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酒を飲んで仲間を集めて寝落ちして、夢の世界でダンジョン探索して、トイレで目覚めるゲーム『BARステラアビス』の密度が濃い。ローグライト+シミュレーションRPG+コマンド選択型アドベンチャーの3ジャンルが混ざりあったカクテルのようなゲーム

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カクテルを飲んで酔い、そのまま寝落ちして夢の世界でダンジョン探索に挑み、最終的にトイレで目を覚ますゲーム。

それが2024年2月29日に日本一ソフトウェアより発売予定の新作『BARステラアビス』だ。

「……なんのこっちゃ?」と、困惑するのも無理はない。酒をひたすら飲んでは寝まくるゲームとか、言語化するだけでも肝臓によくなさそうなイメージがしてくる。だが、断じてこれは夢ではない。現実だ。本当にそんなゲームである。

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ジャンルにすればローグライト+シミュレーションRPG(SRPG)+コマンド選択型アドベンチャーゲームといったところである。「長い!」と言われても、事実なのだから仕方がない。

基本的にはバーでひとり、もしくは客と相席してカクテルを飲んで、その後に寝て夢の世界へと降り立ち、その最深部で待つボスの撃破を目指すことを繰り返す。

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探索の過程では戦闘も発生し、その場面に限ってターン制のSRPGが展開される。また、カクテルは酔いつぶれずに飲み干すことで夢の世界の探索を特別なパワーアップを宿した状態で始められるように。

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逆に酔いつぶれてしまうと、パワーアップの効果は僅かに留まり、夢の世界の探索が強制的に開始される。相席する客も交流を深めれば夢の世界に登場するようになり、話しかければ仲間にして一緒に探索を繰り広げられるようにもなる。

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この段階でも「そんなにもある要素が1本に収まっているのか?」と思うかもしれないが……改めて言いきろう。現実だ。

さながらカクテルのごとく、3つの異なるジャンルが混ざり合い、濃厚な味を作り出している本作。ストーリー中盤までのプレイとなるが、その挑戦的かつ異様な作りをした本作を紹介していこう。

文/シェループ
編集/実存


酒を飲んで寝落ちして、夢の世界でダンジョン探索して、トイレで目覚めるゲーム

そもそも、どうしてカクテルを飲んで酔っては寝るを繰り返すことになったのかだが、まずはその経緯となるストーリーをオープニングの内容とセットで紹介しよう。

本作の主人公を務めるのは、後に「サマヨイ」と他のキャラクターたちから呼ばれるようになる人物。日々の生活に疲れきっている苦労人……らしい。

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ある日、主人公が都会の街中を歩いていたところ、1枚のチラシが風と共に運ばれてくる。チラシは都会の片隅に佇むバー「ステラアビス」のもので、主人公はそれに導かれるかのように足を運び、扉を開く。

そのカウンターには店を切り盛りするマスターが立っていた。

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主人公は彼女に勧められるがまま、一杯のカクテルを注文する。それを飲むのだが、強い酔いに襲われ、そのまま眠りについてしまう。

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目が醒めると、花が咲き乱れる幻想的な世界が広がっていた。そこは酒に酔った人間が見る夢の世界「ヨイの世界」だった。そして、目を覚まして間もなく、主人公は自らの身体に大きな異変が起きていることに気づく。顔と腕が人ではないものに変化していたのだ。

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だが、そこで出会った不思議な生き物「ティプシィ」によれば、この世界を徘徊する「スピリッツ」の攻撃を受けて倒されれば元に戻ると同時に、現実世界にも帰れるという。早速、主人公はそれを試して現実世界に戻るのだが……

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身体は元に戻らなかった。どうやら本来の顔と腕は「ヨイの世界」に囚われてしまったらしい。かくして主人公は自らの顔と腕を取り戻すため、「ヨイの世界」のことを知るマスターの協力を得ながら冒険に挑む。

以上のオープニングを経て本作のストーリーは始まる。つまるところ、本作は異世界(夢の世界)を舞台にした冒険活劇。メインの舞台はバーではなく、異世界側で戦闘もそちらで発生するのだ。断じて「店内で客やマスターと戦う」というようなことはない。

あと、作品名は伏せるが、バーと夢の世界が登場する流れから、某優柔不断な32歳の男性プログラマーの姿を脳裏に浮かべた人もいるかもしれない。それについてはゲームシステムとジャンルを除けば若干、既視感を覚えるかもとは言っておく。

ただ、あえて強調しておくが、ストーリーは断じて愛憎劇ではないぞ(力説)。

ローグライト全開な構成とシステムと共に展開される「ヨイの世界」

バーと異世界が舞台になるということで、ゲーム本編も「ステラアビス」と「ヨイの世界」の2つを行き交いながら進めていく構成となっている。最も時間を割くことになるのは「ヨイの世界」で、主人公ことサマヨイを直接操作し、「醒界(せかい)」と称されたダンジョンを探索していく。

