ガチ勢の友人と、初見プレイの妹から対戦でフルボッコにされ続ける──。
これが、『ストリートファイター6』で久々に『ストリートファイター』シリーズに復帰した私を待ち受けていた現実でした。
この敗戦を経て感じたのは、10年間という長いブランクがあったということもさることながら、格闘ゲームのセンスが圧倒的に足りないという問題点を持つ私が、ここから爆発的に上達するという可能性は限りなく0に近いのではないかということ。
それでも『ストリートファイター6』の対戦は楽しいわけなんですが、実は本作には、私のような格ゲー苦手勢でも存分に楽しむことができるゲームモードが用意されています。
そのモードというのが、“ワールドツアー”。
これは、本作の目玉の1つでもある新モードで、「強さとは一体何なのか。」という問いの答えを探して世界を旅するという、ガッチガチの対戦格闘ゲームからはある程度の距離を置いたものになっています。
歴代の『ストリートファイター』シリーズにはなかったようなモードに仕上がっている “ワールドツアー”は、これまで対戦格闘ゲームにあまり触れてこなかった人でも楽しめるようなものになっているとのこと。
……となると、格闘ゲームにガッツリ触れてきたけれどもヘタクソ。そんな私のような人間でも楽しめるモードになっているはずです。連敗に次ぐ連敗で荒んだ私の心を癒してくれるのはこのモードなのかもしれません。
そこで今回は、このワールドツアーを重点的にプレイし、その魅力をお伝えしていければと思います。
文/DuckHead
ワールドツアーで楽しもう!
さて、早速ワールドツアーに足を踏み入れてみると、「強さとは何か?」を問うオープニングムービーがオープニングとして流れました。当然この段階ではその問いに対する明確な答えは提示されず、
ワールドツアーでプレイヤーが使用するキャラクターは、キャラメイクによってそれぞれのパーツを好きにカスタムして作り上げるアバター。
このキャラメイクで使用することができるパーツはかなり豊富で、基本的な型となるプリセットもバリエーション豊かなため、上の画像のように、ゴールダストっぽいアバターを作ることもできます。
どこで聞いたのかは忘れてしまったのですが、風のうわさによると、キャラメイクを上手く使いこなせば、過去に出演した『ストリートファイター』シリーズのキャラクターを全員再現することも可能……らしいです。
あ、ちなみにですが、ゴールダストは『ストリートファイター』シリーズのキャラクターではなく、ゲームの世界から飛び出したかのような出で立ちをしているアメリカのプロレスラーです。
私の美的センスを考えると、完全再現に至る道のりはかなり険しそうですが、その再現に是非とも挑戦してみたいキャラクターがいます。
それが、こちらのマイク・ハガー。彼は『ファイナルファイト』シリーズに登場する操作キャラクターの1人で、当時はメトロシティの市長だった人物。
『ストリートファイター』シリーズでは、『ファイナルファイト』シリーズに登場するキャラクターが数多く出演しているのですが、ハガーはザンギエフによく似た攻撃技や設定を持つためか、中々お目にかかる機会がありません。
『Ultimate Marvel vs. Capcom 3』のような外部作品にプレイアブルキャラクターとして出ることはあっても、『ストリートファイター』シリーズで操作キャラクターになったことはなかったような気がします。記憶違いだったらごめんなさい。
私はシリーズ作品をプレイする度に迷わず操作キャラクターに選ぶほどにハガーが好きなのですが、本作でもご多分に洩れずプレイアブルキャラクターにはなっていません。そこで、ワールドツアーのアバターという形で、彼を操作する気分だけでも味わいたいと考えたのです。
そんなこんなで、ハガーを目指して作ってみたアバターがこちら。ありがたいことにハガーによく似たプリセットが用意されていたため、そこまで時間をかけずに作ることができました。
……ハガーと言うより、総合格闘家のドン・フライっぽくなってしまった気もします。
ということで、作ったアバターは “ドン・ハガー” と命名。マイク・ハガーに大いなるリスペクトを寄せた結果、ドン・フライにも似てしまった悲しきパチモンの誕生です。
それにしても、顔がアップになると、もう少しやりようがあったんじゃないかと思ってしまいますね。まぁ、私の中では及第点ということで、このままゲームを続行したいと思います。
ストーリーを開始すると、ドン・ハガーの教官としてルークが登場。ゲーム自体のチュートリアルではリュウが先生となりゲームの基本を教えてくれましたが、このモードでのチュートリアル担当は彼というわけです。
「操作方法教えるって言ったって、いつも通りのストリートファイターでしょ?」と最初は思っていたのですが、ワールドツアーでの対戦は、通常のストリートファイターの対戦とはかなり趣が違いました。どうやら、ワールドツアーはストリートファイターと似たようなシステムを持つ別のゲームと考えた方がよさそうです。
最低限の操作説明が終わると、ルークに誘われストリートへ飛び出します。ここから、ワールドツアーが本格的にスタートです。
ご覧ください。こちらが『ワールドツアー』の舞台であるメトロシティです……え、メトロシティが舞台なんですか?この展開は完全に予想外でした。やはり今作でも、『ストリートファイター』と『ファイナルファイト』両シリーズの関係性は深いようです。
……それはそうと、あの筋肉モリモリマッチョマンの銅像はもしや……?
