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3年ぶりに帰ってきた『FF14』のオケコンが本当に凄かったから語らせてほしい!これはただのオケコンではなく、「追憶」の音楽祭だ

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 列、なっが!!!!!

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 え、これジャニーズのコンサートとかと間違えてないですよね?

 有明ガーデンシアターに入ったらジャニーズだったりしませんよね??

 というわけで、今回は『ファイナルファンタジーXlV』(以下、FF14)のオーケストラコンサート「FINAL FANTASY XIV Orchestra Concert 2022」にやってまいりました! FF14の冒険を彩った楽曲の数々が東京フィルハーモニー交響楽団によって奏でられる「Eorzean Symphony」ですが、なんと今回は約3年ぶりの開催なんだとか。

 さっそく冒頭で触れてますが、まぁ人が多い! 新パッチ実装された時のメインクエスト発生NPCの周辺みたいになってます。ホントに別の会場と間違えたんじゃないかと不安になりました。まぁ、吉Pと祖堅さんも光の戦士からしたらジャニーズみたいなもんか……

 有明の道行く人が「何この行列……?」という奇異の目を向けていたのですが、まさかFFのコンサートだとは思わないでしょう。個人的に有明でここまで並んだのはコミケと今回のオケコンくらいです。

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「新パッチ実装された時のメインクエスト発生NPCの周辺」の例
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 シアター内は歴代「Eorzean Symphony」のメインビジュアルが飾られていたり、FF14の音楽が流れていたり……ひとたびシアターに足を踏み入れれば、そこは有明ではなくエオルゼアになっています。

 個人的ですが、関係各社のフラワースタンドの中に「自称エメトセルクの女一同」様からのフラスタが並んでいたのが面白かったです。

 それでは、自称エメトセルクの女一同様も開催を祝した今回の「Eorzean Symphony」の様子、そして……希望の花を届けに行きましょう! ちなみに記事の最後に祖堅さんと吉田さんからの公演終了後のコメントが掲載されていますので、そちらを先に見たい方はそこから確認していただければ!

※「FINAL FANTASY XIV Orchestra Concert 2022」セットリスト

1.天より降りし力
2.希望の都
3.静穏の森
4.究極幻想
5.Dragonsong
6.Heavensward
7.英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
8.鬨の声
9.塩と苦難の歌 ~ギラバニア湖畔地帯:昼~
10.空より現れし者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~
11.Shadowbringers
12.To the Edge
13.砕けぬ思い ~ハーデス討滅戦~
14.Tomorrow and Tomorrow
15.Your Answer ~ハイデリン討滅戦~
16.Close in the Distance
17.Flow
18.ENDCALLER ~ゾディアーク討滅戦~

文/ジスマロック


許しもなく 救いもなく あるのは正義と 復讐のみ

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 なんと今回のオケコンの司会進行は株式会社スクウェア・エニックス取締役兼第三開発事業本部長兼ファイナルファンタジーXIVディレクター兼プロデューサー兼ドンキホーテ社長…………最後のは違いました。まあお馴染みの吉田直樹氏が担当! 吉田~~~~~♥

 まずは吉PのMCから本公演はスタート。オーケストラコンサートに初めて来た方に向けて、「オケコンに初めて来た方の頭上には若葉マークが浮かんでおります!」という軽快なフォーティーンジョークを飛ばす吉P。冷静に考えたら開発の偉い人なのにMC上手すぎるでしょ。多分全公演通ってる人の頭上には王冠みたいなマークが浮いてます。

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 吉PのMC曰く、今回のオケコンは「普段のロールによってお客さんの役割を決めましょう!」とのこと。いや何言ってるんだって感じですがホントに言ってたんだから仕方ないでしょう!

 普段タンクでプレイしている方は、曲が鳴り終わったら率先して拍手!!

 普段DPSでプレイしている方は、とにかく拍手の大きさで火力を出す!!

 普段ヒーラーでプレイしている方は、感極まって泣いてる人がいたら蘇生してあげる!! 周りのヒーラーも泣いてたらリミットブレイク!!!

