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初音ミクと声優・小倉唯さんらキャストが共演、ヴァーチャルとリアルが交差する『プロセカ』2周年記念イベントレポート。朗読劇で輝く土岐隼一さんの鋭利すぎるアドリブや未公開ながら人気な“自由帳”の裏話をお届け

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 スマートフォン向け音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』は2020年9月30日にリリースされ、記事執筆時点からまもなく2周年を迎える。

 このたび、9月24日に開催された本作の二周年を記念するイベント「プロジェクトセカイ 2nd Anniversary 感謝祭」DAY 2に伺ったため、本記事ではイベントのレポートをお届けする。

 本イベントは2日間にわたり3公演が開催され、オンライン配信の見逃し配信はDAY 1が10月6日(木)、DAY 2が10月7日(金)まで配信されるため、期間中であれば配信チケットを購入することでアーカイブを視聴可能だ。

初音ミクと小倉唯さんが共演。『プロセカ』2周年記念イベントレポート_001

2周年を迎える『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』

 まず作品の概要をおさらいしておくと、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(以下、プロセカ)』はセガとCraft Egg/Colorful Paletteが共同開発し、iOS、Android向けにリリースされている音楽ゲームだ。

 本作の物語の舞台は「現代のシブヤ」と、登場人物たちの想いから生まれた空間「セカイ」。さまざまな想いを抱えた20人の少年少女たちが、ある日「セカイ」に迷い込み、初音ミクをはじめとするバーチャル・シンガーと共に物語と音楽を紡いでいく。

 ゲームプレイは奥から手前に移動するバーをタイミングよくタップするリズムゲームの形式で、収録曲は『メルト』『初音ミクの消失』といったおなじみの定番曲のほか、多数の書き下ろし楽曲が用意される。

 収録楽曲は5つのカテゴリーに分類されており、カテゴリーごとに登場キャラクター4人で結成される音楽ユニットが担当。「MORE MORE JUMP!」、「Leo/need」、「Vivid BAD SQUAD」、「ワンダーランズ×ショウタイム」、「25時、ナイトコードで。」と5つのグループによる青春ストーリーが楽しめる。

初音ミクと小倉唯さんが共演。『プロセカ』2周年記念イベントレポート_002

 今回の公演は立川ステージガーデンでのリアル会場と、オンラインでの配信を同時に行うハイブリッド型で実施された。イベントの出演者はゲームに登場する20名のうち14名のキャラクターのキャストが出演。公演の内容は生で披露される朗読劇、2周年トークショー、ミニライブとなっており、『プロセカ』やキャストのファンに最適な企画が盛りだくさんの充実したイベントとなっていただろう。

 コロナウイルスの影響により観客の歓声は聴こえないものの、キャスと陣の熱意と場面ごとに色が切り替わる無数のペンライト、そしてつい漏れ出てしまう驚きと喜びの息遣いがイベントの盛り上がりを雄弁に語り、大成功のイベントとなった。

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 出演者およびイベントスケジュールは以下のとおり

朗読劇

中島 由貴(日野森 志歩 役)、本泉 莉奈(日野森 雫 役)、秋奈(小豆沢 こはね 役)、今井 文也(東雲 彰人 役)、木野 日菜(鳳 えむ 役)、土岐 隼一(神代 類 役)、鈴木 みのり(東雲 絵名 役)、佐藤 日向(暁山 瑞希 役)

トークショー

小倉 唯(花里 みのり 役)、吉岡 茉祐(桐谷 遥 役)、本泉 莉奈(日野森 雫 役)、秋奈(小豆沢 こはね 役)、鷲見 友美ジェナ(白石 杏 役)、今井 文也(東雲 彰人 役)、伊東 健人(青柳 冬弥 役)、廣瀬 大介(天馬 司 役)、木野 日菜(鳳 えむ 役)、Machico(草薙 寧々 役)、土岐 隼一(神代 類 役)

ミニライブ

MORE MORE JUMP!
小倉 唯(花里 みのり 役)
吉岡 茉祐(桐谷 遥 役)
本泉 莉奈(日野森 雫 役)

Vivid BAD SQUAD
秋奈(小豆沢 こはね 役)
鷲見 友美ジェナ(白石 杏 役)
今井 文也(東雲 彰人 役)
伊東 健人(青柳 冬弥 役)

