やっぱり “相性” ってあると思うんです。人間も動物も、そして食べ物も。覚えている方はいらっしゃるでしょうか。1年前の、どうあがいても絶望だったあの組み合わせを。
さかのぼること1年前、筆者はナンジャタウンにいました。なぜなら蕎麦に苺ジャムが入っている怪奇料理「羽生蛇蕎麦」(はにゅうだそば)を食べるためです。
2003年に発売されたホラーゲーム『SIREN』に登場する羽生蛇蕎麦。その最大の特徴は、蕎麦に苺ジャムがトッピングされていることです。
実際に食べてみると、これが口の中でちゃんと喧嘩する。世の中には「調和しないものがある」ということを身をもって実感しました。
蕎麦は蕎麦、ジャムはジャムです。
しかしながら筆者はひとつ気になっていたことがありました。もしかして「筆者の “混ぜ” が足りていなかったのではないだろうか」と。あのとき、苺ジャムをなるべく広げないようにして食べていたことは否めません。なぜなら苺ジャムの浸出を最小限に抑えたかったからです。これが人類の危機管理能力というものではないでしょうか。
とはいえ、もし筆者の “混ぜ” が足りていなかったとしたら羽生蛇蕎麦に対してフェアではありません。そこで2022年に引き続き、2023年もナンジャタウンで開催されている『SIREN』のイベント「SIREN in NAMJATOWN 宴」に行ってきました。
本稿では、1年ぶり2度目となる羽生蛇蕎麦の実食と「異界入り」してきた体験レポートをお届けいたします。
文/柳本マリエ
1年ぶり2度目となる「羽生蛇蕎麦」の実食
実食の前に、羽生蛇蕎麦のおさらいさせてください。
『SIREN』の舞台となる羽生蛇村には羽生蛇蕎麦という名産があります。作り方も作中に記されていました。
羽生蛇蕎麦の作り方
①多めの沸騰したお湯で麺を3分間ゆでます。
②麺をざるにあげ、冷水でよくすすぎます。
③肉水、酢、酒、唐辛子、砂糖で作ったスープに麺を入れ特製苺ジャムを入れて完成。
つまり、蕎麦に苺ジャムがトッピングされた料理ということ。冒頭に書いたとおり、前回は筆者の “混ぜ” が足りていなかった可能性があるため今回は苺ジャムをしっかりと混ぜて食べたいと思います。
実際に提供されている羽生蛇蕎麦(2023年ver.)はこちら。
2023年もセルフ・ジャム・スタイル。つまり、自らの意志で蕎麦に苺ジャムを入れなければなりません。しかしながら1年ぶり2度目の実食になるため躊躇することなく投入することができました。
ここで、「しっかりと混ぜる」という強い意志の表れを2022年と2023年の画像で比較しながらご覧ください。
前回はきゅうりとパイナップルの間に乗せることで苺ジャムの浸出を最小限に抑えていました。ところが今回はご覧のとおり全体にまんべんなく乗せています。
ここから苺ジャムの8割くらいをしっかりとスープに溶かし、残り2割くらいを豪快にネギなどの食材の上に乗せるという、“混ぜ” と “乗せ” の抑揚もつけながら調整していきました。
悔いなく混ぜたところで、いただきます……!
すると!!!
どんなに混ぜても麺とジャムが口の中でちゃんと喧嘩する。噛んでも噛んでも「麺」と「ジャム」。さらに驚くべきことに、きゅうり、ゆで卵、キムチ、ネギのどれをとってもそれぞれが苺ジャムに対して「個」を主張。混ざらないってあるんですね。
という前回とまったく同じ感想を抱きました。なんで混ざらないの……?