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醒界は複数のフロアで構成されていて、いずれも出口となる階段を発見することで次のフロアへ移れるようになる。最終的には醒界の最終フロアで待ち構えるボスを倒せればクリアとなり、次の醒界が解禁され、ストーリーも進展する。

もし、探索の過程でサマヨイの体力が尽きてしまうとゲームオーバー。ステラアビスのトイレへと強制送還され、最初のフロアからやり直しになる。

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ゲームオーバーになればトイレでお目覚め(クリアした時もトイレで目覚める)

また、探索の過程で獲得したアイテムと(後述するが)スキルこと「ステラ」、サマヨイのレベルもすべてリセットされるというローグライク(ローグライト)らしいペナルティも設けられている。ただ、お金や防具などの装備品はリセットされない。ボスを倒し、クリアを達成した醒界の進捗もそのままだ(ちなみに醒界をクリアした際も同様のリセットと一部進捗の維持が実施される)。

最初から最後まで通しで攻略しなければゲームクリア(エンディング)を成し遂げられないタイプではない、いわゆるステージクリア型の仕組みに則った構成になっている。

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なお、「ヨイの世界」の探索中にフィールドを徘徊するスピリッツに接触すると戦闘が発生。この戦闘がターン制のSRPGになっており、プレイヤーと敵の行動を順番に繰り返しながら戦っていく形になる。

SRPGとしての作りはマップ上で移動、戦闘(攻撃)が同時進行するという、本作の発売元である日本一ソフトウェアの看板タイトルたるSRPG『魔界戦記ディスガイア』に近い。側面、背面に応じて与える(受ける)ダメージが変化、仲間ユニットとの連携攻撃といった要素もある。

特徴的なシステムとしては、ひとつに攻撃の種類。「隣接」「範囲」「遠距離」の3種類があり、戦闘ではそれぞれを選んで攻撃を仕掛けていくことになる。

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もうひとつが、それら3種の攻撃に設けられたスロットにセットする「ステラ」。

「範囲」と「スキル」の2種類があり、それぞれのスロットに組み込むことで攻撃回数を増やしたり、補助効果が付与するといった強化を図れる。「スキル」は3つセット可能、「範囲」は1つセット可能で、後者は攻撃範囲や威力といった技の基本性能を決定する。

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ステラは特定の敵の撃破、あるいは「天文台」なる施設を調べると入手できる。後者の場合は調べた際、3つのステラが提示され、その中のひとつを選んで決める形になる。また、既に入手済み(&セット済み)であるステラが再度手に入れば、対象のステラのレベルを上げられる。やり方としては、該当のステラがセットされているスロットを選んで上書きする(合体させる)だけ。

レベルが上がれば基本攻撃力が上昇するほか、敵に致命的な一撃を与えられるようになる。ただ、どんなステラが手に入るかは基本的にランダム。数も130種類ほどあるのだが、カクテルによって出現するステラの出現傾向を少しコントロールすることができる。

基本的な本編、主にヨイの世界側の流れはこんな感じだ。SRPGは全体の2〜3割という前述の紹介がそれなりに察せたと思う。それほどまでにローグライト全開。紹介を割愛したが、他にも探索のたびに減少していく「ドリームエナジー」(いわゆる「満腹度」)、次に進むフロアおよびルートを選択するシステムが備わっている。

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多分、デッキ構築型のローグライク作品を遊んだことのある人にはお馴染みの光景。

ゆえに遊べば遊ぶほど「これはローグライトだ……」との確信を持つだろう。

探索に大きな影響を与えるのみならず、ストーリー的にも大きな見所を秘めた「ステラアビス」のパート

ヨイの世界側がローグライトに対して、現実世界ことステラアビスはどうなのかというと、こちらはコマンド選択型のアドベンチャーゲームを思わせるものになっている。

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具体的にはステラアビスに訪れる客と相席し、カクテルを飲みながら交流を深めていくのだ。しかも、この時に飲んだカクテルの種類に応じて、ヨイの世界の探索開始時にボーナス効果が付与される。

一例としては、特定の属性に耐性が付く、戦闘で得られる経験値やお金が増えるといったものだ。さらに相席で交流を深めた客はヨイの世界に登場するようになり、話しかければ一緒に戦う仲間にできる。そのため、客との交流を深めていくのは醒界の攻略において非常に重要なものになっている。