ワンダーランズ×ショウタイム
廣瀬 大介(天馬 司 役)
木野 日菜(鳳 えむ 役)
Machico(草薙 寧々 役)
土岐 隼一(神代 類 役)

グループの垣根を超えた絡みや土岐隼一さんのアドリブで盛り上がる朗読劇

 朗読劇は本日のイベントに特別に用意された台本で行われた。

 シナリオは劇中の音楽グループ「Leo/need」のメンバーである日野森志歩(CV.中島由貴さん)と彼女の姉であり、「MORE MORE JUMP!」のメンバーである日野森雫(CV.本泉莉奈さん)が共に文房具屋に足を運び、色紙を探す場面で幕を開ける。

 「豆腐型の色紙」や「チャンピオンベルト型の色紙」などが登場するシュールな姉妹の掛け合いを繰り広げると、次第にさまざまなグループのキャラクターが登場していく。

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 なかでも印象的な場面は、「ワンダーランズ×ショウタイム」のメンバーである神代類(CV.土岐隼一さん)が登場する場面。店内を物色するシークエンスでは「魅力的な39万ピースのパズル」というパワフルなアドリブを鳳えむ(CV.木野日菜さん)にキラーパスし、たまらず「アドリブ?」とメタ的な返答。朗読劇の最中ながら、チャーミングなやりとりに会場は盛大な拍手で満たされた。

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 急なアドリブを終えれば、偶然すべての登場人物が色紙を求めていることが判明し、同時に全員が求める色紙が在庫が一つしかない「虹色の色紙」に収束してしまう。最後は日野森雫が提案する「ジャンケン」で購入者を決めるという天然キャラのみに許されたオールドスクールなオチで閉幕した。

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 朗読劇のシナリオは各キャラクターのコミカルな側面にフォーカスしたものでありながら、声優による生の演技の息遣いはホール全体に伝播し、会場は緊張感のある静寂に包まれた。各登場キャラクターのお茶目な魅力と共に、リアルタイムならではのアドリブが持つ切れ味と声優の演技力を高解像度で味わえる贅沢な時間が味わえた。

 また、原作においては多人数が一堂に介し、グループの垣根を超えて絡む場面は限られている。そのため、朗読劇は一層特別な体験となっただろう。

2周年を迎えて進化する演技。コロナ禍でのキャストを繋いだ「自由帳」の裏話

 トークショーには11名のキャストが出演、各キャストのお気に入りの楽曲が語られた際にはキャスト一同が盛り上がり、お気に入りのストーリーに触れればキャラクターのドラマティックな背景や魅力に深く頷く。キャラクターや楽曲の話題で思わず立ち上がり、つい早口になるキャスト一同の姿からは、各位の親密な関係性のみならず、『プロセカ』への愛情が伺えた。

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 また、トークでは裏話として、『プロセカ』のキャスト陣が共有する「自由帳」にまつわるエピソードが紹介された。ここにおける「自由帳」とは、本作の楽曲を収録するスタジオに置かれた交換ノートのようなものだという。

 「自由帳」はコロナ禍キャスト同氏でのコミュニケーションが取りづらい状況を懸念したスタッフが用意したもので、これによりキャスト間のコミュニケーションは勿論のこと、作曲陣とのコミュニケーションを行う手段として活躍したそうだ。多くのファンに認知される「自由帳」の裏話は、キャストが一同に会するトークショーならではの話題。普段は見えづらいスタッフの活躍も垣間見えた。

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 このほかに、「劇中の時間や次期にあわせて演技や歌い方を変える」ことや、これまでのドラマを踏まえて「声優としてスタッフにアイデアを提案する」といったエピソードが語られ、2周年を迎えることで生まれているクリエイティブなレコーディングや演技の取り組みも紹介され、声優陣の前向きな姿勢が今後の作品の展開への期待を高める。

 トークの終盤ではプロデューサーである近藤裕一郎氏がユーザーからのフィードバックをもとにゲームの改善に務めていることを紹介し、「変化と成長を絶えず続ける『プロセカ』を見守ってください」という暖かいコメントで締めくくられた。