味については苺ジャムと各素材が混ざらないだけなので、普通に完食はできるんです。ただただ混ざらない。蕎麦は蕎麦、ジャムはジャムです。
しかしながら「どんなに混ぜても麺とジャムが口の中でちゃんと喧嘩する」ということが判明したので、これは大きな収穫だったのではないでしょうか。やっぱり実際に食べてみないとわからないですから。
そのほかに「赤い水」と「マナ字架のパンケーキ」もいただきました。赤い水はカシスジュースです。
マナ字架のパンケーキは、コラボフードとしてはもちろんのことパンケーキとしても人気のメニューとのこと。食べごたえがありました。
羽生蛇蕎麦:1200円(税込)
赤い水:700円(税込)
マナ字架のパンケーキ:1200円(税込)
そのほか「前田知子の「お母さん、開けてよ!」ホットドッグ」や「羽生蛇村行事「海還り」うどん」など『SIREN』のストーリーやキャラクターをイメージしたメニューが楽しめます。ぜひ羽生蛇蕎麦と一緒に味わってみてください。
「SIREN回廊」は歩くタイプのお化け屋敷
つづいてはアトラクション「SIREN回廊」をご紹介します。こちらは『SIREN』のさまざまなシーンを体験しながら出口を目指すというウォークスルー型のホラーアトラクション。つまり、歩くタイプのお化け屋敷です。
さっそく向かってみると見覚えのある姿がそこにありました。
そう、屍人です。
この記事を読んでいる方には改めて説明する必要はないかもしれませんが、屍人は一定数の赤い水を体内に取り込んだことで不死身の存在となってしまった者。人間だったころの生活パターンになぞって行動します。目から流れる血の涙は、赤い水と入れ替わりに自らの血を出している生理現象とのこと。
その屍人がアトラクションの周りを徘徊していました。驚いたのは、ひとつひとつのアクションだけでなく、声まで再現していたこと。照明の暗さも相まって臨場感を味わえます。
しかしながらこれだけ再現度が高いにも関わらず、筆者は怖さよりも喜びの感情が溢れてしまったため、どちらかというと歓声をあげてしまいました。
筆者のカメラロールには、興奮のあまりほんの数分で89枚も撮影した屍人の写真が残されています。
さて、それでは肝心のアトラクション「SIREN回廊」に入ってみましょう。まず入ると目の前の大きなモニターに下記が提示されました。
終了条件1「廃屋出口」への到達。
終了条件2「屍人」からの逃亡。
つまり、屍人から逃げながら出口を目指すということ。この「終了条件」は『SIREN』の作中に出てくるミッションで、プレイヤーはシナリオごとに設けられた終了条件を目指して進みます。そんな、お馴染みの終了条件が目の前に提示されたらテンションが上がらないわけがありません。
終了条件を確認したところで、ここから先は廃屋を歩いて進むこととなります。
とはいえアトラクションの内容を詳しく書いてしまうとこれから体験する方の楽しみを奪ってしまうと思うので、見どころ(体験どころ?)を抽象的に書かせてください。
・『SIREN』のさまざまなシーンが再現されている
・登場人物のおさらいをしておくとより興奮する
・「ここ通るの……!?」という場所がある
自分の足で歩かなければならないため、ちゃんと怖いです。しかしながら公式サイトに書いてあるように “『SIREN』のさまざまなシーンが再現されている” ため、筆者は「懐かしい~~~」という気持ちのほうが強く、徘徊している屍人を見たときのように怖さよりも喜びが溢れてしまいました。
「SIREN回廊」の所要時間は10分ほどで、3名まで一緒に入れるとのこと。ご興味があればぜひご自身で終了条件を達成してみてください。
『広報はにゅうだ 特別号』の謎解きレクリエーション
つづいては謎解きレクリエーションを紹介します。現在ナンジャタウンではナジャモジャマーケットのレジで『広報はにゅうだ 特別号』を発売中。冊子に掲載されている謎を解くと景品(ネックストラップ)がもらえます。
『広報はにゅうだ』といえば、作中アーカイブNo.004の『広報はにゅうだ』ですね。再現度が高くて興奮しました。
