかるFGO」のコーナーでは、実際にプレイヤーの間で「最も多くLv120にされた星1、星2、星3のサーヴァントランキング」も発表。第5位の岡田以蔵、第4位のクー・フーリン、第3位のロビンフッドまでは、人気や愛着、性能なども考慮して、ある程度は予想通りの結果という感じでしたが……
まさかのアーラシュが第2位! みんな大好きアーラシュが第2位だとしたら……一体第1位は誰なのか!?
なんと「清姫」がその頂点に君臨しました。意外なような、納得感もあるような、とにかく予想外の第1位に会場中から「おぉ~~~~~~!?」という歓声が上がっていました。私も現地で「おぉ~~~~~~!?」と感嘆の声を上げていました。
そしてDay-1の最後を飾るのは、昨年に実装され、数多くのマスターが「ご歓談」という名の絶叫と熱狂の渦に包まれた第2部 第6章「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」の朗読劇「FGO THE DRAMALOGUE -アヴァロン・ル・フェ-」。
この朗読劇は「Grand STAGE」という、隣接した専用の会場で開催されたため、先ほどの「Open STAGE」と比べると、よりド迫力のステージを楽しめました。
アルトリア・キャスター役の川澄綾子氏、千子村正役の杉山紀彰氏、モルガン役の石川由依氏……名だたるメンバーが勢揃いし、およそ3時間の長丁場に渡ってお送りされたこの朗読劇はもはや「劇場版 アヴァロン・ル・フェ」とでも言える凄まじい完成度。
マシュがモルガンの水鏡によって女王歴から妖精歴へと転移し、そこから「最後まで」のストーリーが朗読劇では披露されました。既にアヴァロン・ル・フェをクリアしている方には「マシュがタイムトラベルするとこから最後まで」というだけで、その超大ボリュームが伝わるかと思います。いやボリュームすごすぎるよ! 流石に3時間の朗読劇は初めてだわ!!
もはやどこから書けばいいのかも分からないくらい凄まじい朗読劇だったのですが……まず第一にステージの演出がすごい。幕張メッセは普段、アーティストの音楽ライブなども行われる場所。なので、ステージ上には炎が出たりレーザーを発射する舞台装置があるのですが……この朗読劇はその装置もフルに使っている!
トネリコの愛したロンディニウムと円卓の騎士が妖精たちによって滅ぼされるシーンではステージ上に炎が上がり、アルトリアが玉座に接続してその聖剣を抜刀するシーンでは、エクスカリバーの輝きに合わせた青白いレーザーが迸る。朗読劇の演出か……?
そしてやはり声優陣の演技もすごい。徐々に徐々にその身が呪われていくバー・ヴァンシーの狂気を演じ切る和氣あず未氏、オーロラへの愛を叫ぶメリュジーヌの想いを完璧に表現する高野麻里佳氏。もちろんキャスト陣全員の演技が素晴らしいのだが、特にモルガン役、石川由依氏の演技が凄まじい。
冬の女王モルガンの過去の姿、「トネリコ」。
ゲーム内においてはアルトリア・キャスターの第2再臨と完全に同じ姿をしており、やはりどうしても脳内音声も川澄綾子氏で再生してしまっていたところがある。
しかし、このトネリコもモルガン同様石川由依氏が演じており、その年頃の少女っぽいアルトリア・キャスターに近くも、後に妖精國を支配する冬の女王となる救世主の声色の違いには感嘆の声を漏らすことしかできない。すいません、今からでもトネリコ実装しませんか?
さらにキャストが実際に登壇していないキャラクターも一部フルボイス化されており、ガレスにパーシヴァル、ノクナレアの台詞もフルボイスでお送りされました。そしてなんと……いやまぁこの男をフルボイスにしなかったら一体誰をフルボイスにするんだって感じではあるんですが、オベロンの台詞もフルボイス化されていました。おい!! オベロンフルボイスは死人が出るど!!!
