「背中で魅せるガンガールRPG」を謳うも、現実はその数十センチほど下に広がる絶景に目を奪われている人が続出している『勝利の女神:NIKKE』。
アサルトライフル、ショットガン、ロケットランチャーなどの重火器を担ぎ、人類の敵である“ラプチャー”をせん滅していく美少女たち。銃を撃てば反動があるのは当然という物理法則を建前に、彼女たちの身体の一部が揺れに揺れる。
【VIEW MODE紹介】
— 【公式】勝利の女神:NIKKE×エヴァンゲリオンコラボ中 (@NIKKE_japan) March 25, 2022
指揮官の皆さまにゲーム内の「VIEW MODE」をご紹介します!
このモードでは、ニケを様々な角度から見ることが可能です✨
また、彼女たちの射撃動作や銃器の種類も観察することができますよ✅#NIKKE #ニケ #メガニケ pic.twitter.com/rlC1ekzlYg
「『勝利の女神:NIKKE』というゲームをなにかひと言で表せ」という試験問題がでたのなら、恐らく「尻」と回答するプレイヤーは少なくないであろう。ゲームのキャッチコピーが「尻を揺らして世界を救うガンガールRPG」に変わっても気づかないと思う。
しかし待ってほしい。本当に尻ばかりに目を奪われていていいのだろうか? 何か大事なことを見逃しているのではないだろうか? 思い出してほしい、このゲームの魅力を。
顧客満足度を最大限に理解したニケたちの服装だろうか。いや、違う。
下半身だけではなく上半身にも絶景が広がっていることだろうか。いや、違う。
見た目に惑わされてはいけない。煩悩を捨て去り、心の目で見ることが大切だ。
本作の魅力を語るうえで欠かせないもの、それは……。
……そう、ストーリーだ。
世界文化遺産「ムチムチ三大絶景」に数えられていると噂の臀部(でんぶ)に隠れてしまっているが『勝利の女神:NIKKE』はストーリーがめちゃくちゃいい。
メインストーリーはカルピスの原液くらい濃厚だし、登場するキャラ(ニケ、人間、敵)たちはひと癖もふた癖もある。涙腺がうるうるしちゃう場面もあれば、ツッコミが追いつかないギャグパートもある。
『勝利の女神:NIKKE』のストーリーをスキップしているプレイヤーに伝えたい。尻ゲーだと思って敬遠している人たちにも伝えたい。
ニケたちの見た目(尻)だけでなくストーリーも見てほしい!!
文/竹中プレジデント
残酷なニケの扱い
『勝利の女神:NIKKE』のストーリーをひと言で表すと、「退廃した世界で人間ではない美少女たちと世界を救うために戦っていく」。
指揮官学校を卒業したばかりの新人指揮官と、人類の敵“ラプチャー”と戦うために強大な力と不滅の命を持つ兵器である“ニケ”たちの物語となる。
ニケの脳には“NIMPH”という物質が埋め込まれており、記憶の記録、消去、上書き(セーブ&ロード的な)など、脳を自由に制御できるようになっている。そして、ニケのボディは無尽蔵に製造可能なため、脳が破壊されない限りニケは死なない。
当然のごとく人権は存在せず、ニケを「鉄くず」と呼ぶ人間もいれば、ニケの救出に対しては「回収」、脳が破壊されてしまったニケを「処分」という言葉を使うなど、まるで消耗品のような扱いだ。
脳を制御されていること、脳さえ無事なら死なないことで、化け物であるラプチャーとの戦いに恐怖心なく立ち向かえているのかもしれないが、見た目は人間そのものなため、プレイヤー視点だとなかなか残酷な扱いに映る。
そのうえでニケの最優先事項は「指揮官を守り命令に従うこと」と設定、現場で指揮官に怪我があったら問題になる(ニケ自身に責任がなくても)くらいには徹底してニケを従わせている。
だからなのか、同一の指揮官とニケが連続で部隊を組むとトラブルが発生することが多く、指揮官がニケを現場で処分することもあれば、逆もある。指揮官とニケの関係は良好ではないように見える。
そんな状況だからだろうか。指揮官はニケのことを女性としてまったく見ていないらしい。
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いやいやいやいや! それは無理がある。見ちゃう。めっちゃ見ちゃうよ。
この世界の指揮官たちは去勢されたサイボーグか何かなのだろうか。 これが世界の普通であるのであれば、世界の理(ことわり)じたいを疑ってしまう。こんな世界ならいっそのことラプチャーに滅ぼしてもらったほうがいいんじゃないだろうか?
ただ、プレイヤーの分身とも言える我らが指揮官は、しっかり女性として見てしまっているようなので、信じていい人間だ。ニケからは変な目で見られてしまうが致し方ない。
ちなみに、ニケの体重(重量?)はかなりのものらしく、氷の上に乗れば氷が割れてしまい、橋を渡る際にも人数を気にしないといけない。乙女にとって残酷である。
心がえぐられるチャプター1
住んでいる村が焼かれたり、記憶喪失だったり、物語の幕開けに過酷な状況が突きつけられるのはゲームストーリーの定番であるが、『勝利の女神:NIKKE』でも同様に指揮官が心肺停止になっている場面から始まる。
いっしょにいるニケに応急手当をしてもらいなんとか息を吹き返すのだが、そこに広がっていたのはふたつの山脈という絶景が。
出会ったニケの名前はマリアン。状況を説明してくれたり、戦闘時の操作を教えてくれたり、いわゆるナビゲーターキャラのようだ。しかもCV花澤香菜……このニケが本作の看板娘に違いない!