 ……最後らへんはよくわかりませんでしたが、当日は大体こんな感じのロール配分でした。会場来てない方は「何を言ってるんだ……?」という感じかもしれません。いやでもホントにやってたんすよこれ。ちなみに私は暗黒騎士とリーパーがメインジョブなので率先&火力担当でした。流石に有明にフレイくんは召喚できませんでした。

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 今回のオケコンは「新生編」「蒼天編」「紅蓮編」の第一部、「漆黒編」「暁月編」の第二部にわかれた構成となっており、まさしくこれまでの光の戦士の冒険を追憶する公演となっていました。

 最初の「新生編」で披露された楽曲は「天より降りし力」「希望の都」「静穏の森」「究極幻想」の4曲。特にオーケストラにピッタリな「天より降りし力」「究極幻想」も素晴らしい迫力の演奏でしたが、個人的に印象に残ったのは「静穏の森」でした。

 この「静穏の森」は黒衣森地方の昼に流れる曲となっており、まぁ言ってしまえば「フィールドの曲」なのです。戦闘曲や重要な場面で流れるボーカル付きの楽曲に比べると、私は普段あまり意識して聞いていない曲でした。

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 しかし、今回のオケコンで印象に残った楽曲を挙げるとするならばこの「静穏の森」が3本指に入ります。ハープから奏でられる美しい音色と、弦楽器が渾然一体となった包み込まれるかのような荘厳さ。美麗な音色は黒衣森の生い茂る緑や陽光に照らされて煌めく河川を想起させ、会場全体が黒衣森へと変わる。

 この「たった一曲で会場全体が黒衣森に変わってしまった」ような感覚が特に印象的だったのかもしれません。私がこのオケコンが終わったあとに帰宅して真っ先に行ったのは、「FF14を開いて黒衣森に行く」ということでした。そのくらい印象的かつ世界が塗り替えられるような鮮烈な体験。『PPPPPP(漫画)』みたいなこと、ホントにあるんですね。

 ぶっちゃけ私はウルダハスタートなので、グリダニア及び黒衣森にそこまで足を運んでおらず、この「静穏の森」という曲自体もあまり意識していませんでしたでもこの一曲を聞いただけで、グリダニアでシルフ族の村に行ったり、ラムウと戦った「新生エオルゼア」のあの記憶が蘇ってくる。

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 以前、一度だけ祖堅さん率いるFF14オフィシャルバンド「THE PRIMALS」のライブに行ったことがあるんですが……あちらがゴリゴリのロックサウンドに乗せてFF14の戦いの熱狂や衝撃を追体験する音楽祭だとしたら、このオーケストラコンサートはFF14の「冒険の記憶」を思い出して、その思い出に浸る追憶の音楽祭のような気がしました。

 全て私の感覚の話なのでイマイチ伝わりづらいかもしれませんが、公演中はずっとそんな感覚に包まれていました。同じ「FF14の音楽」を取り扱っているのに、ライブとコンサートでこんなにも聞こえ方が違うことにとにかく驚かされました。

 そして続いては蒼天編。「Dragonsong」「Heavensward」「英傑~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」の3曲!

 FF14は蒼天のイシュガルドが終わった後も度々「蒼天のイシュガルド2」みたいなストーリーを出すことに定評がありますが、めちゃくちゃ広義的に解釈すれば今回のオケコンも蒼天のイシュガルド2かもしれません。そう思ってしまうくらい「蒼天のイシュガルド」という物語を代表する3曲です。

 先ほど書いたばかりの「今回のオケコンはどちらかというと『冒険の追憶』という印象が強かった」という点ですが、やはり「舞台上のモニターで流れている映像」がより思い出を呼び起こしている面もあると思います。

 特にこの蒼天編では「Dragonsong」「Heavensward」に合わせて、邪龍の力に飲まれんとするエスティニアンを仲間たちと救う最終決戦や、友がその身を挺して盾となった場面などが流れ続けていました。毎回同じとこで泣いてるのでそろそろ学んでも良い気がするのですが、やはり耐えられません。