色とりどりの楽曲を一気に味わえる『プロセカ』ならではのライブ体験

 ミニライブは「MORE MORE JUMP!」で開幕。「アイドル新鋭隊(作詞:作曲:Mitchie M)」、「アイノマテリアル(作詞・作曲:Junky)」の2曲を披露。一曲目のドラムンベーススタイルのリズムとデカい会場ならではの重低音が会場のスイッチを起動し、「アイノマテリアル(作詞・作曲:Junky)」の国内メジャーアイドル風のメロディが会場のペンライトとムードを「MORE MORE JUMP!」色に染め上げた。出演陣のアイドル風コスチュームは間違いなくイベントのハイライトのひとつと言えよう。

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 続いて登場したのはクールな「Vivid BAD SQUAD」。フューチャーベースとEDM、日本語ラップに初音ミクのボーカルが融合した「RAD DOGS(作詞:q*Left、作曲:八王子P)」は「MORE MORE JUMP!」が打ち出した柔らかなテンションをキャッチーな鉄色に変化させ継承。かと思えば鏡音レンを客演に迎えた「Flyer!(作詞・作曲:Chinozo)」による爽快感のあるポップネスを描き出し、絶えず情景が変化するジェットコースターめいた展開を演出した。

 「ワンダーランズ×ショウタイム」は「potatoになっていく(作詞・作曲:Neru)」、「トンデモワンダーズ(作詞・作曲:sasakure.UK)」でテーマパークの様な愉快さと緩さをかけ合わせた楽曲を披露。随所に見られたライブのバックで流れる3DMVキャラ固有振付とキャスト陣の同機は緊張と緩和の快楽を生み出し、ショーとしての気合いの入りようが伺えた。

 3組のライブを終えると3チーム一曲ずつのメドレーを披露。バレンタインソングの「どりーみんチュチュ(作詞・作曲:emon(Tes.))」トラップ風のイントロと高速ハイハット搭載型アッパーアニソンの「オルターエゴ(作詞・作曲:Misumi )」、和風の音階と余裕のあるテンポがゆる可愛い「神まにまに(作詞・作曲:れるりり)」がスムーズに展開する体験は、正に複数のジャンルの楽曲を収録する『プロセカ』ならではのライブ体験だ。

「セカイ」と現実、バーチャルとリアルが交差するアンコール。初音ミクとキャスト一同が夢の共演

 ミニライブを終えた拍手は、照明が落ちても鳴りやまない。照明が落ちた会場にはボーカロイドの声が鳴り響き、緑色のペンライトが乱立する。ステージの証明と共に、ディスプレイを介して1/1スケールの初音ミクが会場に姿を現した。

 アンコールとして披露された楽曲は小倉唯さんが演じる「花里みのり」秋奈さん演じる「小豆沢 こはね 」、そして初音ミクによる楽曲「ワーワーワールド(作詞:Mitchie M、作曲:Giga & Mitchie M)」。ハードなサブベースに現行K-POP風フロウを駆使した小豆沢こはねのラップパート、「花里みのり」のJ且つポップなパートが足早に切り替わり、初音ミクのボーカルがサイバーなテクスチャを加算するネオJポップと呼び得る本作。

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 本楽曲が実空間と仮想空間を横断するステージングで披露されることで、「セカイ」と現実が交差する物語上の出来事は会場にて、象徴レベルで実現された。この演出は今だからこそ一層アツい「初音ミク」というコンテンツの先駆性と『プロセカ』の根底を走る設定の強味を強烈に再提示し、歓声禁止ながらつい漏れだした喜びの声が会場に響き渡っていた。

 本公演の真のラストは2周年記念楽曲である「Journey(作詞・作曲:DECO*27)」。量感のあるキックをリズミカルに刻むビート上ではオールキャストと初音ミクによる十人十色の歌声が踊る。そんなマキシマムな“ミニライブ”を経て「プロジェクトセカイ 2nd Anniversary 感謝祭」は幕を下ろした。


 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の対応プラットフォームはiOS、Androidで、価格は基本プレイ無料。

 今回のイベントは前述のとおりコロナ禍につき歓声禁止であったが、充分すぎる熱気と『プロセカ』の魅力を堪能できた。3周年の記念イベントでは、更に進化した『プロセカ』の楽曲を大きな歓声で迎えよう。

ライター
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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