もちろん、最後に出てくる、あの最悪で最高な詐称者<プリテンダー>も、フルボイスでね!
こちらの「FGO THE DRAMALOGUE -アヴァロン・ル・フェ-」、一応3時間内に収めるために合間合間はカットされ、名シーンを抜粋しつつもちゃんと縦軸は分かるような……簡単に言えば「再編集劇場版」のような作りになっています。
そのため、モルガンが妖精たちによってその夢を壊されてしまってから……大聖堂での戴冠式からは、もはや名シーンのつるべ打ちと言った状態で、「さ、流石にカロリーがすごい!」と思ってしまうほどの凄まじいラッシュを畳みかけられます。
何気にこの前半から後半戦までの間の休憩タイムにて、あの「ご歓談」が完全に再現されていたのも、この朗読劇のすごい部分です。
FGO本編における「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」実装当時、オーロラによってモルガンが打ち倒され、明らかに不穏な空気のまま「こうしてめでたく、冬の女王は倒されました!(中略)締めくくりになるエピローグは、大聖堂で数日後に行われます!それまでどうかご歓談の程を。」というあんまりにもあんまりなメッセージが表示され……まぁ阿鼻叫喚となったわけです。
実際の朗読劇でも、「大聖堂の戴冠式まで、15分の休憩とさせていただきます!」というナレーションが聞こえた瞬間、会場中に大きな拍手が響き渡りました。ご歓談でひとつになる会場、どういう会場?
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」の後半戦はもはや取り上げるべきシーンが多すぎて、正直全部を書いているとそれだけで日が暮れてしまうので、ここからは朗読劇に登場した上で、私が個人的に好きなシーンを3つ抜粋しましょう。
まずひとつめは、「聖剣を作り出すために、選定の場に立つアルトリア」のシーン。「楽園の妖精」の使命、それは厄災を撃ち滅ぼす「聖剣」の概念を確立するために、彼女が獲得した経験、記憶、霊基、運命……その全てを材料にして「聖剣」を作り出すこと。
永遠に閉ざされた理想郷……アヴァロンに辿り着いたアルトリア・キャスターが、冬の記憶、秋の記憶、夏の記憶、春の記憶を追憶する。
「耳を壊すような風の音。わたしを飾るものは何もなくて、体は石のように冷え切っていて、まわりは一面真っ黒で、温かなものは一つもなく、行き先も見当たらない。」
「それがわたしの見てきた風景。ブリテンは、わたしにとって地獄だった。」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」楽園の妖精
本来であればこれまで生きてきた人生の中で、「最も楽しかった記憶」を追憶することができるはずの「春の記憶」。それが……アルトリアに限っては何もないまま終わってしまった。アルトリアに、春の記憶なんか、なかった。生まれた時から酷使と虐待と無関心を浴びて、ごうごうと吹き荒ぶ嵐の中で生きてきた「楽園の妖精」に、楽しくて美しい春の記憶など、あるはずもなかった。
しかし、それでもアルトリアは選定の場に立つ。悲しかった経験、辛かった記憶、苦しかった運命、その全てを投げうって、彼女は今、選定の場に立った。今こそ、星の生まれる刻。
「でも。振り返れて、良かった。
わたしの人生、まんざらでもなかったなって。
今まで、ずっと思ってた。
わたしなんかに、この世界を救えるはずがない。
わたしなんかが、彼らの世界を終わらせていいはずがない。」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」アルトリア・キャスター
私は、「人生の肯定」というテーマ性が、とても好きです。
どんなに辛いことがあったとしても、どんなにその人の進むべき道に苦難が待ち受けていたとしても、最後の最後に、何かしらの救済が待っている。楽しくて、悲しくて、幸せで、辛い時間を歩んできたその人が、終わりの時には「あぁ、生きていて良かった」と思える物語が、私は大好き。
それがハッピーエンドだったとしても、ノーマルエンドだったとしても、メリーバッドエンドだったとしても、そのルートを歩んできた人間自身が、「報われた」と思えるのであれば、私はどんな終わり方だっていい。だって、どんな人間も、幕切れを迎える時には幸せであるべきでしょう? それを願うことだって、最後の最後くらいは肯定されて終わって欲しいと心の底から純粋に願うことは、誰にも止める権利はないでしょう?
