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『ピノッキオ』と『ブラッドボーン』を合体させた新作ソウルライクRPG『Lies of P』はフロム・ソフトウェアへのラブレター兼果たし状だった

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 『Lies of P』の試遊を終えた後の疲労感……。それは全く不快な疲労感ではありませんでした。
 それはたとえるなら、夕日が沈みかけている河原で喧嘩して殴り負けたときの爽快感、そして冷めやらぬ鼓動。
 このゲームは「フロム・ソフトウェアに送られたラブレター兼果たし状だ!」と確信しました。

 最新映像やスクリーンショットが登場するたびにSNSで話題となっている期待の新作ソウルライクRPG『Lies of P』。そんな本作のチャプター2と3の体験の機会を得ましたが、歯応えのありすぎる内容のためチャプター2までしかプレイすることができませんでした……。

 最初に謝罪させてください。私はチャプター2のバカでかいボスに完敗しました。そのため、本稿では読者の皆様にチャプター3の様子をお届けすることができません。

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チャプター2のバカでかいボス。体力を半分削るとビリビリ電撃モードになってめっちゃ強い。

 しかし!

 逆に言えば、サラッとバカでかいボスをぶっ倒して「もっと難しくてもよかったな」という結果にならなかったことは、むしろ本作が超本格的なソウルライクである証なのです。
 筆者自身も本家ソウルシリーズは遊んできているので、決して高難度だからクリアできなかったのではありません。生半可な気持ちでは作られていない、「本気」を感じる難しさだったからこそクリアできなかったのです。

 最高の舞台設定にマップ、Pの美しい顔立ち、自由な戦闘スタイル、いやらしい敵の配置にウザすぎる犬。ゲームに登場するあらゆる要素に対して、凄まじい熱量とリスペクトを感じました。
 冒頭で述べたように、まさしくこのゲームは「フロム・ソフトウェアに送られたラブレター兼果たし状」なのです。

文/tnhr
編集/実存


好きなように攻めまくれ、クラットとPの美しくゴシックな装いと共に

 まずはざっくりと『Lies of P』のあらすじを。舞台はフランス19世紀末の「ベル・エポック時代」。このベル・エポック時代とは、産業革命以降で上下水道の整備による公衆衛生の改善、交通網の発達や電話の実用化など、生活インフラが大幅に向上している時代です。エッフェル塔の完成やパリ万国博覧会が開催されたのもこの時期となっています。

 ファッションで言うと、コルセットでウェストをキュッと締め、胸部と腰を強調し、横から見るとS字型を描いているようにみえるスタイルが流行しました。本作でもその街並みやファッションが細部まで取り入れられており、アクションだけではなくそれらの要素も大きな見どころになっています。

 そして、主人公は機械の左腕を持つ美しく精巧な人形「P」。原案の童話『ピノッキオの冒険』と同じく人間になることを目標としたこの人形は、パリをモチーフとした架空の街・クラット(Krat)を舞台にさまざまな困難へと立ち向かっていくことになります。

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 では、本題へ。プレイヤーはゲームを開始するとまず自分の戦闘スタイルを3つのうちからひとつ選ぶこととなります。

 「Balance」は文字通りバランスがよく武器はオーソドックスな剣、「Agility」は機敏に動き回ることができ武器はレイピア、「Tenacity」は「粘り強さ」を表す単語ですが、要するに脳筋スタイルということで、明らかに殺傷能力がヤバい先っちょの丸い武器を持つこととなります。

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 戦闘のスタイルを選んだら次は「P-ORGAN」というパッシブスキルの選択へ。「ORGAN」というのはつまり器官、臓器といった身体の内部の重要な箇所の意味を持つと同時に、パイプオルガンのオルガンの意味も持ったカッコいい単語です。19世紀末生まれの機械仕掛け人形であるPにとってはぴったりな感じがしますよね。

 本作はこういったひとつひとつの単語の当てはめ方が全体を通してゴシックでクール。どのようにローカライズされるのかが非常に楽しみです。

 話を戻しますと、パッシブスキルにはいくつかの種類があり、最初は2つ選択することができます。未開放のスロットが存在しているため、ゲームの進捗によってパッシブスキルを追加できるはずです。

 「Offensive(攻撃)」「Defence(防御)」を強化することのできる基本的なスキルはもちろんのこと、後述するレギオンアーム(Legion Arm)という補助武器の全ての攻撃力がが上昇するスキルがある「Utility」、ロックオン中の後方移動速度が増加するスキルがある「Operation」といった小回りのききやすくなる便利スキルまで存在しています。

 軽く冒頭に触れただけで、かなりのカスタム要素が存在していることが分かりました。しかし、本作の自由さはこれだけにはとどまりません。

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超カスタマイズで自分好みの戦闘スタイルを作り出せ

 本家のソウルシリーズとは大きく異なるオリジナル要素が武器の組み合わせシムテム。Pが持つ武器は「柄」「刃」の2カ所が別々のパーツとなっていて、これらをそれぞれ組み合わせることで、自由に武器を作り出すことができます。

 やはり、どんな武器で攻略するかを考えるのがソウルライクの醍醐味であり、プレイヤーのこだわりが現れるやりこみのポイント。武器の組み合わせは本作における篝火的なチェックポイントである「Stargazer」で行うことができます。

