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このゲーム、“底なし沼” にも程がある! ダンジョン探索型アクションRPG『ミストローグ』はストーリーをクリアしてからがむしろ本番だった

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 世はまさに、ローグライク戦国時代……!

 1980年誕生の『Rogue』を由来に広まった同ジャンルは、2023年現在もなお、膨大な新作が誕生し続けるビッグな存在になった。

 ローグライクといえば、地形構造・敵・アイテムの配置が毎回変わるランダム要素失敗すればそれまでの進捗全てを失って最初からやり直しになる過酷なペナルティが特徴として挙げられる。それら以外にも”自分が1歩動けば相手も1歩動く”というターン制、限界値に達するとステータスが危機的状態に陥る「空腹度」などが特徴として挙げられる。

 昨今はそれらの要素を採用しない作品も目立つ。特にインディーゲーム界隈でローグライクを名乗るタイトルの多くはそれで、由来元との区別を意図してか、「ローグライト」と称されるようになっている。

 2023年4月24日より、「Steam」で早期アクセス版を開始していた『MISTROGUE ミストと生けるダンジョン』(以下、ミストローグ)も、そのひとつ。

 しかし、『ミストローグ』は「空腹度」(作中では「満腹度」表記)を採用していたり、昨今は継続式が採用されがちなプレイヤーレベルもゲームオーバーとゲームクリアを問わずリセットされる仕組みであるなど、ローグライクとも称せる特徴を持ち合わせている。また、グラフィックは3Dでカメラ操作もあるが、視点は見下ろし(トップビュー)だったりと、これまた由来元に忠実である。

 そんな本作は、満を持して10月27日に正式版がリリースされた。筆者自身は早期アクセス版は未プレイの為、今回が『ミストローグ』初体験となった。

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 本作の主な内容は、サブタイトルにも冠された「生けるダンジョン」の攻略に挑むダンジョン探索主体のアクションRPGだ。公式にはリアルタイム・3Dローグライトアクションゲームと称されている。

 その内容を一通り遊び倒した感想を端的に書くならば……「このゲーム、底なし沼にも程がある!」だ。詳しくは後述するが、本作はストーリーをクリアするだけなら、そんなに長い時間を必要としない。ところが、それを終えた後の世界というのがとんでもない。文字通り”果てがない”世界が広がっていたのだ。「100時間以上遊べるのでは!?」と思ってしまうほどに濃い。 

 たとえば武器や盾といった装備品にはレアリティが設定されているため、最高ランク「SSR」の装備品を手に入れるべく、クリア済みのダンジョンに何度も潜って探し出す遊びが楽しめる。なかでも「指輪」はさまざまな種類が用意されており、ビルドに合わせた指輪を入手するには相当な苦労を要する。
 己の限界と最高の報酬を求める人はこのやり込み要素に思わず熱が入ってしまうだろう

 他にも、「リアルタイムアクションなのに、ターン制ローグライクのような体験と駆け引きが楽しめるゲームデザイン」、「常に落下の危険が付きまとうダンジョン内部の構造」といった興味深い特徴と見所があった。

 筆者と同じように今回の正式版を機に初めて『ミストローグ』を遊ぶ方を考慮し、本稿は本作の特徴を紹介しつつ、その見所をピックアップする方針でまとめてみた。

文/シェループ

※この記事は『MISTROGUE ミストと生けるダンジョン』の魅力をもっと知ってもらいたいPolyscapeさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


昔ながらのローグライクっぽさを残した、ダンジョン探索メインのアクションRPG

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 プレイヤーが扮するのは「ミスト」という名のトレジャーハンター。

 彼は、トレジャーハンターで7年前に失踪した父親を捜す冒険を続けており、その手がかりが「生けるダンジョン」にあることを突き止めた。「生けるダンジョン」とは、生命と意志が宿ったダンジョンのこと。その誕生は数百年前に滅亡した「フェリル王国」に降りかかった”災厄”が発端となったと言われている。
 ミストは、そんな「生けるダンジョン」に父親が挑んだとされる証拠を求め、内部の探索と謎の解明に挑む……というのが大まかなストーリーとなっている。

 本編は「生けるダンジョン」を順番に攻略しながら進めていく。
 具体的には拠点となる街「ルートガル」で装備・アイテムなどの準備を整えた後、ダンジョン探索に挑むという流れである。

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 各ダンジョンのクリア条件はいずれも最深階層への到達および、そこで待ち構えるボスの撃破だ。各フロアを探索しては「転移石(階段)」を見つけることで次の階層へ進めるという、ダンジョンクロウラー系では定番の流れを踏襲している。

 もし、探索の最中にミストの体力(HP)が0になってしまうとゲームオーバー。拠点の「ルートガル」へと強制送還され、最初の階層からやり直しになる。どんなに奥の階層に進んだとしても問答無用だ。まさしくローグライクなペナルティとなっている。