楽しいことなんてひとつもなかった楽園の妖精。四季折々の中、楽しくて、明るくて、幸せに満ちている「春」だけが欠落した楽園の妖精。醜くて暗くて耐えがたい嵐の中、たったひとつの「星」を目指して歩き続けた楽園の妖精。好きな人と街の大通りを歩くことができた、アルトリア。彼女が、「わたしの人生、まんざらでもなかったなって。」と言い切るシーンが、私は何よりも大好き。
「誰かのため、でもない。自分のため、でもない。正義のためでもない。」
「わたしは、たぶん。」
「何か一つ、裏切れないもののために。
ずっと、嵐の中を進むのです。」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」アルトリア・キャスター
ふたつ目はソールズベリー大聖堂での戴冠式。新たな妖精國の女王に選ばれたノクナレアが、アルトリア・キャスターにその想いを伝え、叶わぬ夢と共に幕切れを迎えるシーン。
ずっとずっと女王に憧れていたノクナレア。恋にも憧れていたノクナレア。女王としての正装でもあり、純白の花嫁姿にも見えるその衣装を纏ったノクナレアは、「女王になったら恋をする」と決めていたノクナレアは、婚姻を取り行う場所でもある大聖堂にて殺害されてしまう。
「ええっと……あれ、おかしいな。あなたのかおは、よよよ、よく、しっています。」
「いつも、つらいとき、おもいだしていたので。きそいあう、らら、らいばる、なので。」
「……ごめん、なさい。なかないで、しらないかた。
あなたのことは、いまも、わかります。
いつも、しるべに、していたので。」
「そのひかりをたどれば、かえれるの、です。どんなみちでも、まよわず、に━━━」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」ノクナレア
私は、「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」は、「叶わぬ愛の物語」でもあると思っています。バー・ヴァンシーからベリル・ガットへ、ベリル・ガットからマシュ・キリエライトへ、パーシヴァルからメリュジーヌへ、メリュジーヌからオーロラへ、ウッドワスからモルガンへ、モルガンからバー・ヴァンシーへ……。
たったひとりの救世主が見た夢の国、妖精國。夢の理想郷、楽しい楽しい妖精國には、叶わない愛が、届かぬ恋が満ちている。ノクナレアもそのひとり。女王になったら恋をすると決めていたけど、大聖堂で純白のドレスに身を包むことまではできたのだけれど、恋をすることは……叶わなかった。
これまで「愛」に含めていいのかはわかりませんが、たったひとつの「星」を目指して、ただひとつの裏切れないもののために歩き続けていたアルトリアを、ノクナレアが「標」にしていたこと。その光を辿れば、どんな道でも迷わず帰ることのできる「標」だと思っていたことも、私は大好きです。
「それは、うそ。あんなにまけずぎらい、なんだもの。
あなたは、たとえ、ひとりでも。
かならずほしを、さがすでしょう。」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」ノクナレア
「わかってる……わかってる……愛されていないコトなんて、わかってる……!
それでも……それでも僕は、きみを愛している……
愛しているんだ、オーロラ…………」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」メリュジーヌ
「叶わぬ愛の物語」の最大のひとつ、メリュジーヌからオーロラへの愛。流石にそろそろ読者のみなさまに「これもう朗読劇の話じゃなくてお前の個人的な趣旨趣向で6章語ってるだけだろ」とバレてきている気がするので、一応言っておくと、このシーンは朗読劇で高野麻里佳氏の演技を聞くことで、より好きになりました(もちろん元から好きなシーンではありましたが)。
特に、「愛しているんだ、オーロラ…………」は己の最も愛していたものから「ブリテンで最も醜い、腐ったケダモノ」と呼ばれたメリュジーヌの心情が全て込められた渾身の演技となっており、こちらも涙を誘われました。
「いつか自分より大切なものがきっと出来る。だって私がそうだったから!
