いま読まれている記事

ギリッギリの弾薬とキレッキレの謎解きがプレイヤーを苦しめる。『Tormented Souls』は 往年の名作ホラーゲームの雰囲気を存分に楽しめる良作

article-thumbnail-220812h

 暦は8月に入りまして、夏本番。猛暑の毎日でございますが、いかがお過ごしでしょうか。夏といえば、海、山、セミ、スイカ、花火など様々なものが連想されますが、夏は、怪談ホラー映画ホラーゲームの季節でもあります。
 ということで、今回ご紹介させていただきますゲームは、チリのゲーム開発会社Dual Effect / Abstract Digitalが制作したホラーゲーム『Tormented Souls』。Steam版で高評価を集めていた本作は、7/28に満を持して Nintendo Switch版が配信開始となりました。

 『バイオハザード』『アローン・イン・ザ・ダーク』シリーズにインスパイアされたという本作は、昔ながらのホラーゲームを現代風にアレンジした意欲作。今回の記事では、Nintendo Switch版のプレイを通して、本作の魅力をじっくりとご紹介していきたいと思います。

『Tormented Souls』ゲーム画面1

文/DuckHead

※この記事は『Tormented Souls』の魅力をもっと知ってもらいたいPhoenixxさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


冒頭から怒涛の展開を見せるストーリー

『Tormented Souls』タイトル画面

 こちらが本作のタイトル画面になります。この画面では、美しくも物悲しさを感じる曲調の、思わず聞き入ってしまうようなピアノソロ曲が流れています。
 ちなみに、本作のタイトルである『Tormented Souls』の意味は、“苦しめられた魂”。そのタイトルからして既に嫌な雰囲気が充満していますが、一体どのような苦しみが待っているのでしょうか。ゲーム開始を選択し、ゲームスタートです。

『Tormented Souls』主人公のキャロライン・ウォーカー
キャロライン・ウォーカー

 ゲームがスタートして早速登場したのが、主人公のキャロライン・ウォーカー。彼女のもとに手紙が届いたところから、物語の幕が上がります。

『Tormented Souls』双子の写真

 キャロラインが届いた手紙の封を切ってみると、中には色褪せた双子の写真が入っており、写真の裏には “私たちをここに見捨てることができると思っているの?” と書かれていました。
 手紙の内容と双子の写真には全く心当たりがないものの、キャロラインはこの日から二週間悪夢にうなされ続けることに。この悪夢の理由、写真の秘密を解き明かすため、彼女は手紙の差出人であるブラックウッド島のワイルドバーガー病院へ単身赴きます。

ワイルドバーガー病院

 意を決して病院の中に足を踏み入れた彼女。これからいよいよ秘密を解き明かすための探索が始まります。

突然の襲撃

 すると、突然何者かに背後から殴られ、彼女は昏倒。床に倒れこんでしまいます。そして画面は暗転。

人工呼吸器につながれたキャロライン

 画面が明転し、場面が切り替わると、キャロラインはバスタブの中に入れられ、人工呼吸器につながれていました。誰が何の目的でこんなことをしたのかは一切分かりませんが、彼女の身にはもう1つ大きな異変が。右目を覆うようにして、包帯が巻かれていたのです。

右目に巻かれた包帯

 この包帯は一体どういうことなのか。キャロラインが近くにあった鏡の前で恐る恐る包帯を外すと……

えぐり取られた右目

 なんと、彼女の右目が何者かによって抉り取られていました。これはあまりにも急すぎる展開。実は私、ホラーもグロも物凄く苦手なんですが、その中でも特に目に関わることが苦手でして、この時一緒に流れた音楽も相まって、これにはかなり肝が冷えました。

 ……片目を失ってしまったキャロラインを前にしてこんなことを言うのもどうかなとは思うんですが、ホラーゲームの導入、掴みとしては申し分ないインパクトなのではないでしょうか。正直なところ、何とも言えない不気味さや気持ち悪さもかなりあったんですが、私はここで一気にストーリーに引き込まれてしまいました

