7月14日から16日にかけて開催されるインディゲームの祭典「BitSummit」。この夏の一大イベントの一つである。当日は多くのインディタイトルが出展され、参加者は様々なクリエイターの作品を実際に体験することができる。
今回、そんな「BitSummit」に出展されることになったタイトルの一つを、イベントに先んじて遊ばせていただいた。『Venture to the Vile』というタイトルのデモ版で、ジャンルはアクションアドベンチャーである。
公式サイトによると、本作は行方不明になった親友を探しに行く物語。主人公は「ヴァイル」と呼ばれる力をより多く吸収することで、凶悪な敵を倒すことができるとのこと。しかしそこには「代償」が伴うらしい。
主人公はなぜ鹿のお面をつけているのだろうか……。
15分ほどのデモ版だったためストーリーなどの詳細についてはほぼ明かされず、短い時間の体験ではあったが、現在開発中であるこのゲームの”今のところ”の感想を述べさせていただこう。
文/植田亮平
良い点は奥行きのあるステージ構造
まずは遊んでみて最も良い点だと思った部分について触れることにしよう。それは本作の公式サイトでも紹介されている「奥行きのあるステージ構造」だ。
このゲームはシステムとしては2Dゲームであるが、ステージ上のオブジェクトやキャラクターは3Dで表現されている。そしてマップ上にはたびたび、ステージの奥に進めることを示すUIが表示される(これはステージの先という意味ではなく。文字通り奥である)。
この表示が現れる箇所でコントローラーの上を入力すると、プレイヤーはシームレスに“ステージの奥”へ進むことができる。
この奥へ進むシステムは本作で発明されたわけではないので、本作の独自性かと問われると微妙なところであるが、本作は「やはりこのシステムは気持ちいい」ということを非常に明確に意識させてくれる。
背景かと思われる場所も実はステージであり、そこへシームレスに移動できるという体験は、とても気分がいい。気分がいいという表現だけで終わらせるのはもったいない気もするのでもう少し語ろう。
私の考えによると、このシステムは「3Dの世界を2Dで遊んでいる」という転倒故に気持ちいいのだと思う。この世界は3Dで出来ているはずなのに、なぜか横にしか移動できないという制約、その制約を“一瞬だけ”破り、やっぱりこの世界は奥行きのあるものなんだと意識させる、この飴と鞭のような構造が好きだ。
これは触る人の感覚によって感じることも違うはずなので、「BitSummit」に行く予定の方はぜひ体験してみてほしい。
アクション面は開発途中なので期待
アクション面やボス戦のゲーム体験については、(短いプレイ体験の中だけで言わせていただくと)開発途中のゲームなのだなというのも感じた。
連続攻撃やダブルジャンプ等、アクションの柔軟性に関しては非常にいい手触りを得た一方で、操作それ自体のレスポンス性やゲームデザイン上のバランス(例えば触れるとダメージを受ける茨が視認しにくい等)などは、これから良くなっていく部分だと私は感じた。
といってもそれを十分に確認するほどのプレイ時間が確保されていなかったので、あくまでデモ版だということでこれからに期待したい。
「BitSummit」に赴く関係者はぜひとも体験すべし
最後にボス戦だが、デモ版の最後にはバッタ型のボスとのバトルが用意されていた。
これがなかなか難度が高く、思わず「死にゲーか!?」と身構えたが、5回ほどの格闘の末倒すことができた。
めちゃくちゃ難しいという訳ではないが、初見で倒せるというわけでもない、絶妙な難易度なので(どう難しいかはヒミツ)これは非常に面白い体験だった。このゲームを体験しようと思っている方にはぜひともボスまで辿りつき、死闘を繰り広げていただきたい。
以上がこのゲームの今のところの感想である。そもそもの世界観が不気味な中世ヨーロッパ風の雰囲気を帯びており、なおかつ先ほど述べた”奥行きのあるマップ構造”と相まって独特の空気感を演出しているので、かなり好印象であった。
とはいえ、15分のデモ版ではストーリーについてはほぼ明かされなかったため、まだまだ謎に包まれた部分が多い。「BitSummit」に行く方は本作を体験してみてはいかがだろうか。