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 特に蒼天のイシュガルドの前半は「光の戦士・アルフィノ・エスティニアン・イゼル」の4人でイシュガルドの大地を冒険する物語となっていたため、より強烈に「冒険の記憶」が呼び起こされました。楽しかった……楽しかったな、イシュガルドの冒険……。

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 私はもう最新パッチまで進めてしまったので、蒼天のイシュガルドでの旅はとっくに「昔のもの」でもあるかもしれません。でも、こうして音楽を聞くだけであの4人での冒険をいつでも思い出すことができる。不思議なものです。あの雪で覆われた大地と、その冷たさとは正反対のイシュガルドの人たちの温かさを、まるで昨日のことのように思い出せる。

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 そしてまさかの「Tomorrow and Tomorrow」「Flow」で歌唱を担当しているアマンダ氏本人が登場!

 今回は特別にアマンダ氏がフレースヴェルグの愛する者への思いを歌った「Dragonsong」を歌ってくれました。元から名曲ではありますが、生でその歌声が乗るとやはり聞こえ方も迫力も全く違います。アマンダ氏は3年ぶりの開催となった今回のオーケストラコンサートを「光の戦士たちに会えて良かった!」と語りました。私も会えてよかった!!

 何気に合間の吉Pと祖堅さんのMCで、「祖堅がアマンダさんの歌声を聞いて喫煙所で『あの人の声で曲作りたい!』と言い出したのが始まり」という裏話も語られていました。いや、何かだいぶ私の勝手な感想に終始しそうなので一応この辺もちゃんと書きます。実はこの記事ってライブレポートらしいですよ?

斃れた我らが同胞より 生み出されし血の嵐

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 続いては第一部ラストの「紅蓮編」へ。

 紅蓮のリベレーターより「鬨の声」「塩と苦難の歌~ギラバニア湖畔地帯:昼~」「空より現れし者~次元の狭間オメガ:アルファ編~」の3曲が披露されましたが……やはり最初はなんと言っても「鬨の声」でしょう!!

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 紅蓮で登場するIDのボス戦で流れ、誰もが最初の「漂流海域 セイレーン海」で「何この熱い曲!?」と驚いたであろう名曲。熾烈な戦いと解放者の強い意志を思わせる大迫力の楽曲が東京フィルハーモニー交響楽団によって奏でられる……あれ? もしかしてこのコンサートって豪華なのでは?

 現地で「鬨の声」を聴いていて感じたのが、やはり「ゲーム音楽は単体では完結しない」ということでした。フィールドに入った時の衝撃とか、戦ってる最中に流れてた曲とか、友達と一緒に遊んだ記憶とか……物語・体験・演出、そういったものと渾然一体となって初めて完成するのが「ゲーム音楽」なのだと思いました。だから私はゲーム音楽が好きです。

 ちょっと別のタイトルの例えになってしまうのですが、『FF6』「仲間を求めて」という曲が私の中では最もそれに当てはまります。

 FF6を遊ぶ以前に曲単体だけ聞いた時は、「まあ、良い曲かな」くらいの温度感だったのですが、実際にFF6を遊んでセッツァーが飛空艇ファルコンを再び起動させて、一度滅びかけた世界に飛び立って「仲間を求めて」が流れ始めた時に印象が180度変わりました。それくらいゲーム音楽は「実際に遊ぶ前」と「実際に遊んだ後」で全く聞こえ方が違う。

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 もちろん「鬨の声」も単体でも素晴らしい曲ですが、あの「紅蓮のリベレーターの戦いのピークで流れる」というシチュエーションとかけ合わさることで、その音楽の力が何倍にも膨れ上がっています。

 ドマ城での戦い、アジムステップでの戦い、アラミゴ城でのゼノスとの紅蓮決戦……あの場面で流れるからこそ、「鬨の声」は素晴らしい曲だと思います。こういったゲーム内での体験と強く結びつく曲は他にも何曲かあると思いますが、私の中では特に「鬨の声」が印象的でした。

 そしてもうひとつ驚かされたのが「塩と苦難の歌~ギラバニア湖畔地帯:昼~」。何気に吉Pイチオシの曲でもあるらしいのですが、先ほどの「静穏の森」と同じく「あまり意識していなかった曲の良さにここで気付かされた」パターンです。