『Tormented Souls』ゲーム画面2

 病院に足を踏み入れてから衝撃的な事件が連続していますが、キャロラインの身に何が起きたのか、写真の双子は一体何なんなのか、この病院にはどのような秘密があるのか突き止めなければなりません。ひとまずバスルームから脱出し、廊下へ。次に向かうべき場所のヒントは特にないため、とりあえず道なりに進んでみることに。

画面の砂嵐
画像ではかなり分かりにくいですが、画面全体が砂嵐のようなものに覆われています

 すると、暗闇に入った瞬間に画面が砂嵐のようなものに覆われました。「何だこれは……?」と思いながらも、怯むことなく更に暗闇へ向かって歩みを進めていくと、先ほどまではかすかに聞こえていただけだったBGMがだんだん大きくなってきました。このまま暗闇に居続けたら間違いなく大変なことになると思い、来た道を引き返しそうとしましたが、時すでに遅し。

暗闇にのみ込まれる

 キャロラインは何者かによって暗闇の中へと引きずり込まれてしまい……

ゲームオーバー画面

 ゲームオーバー。まさか再序盤から即死トラップがあるとは思いませんでしたが、ゲームオーバーになってしまったものは仕方がありません。メインメニューに戻り、セーブデータをロードして攻略を進めていきましょう。

ロード画面

 ……あれ?セーブデータがない?
 思い返してみれば確かに、ゲームスタートからここまでの間、セーブらしきものは一切登場していません。最近のゲームの親切さにちょっと毒されてしまっていたようで、「このゲームはオートセーブなのかな」などと楽観的に考えていたりもしたのですが、そんなことは全くありませんでした。
 最初のセーブポイントに到達する前に即死が仕込まれているとは、どうやらこの『Tormented Souls』、かなり硬派なゲームであるご様子。

 セーブデータが存在しないのならば、ゲームを最初からやり直す以外に取るべき道はありません。再び“ゲーム開始”を選択し、戻し作業を行います。

 さて、数分かけて先ほどゲームオーバーになった地点まで戻ってきました。この次にすべきことはただ1つ。そう、セーブです。ついさっきはゲームの再序盤ということでかなり油断をしていましたが、忘れないうちに、このタイミングでしっかりとセーブデータを作っておきましょう。

 ……色々とメニュー画面を調べてみましたが、セーブのコマンドがありません。どうやら、プレイヤーの好きなタイミングでセーブをすることは許されていないようで、セーブポイントを探さなければならないようです。
 となると、ここからセーブポイントまで、死んでしまうわけにはいきません。ミスが許されないこの状況に、お化け屋敷的な恐怖とはまた違う意味で、心拍数が上がってきました。

『Tormented Souls』ゲームプレイ画面3

 先ほどキャロラインを飲み込んだ暗闇とは別の方向へ進んでみると、ライターを入手することができました。

ライター入手

 このライターを装備してみると、キャロラインの周囲を照らすことができるように。これで先ほどの暗闇に入っても画面が砂嵐になることはなく、病院内の探索が可能となりました。
 どうやら、明かりのない完全な暗闇の中にしばらくいると、影に引き摺り込まれてしまうようです。そういえば、最初のバスルームの壁に、「影に抱かれぬように」というメッセージが書かれていたことを思い出しました。あのメッセージはこのことを示唆していたんですね。

「影に抱かれぬように」
「影に抱かれぬように」

 となると、暗闇には用心して攻略を進めていかなければなりません。……とは言うものの、画面が砂嵐に覆われてからキャロラインが闇に引き摺り込まれてゲームオーバーになるまでには、時間的な猶予が結構あります。アイテム画面を開いている間にゲームオーバーになってしまうということはないため、暗闇に包まれたとしても、落ち着いてアイテム画面からライターを装備すれば、影に抱かれることはありません。

『Tormented Souls』ゲーム画面4

 灯りの少ない院内をライターで照らしつつ先に進むと、ようやくセーブポイントに到達。幸いにも、暗闇に潜む謎の怪物以外の敵が出現することはありませんでした。

セーブ用テープレコーダー

 さて、本作におけるセーブは、テープレコーダーを使って、テープにこれまでの進捗を録音するという形式で行われます。
 テープレコーダー自体は院内の各所に置かれているのですが、録音をするためのテープを持っていなければ、セーブをすることはできません。しかも、そのテープレコーダーは使い捨ての消費アイテム。一度セーブをすると手元から無くなってしまうため、本作はセーブ回数に非常に強い制限がかかっています