忘れないで、パーシヴァル。このブリテンがどんなに酷い世界でも。
愛するものが一つでもできたのなら、それが━━━」
「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」メリュジーヌ
炎の厄災、アルビオンとなったメリュジーヌの前に立ちふさがる最強の円卓の騎士、パーシヴァル。オーロラを愛するがゆえに、オーロラを地獄<みらい>には連れて行かない選択をしたメリュジーヌ。そんな彼女からの、「いつか自分より大切なものが、きっとできる。」という言葉。
自分よりも大切な厄災を、たったひとりの愛する炎の竜を今討ち果たさんとする円卓の騎士。こちらも高野麻里佳氏の演技によってだいぶ好きになったシーンのひとつです。
こちらの朗読劇「FGO THE DRAMALOGUE -アヴァロン・ル・フェ-」は、後日アーカイブの配信が決定しているとのことです。現地に足を運べなかった方、配信を見れなかった方は、ぜひアーカイブを見てくださいませ。きっと、6章クリア後の方がより楽しめると思います。
みなさま、妖精國は楽しかったですか? 彼女の國はどうですか? 美しい國でしょうか。夢のような國でしょうか。そうであれば、これに勝る喜びはありません。妖精國ブリテンにようこそ、お客様。どうかこの風景が、いつまでもあなたの記憶に残りますように。
好きな英霊とチェキを撮ろう!「英霊召喚フォトスタジオ」と会場大歓喜の7周年生放送
さて、ここからは7月31日のDay-2のお話に参りましょう! この記事、Day-1の時点で1万字超えてるんですって……毎回毎回イベントレポートの形式が崩壊しててすみません……
何気に現地の会場ではDay-1から『マンガでわかる!FGO』でお馴染みのリヨ氏がデザインしたキャラクターの着ぐるみたちが歩き回っており、上手く出会うことができればリヨぐだ子こと女主人公がこちらを蹴飛ばさんとする勢いで近づいてきます。ちなみに上記の写真は実際に私が接近した時の写真です。この写真めちゃくちゃ良くないですか!?
続いて紹介するのは「英霊召喚フォトスタジオ」!
お気に入りをひとり選んで、その推しサーヴァントと写真を撮っちゃおう! えっ、アシュヴァッターマンの横でピースしてる奴は誰かって? 私だよ私!!
コイツ、めちゃくちゃ楽しそうやな………
おや、この聖杯使ってレベル100にするくらいアシュヴァッターマンが好きらしい男、どうやら「ワダアルコ展」と書かれたシャツを着ていますが……?
そう! 何を隠そう、なんとこのTシャツ、松屋銀座は8階のイベントスクエアにて開催されていた「ワダアルコ展 Fate & Fate/EXTRA ART WORKS」のTシャツなんですね!
『Fate/EXTRA』シリーズにてキャラクターデザインを担当しているワダアルコ氏の美麗なイラストがたくさん展示されており、もちろん『Fate/Grand Order』にてワダアルコ氏が担当したサーヴァントや礼装も展示されています! しかもこちらのワダアルコ展、大半のエリアが撮影可能(一部禁止エリアもあり)となっているため、良い感じにインターネット映えしちゃうかも……?
えっ、何? ワダアルコの回し者ムーブがすごい? FGOフェスとは関係ない?
ハッハッハ、何のことかな?