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 私もギラバニア湖畔地帯の昼には何度か訪れていたはずなのですが……改めて「ひとつの曲としっかり向き合う」場所を用意された上で聴かされると、ギラバニア湖畔地帯の広大さと城が同居する人の活気を再現した曲調の完成度の高さに驚かされました。

 いや、めっちゃハッキリ言ってしまうと「ギラバニアの昼ってこんな良い曲流れてたっけ?」と思ってしまいました。あと個人的にギラバニア湖畔地帯には「風脈が変な位置にある」という苦い思い出があるので、今回のオケコンでそこも払拭していただいた感じがあります。

 ……ただの私怨じゃねえか!!

 ま、まぁそういう苦い思い出も含めて「冒険の記憶」ですね! 風脈の位置がわかりやすくなっても、私は城壁の上に風脈置かれてたの忘れないからさ……

一つの世界の終わりは、もう一つの始まりにすぎず

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 そしてここからは第二部の「漆黒編」「暁月編」

 最初に披露されたのはみんな大好き「Shadowbringers」で……しかもメインボーカルのジェイソン氏本人が登場し生ボーカルを披露! あれ? めちゃくちゃ豪華なオケコンじゃない?

 ジェイソン氏は革ジャンにテンガロンハットというゴリゴリのロックスタイルで壇上に上がってきたので、私は最初「なんかゼロみたいな格好の人出てきてない?」というかなり失礼なことを考えていたのですが……まさか生きている内に「Shadowbringers」の生ボーカルを聞くことができるとは思っていませんでした。

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 ファンフェスなどに何度か参加できる機会はあったけど、昨今の情勢もあり今回のオケコンでやっと来日できたというジェイソン氏。「本当は貨物船に乗りこんででも日本に行きたかった」という明らかに度が過ぎているFF14への熱い思いを語ってくれました。ジェイソン氏が密航せずに済んでよかったです。

 「Shadowbringers」「To the Edge」「砕けぬ想い~ハーデス討滅戦~」「Tomorrow and Tomorrow」の漆黒のヴィランズを代表する4曲が披露された漆黒編でしたが、特に印象深かったのはアマンダ氏が再び生ボーカルを披露してくれた「Tomorrow and Tomorrow」です。

 ここまで何度も「今回のオケコンではこれまでの冒険を思い出した」と言っている通り、第一世界で紡がれた闇の戦士の物語を最も思い出したのが、この「Tomorrow and Tomorrow」でした。

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 理屈はよくわからないけれど、「音楽」にはその時の記憶を鎖で繋ぎ水底から引き上げるような力があります。まるで、人々から忘れさられていた救世主の冒険を思い出すかのように。

 私にとって「音楽」というものは記憶や物語と鎖のように繋がっていて、その音色を聞くだけで……あの時の情景や感動がありありと蘇ってくるのです。誰でもないあなたと世界を救うために、時を越えて、世界を越えて、手を差し伸べた彼方からの希望。あの世界を取り戻すために、アーモロートを作り出した最古の魔術師……この曲を聴くだけで、第一世界での冒険の思い出はいくらでも思い出せます。

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 「……そうか、彼はまだそこで、旅を続けているんだね。」

 「だったら、おやすみと言うにはまだ早い。どうか遠く、遠くまで、連れていってあげておくれ。」

 「明日は私も、久々に思い切り飛んでみようかな。あのころみたいに、遥か高くまで、風に乗って……。」

 「Tomorrow and Tomorrow」を聴きながら、私はふたつのことを思い出していました。それが、セトとアルバートがもう一度だけ出会うシーンと、ライナが水晶公へのお礼を伝えるシーンです。どちらも「Tomorrow and Tomorrow」が使われているシーンではないのですが、この曲からふと、「第一世界での冒険」に思いを馳せた時……このふたつの場面を思い出しました。