セーブに必要な7インチテープ
セーブに必要な7インチテープ

 せっかくここまで苦労をして時間をかけてセーブポイントに辿り着くことが出来たので、すぐにセーブをしてしまいましたが、「このタイミングでセーブしちゃって本当によかったのかな?」という不安に駆られます。
 この絶妙な “不親切さ” が良いアクセントとなっていて、後戻りできない恐怖感を演出しています。

『Tormented Souls』ゲーム画面5

 タイミングにこそ不安は残っているものの、セーブが出来たという事実による安心感はかなりのもの。院内は相変わらずの暗さが続きますが、どこからか何かが出現するんじゃないかという恐怖心を友にして、探索を続けていきます。

『Tormented Souls』ゲーム画面6

 こうしてプレイしていたときの画像を見返して思うのが、ゲーム画面がかなり暗いということ。映像で見ているときはもう少し明るく感じていたんですが、相当な暗さですよね、これは。一応、ゲーム側が推奨する適切な明るさに設定してはいるのですが、ここまで暗いと心細さが半端じゃありません。

『Tormented Souls』ゲーム画面7

 周囲の様子があまり分からない暗闇の中、おっかなびっくりゲームを進めていくのですが、グロテスクなシーンはそこそこあるものの、敵のようなものは一切登場しません。「どうもこのゲームは暗いだけでプレイヤーを驚かすようなことはしてこないらしい」と、キャロラインの足取りも軽くなり始めたところで、

車いすに乗ったモンスター

 ついにきました、モンスターの登場です!車椅子に乗ったこのモンスターは、ナイフを振り回しながら、キャロラインに襲い掛かってきます。
 いよいよホラーゲームらしくなってきましたね。素晴らしい。ホラーゲームは苦手ですが、どうせやるならこういうモンスターが出てきてくれないと面白味がありません。ビックリさせられるのは嫌ですが、何か起こるんじゃないかと思わされ続けながら結局何も起こらない方が腹立たしいのもまた事実。コントローラーを握る手に力が入ります。

 しかし、この危険な状況に対し、こちらにはこのモンスターに対抗する術が何一つありません。持っているのは南京錠など役に立ちそうにないものばかり。逃げる以外の選択肢はキャロラインに存在しないようです。
 刃物を振り回して接近してくる敵から逃げるしかないこの状況に、名作ホラーゲーム『クロックタワー』シザーマンを思い出しつつ、近くの扉に飛びつき、隣の部屋へ転がり込むように移動します。

神父

 すると、その部屋にはモンスター……ではなく、人間がいました。キャロライン以外の人間のキャラクターが登場するのは彼が初めて。街の神父である彼に事情を話すと、この病院が現在は使用されていないということと、発電所で電力を復旧させた方がいいということを教えてくれただけでなく、「丸腰で歩き回るのは危険すぎる。これを持っていきなさい」と、アイテムまで手渡してくれました。

釘打ち機

 そして、神父から貰ったのがこの釘打ち機……。「これをどう使えと?」と一瞬思いましたが、先程釘を拾っていたことを思い出しました。

釘

 この釘を釘打ち機に装填することで、即席の武器の完成です。そして、これが本作のメインウエポンの1つとなります。武器をくれた神父に感謝をしつつ、キャロラインが「あなたは武器がなくてもいいのですか?」と尋ねると、「聖書があるから大丈夫」との返事。じゃあその聖書をくれりゃあ万事解決じゃねぇかと思ってしまいましたが、そういうわけにはいきませんよね。

取扱説明書
どこで使い方を習った?

