『どうぶつの森』や『スターデューバレー』など、スローライフを満喫するゲームをこよなく愛し、プレイ時間を数えることはやめた筆者が紹介する作品は、レストラン経営&アクションRPGを銘打つ新作『Cuisineer(キュイジニア)』だ。
本作は、冒頭で述べた『どうぶつの森』や『スターデューバレー』のような村での生活系コンテンツやハウジングに加えて、酒場のマスターが体験できるRPG『Travellers Rest』のような店舗経営要素に、『ディアブロ』シリーズのように見下ろし画面で大量の敵が押し寄せてくる戦闘や、倒されると持ち物の半数から8割が消滅するというローグライト要素まで加えられたゲーマーにとっての欲張りハッピーセットだ。
「そんなに詰め込んでバランスとか大丈夫?」と思うかもしれない。当然、筆者もそう思った。
だが、本作は全ての要素が絡み合って見事なまでに一本のゲームとして昇華されていた。
本稿では、そんな不思議な魅力満載の『キュイジニア』について紹介していきたいと思う。
ちなみに、筆者はハマりすぎて連日夜明けまで遊んでしまい、「うるさすぎる」と同居人から怒られるまで遊んでしまったため、本作の購入を検討する人は注意してほしい。
このゲーム、マジで底なし沼です。
※この記事は『キュイジニア』の魅力をもっと知ってもらいたいMarvelous Europe/XSEED Gamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
多彩なコンテンツが奇跡のバランスで成り立っている
11月10日、PC(Steam)に向けて発売された『キュイジニア』は、両親から廃墟同然のレストラン「ジャガイモの城」を受け継いだ冒険家の少女「ポム」が、脱税したまま世界旅行に旅立ってしまった両親の代わりに、納税と借金返済に追われながらもレストランを経営しつつ、村の住民と交流ができるローグライトアクションRPGとなっている。
『キュイジニア』をゲーム内で50日以上プレイしてわかったことは、戦闘・経営・ハウジングなどの全ての要素が綺麗に繋がっている点だ。
基本的な流れはランダム生成されるダンジョンを探索して食材を確保、レストランで料理を提供してお金を稼ぎ、借金を返済もしくは店舗を改築したり、内装や家具を充実させたりして再びダンジョンへ潜る……という、ループ構造になっている。
その目的作りが非常に巧みで、例えば
- 「お店を大きくしてもっとお客さんを入れてあげたい」
⇒ダンジョンに行って素材を獲得して、レストランで金を稼いで改築する。 - 「バッグを大きくしてもっとたくさんの素材を持って帰りたい」
⇒ダンジョンで素材収集+レストランで金策。 - 「早く両親の借金を返済したいが、店の評価を上げないと客足が伸びない」
⇒住民から受けたクエストを達成して新たなレシピを獲得したり、レストランを経営したりして店舗の評価を上げて客数の母数を上げる
……などといった、目的に対する理由付けがしっかりされており、多彩なコンテンツが奇跡のバランスで成り立っている。
それでは、具体的な例をレストラン経営部分から紹介していこう。
レストラン経営は常にワンオペ火の車
主人公ポムの朝は早い。
そして、店舗経営は全てワンオペでこなすことになる。
ダンジョンでの食材調達は勿論、店舗経営、借金返済、家具の購入、増改築。店内での注文管理、調理、配膳、会計などもワンオペで行なっているポム。
このゲーム、やることが……やることが多い……!
序盤は少ない食材、狭い店内、限られた客席で対応することになるが、ポムが住む「パエル村」には他に食堂の競合がないためか容赦なく行列ができてしまう。
住民は行列に待たされると、数十秒(ゲーム内時間で数十分)で怒り心頭のまま帰宅してしまうので、客席の確保や店舗の改築は喫緊の課題となる。
家具や設備を充実させるには木材や石材などの素材と金が必要になるので、必然的にポムはダンジョンへ食材や素材を調達しに行くことになる。
また、ダンジョン探索中に発動できる“ダッシュ”スキルは店内でも使える。
これはホールと厨房を移動する際におおいに役立つのでぜひ活用してみてほしい。
見た目に反してダンジョンは辛口
何はともあれ、ダンジョンで素材を獲得しなければ何も始まらない。
ここでは、ポムの冒険家の側面が存分に発揮される。
最初に挑むダンジョンは「新緑の遺跡」という木々に囲まれたフィールドだ。
ここに生息している凶暴なニワトリや炎を噴出する唐辛子などの不思議な生物をフライ返しやお皿などの調理器具で倒せば、食材を確保できる。
特に、唐辛子の炎は高威力かつ執拗に追いかけてくるので、連続攻撃でひるませて一気に畳みかけることをおすすめする。
武器はメインウェポンとサブウェポンの2種類を装備できる。これらの武器はスキルが使用可能で、クールダウンタイムが発生するが、範囲攻撃や高威力のものが多いのでぜひ活用してほしい。