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 なお、システム全般は『不思議のダンジョン』シリーズをベースにした設計。ダンジョン攻略も基本的に一発勝負。特定の階層まで到達すれば、そこから再開できるという中間地点もない。ミストの基礎ステータスを永続的に上昇させるアップグレードシステムも同様である。

 ただ、ゲームオーバー時のペナルティは装備やアイテムといった所持品の消失のみ、全部ではなく一部だけと、ゆるめに設定されている部分も。

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 難易度選択機能もあり、最も低い「イージー」の難易度では体力の自動回復が備わるほか、ゲームオーバー時のペナルティもさらに軽減されるという違いがある(逆に「ノーマル」以上に自動回復はなく、ゲームオーバー時のペナルティもやや厳しくなる)。

 また、アクションゲームなので、”自分が1歩動けば相手も1歩動く”ターン制は採用されていない。だが……敵が攻撃を繰り出す時、事前にその攻撃範囲が表示されるという、ターン制をイメージしたシステムが備わっている。

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 そのため、戦闘では相手の動きに応じて的確な行動を取ることが重要で、戦術的な判断が試されるタイプのアクションゲームに仕上がっている。ある意味、ターン制の枠組みをアクションゲームに翻案した作りとも言える。
 実際に体験してみると、アクションゲームなのにどうやってその場を切り抜けるかをじっくり考えられる、まるでターン制ローグライクのような新鮮な感覚が味わえた。

 さらにダンジョン内部のマップは、ミストの動きに応じて構造がリアルタイムで変化。これが「生けるダンジョン」の意味するところで、探索中に足場が現れたり、崩れ落ちたり、隆起したりといったダイナミックな展開が繰り広げられるのだ。

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 マップのフィールド端には仕切りがない。もし、そこから足を踏み外すと落下して大ダメージとなる。そのことから、探索中は足場とその立ち位置にも気を付けなくてはならない。そして、探索の過程には道がなく、足を運べない(進めば落下ダメージ確定となる)対岸も登場。

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 こういう時に「迷宮石」なるアイテムを使って道を作り出すことも求められてくる。

 このほか、探索中に手に入る装備類にはレアリティが設定されていて、高ランクの装備を探し出す遊びも用意。その装備にもさまざまな「スキル」が備わっているほか、空きのスロットが存在し、そこに「技巧書」なるアイテムを使うことで任意で別のスキルをセットすることができる。装備も武器と盾がそれぞれ1つ、腕輪が2つ、指輪が6つと枠が大きめで、組み合わせの幅が広いのも見所である。

 少し割愛した部分もあるが、リアルタイムアクションの中に、ローグライクやストラテジー要素が詰まった意欲作。リアルタイムで変化するダンジョン「迷宮石」による進路確保枠が大きめの装備枠といった特有の要素も多く、懐かしくも新しい香りが漂う。

やり込み要素は底なし。下手すれば100時間超えも!?

 本作はやり込み要素が大変な規模となっており、下手すれば100時間以上は遊べるのでは、と思ってしまうほどに濃い。

 そのひとつがレア装備集めだ。前置きにて紹介したが、本作の武器や盾といった装備品にはレアリティが設定されている。

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 その最高ランクである「SSR」の装備品を手に入れるべく、クリア済みのダンジョンに何度も潜って探し出す遊びが楽しめるのだ。そのような遊びのスリルを際立たせる「周回」のシステムも搭載。実は各ダンジョンには周回の概念があり、回を重ねるたびに敵の平均レベルが上昇し、どんどん手強くなっていくのだ。

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 極めつけとして、周回は難易度別にカウントされる仕様である。よって、最も高い「ハード」で周回を重ねれば……あとはお分かりかだろう。

 こうした要素があるため、クリア後も己の限界や最高の報酬を求める遊びが楽しめるようになっている。俗にハック&スラッシュと言われるゲームが好きなプレイヤーなら、このやり込みには思わぬ熱が入ってしまうこと請け合いだ。

 そうしたレア装備集めと並行するふたつ目として、スキルビルドの追求がある。各装備に予め付与されたスキルに加えて、技巧書によるスキルを追加することでより強力なビルドを組むことができる。

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 普段は高威力なだけの剣に吸血のスキルをセットし、攻撃と同時に回復も行うようにしたり、毒を付与するスキルをセットしてジワジワ体力を削らせるようにさせるなど、セットするスキルに応じて様々な効果を持った装備を作り出せるのだ。また、組み合わせによっては強力な攻撃を可能にするなど、いわゆる「シナジー」の効果を生じさせるものがある。

 たとえば玄人好みの大剣「オロチ」付属の「インファナルエッジ」「リベンジ」はHPが低いほど与ダメージが上昇するため、「ブラッドサージ」などを使用してわざとHPを減らした状態で戦いを挑むこともできる。