ここからは会場内を歩きながら『広報はにゅうだ 特別号』に掲載されている謎を解いていきます。正直なところ、こういった謎解きゲームは「とりあえず参加してさくっと謎解きすれば景品がもらえるだろう」くらいに思っていました。だれでも簡単にもらえる参加賞みたいな。
ところが、思いのほか難しく一筋縄ではいきませんでした。
謎解きは基本的に「ここに行ってこの謎を解こう」というような指示があります。しかしながら、その場所を探すこと自体が謎解きになっているため、なかなか見つけることができません。
そんなときに便利なのが「お助けページ」です。謎解きの回答は二次元コードから専用ページに入力するのですが、そこからヒントを見ることも可能。筆者はすべての問題でヒントを見ました。
なかにはヒントを見ても難しい問題があり、勘で回答するなどしてなんとかクリア。最後の問題が解けたときは思わず「わああ」と声を出してしまいました。気持ちよかったです。
所要時間は30分ほどとのこと。複数人で挑むと知恵を出し合えるのでスムーズかもしれません。時間に余裕を見て挑戦することをおすすめします。
「宇理炎アクリルキーホルダー」が愛おしい
ここからはグッズを紹介します。一覧は公式サイトを見ていただいたほうがわかりやすいと思うのですが、筆者が心を奪われたグッズがあるので紹介させてください。
それは「宇理炎アクリルキーホルダー」です。なんと、暗いところで光る蓄光仕様。
宇理炎はそれぞれに剣と盾が刻まれた土偶で、不死の存在である屍人を永遠に消し去る力を秘めています。使用者の生命と引き換えに発動する “神の武器”。その宇理炎が、光るアクリルキーホルダーになっています。
実際に光らせてみると、こんな感じ。愛おしい。
グッズ担当の方も「宇理炎は作りたかった」とおっしゃっていました。この宇理炎を持って「SIREN回廊」に入ればいろいろと心強いかもしれません。
オリジナルグッズはイベント初日から売れ行きが好調のようで、店舗ではすでに売り切れとなってしまっている商品もあるためご注意ください。オンラインで在庫の確認もできるとのこと。
『SIREN』は間もなく20周年を迎えるので、周年グッズも押さえておきたいところ。オンラインストアからでも購入可能です(受注期間は2023年7月14日10時00分から9月4日23時59分まで)。
筆者のいち押しは宇理炎なので、イベントに行かれる方はぜひ実物をご覧になってみてください。
「SIREN in NAMJATOWN 宴」をひと通り体験させていただき、まず最初に感じたことは再現度の高さです。羽生蛇蕎麦はもちろんのこと、徘徊する屍人や『広報はにゅうだ』、そして「SIREN回廊」でもさまざまなシーンが再現されていました。
また、現在ナンジャタウン版の「オカルトランド画像掲示板」【※】が開設されています。この掲示板を見れば、SDKを疑似体験できるということ……!?
※「オカルトランド画像掲示板」
主人公の須田恭也がSDKというハンドルネームで書き込みをした掲示板。怪異に巻き込まれるきっかけとなる。
『SIREN』は、間もなく20周年という大きな節目を迎えます。20回目の異界入りをナンジャタウンで体験してみてはいかがでしょうか。この機会にぜひ羽生蛇蕎麦を味わってみてください。
「SIREN in NAMJATOWN 宴」は9月3日まで池袋ナンジャタウンで開催中。
池袋ナンジャタウンで『SIREN』とのコラボイベント「SIREN in NAMJATOWN 宴」が開催中
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) July 31, 2023
開催を祝して「宇理炎アクリルキーホルダー」を1名様にプレゼント@denfaminicogame
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怪奇料理「羽生蛇蕎麦」は、やっぱり口の中で喧嘩する▼https://t.co/HkzBu05HK4 pic.twitter.com/i6lWHajlya