 そして、近くには取扱説明書が置かれていました。この取扱説明書は、本作におけるチュートリアル的な存在。このアイテムを見る以外で操作方法が説明されることは特にないため、しっかりと確認しておきます。
 これによると、ボタンを押して銃を構えた後、さらにボタンを押すことで、発砲したりバックステップによる回避行動を取れたりするようです。

戦闘の様子

 新たに武器を手に入れることができたので、先ほどのモンスターと対峙し、思いっきり釘を打ち込みます。本作では、銃を構えさえすればキャロラインが自動で敵に狙いをつけてくれるため、エイム力を求められることはありません。この仕様のおかげで、戦闘は簡単に進められるように思われましたが、釘打ち機では攻撃力が貧弱すぎるのか、中々モンスターが倒れてくれません。気がつけばあっという間に接近され、ナイフで切りつけられてしまいました。モンスターとの戦闘では、敵の動きを見極めて、バックステップをしたり敵から離れたりするといった行動が求められます。

アイテム画面
体力はアイテム画面から確認可能。
画面右上のレントゲン写真の下にある表示で、残りの体力を判断する

 さて、本作は通常のゲーム画面上に体力ゲージが存在しません。キャロラインの残り体力はアイテム画面から確認することができ、“FINE” “CAUTION” “DANGER” の3段階で表されています。
 “FINE” と “CAUTION”の場合は特に動きに変化はありませんが、“DANGER” になるとキャロラインの様子が一変。腹部を押さえて明らかに辛そうな様子を見せ、移動速度も遅くなってしまいます。この状態では色々と不都合なことも多いので、体力が“DANGER”になったら、すぐに回復アイテムを使用するのがオススメです。ですが、その回復アイテムにも当然限りがあるため、上手く立ち回らなければすぐに底をついてしまいます。

アイテム画面2

 新たな敵の脅威に怯えつつ探索を進め、神父のアドバイス通りに電力を復旧させると、病院内が明るくなりました。病院内の全ての場所が明るくなったというわけではありませんが、これである程度落ち着いて探索を進めることができますね。

『Tormented Souls』ゲーム画面8

 少し前に訪れていた待合室に、電気が通っていないために開けることができなかった扉があったことを思い出し戻ってみると、何もいなかったはずのこの部屋にモンスターが2体出現していました。

 銃を構えれば自動で敵を狙ってくれるとはいえ、2体を同時に相手にするというのは、操作に慣れていない身にとってはなかなかの難しさ。上手く立ち回ることができず、モンスターたちの攻撃を何度も食らってしまいます。このままモンスターを相手にし続けていては、ゲームオーバーになることは必定。しかも、残りの釘の数はどう考えても2体のモンスターを倒すのには足りません。先ほどのセーブからそこそこ時間が経過していたということもあり、この2体のモンスターを相手にしないことに決め、攻撃を受けながらもゴリ押しして強引に突破。セーブポイントがある、隣の診療室に逃げ込みます。

セーブ画面

 少し前に拾っていたテープを使い、先ほど作ったセーブデータに上書き保存。これで後ろ盾ができました。じっくりと先程のモンスターたちの相手をすることができそうです。

『Tormented Souls』ゲーム画面9

 診療室を出て待合室へ移動すると、なんとすぐ目の前にモンスターが待ち構えており、キャロラインに攻撃を仕掛けてきました。扉を開けてエリア移動をした直後には、一切操作をすることができない硬直時間が発生するため、そのまま成す術もなくモンスターの刃をくらってしまうキャロライン。
 これまた何とも間の悪い話なのですが、この一撃でキャロラインは “DANGER” 状態となってしまいました。この “DANGER” 状態になると、キャロラインの移動速度が遅くなるというのは先ほどもお話しした通り。移動速度が遅くなったことでゴリ押しの難易度が先ほどよりも上がり、あえなくゲームオーバーになってしまいました。

ゲームオーバー画面

 そして仕切り直してゲームをロード。診療室を出て待合室へ移動すると、なんとすぐ目の前にモンスターが待ち構えており、キャロラインに攻撃を仕掛けてきました。扉を開けてエリア移動をした直後には、一切操作をすることができない硬直時間が発生するため、そのまま成す術もなくモンスターの刃をくらってしまうキャロライン……先ほどと全く同じ展開です。その後の展開も先ほどのプレイとほぼ変わらず、ふたたびゲームオーバー画面のご尊顔を拝むこととなりました。

ゲームオーバー画面

 そして、次の挑戦でも、先ほどとほぼほぼ同じ展開でゲームオーバーに。体力が少ない上に回復アイテムを1つも持っていない状態で、敵の攻撃を一発食らうことが確定しているこの状況……もしかすると、最悪のタイミングでセーブをしてしまったのではないでしょうか。