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 中には掛け算効果で大変なダメージを叩き出す組み合わせもある。そのため、どのスキルを一緒にするか考えるだけでも楽しい。装備枠は、武器・盾・腕輪・腕輪・指輪があり、とりわけその一部の「指輪」はさまざまな種類が用意されている。ドロップで手に入る指輪のステータスはランダムのため、ビルドに合わせた指輪を入手するには相当な苦労を要するだろう。主人公のミストをどこまで強くできるかの限界を突き詰めたくなる面白さがある。そして、それらを追求すればするほどに時間が吸われていく。

 自分なりの強い装備、キャラクターを編み出すカスタマイズが好きなプレイヤーにとっては、まさに至福のひと時が楽しめること請け合いだ。

 ちなみに本作は難易度ノーマルまでに限り、ゲームオーバー時に「持ち込んだ装備品」が失われることはない。しかし、ダンジョン突入後にその場で運良く拾った武器を装備したままやられてしまうと、その武器をロストする可能性がある。よってレアな武器防具が出たら確実に持ち帰るために一度引き返すか、そのまま進むかの選択が発生する。
 自分なりの強い装備、スキルビルドを突き詰め続けたいなら「ノーマル」でプレイするのがお薦めだ。緊張感のあるスリリングな戦いを楽しみたいなら「ハード」がいいだろう。

 そして、これらのカスタマイズの成果を発揮するに最適な場として設けられた3つ目のやり込み要素が「百戦錬磨の道」。ストーリークリア後に解禁される超高難易度ダンジョンで、正式版にて追加されたエンドコンテンツだ。

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 ストーリーには登場しない凶悪なボスたちとの連戦に挑むというアイテム持ち込み可能な特殊ダンジョンで、全5つの道が用意されている。

 超高難易度を名乗るだけあって非常に難しく、攻略するなら限界まで強化した武器とスキルビルドが必須。正直、それがなければ最初の階層すら突破困難といってもいいほどとなっている。また、このダンジョンは難易度が「ノーマル」に固定される都合上、「イージー」に切り替えての攻略もできない。それもあって、全てを終えるのに要する時間もメインストーリーの倍以上である。

 実のところ、筆者はまだ途中だったりするのだが、それでもすでに10時間は超過している。おそらくこのペースなら、すべて終える頃には50時間に到達しているのでは……と推察している。それほどまでに手強く、長く険しい道になっているので、メインストーリーに物足りなさを感じた熟練者はぜひ、挑んでみていただきたい。きっと、色んな意味で本作の短いゲームとの印象が覆される。

文字通り”果て”がないダンジョン「果てなき亜空」はローグライクのスリルが凝縮されている

 並行して「果てなき亜空」も熟練者に注目のエンドコンテンツだ。これはアイテムの持ち込みができない、文字通り”果て”がないダンジョンとなっている。

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 攻略に必要なのは基本、実力と戦略、そして……運。まさにローグライクのスリルが凝縮されたダンジョンとなっている。”果て”がない通り「クリア」の概念はないのだが、最終的にどこまで到達できたかの記録はオンラインのスコアランキングに登録される。自らの限界に挑みたい、そしてローグライクとしてのスリルをとことん味わいたい思いがあるなら要プレイだ。

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 ほかにもスキルビルド構築のヒントにもなる「スキルブック」とその手がかりとなる武器を獲得できる「サポートクエスト」、世界観を補強するアイテムを回収する「メモリーズトレジャー」なるやり込み要素を用意。Steam実績にも難易度の高いチャレンジがいくつか用意されており、それらをこなすだけでも結構な根気が試される。

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 「メインストーリーをクリアしたらそこで終わりでは?」と思われるかもしれないが、その後も抜け出せない沼のようなサイクルが待ち受けている。長いどころではない。下手すれば、延々と遊べてしまう。そして、勢いを誤れば時間を吸われかねない中毒性も兼ね備えている。

 とりわけレア装備集め、そこからのスキルビルド追求と「百戦錬磨の道」への挑戦は好きな人ならばとことん突き詰めたくなってしまうはずだ。ストーリーダンジョンも周回を重ねるたび、どんどん手強くなっていく仕掛けがあるので、どこまで苛烈なダンジョンに変貌させられるかと挑んでみる楽しみがある。

 そして、基本的にこれらに挑むかは任意がゆえ、ストーリーを終えたければそれでよし、その先も続けたければそれもよしという具合に、プレイヤーそれぞれのスタイルで気軽に楽しめるのも魅力のひとつだ。

 このような、どこまで遊び込むかはプレイヤー次第という自由度と深みのある作りも好きな人なら大いに刺さるはずだ。特にハック&スラッシュ絡みの要素の極め甲斐はかなりのもの。
 
 総じて手軽に遊べるのに加え、やり込もうとすれば深淵に迫る勢いで遊べてしまう恐るべき特色を持った本作。双方の特色に惹かれるものを抱いたのなら、ぜひお試しいただきたい1本だ。アクションゲームでありながら、昔ながらのローグライクらしさも残した遊び心地になっているので、そのような作品への印象が強いプレイヤーも興味があれば触れてみていただきたい。底なし沼から抜け出せる程度に……。

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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