負傷したマリアンに包帯を巻いてあげたり(本来ニケにとっては無意味)、辛そうな指揮官をおんぶしようとしたり腕を組んで支えたり、絶体絶命の状況で助け合うふたり。
戦場で出会った仲間のニケが指揮官のことを「新人」だとバカにするような態度をとると怒ったり、メンテナンスのために上着を脱がされると照れたり。指揮官とニケの関係を超えた絆を感じる。あとイチャイチャオーラもすごい。
こんなの見せられたらマリアンのことを好きになっちゃう!
CV花澤香菜だし。きっとこの後、ストーリーも指揮官とマリアンを中心に描かれていくのだろうな~~なんて思いながらストーリーを読み進めていくと……。
マリアンの様子がおかしい。
恐らく多くのプレイヤーの心をがっちり掴んだであろうこの場面(握力強すぎて若干えぐれたけど)。ここからどうなるのか……というのは、ぜひ実際にご自身の目で確かめてほしい。読んでほしい。感じてほしい。
ここは底なし沼。続くは絶望という名の無限地獄。尻という肉の海に溺れ、ストーリーに魂を揺さぶられ、思いっきり泣いてほしい。
個別キャラストーリーもいいぞ
チャプター1後は、常識人かつ苦労人枠なラピ、ツン強めかと思いきやデレデレまっしぐらのアニス、常時スカートがめくれているネオンの3人のニケとともに任務を遂行していくことになる。
ラピはなにやら自身の過去に謎を隠しているし、アニスは指揮官のこと好きすぎるし、ネオンは火力バカ。シリアスをベースにしながら適宜ギャグを挟んでくるバランスで読み進めやすい。
ゼロ年代泣きゲー好きも満足の品質となっているメインストーリーなのだが、ストーリーを読むためにはメインクエスト(キャンペーン)を進めていく必要がある。いかんせん、これがなかなかに大変。
難易度緩和が入って進めやすくはなっているのだが、リリース時からプレイしている指揮官でもチャプター18までクリアできている人は極一部であるし、毎日少しずつ育成していく盆栽ゲーであるため課金で解決するのも難しい(できなくはないが相当な課金がいる)。
そんなときは面談をしよう。そしてエピソード(キャラストーリー)を読もう。
面談とはニケと会話をすることで好感度を高めることができるコンテンツ。そして、一定以上の好感度になるとエピソードが解放される仕組みだ。
面談やエピソードを通して、ニケたちの人となりや好みが徐々にわかっていくのだが、「個性豊か」では収まりきらない濃いキャラをしているニケばかりなので、ユニークな展開のものが多い。
自分が読んだなかで際立ってヤバいとおもったのがユニのエピソード。
他の人を手あたりしだい叩きまくるユニを注意すべく「肉体の会話」を試みる指揮官だが、叩かれた感想を言っているだけで会話になっていないと指摘されてしまう。
このままではユニを失望させてしまうと、その日からあらゆるニケの目の前に現れては「叩いてくれ」と懇願する変態指揮官になり果ててしまう。そして叩いた者の感情がわかるマジの変態に進化を遂げる。
マジでよくわからない状況だろうが、ストーリーを説明している側も頭が混乱するくらいにはカオスな状況だ。それくらいぶっ飛んだストーリーになっている。おすすめ。
それ以外にも、監禁まがいのことをされるイザベルのエピソードや、夜這いにおびえながら一夜を過ごすラプンツェルのエピソードなど、指揮官の貞操が危うくなるオトナ(?)な内容のストーリーも。
多くのニケたちの名誉のために言っておくが、これは極一部のニケたちが「ひと際ヤバイ」だけである。
ネコのぬいぐるみをゲットするためにハンバーガー食べ歩きデートをするアドミのエピソードや、恋人ごっこをするペッパーのエピソードのように、胸キュンあまあまストーリーだって少なくない。
それでもやっぱり尻も好き
メインストーリーにキャラストーリー、そして期間限定で開催されるイベントでもボリュームじたいは短めだが良質なストーリーがついてくる。『勝利の女神:NIKKE』のストーリーはとてもよい。
……のだが、ストーリーはいつしか読み終えてしまう。そうなってしまったら我々はどうすればいいのだろう。
……そうだ!! ニケたちの尻を眺めればいいのではないだろうか。
顧客満足度に定評のある本作では、たとえガチャでゲットできていないニケでも好きなときに全身を見ることができる。そして、いくら眺め続けても尻は減ることはない。無限の尻。いつまでも見続けられるというわけだ。
そもそも、ラプチャーと戦うための兵器を作るならば見た目が美少女でなくともいいし、揺れがあらわになりやすい服装を身にまとう必要性も皆無。つまり、ニケたちが美少女で尻を揺らしているのには世界設定的になにかしらの理由があると考えるのが自然であろう。
そう、ニケの尻を監視し続け、世界の謎を解き明かしていくことこそ、我々指揮官の役目なのだ!!
その際には、長い髪や防御力の高い服装に注意しよう。期待して後ろに回ると絶望することがある。よい指揮官ライフを。