 私が「漆黒のヴィランズ」で好きなところは、「一度冒険が終わった世界をまた冒険する」という物語が紡がれるところです。アルバート、水晶公、エメトセルク……「一度終わった物語」に光の戦士がやってきて、物語があったあとの世界を冒険する。

 その中でさまざまな冒険や彼らの暮らしに出会い、最後には「終わりの先」を見ることができる。だからある意味、あの旅は「第一世界の追憶」でもあるのかもしれません。彼らの冒険を、彼らの戦いを肯定するために、世界に夜と闇を取り戻す。

 だから私は、「第一世界にいた者」の口から語られる言葉が好きなのだと思います。第一世界の英雄でもあり、第一世界で戦った彼らの軌跡を「確かにそこにあったもの」として語ってくれるセトやライナの言葉が……好きなのかもしれません。

 「だから……公が目覚め、もし私たちのことを覚えていたら、どうか伝えてはいただけないでしょうか。こちらの心配はいりません、と。」

 「今度こそ、下手な隠しごとなんてせず……思う存分、命を謳歌してください。あなたがいつも、私たちにさせてくれたように……。」

 「いつかあなたが、こちらでのことを思い出して、ふと笑うような夜があれば……私たちも、きっと同じように笑っています……と。」

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 長く長く続く道の中で、いつかあなたは苦難や苦境を迎えることでしょう。そんな時は、あの冒険を彩った楽曲から……あの世界で戦っていた彼らの物語を思い出してください。彼らの冒険を思い出してください。あの物語が、あの冒険が、きっとあなたの背中を押してくれるはずです。

 ……なんて、これもあの世界で一緒に過ごした彼の受け売りなんだけどね! ふふっ!

言葉なき鎮魂歌を、涙の河へ捧げに行こう

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 なんて感傷に浸っていた私の目の前で、気がつくと祖堅氏がその手にオタマトーンを握りしめて片脚に鈴を装着し、もう片脚で段ボールを蹴りながら曲を演奏していた……ホント元気だなこの人!!

 そしてここからは「暁月編」
 
 ちなみにこのフルアーマー祖堅正慶が登場したのは一曲目の「迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~」です。吉Pが突如として「あれ?祖堅いなくない?」と祖堅氏を探し始めると、段ボールを持ったスタッフと祖堅氏が登場。そしてまさかの「指揮者の栗田博文氏と祖堅氏とスタッフの3人で段ボールをセッティングする」という訳の分からない絵面が始まってしまいました。こっちの情緒をどうしたいんだ?

 ちなみに今回のオケコンで指揮者を担当していた栗田さん、他のコンテンツのオケコン&過去のFF14のオケコンに参加したことがある方にはお馴染みかもしれませんがこういうノリにガンガン乗ってきてくれる方なのでちょっと私はファンです。心の中で「キャ~~~~~ッ!栗田~~~♥」と叫んでいました。それはそれとしてこっちの情緒をどうしたいんでしょうね。

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 そしてここからは「Your Answer ~ハイデリン討滅戦~」「Close in the Distance」「Flow」「ENDCALLER ~ゾディアーク討滅戦~」の4曲が披露されました。特に印象的だったのは、やはり「Close in the Distance」のエルピスの花点灯ギミック!

 「暁月のフィナーレ」にて重要なアイテムとして登場し、今回のオケコンでグッズ化もされた「エルピスの花」え? 何? 壊れた……? シ、シーッ! 今は静かに!!

 ともかくこのエルピスの花には「ボタンを押すと点灯する」という何キュアの劇場版じみたギミックが搭載されており、実際の公演では「栗田氏の指揮に合わせて会場みんなで点灯させる」という栗田氏の攻撃を頭割りするかのようなギミック処理が始まってしまいました。

 みんなーッ! ミラクルエルピスを振って光の戦士を応援するだす──ッ!!

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 文面だけで説明されると、「普通のサイリウムと何か違うんですか?」という感じかもしれませんが、実際に栗田氏が点灯の合図をすると、会場の一面に希望の花畑が広がりました。そしてそれに合わせてモニターも「エメトセルクが指を鳴らし、エルピスが咲き誇る」あのシーンが流れる!

 こ、これをやりかったのか!!