いや、でもこのワダアルコ展自体は本当に素晴らしい展覧会なので、まだ行ってない方はぜひ足を運んでくださいませ。この記事が公開される頃には東京での展示は終了しているかと思うのですが、10月から大阪での開催も予定しているとのことです。きっと後悔はしません。
そして2日目の「Grand STAGE」コーナーでは「7th Anniversary Special Live ~Re:Collection of Avalon le Fae~」と題し、「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」を彩った楽曲のスペシャルライブが開催!
7th Anniversary Special Live ~Re:Collection of Avalon le Fae~
セットリスト
1.「トネリコ~女王モルガン戦~」
2.「戴冠式~妖精円卓領域:崩壊」
3.「境界~炎の厄災~」
4.「魔犬~獣の厄災~」
5.「夢幻~呪いの厄災~」
6.「星の生まれる刻」
7.「おしまい~妖精円卓領域:O・ヴォーティガーン」
こちらの珠玉の7曲がプロのバンドによって奏でられる! てか今資料見て気付きましたが、あのバイオリンの人、Ayasaさんやんけ! 界隈ではお馴染みのAyasaさんやんけ!!
このスペシャルライブも朗読劇同様に炎やレーザー演出がふんだんに使われており……って多分こっちの方が本来の運用方法なんですよね。炎が出てた朗読劇がすごすぎた。
特にバーゲスト戦の「魔犬~獣の厄災~」でステージ上から炎が出る演出は大迫力!
曲に合わせてアルビオン戦前の「炎の厄災 ALBION」の演出が映し出されたり、背景モニターの演出も中々にイカしている。特にノクナレアが倒れる時のあの一枚が出た時がね……あそこはね……
このライブ、やはり幕張メッセなだけはあってとにかく音圧がすごい。妖精國が負った罪が、妖精國にあった夢が、妖精國を焼き払う厄災の憎しみと嘆きと慟哭と呪いが、旋律となって全身に伝わってくる。これから周年放送控えてるってのに、アルトリアが嵐の中で星を目指して歩み続ける「星の生まれる刻」が演奏された時には、涙が止まらなくなっていました。
こちらも間違いなく、最高のライブでした。
そしてついに始まった2日間に渡るFGOフェス2022最後のイベント、「カルデア放送局 7周年SP」! 島﨑信長氏はまさかの「英霊夢装:アルジュナ」のコスプレ姿で登場! サンキュー、パッコ!
いやてかこの衣装の制作、よく間に合いましたね!?
ネコアルク&マシュのメルブラ参戦、ワダアルコ展にて先行公開されていた『Fate/EXTRA Record』の最新映像、今年の福袋召喚……FGO内外問わず数多くの情報が発表された周年放送。
この福袋召喚が発表された時、モニターのサーヴァントを確認するために会場中が前傾姿勢になってたのがめっちゃ面白かったです。ちなみに私も前傾姿勢になってました。いや~私はこれ「バーサーカー②」行きますわ!
やっといた方がいいですよ、40%OFFの『月姫 -A piece of blue glass moon-』は……! 女将まで……!?
そして何よりも……アルクェイドもとい「アーキタイプ:アース」の登場!
発表された時、会場中が拍手の渦に包まれました。その一体感も含めて、私は少し泣いてしまいました。召喚のピックアップキャラが発表されただけで泣いたのは人生で初めてです。
鳴りやまぬ拍手、あまり声を出さない方がいいかもしれない時勢だけどこれには流石に「うおおおおおおお!!!」と声を挙げる人、私と同じく召喚のピックアップキャラが発表されただけで泣いている人……この会場の大盛り上がりを生で味わえただけで、確実に現地に行った意味はありました。
帰りの幕張メッセからJR海浜幕張駅までの道のりでも、みんなFGOを開いてアップデートをしていたし、JR海浜幕張駅東京方面の4番ホームではみんなしてアーキタイプ:アースピックアップを引いていました。7月31日のJR海浜幕張駅に限っては、おそらく全国で最もガチャが回った駅なのではないでしょうか。
もちろん電車の中でも7~8割の人間がスマホを横に傾けて引き当てたアーキタイプ:アースを早速運用したり、思い思いのFGOフェスの思い出を語り合ったりもしていました。都心からは離れたところで暮らしながらFGOを続けていた私からすると、この光景そのものが、まさに夢物語なのです。
【カルデア広報局より】
— 【公式】Fate/Grand Order (@fgoproject) July 31, 2022
幕張メッセで開催しておりました「FGO Fes. 2022 ~7th Anniversary~」は、ただいまをもちましてご好評のうちに閉場いたしました。ご来場およびステージ配信をご覧いただきありがとうございました!