 「これはもしや、詰んでいるのでは?」という考えが頭をよぎりますが、ここで投げ出すわけにはいきません。
 というのも、これまた何とも間の抜けた話なのですが、先ほどしたセーブ、その前に作ったセーブデータファイルに上書きをしてしまったのです。つまり、このセーブデータを諦めるということは、ゲームをもう一度最初からやり直すということになってしまうのです。
 普段であれば、こういった絶望的な状況に陥ることを避けるために、進捗状況の違うセーブデータを複数作ってプレイをしているのですが、恐怖心というものは正常な判断力を奪い去ってしまうようです。まさかこんな凡ミスをやらかしてしまうとは。ただでさえセーブ回数に制限があるのですから、慎重に事を進めるべきでした。

『Tormented Souls』ゲーム画面10

 何度かゲームオーバーを繰り返していると、扉の前で待ち構えるモンスターの攻撃には、爪を使った攻撃と血を吐き出す攻撃の2つのパターンがあることが分かりました。前者のパターンだった場合は問答無用でダメージを食らってしまいますが、後者のパターンであれば予備動作から攻撃までには時間があるので、上手く操作をすれば避けることができます。かすかではありますが、希望の光が見えてきました。

 更に攻略を進めていって分かったのは、今の私がこの窮地を脱するためには、次の手順を踏まなければならないということ。

①セーブをした診療室の扉を開けて待合室へ移動
②待合室に入った時に目の前にいるモンスターが吐血攻撃を仕掛けてくることをお祈り
③待合室の2体のモンスターの攻撃を避けつつ待合室を通り抜け、歯科治療室へ
④歯科治療室のモンスターに対処しつつ、キーアイテムと回復アイテムを回収
⑤待合室に戻り、目の前にいるモンスターが吐血攻撃を仕掛けてくることを再びお祈り
⑥待合室を出て、モンスターの攻撃を避けつつ謎を解いてアイテムを入手
⑦待合室に戻り、そのアイテムを使って閉ざされていた扉を開け、新エリアへ

 長々と徒然なるままに書き連ねてみましたが、要はかなり絶望的な状況というわけです。運と実力が伴えば突破することができますが、生憎どちらも持ち合わせていない身。キャロラインは何度も何度も苦しみに満ちた断末魔の悲鳴を上げることとなります。

『Tormented Souls』ゲーム画面11

 自分自身で勝手に作り上げた窮地に苦しみ続けることおよそ1時間。いよいよ最初からのやり直しも視野に入り始めた頃、ついにこの一連のエリアを突破することができました!
 ……ここまで時間がかかるなら、最初からやり直した方が短時間で済んだ可能性もありますね。

 このように、セーブ回数に制限がある本作では、ゲームをセーブするタイミングが非常に重要です。体力が少なかったり、釘や回復アイテムが足りないと思ったら、あえてセーブをせずに進めるのも1つのやり方。ゲームオーバーになるのを覚悟で探索を進め、ある程度余裕が持てる状態にしてからセーブをするのがオススメです。
 あと、罪作りな詰みセーブを作らないようにするためにも、セーブファイルは複数に分けておくのが絶対にいいと思います。にっちもさっちもいかなくなって最初からやり直すよりは、遥かにダメージが少ないです。

 こういったところにも見え隠れする本作の “不親切さ” 。この点をマイナスと捉える方もいらっしゃるかとは思いますが、私はこの“不親切さ”の存在によって生まれる独特の緊張感が好きだったりします。オートセーブのゲームが大半を占める昨今、ここまでセーブタイミングについて本気で考えることは中々ありませんからね。

病院のメインホール

 そして、ようやくたどり着いた扉の先にあったのは、病院のメインホール。ここまではいわばチュートリアル。ここからが本当の『Tormented Souls』、本当の地獄の始まりです。

アイテムが常にギリギリ。絶妙な塩梅に設計されたサバイバルホラー

 さて、ここまでは比較的丁寧にゲームプレイを追いながら話を進めてきましたが、これより先のプレイにはストーリーのネタバレが多く含まれますので、ここからは本作の特徴についてまとめていきたいと思います。