 まさに会場全体がウルティマ・トゥーレに咲き誇る一面のエルピスになったあの瞬間、忘れられません。これがあの星の過去に生き、今を生きる者たちからの答えなのでしょう。

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 私は、FF14全体で見ても、「ヘルメスとメーティオンが一番好きなキャラだったりします。いや、一番好きなキャラが何人もできてしまうのがFF14というゲームなので、私も一番好きなキャラは何人もいたりするんですが……とにかく、ヘルメスとメーティオンが一番好きです。

 だから、そんな私から見た時に、「暁月のフィナーレ」という物語は、「花を贈るための物語」だとも捉えられました。赦しほど残酷なものはないと思っていた彼が、どうしても見捨てられなかった大事な想い。その想いに、その解答に、その旅路に、花を贈るまでの物語。

 私は彼のそんな誠実さが好きで、私は彼の公平でありながらも大切なものを切り捨てられない人間らしさが好きで、私は彼の……優しさが好きです。空に軌跡を描く流星のような彼女にも、きっとこの花が届いていると嬉しい。自分と遠くの星々を繋ぐ、エルピスの空の色に染まる会場を見て、私はそんなことを思いました。

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 そしてアンコールでは「そして世界へ」「終焉の戦い」の2曲が披露。ここまで「これまでの冒険の追憶」をひたすら念押ししてきたのは、この最後の「終焉の戦い」の話をするためでもあります。

 そもそも「終焉の戦い」は「究極幻想」「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」「龍の尾 ~神龍討滅戦~」「砕けぬ思い ~ハーデス討滅戦~」の4曲がアレンジされている歴代ボスラッシュとも言える曲。そして実際の会場では新生・蒼天・紅蓮・漆黒のパートに合わせてそれぞれのパッチの映像が流れる演出となっており、これがとにかく熱い! まさにこれまでの総決算にして最終決戦!!

 公演のセットリストを新生~暁月編でこれまでの冒険を追体験する形で組んのもおそらくこのためでもあり、この「終焉の戦い」の演出を見ることができただけで、オケコンに来た意味はあったと思えました。勝利を喝采に変え、万感の想いと共に幕を下ろしましょう。

 最後に付け加える形ですが、吉田氏曰くDay1の初回公演には「僕よりもFF14が好きだったかもしれない友人」のお父さまとお母さまが来てくれていたそうです。私は彼の物語を後追いで見た側の人間でしかありませんが、彼にもこの花が届いてくれていると……ひとりのユーザーとして嬉しいです。

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 さて、3年ぶりの開催となった「Eorzean Symphony」、いかがだったでしょうか。私も流石に「この公演を見ていた自分の頭の中」を書き記しただけの内容であることは理解しているので、ライブレポートと名乗るのが恐れ多いです。

 今回の公演でこれまでの冒険に思いを馳せる中で、「なぜか『FF14』は何度でもやり直したくなるゲーム」であることを再認識しました。私は普段、一度クリアしたゲームをやり直すことはほとんどありませんし、やり直そうともあまり思いません。

 でも、このゲームは「あぁ、一度だけこの記憶を消して遊ぶことができたら楽しいだろうな」と何度も思います。そもそもゲームのシステムがあまりわからなかった新生、ストーリーとキャラクターの素晴らしさに胸を打たれた蒼天、まだまだ広がるエオルゼアの大地に心が躍った紅蓮、あの世界の物語が今でも鮮烈に焼き付いて忘れられない漆黒、終焉とこれからの始まりを描く暁月……もう一度だけ知らないまま遊べたら、どれだけ幸せなことでしょう。

 でも……私にとってはどれも忘れがたい大切な記憶なので、もし本当に記憶を消せたとしても……私はやっぱり消さないんじゃないかと思います。ゲームとしてはもう一度楽しみたいけど、ひとりの人間として、あの世界の人たちのことを忘れるなんてことはできません。

 だからこうして、「音楽から冒険を振り返ること」ができて、とても良かったです。記憶は消せないけれど、何度振り返っても、何度思い出しても、楽しい冒険でした。

 そして……星のない暗い海に差す光が、こんなにも綺麗なことを思い出せました。私のところには「音楽」という名の希望、「追憶」という名の花が届きました。ありがとうございました!