7周年を迎えた「FGO」を今後ともよろしくお願いいたします。#FGO #FGO7周年 pic.twitter.com/VzUd7vRgr0
まさに夢のような2日間でした。「Fate/Grand Order Fes」が、もし来年も開催されるのなら、絶対にまた来ようと思います。本当に、本当に楽しいフェスでした。ありがとうございました!
開場前の超豪華メッセージフラッグ
━━━━まだ、終わらない。多分こんなぬるっと終わったら編集部にシバき回されることでしょう。時を遡ること7月30日。「Fate/Grand Order Fes. 2022」Day-1の朝8時半。一般入場は9時開始となっているのですが、メディア陣及び関係者は写真撮影なども兼ねて、会場内には8時から入場することができました。
つまり、この幕張メッセの会場には現在、メディアとスタッフと関係者のみ。
そこで私が会場で発見したのが、この「メッセージフラッグ」。会場に来た方が応援メッセージやお祝いイラストを書き込むところ。そして今の会場内には関係者とメディア陣のみ。
……勘のいい方はもう薄々お気付きやもしれませんが、私がこれを見に行った時にはあのイラストレーターやこのシナリオライターが生でメッセージフラッグに書き込んでおり、まさに超豪華メンバーで送るお絵描きチャット状態と化していたのです。
そこで私は、ふと思ったのです。「あれ?これもしかしてこの会場で一番の激熱コンテンツじゃね?」……と。なので、一般入場開始までの30分間、私はひたすらこのメッセージフラッグに魅入られていました。これを俗に言うところの「取材の放棄」です。あ━━━プロとしてな━━━━━
まぁそうして私はなんやかんやがかくかくしかじかあって、この辺でアレをソレをモニョモニョしていたのですが……私の目の前で、突然ある声が聞こえました。
「奈須です。」
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
……すいません、あまりにも錯乱してスパロボで撃墜された時の敵AIみたいになりました。この時の私は極度の混乱状態にあり、「あぁ、もしかして今自分の目の前にいるこの人は『那須』とか『茄子』って苗字のラセングルの人かな?」と、脳内論理回路を回転させまくっていたのですが、その人から手渡された名刺には、「奈須きのこ」と書かれており……………
ここからは本当におかしくなっていたので、とにかく奈須さん相手に「僕のこの『ジスロマック』ってペンネームはですね、5歳か6歳くらいの頃にインフルエンザにかかって『ジスロマック』って名前の薬を飲んだらあまりにも不味くてショッピングモールのフードコートで嘔吐したからなんですよ」と何故か自分のペンネームの由来を語っていたことは覚えている。なぁ、私よ、なんで奈須きのこ前にして自分の名前の由来語っとる?