また、武器や防具には特殊効果がついており、ダッシュした場所に雷を落とす、炎のダメージフィールドを展開する、自身にシールドを張るなどさまざまで、装備次第で多彩なビルドを楽しめる仕様となっている。
ダンジョンは挑む度に構造がランダムに変わり、1Fから挑戦できる。
最奥に鎮座するボスを討伐するか、一定時間詠唱することで村に帰還することも可能だ。
ただし、詠唱中は無防備になり敵から狙い放題となるので注意が必要だ。
周囲に敵がいない安全な場所で帰還魔法を唱えることを推奨する。
なお、冒頭でも説明したとおり体力がゼロになるまで戦ってしまった場合は、それまでダンジョンで獲得していたものは半分から大体8割ほどロストする。
上記のようにゆるふわタッチで描かれている世界のわりには意外とハードコアな側面もあるが、ゲームのオプションから「ポム」が受けるダメージを50%半減させるように設定することもできる。
敵の攻撃を回避するようなアクション操作が苦手なプレイヤーでも安心な設計となっている。
料理のビジュアルが美味そうすぎる
「パエル村」の住民は、困りごとをクエストとして「ポム」に依頼する。
報酬はレストランで提供できるお料理のレシピ。これがなんとも美味しそうで、Steamの紹介文によると世界各国から100以上のレシピを本作に集結させたという。
開発スタジオのBattleBrew Productionsgがシンガポールにあるせいか、序盤は鶏飯やラクサ、カヤトーストなどシンガポールで親しまれている料理が多数登場する。
そのほか、野菜の天ぷら、トンカツ定食、ラーメンや寿司など日本のソウルフードも多数登場。
本作が日本語にも対応していることもあってか、なんちゃってお寿司ではなくちゃんと日本のお寿司の形状をしており感動もの。そして美味そう。
これらの料理には星でランク付けがされており、厨房のまな板や鍋などの器材を強化することで、より高いランクの料理をお客に提供することができる。
素材を集め、厨房を強化して高級料理を作り、より効率的にお金を稼ごう。
住民がフワフワでかわいい
パエル村の住民は、主人公のポムと同じく、どこかケモノ的な要素が含まれている。
タピオカミルクティー屋さんの「ナイチャ」には角がはえているし、鍛冶屋の「ブリケット」は小柄で小さな耳が特徴的なネズミチックな女の子。
仕立て屋さんは完全にふわふわのアルパカみたいな見た目で、流れの商人「ホウジチャ」はタヌキのような風貌だ。
パエル村の住民は、報酬が料理のレシピであるクエストを発行してくるほか、大工や鍛冶屋などさまざまな商人も担当している。
体が大きすぎて画面からはみ出してしまっている「アルダー」は、かがんでみるとつぶらな瞳がチャームポイント。
彼はこの村の大工さんで、レストランの拡張や家具などの製作を担ってくれる重要人物だ。
これらの住民の提供するアイテムはゲームを進めていると徐々に増えていき、大抵は自宅の郵便受けに「新商品入荷したよ!」といったお手紙が入っているので、こまめにチェックしてみよう。
パエル村での借金返済生活は過酷
パエル村の住民の中でも異彩を放っているのは税務署所属の「イベリコ」である。
彼は、パエル村にもしっかりと納税制度が存在していることを突き付けてくる……。
彼は税金の取り立て人であり、脱税した両親の代わりにポムの支払い能力があることを知り、レストランに駆け付けたのだ。
彼は、脱税を放置するのであれば施設が差し押さえられることを宣告しにくる。
必死の思いで2000コインを納税すると、今度は両親が10000コインもの借金をしていることが発覚。イベリコは徴税人でありながら借金の取り立て人も兼業しているようで、こちらもただちに納金しないようであれば、レストランは差し押さえられてしまうという。
なお、借金を返済すると両親から手紙が届き、新たなダンジョンが解放される。
一見、理不尽極まりない状況ではあるが、本作での借金返済要素は新たなダンジョンに挑むための切符そのものであり、より高級な料理を製作して稼ぐためには納税+両親の借金を返済せざるを得ないシステムで、まさしくプレイヤーの腕が試されているという訳だ。
血眼になって10000コインを返済し、ようやく借金生活から解放されるかと思ったら「残りの借金もよろしく頼むよ!」と、さも当然のように言い放つ「イベリコ」。
ちなみに、この瞬間に筆者が思わず叫んでしまったことが同居人を怒らせてしまった最大の要因である。
両親が残した驚愕のローン金額は、ぜひプレイヤーの目で確かめてほしい。
余談だが、上記の画像のとおり最初は閑散とした店舗だが、ゲーム内で50日以上プレイすることでこんなにも店舗を広くすることができ、家財や客席なども増やすことができる。
家具や内装の種類も豊富なので、ぜひプレイヤー自身のお好みのレストランを作ってみよう。
『キュイジニア』はPC(Steam)に向けて11月10日より発売。
日本語にも対応済みとなっている。
冒険家「ポム」となり、ゲーマーにとっての欲張りハッピーセットのような本作をぜひ体験してみてほしい。