 本作の特徴を語る上でまず最初に触れておきたいのが、『Tormented Souls』は、“限られた物資の中でどのように戦い生き残るのか” というサバイバル要素も強いゲームであるということ。Nintendo Storeの『Tormented Souls』のページを確認してみますと、本作のゲームジャンルは “サバイバルホラー”。ホラーゲームが苦手すぎるあまり、プレイをする前はホラーという言葉にばかり目を向けてしまっていましたが、本作はサバイバル要素も強く打ち出しているのです。

『Tormented Souls』ゲーム画面12

 先ほども触れましたが、本作では銃を構えるとキャロラインが自動で敵に狙いをつけてくれるため、弾の無駄遣いが発生しにくくなっています。そして、モンスターを倒すと、キャロラインは敵から視線を外して銃を水平に構えてくれるので、キャロラインの動きに注意を払っていれば、既に倒している敵に向かって無駄に弾を撃つということも起こりません。

 このように、無駄撃ちによる弾の消費がなるべく起こらないようなシステムが導入されている本作では、ゲーム中に入手することができる弾薬が、敵を倒していくとすぐに足りなくなるという絶妙なバランスに設定されています。先ほど詰みかけてしまったポイントも、釘の無駄遣いが大きな原因の1つでした。

 一応、バールのようなものが近接武器として用意はされているので、バックステップによる回避行動を駆使すれば、弾を使用せずに切り抜けることも可能ではあるのですが、本作では回復アイテムの数も絶妙な個数に設定されているため、適当な戦闘をしていると、すぐに回復アイテムが足りなくなるという事態に陥ってしまいます。ですから、この攻略法を実現させるためには、それなりのテクニックが要求されます。 

『Tormented Souls』ゲームプレイ画面13
バールのようなものを振り回すキャロライン

 ちなみに私は、新たなエリアでモンスターに遭遇した際、逃げ回っていれば攻撃を受けずにその場をやり過ごせそうな場合はモンスターを倒さずに弾薬を節約し、倒さなければあまりにも邪魔になってしまう場合は弾薬を使って安全に倒し、回復アイテムを節約するというやり方で進めていきました。

『Tormented Souls』ゲームプレイ画面14

 また、基本的にモンスターたちは彼ら特有の音を出しながら移動をしているので、耳をすませばその部屋にモンスターがいるのかどうかを判別することができます。
 ですが、中には暗闇の中で音もなく棒立ちしているモンスターや、壁に貼り付けられているモンスターがいたりするので、油断はできません。恥ずかしながら、そういったモンスターに遭遇した時、毎回のように声を上げてしまいました。サバイバル要素が強いとはいえ、ホラー要素もしっかりたっぷりとあるのが本作の特徴といえるでしょう。

暗闇に潜むモンスター
静かに暗闇に潜むモンスター

歯ごたえのある謎解きと、やりごたえのある病院探索

謎解き画面

 さて、『Tormented Souls』のメイン目標は、病院内を探索して隠された秘密を解き明かしていくこと。ゲーム開始時点で行ける場所は非常に限られているのですが、探索により入手したキーアイテムを駆使することで、探索エリアを広げてストーリーを進めていくことができます。
 探索エリアを広げるためのキーアイテムを入手するためには、謎解きをする必要があることが多いのですが、これらの謎解き、解いた後に感心してしまうような手が込んだものが多く、これがまた非常に楽しかったです。

謎解き画面2

 私の頭が固いせいもあるかもしれませんが、ストーリーの後半は、モンスターを倒すことよりも謎解きに大苦戦。サバイバル要素もホラー要素もどこかに消え失せ、パズルゲームとして本作をプレイしている時間がそこそこ発生していました。

ゲームオーバー画面

 そして、モンスターよりも強敵に思われた謎を解き終えた解放感で気が緩んでいるところをモンスターに襲われゲームオーバーになるという流れも頻繁に発生。本当に嫌になるくらい絶妙な設計で組み立てられたゲームです。