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客も複数人いて、それぞれ違った特徴を持っているので、交流を深めた人が多ければ戦術の幅も広がる。ただし、仲間にできるのは2人まで。また、仲間にした段階ではステラがセットされていない状態のため、醒界の攻略が後半に突入したタイミングで仲間にする際は注意が必要だ。ただ、レベルは主人公、仲間と共用されるパーティ共通仕様なので、そのためのレベル上げ(経験値稼ぎ)をする必要はない。

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紹介が前後したが、相席では「会話」が発生する。ただ、これにもちょっとした攻略が求められる。相手の会話内容に応じて「肯」「否」「笑」「疑」の4つの相槌を取っていくのである。また、5つ目の相槌(行動)として「カクテルを飲む」もある。これらの相槌に応じて会話が弾んで2つ目のカクテルを注文できるチャンスが到来することもあれば、逆に相手の機嫌が悪くなり、会話が失敗してしまうこともある。

さらにカクテルを飲めば主人公は酔う。この酔いが最大に達した状態で会話を続けると主人公は寝落ちしてしまい、そのままヨイの世界の探索が始まってしまうのだ。寝落ちせず、酔いを抑えるためには、飲んだ後に相槌を挟むしかない。こんな主人公の体調にも注意を配る要素もあり、なかなかに油断ならないパートになっている。

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なお、会話が弾めば、最大で3種のカクテルを飲めて、そのボーナスを付与できる。ただし、ボーナスを最大にするには会話中に3回飲まなければならないので、タイミングを見計らうことが求められてくる。そして、注文できるカクテルの数は「カクテルツリー」の状態に基づいて決まる。

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「カクテルツリー」はマスターに話しかけ、ベース(原料)となるお酒ごとに用意されたカクテルをお金で買うことで増やすことができる。基本的に高価なものほどボーナスが大きいので、積極的に解禁していくことが推奨される感じだ。

ちなみに主人公ひとりでカクテルを飲む「一人飲み」も可能。ただ、この場合は最大2杯までしか飲めない。さらに既に相席を済ませた後に飲もうとすれば、付与済みのボーナスが上書きされる。これは他の客と相席しようとした時も同様だ。

このようにヨイの世界のみならず、ステラアビス側にも色々な要素が盛り込まれていて、ただの中継地点(拠点)として終わらない密度となっている。ストーリーに与える影響も大きいのに加え、後々には重要な目的も課せられる見所もある。

その重要な目的が何かは割愛するが、いずれにしてもこのパートの重要性を思い知るのは間違いないだろう。

3つのジャンルが混在するため密度が濃い。そして、先が知りたくなる謎が満載のストーリー

……という具合にゲームの概略を紹介したが、とにかく色んな要素が詰め込まれているゲームということはおわかりいただけたのではないだろうか。ローグライトにアドベンチャーゲームにSRPGと、まさに3つのジャンルが混在した内容になっているのだ。

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戦闘シーン限定のSRPGもプレイ時間は他のパートに比べると短めだが、それでも側面と背面を狙ったり、障害物やトラップを活用した誘い込みなどの戦術が相手によっては求められてくる。醒界の最終フロアで対峙するボスも手ごわく、仲間の協力なしに勝利するのは厳しいバランスだ。ステラの組み合わせによっては力押しも通用するのだが、それもそれでリスクが伴う。

こうした特徴もあってか、どのパートも密度が濃く、腰を据えて取り組むことが求められる。

今回の先行プレイは第2醒界のクリアまでとなったのだが、それを達成するまでに6〜7時間を要したというだけでも、その密度の濃さとボリュームの大きさが推察できるだろう。ただ、これはステラアビスの相席パートを一部の客に絞った進め方での時間。実は第2醒界クリア前の時点で、そこそこ多くの客が登場するのだが、おそらく全員に相席しながら遊べば10時間に迫っていたと思われる。

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ヨイの世界も、特に第2醒界では何度かゲームオーバーになり、最初からのやり直しが複数回生じたのだが、それがもっと多かった場合もまた然りだ。なので、どちらのパートでもじっくり取り組むことが求められる。3つのジャンルが混在しているなりの濃さなのだ。

逆に言えば、特に「醒界」の攻略にはそこそこ時間がかかる。戦闘がSRPG形式であることも大きいが、テンポは悪くなく、オプションで高速化が可能だ。さらにその仕組みを踏まえ、フロアごとの規模も第2醒界までの限りではコンパクトにまとまっている。オートセーブも常時行われるので、止め時も作りやすい設計だ。

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大体、これぐらいの規模になっている。(ただ、ブロックごとの探索範囲は広い)

ただ、それでも醒界の攻略に要する時間は長い。早くて1時間から1時間半だ。そこにステラアビスの相席も重なってくれば、より長い時間没頭することにもなる。結果、2~3時間が過ぎ去っていた……なんてことも。

