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『アークナイツ』Hypergryphの新作買い切り型RPG『エクスアストリス』のバトルシステムがすごかった。ターン制バトルなのに、敵がめっちゃディレイ攻撃を仕掛けてくる【WePlay Expo 2023】

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ターン制RPGで『エルデンリング』さながらのディレイ攻撃に苦しめられる日が来るとは、思ってもみなかった。

恐らく何を言っているか分からないと思うが、これは『アークナイツ』で知られるHypergryphの新作RPG『エクスアストリス』の話である。そのバトルはターン制をベースとしつつも、とにかくターン制バトルの常識からかけ離れた……あるいは常識をぶっ壊してしまうほど“ヤバい”代物だったのだ。

簡単に発表済みの情報を振り返ると、本作はSF的な世界設定を軸としており、公式サイトによれば「重厚な叙情詩をたどるシナリオと、3Dキャラによる探索を楽しめる」とのこと。……いや、それも良いけど「戦闘がすごすぎる」ってことも書いておいてほしかった。

というわけで、本稿では中国・上海で行われた大規模インディーゲームイベント「WePlay Expo 2023」における試遊の体験をベースに、筆者の力の限り『エクスアストリス』のバトルの魅力をご紹介していきたい。
なお、試遊の内容は開発中のものであること、くわえて中国語でのプレイのため、いくつか不明瞭な部分もある点についてはご容赦いただけると幸いだ。

『エクスアストリス』試遊レポ:『アークナイツ』Hypergryphの新作買い切り型RPGは、とにかくバトルがすごい_001
『エクスアストリス』ブースは連日大盛況の様子であった

取材・文/久田晴


文字にすると超絶ややこしい! でも触ればすぐに“分かる”取っつきやすさがすごい

今回の試遊では『エクスアストリス』の戦闘の“ヤバさ”を、嫌というほど体験させられた。探索やストーリーについてはまだ謎に包まれている部分も多い本作だが、少なくとも戦闘に関しては“ガチ中のガチ”である。

何度も述べるようにベースとなっているのはターン制バトルだが、プレイしているときの感触は何とも例えがたいもの。言うなれば自ターン(攻撃)はカードゲームでコンボを決めている感覚、相手ターン(防御)は『SEKIRO』か『エルデンリング』でもプレイしているような感覚だった……。

またしても何を言っているのか分からないと思うが、筆者も何をどう言ったら良いのか分からないので安心してほしい。なのでまず、本項では攻撃ターンのシステムの奥深さをお伝えしていこう。

攻撃ターンにはふたりのプレイアブルキャラクター、「Vi」「雁」を好きな順番で行動させ、それぞれのスキルを用いたコンボを組んで大ダメージを狙う。
操作自体は非常にシンプルで、画面右側に並んだふたりのアイコンから、次に行動させたいキャラクターを選んでタップするだけ。基本的には1スキルを発動するごとに画面中央下の行動力(最大4)がひとつ消費され、ゼロになるとターンが交代するという流れだ。

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各キャラクターが使うスキルは、あらかじめ最大3つまでをセットにして登録しておく。それぞれの発動順もセットの順番で固定化されるため、一番後ろの枠にセットしたスキルは前のふたつを発動させないと使えない。

ただしキャラクターの行動順は自由なので、「Vi」の第1スキル、第2スキル、第3スキルを全部使いきってから「雁」の第1スキルを使うような動きはできる。もちろん「Vi」の第1スキルの次に「雁」の第1スキル、第2スキルを使って、そのあと「Vi」の第2スキル……というような動き方も可能だ。

ややこしい話になってしまって恐縮だが、要するに攻撃中にプレイヤーが選べるのは「次にどちらのキャラクターに攻撃させるか」「どの敵を狙うか」だけ。なのでやること自体は非常にシンプルなのだが、スキルの効果を活用してコンボを繰り出そうと思うと途端に奥深くなってくる。

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白と黒を基調としたふたりの美少女が駆け巡る演出も見ごたえあり

攻撃の制約となる行動力だが、これはスキルの効果などによって回復する場合がある。つまり行動力の最大値「4」を超えて攻撃できるコンボは実現できるし、実際に今回の試遊でも計6個(2人×3種類)のスキルを1ターン中にすべて放つコンボを開拓することができた。細かな仕組みにこそ理解が及んでいないが、少なくとも再現性はあったように思う。

先述して「カードゲームでコンボを決めている感覚」と例えたのは、基本的にはスキルセットを組んだときに考えたコンボが必ず実戦で成立するからだ。例えば「3個目のスキルで行動力が1回復する」ように組んでおけば、確実に5個目のスキルまでは発動できる。

言うなれば「ぼくが考えた最強のフルコンボ」をするための手札が毎ターンそろい、さらに相手に妨害もされないカードゲームと表現したら、その爽快感が伝わるだろうか。

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スキルのセット画面

とはいえ、現実的に毎ターンフルコンボが撃てるかと言えばそんなことはなく、行動力がマックスの4でスタートしない場面もあった。そうなれば行動力4スタートを前提にしたコンボはもちろん成立しなくなってしまうし、そのときは次なる最善手を考える必要が生まれてくる。