あ、あああ……あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
ちなみにこの後もステージ取材などが色々あったのですが……「え、嘘でしょ?幻覚?こんなことある?」と朦朧とした状態で、全く取材のことなど考えられませんでしたとさ。めでたしめでたし。奈須さん、ありがとうございました。
おわりに
……さて、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。現地に足を運べなかった方は現地の空気感を少しでも感じ取っていただければ、当日会場に来ていた方はあの楽しかった2日間をこの記事で少しでも思い出していただければ、これ以上の喜びはありません。
私が記事冒頭にて触れた、中学の頃から6年間『FGO』を続けているという話がありましたが、何度考えても、人生とは、運命とは、不思議なものだと思います。そして私はいつも、「コイツ、楽しそうだな……」と読んだ人に思って欲しくて、記事を書いています。
私なんかの駄文を見てくれる人には、少なくとも良い気持ちになって欲しい。だからどれだけアホっぽくても、とにかく「なんか楽しそう」と思っていただければ、私にとってこれ以上の幸せはないのです。
でも、私自身のこれまでの人生に対して、「生きていて楽しかったか?」と問われた時に、本当に心の底から「楽しかった!」とは断言できないかもしれません。私の人生は、常に「生きづらさ」が纏わりついていたし、私にとって、この現世はごうごうと鳴り続ける、とてもとても耐えがたい嵐の中なのかもしれない。
しかしそれでも、その嵐の中に居たとしても、たったひとつの星を見つければ、その星を目指すことができるのなら、たとえひとりでも星を探すことができたのなら、何かたったひとつの「裏切れないもの」のために嵐の中を進むことができたら、人はどこまでも歩いていけると思います。
この世界そのものが辛い私にとって、そのたったひとつの裏切れないもの、耐えがたい嵐の中の星、それこそが「娯楽」であり、「ゲーム」であり、『FGO』でもあったのかもしれない。
いつも辛い時、娯楽のことを、ゲームのことを、ゲームの中にある世界のことを、ゲームの中で描かれる物語のことを思い出していました。昔遊んだゲームだって、1年前に遊んだゲームだって、今でもよく思い出せます。いつも、辛い時にはゲームを、FGOを、「標」にしていたので。
その光を辿れば、どんな辛い状況でも、どんな苦しい道でも、迷わずに帰れるのです。
人は、いつか自分より大切なものが、きっとできる。それが、私にとっては「ゲーム」だった。
たったひとつできた「愛する者」、それが、私にとっては「ゲーム」でした。
そして私は何よりも、ゲームの「物語」を愛しています。ある光の戦士の冒険譚。血を吸わない吸血鬼と優しい殺人鬼の、文学的で、退廃的で、快楽的で、壊滅的な、恋の物語。ゲームの中で語られる物語、ゲームの中にある世界は、私を渦巻く嵐のような地獄の中で、いつだって星であり続けたし、いつだって標であり続けたし、私に夢と、希望と、安らぎを与えてくれました。
私は「娯楽」を通ずることでしか……あるいは、「ゲーム」を通ずることでしか、「生」を見つけ出せないのかもしれない。そのくらい、愛している。愛しているんだ、ゲームを……。
もし、本当にそうだったとしても。私が私自身の生きる意味に「ゲームを遊ぶこと」しか見出せなかったとしても、少なくとも今は見つけられている。生きていて、良かった。明日突然死んだとしても、明日突然世界が終わりを迎えても、少なくとも今なら、私の人生はまんざらでもなかったかもしれない……と、言える気がする。
ずっと『FGO』を続けていて良かった。本当に、楽しいイベントだった。自分がこれまで『FGO』と共に生きてきた6年間が、あまり楽しくなかった学生の自分が、全て報われるような、夢物語のような2日間だった。人生は何が起きるかわからない。生きていれば良いことがあるかもしれないし、もしかしたら終わりを迎えるその時まで、苦難の道に終わりはないのかもしれない。
でも、だったとしても。少なくとも、今見えているあの星に向かって歩き続けることは、決して無駄なんかじゃない。
…………………………………しんみりしすぎましたね?
これは……果たしてイベントレポートとして成立しているのか? フッ、私ってこういうスタイルなんですよ……いつもいつも私のエゴを巻き散らしてすみません……
あっ、それはそれとしてみなさん、アルクェイド当てました!?!?!?
最後は明るく終わらせます! 明るく終わる方が好きなんです!
俺は、持ってる。