そのような作りから、本作はかなり腰を据えて取り組む必要のあるゲームだというのが、今回の先行プレイで筆者個人が抱いた印象だ。これに関してはマイナスに捉える人もいるかもしれない。しかもローグライト、ゲームオーバー時にやや重めのペナルティがあることからも一筋縄ではいかないゲームとの印象を抱くだろう。ただ、そんな特徴がありながらも進めたくなる魅力がある。

それがストーリーだ。これが序盤の時点でも結構、強力な動機付けとして機能している。そもそも導入部分からして謎が多く、プレイヤーの関心を誘うのである。とりわけ象徴的なのは主人公。顔と腕を変えられた経緯もさることながら、人物像が謎めいている。

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主人公は普段、何をしている人物なのか……?

そもそも、何者かすら明かされない。サマヨイという名もティプシィを始め、周りから呼ばれるようになった名前だ。「日々の生活に疲れていた」との理由も不明。そして、主人公は顔と腕が変えられてしまったのに対し、客たちはヨイの世界に現れても現実世界のままとなっている。これはいったい、何を意味するのか?

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そのような気がかりな要素があって、自然と先を見たくなるのだ。当のストーリー自体もそうした関心を高める展開を見せる。本稿では詳細を伏せるが……ステラアビス側に思わぬ変化が生じるのだ。同時に相席パートにも影がかかるようになる。

おそらく、第2醒界開始前からクリア後までのストーリーを進めれば、是が非でもこのストーリーの行く末を見たくなってしまうだろう。結果的に筆者は思わず第3醒界のクリア寸前までやってしまった次第である。

ストーリー絡みでは、客たちの個性の強さも見所だ。特に相席パートのチュートリアル担当でありながら、戦闘では意外な火力の高さを発揮する「レオナ」、アニメオタクのアイドルで動画配信者の「キャス」の2人は強い印象を残すかもしれない。

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客ではないが、主人公をサポートするマスター、そして設定上の都合とはいえ、戦闘のチュートリアルで「敵にやられろ(ゲームオーバーになれ)」との指示を飛ばしてくるティプシィもなかなか存在感のあるキャラクターになっているので注目だ。

オシャレな音楽にも注目。腰を据えて取り組むことが推奨される新作

3つのジャンルが同時進行するヘビーな遊び心地、それに積極的に取り組みたくなる強烈な動機付けとして機能しているストーリーと、序盤の段階でも結構、独特な味わいと尖った部分が見られる本作。細かい所でも、操作周りにロードの長さといった快適性も配慮されている。特に次のフロアに移る「階段」を発見してしまえば、あとはどこのフィールドに移動しようと、ワンボタンで次のフロアへの移動ができるようになるのが便利だ。

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実は本作、いわゆる”モンスターハウス”的なトラップもあるのだが、階段さえ発見していれば、一瞬で窮地から脱せる。「今回は戦力的に厳しい」と感じた場合もメニュー画面から容易にギブアップ(退却)することも可能だ。

そしてグラフィック、音楽もバーを題材にした作品らしい落ち着きつつも、どこか華やかな雰囲気をまとったものに仕上げられている。特に音楽は素晴らしい出来で、筆者はサウンドトラックが欲しくなってしまったほどである。ありがたいことにサウンドテストもデフォルトで備わっていて、お気に入りの曲をじっくり聴くことも可能だ。

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サウンドテストはカウンター席に座る時に現れるメニューから選べる。

気がかりなのは、序盤の段階でもゲームとしての密度が濃いため、中盤以降のボリュームがどうなっているかということ。また、ヨイの世界のフロア全体の構造は画面左上にミニマップとして表示されるのだが、矢印は東西南北を示すコンパスの針そのもので、プレイヤー自身の現在地を示すものではないのがちょっと困惑しやすい。

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本作の発売日は2024年2月29日で、機種はPlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switchとなっている。最初に一言申した通り、本作にSRPGを求めると思わずツッコみたくなってしまうこと確実だ。実際の中身はローグライトで、アドベンチャーゲームとなっている。そして、それら3つのジャンルが混在するなりの密度の濃さがあり、じっくり取り組むタイプのゲームを欲している人には刺さりやすい。ストーリーも始まりからして謎が多く、それが少しずつひも解かれていくという展開や主人公の設定に興味を抱いたのなら、きっと楽しめるだろう。

どことなく、規模の大きなゲームになっていそうな本作。すべてが明らかになる製品版発売の時が待たれる所だ。

なお、本作はカクテル、お酒が重要な要素となっているゲームだが、その辺りの再現や小ネタ諸々がどうなのか否かについては省かせていただいた。

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最後の最後にカミングアウトするが、自分……下戸なんで、よく分からないんです。

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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