 さらに、過去に行われたインタビューによると「セットアップの武器が約30種類あります。それに加えて、武器は柄と刀身のふたつに分離して、また異なる部位と組み合わせることができるため、組み合わせの総数は100種類以上になります。」とのこと。

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 戦闘は基本的に攻撃はR1とR2で弱攻撃と強攻撃を使い分けて行います。もちろん武器によってモーションや癖、使用感は全く違い、狭いところでは壁に引っかかってしまって一切使い道のない武器もあるため、臨機応変な武器チェンジ能力が必要です。

 また、「Fable Arts Slot」といった必殺技のゲージを貯めていくと「Fable Arts」といった武器固有の必殺技を打つことが可能なのもオリジナルのポイント。強力な一撃を放ったり即座に敵の背後に回り込んだりすることができますが、これもなかなか癖があるので会得するには修行が必要になるかもしれません。

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 そしてPの左腕には「Legion Arm」という補助武器を装備することができ、4種類の武装を付け替えることができます。初期装備であるフックのようなLegion Armを使用すると敵を引き寄せることができ、そのままボタンを長押しすると追撃を入れることが可能です。

 ただし、特別モーション中は無敵にならない上、敵はそのまま動き続けてしまうため、自分のモーション中に敵の攻撃を喰らわないように気をつけなければいけません。

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ソウルライクに慣れた方にはすんなりと入り込める設計

 オリジナルの要素もたくさんありますが、基本的にはソウルライクゲームを遊んだことのあるプレイヤーはすんなりと全てのシステムを受け入れることができます。

 ソウルシリーズで言うところの「ソウル」にあたるポイント「Ergo」はPのステータスのレベルアップやアイテムの購入に使うことができ、Ergoは死亡してしまうとフォールドに落ち、再度死亡しない限りは残り続けて拾いなおすことができます。

 回復も拠点に戻れば使用回数が戻り、バフ効果や遠距離からの攻撃が可能なアイテムもいくつか存在しています。

 ただ、本作にはパリィのためのボタンは用意されていません。ガードボタンをタイミングよく押すことによって、パリィのような「パーフェクトガード」が成立します。
 通常、ガードした時には少しダメージを受けてしまうのですが、その削りダメージが完全になくなるといった具合です。

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 また、キャラクターの見た目を自分で作るキャラメイク要素はなく、プレイヤーは決まったPでプレイすることになりますが、ステータスに影響のない衣装のバリエーションがなかなかに豊富そうです。

 試遊では1種類しか獲得することができませんでしたが、初期衣装とはガラッと雰囲気が変わり、この衣装ひとつひとつにも物語やバックボーンがあります。なんといってもPがむちゃくちゃ可憐で端正な顔だちをしているので、どんな衣装も映えそうなのがグッドです。

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「ウザすぎる犬」こそソウルライクらしさ

 古来より「ファミコンの鳥」と「ソウルライクの犬」はウザいと知られています。初代『ダークソウル』で山羊頭のデーモンと一緒に襲ってくる犬は、もう思い出したくないプレイヤーも多いことでしょう。

 本作には、いやらしい配置にいやらしい動きをする敵が無数に登場します。こんな細かいところまでも、ソウルの魂を感じます。

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死体を貪っている犬に槍で突っ込むP、その後囲まれて死亡

 とりわけ、チャプター2の中盤に登場した中ボスの前のロケーションはなかなかにきな臭い。名前も「Mad Donkey」で絶対にヤバいです。こいつに結構苦戦してしまいました。  ローリングで回避してくる上に超機敏で高火力。相手の攻撃を全て回避行動でいなすことは難しく、工夫して戦わなければいけません。

 自分の中で編み出した作戦はガッツリガード戦法。このゲームはスピーディーなだけあって、やはり全ての攻撃を回避しようとすると脳のリソースがそこに割かれてしまって上手くいきませんでした。

 ガードはしっかりと敵のダメージをカットしてくれるので非常に有効。苦戦してしまいましたが、本作の戦いの基礎をしっかりと学ぶことができたので、ステップアップするためのチュートリアルにしては最適な中ボスなのではないかと思いました。

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 マップは比較的コンパクトです、高低差をしっかりと利用した立体的なマップになっています。もちろんショートカットも随所に用意され、それらを解放しながらマップの構造を理解していくことが攻略のカギとなっているので、これもまたソウルライクの醍醐味。

 そして、今回の試遊ではチャプター2を丸々2時間プレイしてギリギリクリアすることができなかったので、十分なボリューム感を期待することができます。やりこみ要素もしっかりあるので、不完全燃焼になってしまう心配はあまりないかもしれません。

 さらに、今回体験することができなかったのですが、Pは嘘をつくごとに人間性を獲得し、だんだんと人間に近づいていき、獲得した人間性によってエンディングが分岐したり、NPCキャラの運命が変わっていったりするユニークな要素まで存在しています。

 随所に輝きを感じた、超本格ソウルライク『Lies of P』は2023年8月に発売予定です。
 なお、Steamでのプレイを考えている方はウィッシュリスト登録をしておくと動きがあったときに通知があるので便利です。ぜひチェックしてみてはどうでしょうか。

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 下記ボタンからご自由にダウンロードください。

 

ライター
『プリパラ』、『妖怪ウォッチ』ありがとう。黙々とゲームに没頭する日々。こっそりと同人ゲーム、同人誌を作っています。ネオ昭和ビジュアルノベル『ふりかけ☆スペイシー』よろしくお願いします。
Twitter:@zombie_haruchan

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