祖堅さんと吉Pからのコンサート終了後コメント

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 最後に、コンサート終了後の祖堅さんと吉田さんのコメントをお届けします。

──コンサート、全4公演終えての祖堅さんの感想をお願いします。

祖堅氏:
 『新生エオルゼア』発売からの約9年間、意外と光の戦士たちの心に刺さる音楽を作れ ていたかもしれないな、という実感がわきました。こういう興行はいいですね。ゲームは海外ではわりとエンターテインメントとしての地位を確立しているけど、日本 ではまだ「ゲームなんかやって…」というような風潮があると思います。

 でも、僕はゲームというエンターテインメントは素晴らしいと思っていて、自信があるし自慢でもある。コミュニティも凄いですし。今回のオーケストラコンサートではゲームというエンターテインメントの無限の可能性を見ることができたし、そのなかでもサウンドが表現できることの素晴らしさも改めて感じました。 あと、自分で言っちゃいけないかもしれませんが、自分たちが作った『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』はいいゲームなんじゃないか、という気がしました(笑)。

 もちろん、いいゲームを作っているつもりでいつも奮闘しているわけですが、改めてこうして お客さんと対面できて、同じ空間を共有して、音楽を共通キーワードとしてやりとりしたつもりです。それで、光の戦士たちが心を動かして、感動して、泣いている姿を見て、「FFXIV のサウンドを作ってきてよかったな」と改めて思いました。

──観客のリアクションは、どこからか見ていたのですか?

祖堅氏:
  公演が始まったら、最初に舞台袖からオーケストラ奏者や合唱、指揮の栗田さんたちをステージに送り出すのですが、その後にはダッシュでPAブースに行って音をチェックしていました。今回の会場は 4階層あったので、演奏が始まったらそれぞれの階でチェックして、 どこをどう調整したいかを逐次、PA さんにフィードバックする。そのときにお客さんの顔が見えるんですよね。

 そのお客さんの顔が、早くも2曲目から…… 1曲目はお客さんを見る余裕もないですが、2曲目から感極まって泣いている方がいらっしゃるのを見ると、心を動かせたのかな、という気持ちになりました。

 仕事として頑張るのは当たり前ですが、「ゲームサウンドを介して人の心を動かせた」という結果に、今度はこちらが感動する。そういった2日間でした。得るものがあったので、 これをまたゲームサウンドに活かしていこうと思います。そしたらまたさらにいいゲーム になるんじゃないかなと思いつつ、精進するしかないですね(笑)。 これからも、いいゲームサウンドを届けられるよう頑張ります!

──吉田さんの公演を終えての感想を教えてください。

吉田氏:
 まずは「ほっとした」というのが大きいです。今回は曲数をかなり詰め込ませてもらった のですが、時間には限りがあるのでMCの時間を延ばせないと厳密に言われていました。 一方で、オーケストラコンサートが初めてで緊張している方も多くいらっしゃるので、そこを「いつもの FFXIV、いつものエオルゼアだよ。リラックスして聴いて、思い思い楽しめばいいんだよ」というところに繋げられるようにしたい。

 僕は司会業が本業ではないし、そこが難しいところで…… 終わった直後の感想はというと「ほっとしました」という一言です。

──久々の有観客でのオーケストラコンサートでしたが、いかがでしたか?

吉田氏:
 各公演の開演前にちょっと舞台袖から顔を出して、来場者の皆さんとアイコンタクトしたり手を振ったりして、変な話、お互いが実在するというのを確認しながらオケコンに臨めたというのはすごくよかったと思います。

 多くのスタッフもコンサートを聴きながら自分たちがやってきたことの足跡や歩みみたいなものを、『新生エオルゼア』から改めて振り返ることができたと思います。そこは僕も含めて開発・運営チームにとって物凄くよかったですし、これほど多くの光の戦士を見られたことは明日からの活力になったと思います。
 

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ライター
転生したらスポンジだった件
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