5月27日は『ときめきメモリアル』第1作目が発売された日だ。
1994年5月27日にコナミから発売されたPCエンジン用ソフト『ときめきメモリアル』は、恋愛育成シミュレーションゲームとして、家庭用ゲーム機の世界に新たな時代を切り拓いた作品だ。
『ときめきメモリアル』では、主人公はきらめき高校に入学した男子生徒として、三年間の高校生活をまるごと体験できる。日々の授業などによって主人公の能力を成長させることで、10人以上存在するヒロインと新たに出会い、関係を変化させることができる。最終的に、高校三年間を終えた卒業式の日に、伝説の樹の下で女の子に告白されることを目指す。
ヒロインたちと一緒に下校したり、デートに出かけたりといった恋愛イベントを体験できる一方で、体育祭や文化祭、修学旅行といった高校三年間の時間進行に応じたイベントも発生。胸がときめく恋愛イベントだけでなく、デート中に不良とのバトルが発生したり、修学旅行先で動物に襲われたりといった破天荒な展開も待っている。
また、特定のヒロインとばかり仲良くしていると、他のヒロインに爆弾マークが表示されることがある。この爆弾を放置しているとやがて爆発してしまい、学園中に主人公の良くない噂が広がって、登場しているヒロイン全員の好感度が低下してしまう、といったことも起こる。
『ときめきメモリアル』がPCエンジンで発売された当時、家庭用ゲーム機では「恋愛ゲーム」というジャンルがまだあまり一般的ではなく、本作も発売当初はそれほど注目されていなかった。しかし、多彩なイベントによる変化に富んだ展開や、攻略性の高さといったゲームとしての面白さにより、口コミで人気が広がっていった。
PCエンジン版の発売から約1年半後の1995年に、初代PlayStationで『ときめきメモリアル 〜forever with you〜』として発売されると本作は一躍人気作となった。スーパーファミコンやセガサターンなどでもリリースされたほか、オリジナルビデオアニメや実写映画など、多岐に渡る展開が繰り広げられた。
『ときめきメモリアル』のヒットは、家庭用ゲーム機で美少女恋愛ゲームが多数登場するきっかけのひとつとなった。そうしたゲームの中にはビジュアルノベルなどのアドベンチャーゲームも多かったため、本作も恋愛アドベンチャーゲームだと誤解されることがある。実際、『ときめきメモリアル』では多彩なイベントが発生し、ヒロインごとに密度の濃いストーリーが展開されているが、本作はあくまで前述のように、主人公の能力を成長させていくことで進行する育成シミュレーションゲームである。
一方で、特定のヒロインとの恋愛ストーリーをアドベンチャーゲームの形式で描く『ときめきメモリアル ドラマシリーズ』と呼ばれる外伝も、3作品制作されている。このシリーズの制作にあたっては『スナッチャー』や『ポリスノーツ』でアドベンチャーゲームの実績が豊富な、小島秀夫氏が製作総指揮を手がけている。
また『ときめきメモリアル ドラマシリーズ』以外にも、『ときめきメモリアル 対戦ぱずるだま』など、本作のキャラクターが活躍するスピンオフゲームも発売されている。
本作のヒットに続いて、1999年に初代PSで『ときめきメモリアル2』、2001年にPS2で『ときめきメモリアル3』が発売された。これらの続編では舞台となる学校やキャラクターはそれぞれ一新されており、過去作のキャラクターは登場しない。また『ときめきメモリアル3』はヒロインたちが3Dのトゥーンレンダリングで表現されたことでも話題になった。
2002年には、女性プレイヤー向けの『ときめきメモリアル Girl’s Side』がPS2で発売された。こちらも高い人気を集めてニンテンドーDSやNintendo Switchでもリリースされたほか、独自にシリーズ化されて、2024年現在で第4弾まで登場している。
※ときめきメモリアル4(PSP) プロモーションムービー
2009年にはPSPで『ときめきメモリアル4』が発売された。本作は『ときめきメモリアル』第1作目から15年後のきらめき高校が舞台になっており、伝説の樹も登場するが、第1作目のキャラクターがゲーム中に姿を見せることはない。
『ときめきメモリアル』第1作目は、初代PS版がPSP、PS Vita、PS3のゲームアーカイブスとして移植されている。また2020年に発売されたゲーム機「PCエンジンmini」に、PCエンジン版が収録されている。
2024年には発売30周年を記念して、ヒロインたちの声優陣が勢ぞろいした「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE エモーショナル」が開催されるなど、本作はふたたび盛り上がりを見せている。かつてプレイした人もまだ未体験の人も、この機会にぜひ本作に触れてみてほしい。