バットマンやスーパーマンが闇墜ちしたので、彼らが過去に捕まえた悪党・ヴィランたちを檻から出して戦わせよう!
「こういうのが好きなんでしょ?」と言われるとあまり否定できなさそうな……大トロみたいな設定じゃないでしょうか。
今回ご紹介する『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』はまさに、「ヒーローに頼れないので、スーパー・ヴィラン同士協力して世界を守りましょう!(なお首には爆弾を埋め込まれて脅されている)」という作品となっており、ゲームの目的もとってもシンプル。それは……、
ヒーローを殺すこと。
バットマン、スーパーマン、グリーン・ランタン、フラッシュ。
大好きなヒーローや憧れのヒーローを、あなたは手にかけることが出来ますか?
文/Squ
「スーサイド・スクワッド」って何者?
舞台は、スーパーマンが住む街・メトロポリス。DCユニバース最強のヒーローチームとも言われる「ジャスティス・リーグ」の拠点「ホール・オブ・ジャスティス」が位置している場所でもあります。
本作は『スーパーマン』シリーズに登場するスーパーヴィラン・ブレイニアックによる侵略が進んでいる状態で幕を開け、主要キャラはほとんど洗脳されているという絶望的状況。そんななか、ジャスティス・リーグを倒すという不可能極まりないミッションに挑むため結成されたのが「タスク・フォースX」であり、「スーサイド・スクワッド」なのです。
「タスク・フォースX」に加入しているのは、過去にスーパーヒーローたちによって捉えられたスーパーヴィランたちである「ハーレイ・クイン」、「キャプテン・ブーメラン」、「デッドショット」、「キング・シャーク」の4人。プレイヤーはメンバーたちと協力しながら数々のミッションをこなしていくことになります。
本作は映画シリーズとは異なる世界線で展開される作品ですが、2016年に公開された映画『スーサイド・スクワッド』や2021年公開の映画『ザ・スーサイド・スクワッド ‘極’悪党、集結』で彼らの存在をご存じの方もいるかもしれません。
筆者は本作をプレイする前段階で、一部の『バットマン』や『スーパーマン』作品、それから前述の映画版『スーサイド・スクワッド』2作のみを履修している程度の知識量だったのですが、異なる設定であることでかえって新鮮味があったのか、個々のキャラクターについてより深く知りたくなりました。
4人同時の掛け合いやジョークの中にもヒーローディスが含まれていたりと、ヴィランらしさ全開な部分もこのゲームならではの注目ポイントで、聞いたことのあるワードが飛び出すだけでもうれしい。
映画版『スーサイド・スクワッド』に近しい設定も少なくないようで、この2作を抑えておくだけでも作品の解像度が大きく上がるかもしれません。
「DCコミックス」何も知らないけど大丈夫?
本作は多数のDCキャラが登場するということもあり、必要な知識は膨大……かと思いきや初めての人でも楽しめる配慮がいたるところにあるのです。
例えば、スーサイド・スクワッドがメイン拠点として居抜きする「ホール・オブ・ジャスティス」。ゲーム中では博物館としてヒーローたちの装備が展示されていたり、それぞれの職務や生い立ちを説明するホログラムが。
さらに、物語序盤で訪れることになる「バットミュージアム」では、ハーレイやデッドショットといったチームメイトの展示も。彼ら自身による生の反応を楽しめるので、昔話を聞いている気分で世界観やキャラクターを知ることができてしまうわけですね。
知らないキャラの方が多かった筆者ですが、既に術中にハマっており……。気付いたときにはハーレイ、デッドショット、ブーメランが登場する『スーサイド・スクワッド:ブラック・ヴォールト』のペーパーバックをポチっていました(沼に落ちる音)。
また、コーデックスと呼ばれるしっかりとした読み物コンテンツも搭載。3Dモデルを見ながらキャラクターたちの出自を知ることができるのですが……、なんと説明文がすべてヴィラン視点。
何も知らない状態で「読み物コンテンツだ~!」と読み進めていると、いろいろなモノにヴィランバイアスがかかっているんですよねこれ。何の公平性もなく、ただの嫌味みたいな解説もちらほら。
ただ、こうしてあえて偏った知識を取り入れることで、より「スーサイド・スクワッド」のメンバーへの感情移入がしやすくなるかもしれません。
撃って撃って、撃ちまくれ!
