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「荒廃した砂の世界」を存分に堪能できるセミオープンワールドRPG『アトラス フォールン』がロマンにあふれていた。砂漠世界愛好家にはたまらない

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突然ですが「荒廃した砂の世界」って憧れませんか。

たとえば『サンドランド』、『DUNE/デューン 砂の惑星』、『メタルマックス』、『漂流教室』、あと『仮面ライダーBLACK』原作漫画の未来の世界とか……。

砂塵の舞う世界には、見渡す限り殺伐とした砂と岩の大地が広がり、砂中には人を襲う巨大な化け物が潜んでいる……。

そしてそんな中で人間はかろうじて生き残り日々を過ごしている……いやー、ワクワクします。

現実だったらそんな世界には絶対に行きたくはないんですけど、そこはかとないロマンを感じるんですよね。筆者としては、空想の中でなら「一度は行ってみたい世界」の五指には確実に入ってきます。

じゃあ、そんな世界をまるまる堪能できるゲームがあったとしたら?
それもメチャメチャ広い3Dのフィールドで。

実はあるんですよね。そんなゲームが。

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そのタイトルは、『Atlas Fallen』(アトラス フォールン)。

このゲームはまさに、「荒廃した砂漠の世界」に入り込んで、砂上を駆け、砂中に蠢く化け物と戦えるロマンを堪能できる……そんなゲームでした。

今回は、12月14日に日本語に対応した本作のPS5版を冒頭から7時間ほど遊んできたので、そのプレイレビューをお届けします。

文/司破ダンプ
編集/柳本マリエ

一見『モンハン』のような「狩りゲー」…だが違う!

まずは、こちらを見てほしい。

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『Atlas Fallen』は「砂塵を疾走するハンティングアクション」とうたわれている。

実際、その字面や上の画像を見ると、いわゆる『モンスターハンター』的なゲームに思えるかもしれない。ところが実際に遊ぶと、本作のつくりは大きく異なっている。このゲームは狩りゲーではなく……

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オープンワールドのアクションRPGだった。

正確にはセミオープンワールド」というべきだろう。広大なマップのさまざまな場所を自由に訪れることができるが、ゲーム開始時からマップのすべてがオープンにはなっておらず、ストーリーの進行に応じて第2、第3のマップが解放されるという形式だ。最近だと『ソニックフロンティア』などがそのスタイルを取っている。

プレイヤーはこの世界で、砂を操る「ガントレット」の力を使って砂上をサーフィンし、砂漠地帯や突き出た岩山、沈んだ遺跡群、過酷な土地に生きる人々の村といった様々な場所を旅する。そして世界の探索やクエストをこなす中で「妖霊」と呼ばれる砂に棲むモンスターたちと戦っていくこととなる。

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まず、雰囲気が一変する序盤について語りたい

じつは今回、筆者はほとんど前情報なしにこのゲームを体験することになった。まずその中で面白かったのが「序盤の展開から予想される内容と、実際のメインゲームの内容が良い意味でまったく違っていた」というところ。まずはその重厚なストーリーについて触れておこう。

ゲームを始めると、まずはこの世界についての話を聞くことになる。その語りによると、この世界には「エッセンス」と呼ばれる生命に満ちあふれた砂が鉱石のように存在し、世界を支配する神・セロスの要求によって何世紀にもわたって人々がエッセンスの発掘に人生を捧げさせられているのだという。

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そしてこのあと突然、危険な気配が漂うヴァルハラのような地に降り立ち、薄く青光りするキャラクターを操作するチュートリアルが開始する。いまのところ神がいるという世界だということしかわかっていないので「ああ、この青いキャラクターが『アトラスフォールン』というタイトルにもある「アトラス」かあ、なるほどなあ。神話的な世界で戦うゲームなんだなあ」と、そんなことを思いながらプレイしていた。

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しかしゲームを進めると、この青いキャラクターは敵の猛攻を受けて倒れてしまい、ここから主人公のキャラメイクが始まる。てっきり青いキャラクターが主人公かと思っていたのだけど、そうではなかったらしい。そういえばゲームのパッケージで立っているのもこのキャラクターではなかった。

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主人公は、生命の砂・エッセンスを運ぶキャラバンの無名者(名もなき労働者)の一人。ふと目覚めるとキャラバンは砂漠に巣食う魔物である「妖霊」の群れに襲われ半壊していた。しかもキャラバンを率いる衛兵はそんな中でも無名者たちに専横なふるまいをしていて、一触即発の空気が漂っている。