やっぱりハガーの銅像でした。なんでも、武闘組織マッドギアに支配され犯罪都市と化していたメトロシティは、前市長のハガーによる強固な政策により安定と繁栄を取り戻したため、ハガーが偉大なるカリスマとして住民たちの尊敬の念を集めることとなり、最終的に巨大な銅像が建立されるに至ったとのこと。
……メトロシティが舞台となると、急にこのキャラで遊ぶことが恥ずかしくなってきました。本物が知れ渡りすぎている街でこの出で立ちとなると、どこからどう考えても、ハガーに憧れすぎてこの恰好をしているようにしか見えません。彼の誕生経緯を考えるとそれも間違ってはいないのですが、パチモンというより、ハガー専門のモノマネ芸人のように思えてきてしまうのが悲しいところです。
一応、アバターの見た目はゲーム内通貨である “ゼニー” を使えばいつでも変更できるのですが、ハガーの再現以上のキャラを作るまでの気力と創造力は持ち合わせていないため、今回はこのままゲームを進めます。
さて、ワールドツアーの基本は、街を歩き回って与えられたミッションをクリアしていき、物語を進めること。箱庭ゲームのような形式ですね。
こういったシステムになってくると、必然的にカメラの向きや位置を操作をすることが増えてきます。通常、こういったカメラ操作は右のアナログスティックで行うゲームが多いのですが、アケコンにはレバーが1つだけしかなく、右のアナログスティックにあたるものが存在しません。
もちろん、アケコンでも操作できるようにボタンを使ったカメラ操作のコマンドも用意はされているのですが、あまりにも馴染みの無さ過ぎる操作に苦戦し、開始数分で思いっきり画面酔いしてしまったので、数日間連れ添った愛しのアケコンとはここでしばしのお別れ【※】。
※ちなみにPC(Steam)版では、バトルはアケコン、街の探索などはキーボード&マウスの形で、いちいち差し替えることなく操作できます。
これまでの経験上、通常のコントローラーで格闘ゲームを遊ぶとボタン配置が分かりにくくなることが多かったため、この選択には一抹の不安もありましたが、操作方法をモダンタイプにしたところ、特に違和感なくボタン配置になじむことができました。
いつものコントローラーでも操作しやすいという意味でも、モダンタイプはありがたい存在ですね。
さて、ワールドツアーでは、敵と闘って勝利したりミッションをクリアしたりすることで経験値を獲得することができます。この値が一定に達するとアバターはレベルアップし、攻撃力や防御力といったステータスが上昇。
これらの基礎ステータスは、街中にあるアパレルショップで服飾品を購入して装備することでも上昇させることもできます。
こういったシステムですと、自分の好きな服装の装備ステータスが弱くて泣く泣く他の装備に変えたり、装備としての強さを求めた結果変な恰好になってしまうといったりしたことが起きがちですが、ゲームを進めていくと、強い装備のステータスを維持したまま好きな服を着ることができるようになるため、心配は無用です。このような細かな配慮も嬉しいですね。
更に、アバターはスキルツリーでスキルを獲得していくことでも強化可能。
このスキルツリーがトーナメント表のようになっていて、ほぼ毎回二者択一を迫られるのもまた面白いところ。他のゲームではあまり見ないタイプのスキルツリーなんじゃないかなという気がしています。
このように、ワールドツアーではRPGのようにキャラクター強化をすることができるため、ストーリー上でどうしても勝てない敵と巡りあった場合は、レベルアップや装備を整えることで対等に渡り合うことができるようにもなります。このシステムのおかげで、ワールドツアーは格ゲー初心者にもかなりプレイしやすいモードになっていると思います。