このほかにも敵には『SEKIRO』でいう“体幹ゲージ”的なものが存在し、それを削りきると、行動力とスキルが全快して再度フルコンボを叩き込めたりもする。
さらに敵を浮かせる「エリアルコンボ」も採り入れられていたようだが……今回の試遊では成功に至らなかった。戦闘システムの詳細については限られた時間での試遊、さらに中国語でのプレイという言語の壁もあり、筆者自身も正確に理解できたとは言い難い。

攻撃ターンだけで超絶にややこしい解説となってしまったが、これが遊んでみると思いのほかあっさりと理解できる。先述したように、実際にバトルの肝となるのは「タイミングよくボタンを押す」ことに尽きるからだ。
戦略性の高さと取っつきやすさを両立させ、さらに強力なコンボを見つけて大ダメージを与える爽快感も兼ね備えているのが『エクスアストリス』の戦闘の“ヤバさ”の一面と言えるだろう。

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ゲージを溜めて放つ“超必殺技”的なものもある

次項ではいよいよ“ヤバさ”のもう一面……かの『SEKIRO』や『エルデンリング』に例えた防御ターンの仕組みをご紹介していきたい。

ディレイ攻撃の殺意が高すぎる……これは本当にターン制RPGなのか?

実は本作において、防御ターンにやることはふたつだけ。「攻撃を受けるキャラクターを選ぶ」ことと、「相手の攻撃に合わせてタップしてパリィ/回避する」のふたつだ。

「パリィと回避があればなんでもソウルに例えれば良いと思ってンだろ?」と言われてしまうかもしれないが……いや、ボスの攻撃におけるディレイのかけ方がちゃんと“ガチ”なんですよ。筆者だってスマホ向けのターン制RPGでフロム・ソフトウェア筋を試されるとは思っていなかった。実際、試遊のボスの攻撃を捌けず苦戦するプレイヤーの姿も少なくなかったのである。

ちなみにパリィも回避も操作自体は左手親指に位置するボタンをタップするだけで、勝負はタイミング次第。移動による回避という選択肢は存在しないが、いっさい操作をしなければ自動でガードをしてくれる。パリィ/回避は失敗するとガード時以上のダメージを受けてしまうので、よりハイリスク・ハイリターンな選択肢と言えるだろう。

パリィ/回避の使い分けは、防御ターンのもうひとつの要素「攻撃を受けるキャラクターを選ぶ」に直結する。攻撃を受けるのが「Vi」ならパリィ、「雁」なら回避という具合に固定されているからだ。

パリィは成功させると攻撃ターンの紹介で触れた“体幹ゲージ”を削り、それで体幹を削り切れれば強制的に攻撃ターンに移ることができる。つまり、あえて攻撃ターンで敵の体幹をわずかに残しておき、パリィから「ずっと俺のターン」を狙うという戦略も生まれるのである。

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パリィ成功の瞬間の気持ちよさもばっちり

一方の「雁」が行う回避はパリィのように反撃に転じることはできないようだったが、試遊の範囲内では「パリィ不可・回避可」と思われる攻撃を確認している。厳密に検証できたわけではないのだが、“敵に応じて防御キャラクターを切り替える”という要素はバトルのアクション性を高めるという意味でも現実味があるように思えた。

ちなみにHPはふたりで完全に独立しているので、パリィ/回避の使い分け以外にも、単純にHPに余裕がある方に攻撃を受けてもらうという体力調整的な運用が可能となっている。

繰り返しているように『エクスアストリス』はターン制RPGである……のだが、プレイ中の感覚はむしろアクションゲームに近かった。その理由は防御ターンのシステムに由来する部分が大きい。タイミングが非常に重要になると同時に、場合によっては一瞬で攻撃へと転じられるスピード感が「ターン制の当たり前」をぶっ壊してしまっているのである。

もうひとつ特筆しておくべき点は、攻撃・防御ともに操作自体は非常にシンプルなものであるということ。逆に言うと両手の親指だけでばっちり遊べるゲームであるにもかかわらず、ソウルライクのような歯ごたえや満足感を与えてくるので、その奇妙なギャップにプレイしてからしばらくは言葉が出てこなかったほどだ。


今回の試遊版は限られたマップの探索とシンボルエンカウントのバトルを中心としたものであり、また中国語でのプレイであったことからストーリーや背景を把握するのが困難であったため、特に本作のバトル“だけ”にフォーカスしたプレイレポートとさせていただいた。

とはいえ他の部分もかなりのポテンシャルを感じる出来栄えであり、リリースが非常に楽しみになったことも間違いない。

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まだまだ謎の多い本作だが、今回の試遊で体験できたバトル部分だけでも「これはひょっとするとスゴいものになるんじゃないか?」という期待を抱かせるのに十分なものであったと言える。販売形態がスマホゲームとしては珍しい買い切り型ということもあって未知数な部分も多いものの、どうか成功して欲しい……と思うくらい、楽しい試遊体験だった。

『エクスアストリス』ついてはすでに日本向けの公式X(旧Twitter)アカウントもオープンしているため、今後の発表が気になる方はそちらをフォローしておこう。発売に向け、さらなる続報やプレイテストなどの展開にも注目していきたいところだ。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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