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「このまま協力しないと共倒れだ」と衛兵に伝える主人公だが、その態度が裏目となって主人公は衛兵隊長によって砂漠に追いやられてしまう事態に。

こうして砂漠を探索することになった主人公は、偶然にもその中で太古の遺物であるガントレットを発見する。ガントレットには先に登場した謎の青いキャラクター「ニャアル」(霊体)が宿っており、彼と意思疎通を果たした主人公は彼の持つ砂の力を手にすることになるのだった。

こうして主人公はニャアルの助言を得ながら、広大な砂漠をめぐる旅に出ることとなる。

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サッと書いてしまったが、実際のゲームではこのようなストーリーが1時間強ほどかけて展開される。先にも書いた通り、筆者は前情報をほとんど仕入れずにゲームをプレイしていたので「ああーなるほど、ストーリーを追いながらステージクリアしていくタイプのゲームかあ」と呑気にプレイしていた。

……が、さっきまでの重苦しい展開からの……これである。

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序盤の重苦しい雰囲気はどこへやら、突然ひろがる(セミ)オープンワールド……!
あまりにも雰囲気が違い過ぎるだろ……!

正直、これにはめちゃくちゃ驚かされたし、めちゃくちゃ興奮した。

霊体「ニャアル」を相棒に自由な探索が始まる

自由な探索がはじまると、眩しい砂の世界の冒険が始まる。

序盤から、砂の上をサーフィンのように滑って移動できる「サンドスライド」や、空中ジャンプ、空中ダッシュといったアクションが可能で、サクサクと移動できる。空中ダッシュはクエストを進めることで、使用回数を増やすことも可能だ。

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フィールドには砂漠、岩山、沈んだ遺跡群、わずかな草木に恵まれた荒野、この地に生きる人々の村、ウォッチャーと呼ばれる神の目が浮かぶまがまがしい雰囲気の土地などさまざまな場所があり、好きな場所をおとずれてメインクエストやサブクエスト、アイテム探しなどを行っていくことができる。ジャンプアクションによる地形探索もあり、そういった場所はちょっとした迷路のようになっている。

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各地にある「セロスの祭壇を壊してボーナスを得る」というイベントも。不敬すぎる…

またフィールドには、いたるところにイベントポイントやアイテムがあるのはもちろん、本作特有の「砂を操る力」を使って、地中に埋まっている足場や宝箱、そして金床(休憩ポイント)といったものを浮上させることも可能だ。

金床ではパークの取得や防具の強化、セーブといった様々なことができるほか、一時的に人の姿に戻ったニャアルと会話することもできる。その場所に関する知識を語ってくれることもあり、ちょっとした観光気分を味わえたりもして、これがなかなか悪くない相棒感を感じる。

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まだセミオープンワールドの第一エリアとはいえ、フィールドはだだっ広く、どこへでも行き放題。

また、砂の世界と言いつつも、高い場所には草木が茂っていたりもして、同じような風景ばかりで飽きさせない工夫もされているようだ。

戦闘ではどこでもパリィ!空中でも!攻撃中でも!

「ハンティングアクション」とうたわれる本作のバトルは、地上戦や空中戦を自由自在にこなせる軽快なアクション戦闘となっている。

武器は2種類を同時に装備でき、攻撃によって斧や槌などに形状を変える「デューンクリーパー」、遠距離または広範囲の敵を攻撃できる鞭「サンドウィップ」、連続攻撃や突進攻撃を得意とする砂の拳「ナックルダスト」といった、さまざまなスタイルで戦うことができる。

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そして本作のバトルで特徴的なのが「サンドスキン」と呼ばれるパリィ(受け流し)アクションの存在だ。

パリィ自体はこの手のアクションではそう珍しいものでもないが、本作ではなんと、自分が空中にいようが攻撃中だろうが「行動をキャンセルしてパリィを発動できる」ようになっている。パリィの判定はゆるめで、攻撃が来る前には敵が赤く光るといった予兆もあるため、全体的に戦闘はライトに楽しむことが可能だ。コツを掴めば一方的に敵に攻撃をかけ続けることもできる。

ただ実際にプレイしていると、このゲームでは一対一ではなく多数の敵を相手にする状況も多くある。そのためひたすらパリィに頼るのではなく、状況によって回避などで敵と距離を取るようにするなど、戦略の切り替えも重要と感じられた。