ただ、逆もまた然りでして、強すぎる敵と出会い、レベルアップや装備を整えてからでないとあまりにも勝負にならない状況に直面することもあります。
そんな時は、街行く人に闘いを挑んで経験値を稼ぎましょう。彼らにはそれぞれにレベルが設定されており、その値が頭上に表示されています。この値を参考にしてほどよい相手を探し出して闘うことが、効率的なレベルアップにつながります。これぞ正にストリートファイター。
さて、このワールドツアーが従来のストリートファイターと異なるのは、1vs1のタイマンではなく、複数の敵を同時に相手にすることもあるということ。
時には片手では数え切れないくらいの敵を同時に相手することもあり、気分は最早『ファイナルファイト』。
それどころか、ワールドツアーで地下鉄移動すると、『ファイナルファイト』よろしく、絡んでくるギャングたちと全力で闘わなければならなくなります。窓ガラスが割られていないあたり、『ファイナルファイト』当時と比較すると確かにメトロシティの治安はよくなっているようです。
治安が改善されたとはいえ、この街にはまだまだギャングやゴロツキも多く、中には黄色い段ボールを頭にかぶった可愛らしい見た目の “黄巾族” という新興ギャングもいます。
彼らのようなギャングや血気盛んな住民たちは、主人公を見るとすぐさま殴りかかってきます。主人公とのレベル差が大きい場合は怖気づいて喧嘩を売ってこないことが多いのですが、いつ襲われてもおかしくはないため、街を歩いている間も気を抜くことはできません。
これらの荒くれ者たちとは立て続けに戦闘になることもしばしばあるのですが、基本的に体力は回復することなく引き継がれるため、残り体力には気を配る必要があります。ただ、戦いの途中でもアイテムを使えば体力を回復することはできるので、そういった意味では戦闘自体はかなり易しいものとなっています。
更に、主人公に闘いを挑むために絡んでくるのは人間だけでなく、暴走したお掃除ロボットやドローンに殴りかかられるなんていうことも。
これらのロボットは通常のキャラクターと異なり、当てることのできる攻撃がかなり限られるため注意が必要です。相手の特性を見極め、戦法をしっかりと変えていかなければなりません。
何かと治安の悪いこの都市ですから、状況によってはこちらも二人がかりでギャングたちと対峙することも。こういった協力勝負もまた、ワールドツアーならではの要素と言えるでしょう。
そして、ワールドツアーの目玉の1つが、『ストリートファイター6』に登場するキャラクターたちがレジェンドファイターとして登場すること。
彼らとはゲームを進めていくことで師弟関係を結ぶことができ、戦闘スタイルや必殺技を学ぶことができます。
レジェンドファイターから学んだ必殺技は好きなようにカスタマイズが可能。流石にコマンドが全く同じ必殺技を2つ同時にセッティングすることはできないのですが、それでも選択肢の幅は広く、夢に思い描くような必殺技構成のキャラクターを作り上げることもできます。
また、これらの戦闘スタイルや必殺技を使い込むことで、そのスタイルのレベルが上がっていきます。これにより、師匠との新たな会話が発生したり、新たな必殺技を伝授してもらえます。お気に入りのスタイルは使い倒して、師匠との絆を深めていきましょう。
そしてコイツが、春麗スタイルのドン・ハガー。違和感が凄いです。春麗の美しくしなやかな戦闘スタイルは、筋骨隆々なドンには似合わないようです。彼のレパートリーから春麗のモノマネは早急に消しておくべきでしょう。
やはり、ハガーの代名詞といえばダブルラリアット。ザンギエフがこの技を必殺技として使うということは、これまでの対戦経験で把握しています。どうやら、ハガーのモノマネを極めるためには、ザンギエフへの師事を目指すことが不可欠なようです。