本作は三人称視点のアクションシューター。オープンワールドタイプで自由にフィールドを駆け回り、各地に点在するメインミッションをこなしていくことでゲームが進行していきます。
オンラインマルチプレイでの協力プレイにも対応していますが、完全ソロで遊ぶことも可能です。
ミッションのバリエーションはそれなりに豊富で、エイリアンを倒すものから護衛、エリア奪取、民間人救助などのほか、攻撃手段が「クリティカルのみ」や「グレネードのみ」など歯ごたえのある条件付きのものも。比較的シンプルな内容のミッションが多くみえますが、個性的なキャラクターたちと高低差の激しい鋼鉄のジャングルとも言うべきメトロポリスの環境がバリエーションをもたらしているようです。
また、ミッションをプレイしていくことで、キャラクターのレベルがアップ。タレント、いわゆる潜在スキルのようなものを成長させることが可能になります。これにより新しいコンボや、効率のいい敵の倒し方といった立ち回りにおける自由度もあがっていくことでしょう。
操作キャラクターは、戦闘中以外であれば基本的に自由に変更が出来るので、好きなキャラを突出させて育てたり、まんべんなく育成してオールラウンダーを目指したりといった自分らしいプレイングが出来るはずです。
ミッションを周回して最強装備を揃えよう
本作での戦闘における魅力はなによりも、アクションや爽快さにあります。鋼鉄のジャングルを各々が自由に飛び回り、吸い付く近接攻撃と銃撃攻撃を組み合わせ、ゲージ性の範囲攻撃をブチ当てる。
実際のところ、適当にボタンをガチャガチャしているだけで10分もせずに1つのミッションが終了します。
これの何がいいって、10分間気持ちよくなってるだけで武器のルーティングもできてしまうところです。
ひとつひとつのミッションがあまりにも軽くて楽しいので、数時間ぶっつづけで武器を集めていたなんてことも……。
レアリティごとに入手時の点滅色が異なるため、金色や紫で光ればラッキー!序盤でも金色武器を引くことが出来るので、戦力増強には持ってこい。
武器ごとにつくバフの厳選まではじめると沼コースなのは間違いないですが、ソロで遊んでいる限りでは攻撃力特化のビルドでも問題なさそうでした。
このほかにも、さまざまなヴィランと関連した「ノートリアス・ヴィラン」ランクがつく武器も。どれも強力なため、序盤に入手出来るとまさに鬼に金棒。
ストーリー終盤では高レアリティで装備を固めることも余裕でしょう。
悪が正義で、正義が悪で
「僕たちを殺すんだ。じゃなきゃ、世界は救われない」
公式トレイラーでフラッシュが放ったこのセリフには、ただならぬ重さがありました。
理由を求めてゲームを始めても、待っているのは大半が闇に墜ちた「ジャスティス・リーグ」と崩壊した街。与えられた命令はただひとつ「ジャスティス・リーグを始末しろ」。
18歳以上を対象にした作品らしい固唾を呑むゴア表現の中で、自分の中の「カッコいいヒーロー像」がどんどんと打ち砕かれていくというのは非常に複雑でした。
ただこの作品の中で、重要な位置づけがされているものがあるようです。それは、ヴィランの視点から描かれる「ヒーロー」という部分。
ヴィランである「スーサイド・スクワッド」の一人としてプレイする本作ですが、遊んでいて愛着が沸くのはどうも悪党たちばかりなのです。
善と悪との境界線が混ざり合って薄れていくモヤモヤの中で、自身のヒーロー像を考え直し、自らの心に宿す正義を見つめなおす。
こんな体験が出来るのは、ダークな世界観の中で個性的なキャラクターが確立されている「DCユニバース」という世界観ならではなのかもしれません。
ストーリーの濃さがキモとなる性質ゆえ、記事上でストーリーの全貌を語ることはできません。
ただ、このゲームにはアクションシューターゲームという楽しさ以上に、「正義のヒーロー」という存在を考え直させるような、確かなモノが描かれていることに間違いはありません。
『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』は、PlayStation5、Xbox Series X|S、PC向けに2月2日より発売中。今後のアップデートでは無料で新規のヴィランや武器などの実装も予定されています。
また、クロスプレイやクロスプログレッションにも対応しているので、お友達と示し合わせてプレイするのもありかもしれません。
新たな視点からヒーローと正義を考えてみてはいかがでしょうか。