フロッピーディスク

 ちなみに、私が本作の中でトップクラスに頭を悩ませたのが、こちらのフロッピーディスク。謎解きそのものは比較的すんなりと解けたのですが、謎解きの本筋とは関係のないところで大苦戦。フロッピーディスクを注意深くじっくりと眺めていれば、すぐに解法を導き出すことができるような内容ではあったのですが、フロッピーディスクに関する知識が無かったため、長考を強いられることとなりました。

 このような、ある程度の知識が求められる謎を筆頭に、記憶の隅をつつくような謎、これまで聞いてきたことや見てきたことを総動員しなければ解けない謎、解法が分かった後「マジか……本当にこんなことやるのか……?」という気持ちにさせられてしまう謎など、本作には多種多様な謎解きが揃っています。

『Tormented Souls』ゲーム画面14

 そんな本作の舞台である病院は広大。プレイを続けていれば位置関係をある程度覚えることはできるのですが、ストーリーが進んでいくにつれて行ける範囲も広くなるので、そのすべてを詳細に把握することは中々難しくなってきます。
 これに加えて、本作の特徴的な要素の1つであるカメラワークが、更に院内の位置関係を複雑にさせています。

『Tormented Souls』ゲーム画面15

 その特徴的なカメラワークというのが、初代の『バイオハザード』を彷彿とさせる固定カメラ視点。防犯カメラで見ているかのようなカメラワークと言えば、『バイオハザード』をプレイをしたことが無い方にも分かりやすいでしょうか。

固定カメラ視点

 この固定カメラ視点、非常に雰囲気があってホラーゲームとの相性は抜群なのですが、カメラの位置が次々に切り替わるため、気を抜いていると方角が分からなくなり、頭の中で地図を描くことがかなり難しく感じました。

院内マップ
キャロラインがいる場所を明るく表示してくれる院内マップ

 そのため、道中で入手することができる施設利用者向けの院内マップが探索において非常に頼りになるのですが、ストーリーの後半で足を踏み入れることになる、院内マップに記載されていない地下エリアの攻略がかなり大変でした。

地下エリア

 そもそも地図が存在しないうえに、電気が供給されていないので周囲は真っ暗闇。固定カメラの視点切り替えもあるため、マップの全容と自分が今どこにいるのかを把握するのは至難の業。脳内で地図を描くことは諦め、プレイをしながら手書きの地図を作成し、攻略を進めていきました。

 かなーりアナログな手法を採用してしまいましたが、手書きの地図を作りながらゲームをプレイするのはかなり久々で、ほんの少しだけ懐かしい気持ちになってしまいました。まさかホラーゲームでノスタルジーを感じてほっこりするとは夢にも思いませんでしたね。

グロテスクなシーン

 そして、そんなセンチメンタルな気持ちは、すぐにグロテスクなシーンや怒涛のストーリー展開が見事にかき消してくれます。
 驚いたり焦ったり頭を悩ませたり感心したり気持ち悪さを感じたりノスタルジーを感じたり……このゲームをプレイしている間、様々な感情に揺さぶられましたが、クリアをしたときに真っ先に芽生えた感情は、“苦しかった”。本作のタイトルである ”Tormented Souls(苦しめられた魂)”には、私の魂も含まれているのかもしれません

タイトルにもなっているTormented Souls

 さて、ホラーゲームのプレイは超久しぶり、チリ産のゲームのプレイは初めてでしたが、『Tormented Souls』は、一筋縄ではいかない謎解きや息もつかせぬストーリーなど、ホラー以外の要素もかなり強かったため、ホラーゲームが苦手な私でも楽しくプレイを進めることができました。

 昔ながらのホラーゲームに対する大いなるリスペクトをもって制作され、原点回帰を目指したという本作。往年のホラーゲームのファンはもちろん、近年のホラーゲームファンや、ホラーゲームが苦手な人でも楽しめる良作となっています。Nintendo Switch版が発売された夏の終わりのこの時期に、是非プレイしてみてはいかがでしょうか。
 たとえ夏が終わってしまったとしても大丈夫。秋にはPS4/PS5版が発売となります。月明かりに照らされた秋の夜長のお供に本作をプレイするのも良いかもしれません。

ギリッギリの弾薬とキレッキレの謎解きがプレイヤーを苦しめる。『Tormented Souls』は 往年の名作ホラーゲームの雰囲気を存分に楽しめる良作_001
編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