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サンドスキンによるパリィに成功すると、敵は派手に結晶化

また敵を攻撃することで貯まる「躍動力」を使ったバトルの変化も本作の戦闘の大きな特徴のひとつだ。本作では躍動力を貯めることで三段階までゲージが上がり、その貯まり具合に応じて与ダメージや武器の見た目が強化されるほか、任意にセットした追加スキルまで発動できるようになる。

跳躍力ゲージの上昇に応じて発動できるスキルは攻守をさらに高めるものや、ゲージのチャージを補助するもの、あるいは特殊技を放てるアクティブスキルなど多岐にわたる。またこのゲージは、上昇するほど自分が被るダメージが増えるという特性もあり、攻めれば攻めるほどバトルがヒートアップする作りとなっている。

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躍動力が増すと攻撃力が上がり、強力なスキルも発動できるようになる

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さらには貯まった躍動力ゲージを消費して「粉砕」という強力な必殺技を放つことも可能だ。粉砕時にはゲージを全て消費するため、発動しているスキルも効果がなくなってしまうということから使いどころに迷いそうだが、その心配はない。

じつは本作では敵に確実にトドメを刺せる時に専用の「トドメ可能表示」が出るので、使いどころで迷うことなく粉砕を発動することができ、気持ちよく勝てるようになっている。このつくりは個人的にも、かなり良い仕様だと感じた。

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敵を強制的に結晶化して大ダメージを与えるゲージ消費技「粉砕」

こうして敵を倒していくと新たなスキルや強化に必要な素材といったアイテムを入手でき、主人公をさらに強化していくことができる。

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バトルを触ってみて思ったのは、やはりこのゲームのシステムはアクションRPG的。敵の撃破を繰り返し素材を集めてキャラ強化を目指すような、いわゆるモンハン的な「狩りゲー」のように称するのは方向性が違うように思えた。

ともあれ本作のフィールドには強力な巨獣が多数徘徊しており、いずれも強敵なので、狩りにチャレンジしてボスを打ち倒していくこと自体は面白い。間違いなく本作の醍醐味のひとつといっていいだろう。

地形はちょっと気になる場所も……

さて、ここからは気になった点についても挙げていこう。

まず気になったのは、いくつかの地形についてだ。本作では自然感を重視しているのか、地形をみても次に飛び移る場所の目印などがとくにないのだが、このためにどこに飛び移っていいのかわからない地形がいくつか見受けられた。

また普段はコリジョン(当たり判定)があり進入できないのに、突然似たような見た目で着地できる壁の穴が出てきたこともあった。このように一見して飛び移りポイントがわかりにくかったり、たまに地形の挙動が違ったりするのはなかなかの引っかかりポイントだと感じられた。

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この柱の穴にはコリジョンがあり入れない
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なぜかこの柱の穴には入れる

またバトルにおいて、「多くのボス戦でザコ敵が湧く」ことも気になった部分のひとつだ。個人的にボス戦はボスとの戦いに集中したい気持ちがあるので、あまりザコとは戦っていたくないのだが、本作はどうにも多対一のシチュエーションになることが多く感じられた。

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しかしながら本作はマルチプレイもできるため、もしかしたらそのあたりを考慮してあえてこういった調整をしているという可能性もある。なお本作のマルチプレイに関しては、本稿とは別にレポートが上がる予定となっているので、よろしければそちらの方もチェックしてみてもらいたい。

砂の世界に浸かりたい人へ

本作の魅力をひとつ挙げるならば、巨大なモンスターと戦えることも魅力ではあるが、個人的にはやはり「砂漠の世界を自由に駆け巡る体験」だと思う。

広大な砂漠をサンドスライドで滑り、荒れ地や遺跡を探索し、厳しい土地に生きる人々と交流し、祭壇をぶち壊して回り、時には砂に巣食う妖霊とも戦う。やがてはこの世界を掌握する神にも迫っていくことになるだろう。そんな世界を切れ目なく体験できるのが、本作の魅力だと思う。

この機会に砂の世界に興味を抱いた方は、ぜひ本作をチェックしてみてほしい。

『Atlas Fallen』はPS5およびXbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store)にて現在発売中だ。

ライター
85年生まれ。『勇者のくせになまいきだ。』シリーズの代表的プレイヤーとして名を馳せたツルハシの化身。 10代の頃、メックシューターゲーム『ファントムクラッシュ』とその続編『S.L.A.I.』の世界にハマり、 ディスプレイ越しに見た2071年に帰るべく日々を生きる。TCGとボードゲームも好物。
Twitter:@Dump29

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