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カプコン新作『祇:Path of the Goddess』は「アクションと戦略のバランス」が絶妙。主人公が強くて動かすだけで爽快…なんだけど、数の暴力に立ち向かうには「戦略」が欠かせない塩梅が実にちょうどいい

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カプコンの新作『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』。実をいうと、長らく“謎”のゲームだと思っていました。

タイトルの漢字は難しいし読み方も難しい。動画を見てもセリフは少ないし、なんとなくアクションゲームなのは分かるけど、仲間を育成したり、建築をしてみたり、女の人を誘導してみたり……。なんかいろいろやってるけど、「分からん! 結局なにをするゲームなんだ?」なんて感じていたんです。

『祇:Path of the Goddess』レビュー・感想:「アクションと戦略のバランス」が絶妙_001
あといきなり踊りだしてみたり……?

ですが今回、実際にゲームを触ってみたら、これがめちゃめちゃ面白かったんですよ。本当に「これまでノーマークですみませんでした……!」って謝りたくなるくらい。「なんかよく分かんないんだよね」と感じている方には、まずは体験版でも何でも触ってみて欲しいです。楽しいので。

とはいえ、やることが多いのは事実。というのも、本作は「アクション」「タワーディフェンス」「リアルタイムストラテジー」の3つの要素が合体したゲームなんです。もう一歩踏み込んで言えば、その3要素が“神がかり”的なバランスで調和した作品……とでも表現するのが良いでしょうか。

「3要素が合体している」なんて聞くと、今度は難しそうなイメージが強くなりますよね。でも決してそんなことはない。実際、筆者もアクションはともかくTDとRTSはガチの初心者といってもいいレベルなんですが、それでもすごく面白い。

自信をもって「面白い」と言える理由はいくつかあるんですが、まずなんといっても「アクション」が非常に爽快。主人公もかなり強いので敵をたやすくなぎ倒していけます。操作もシンプルなので、アクションはちょっと……なんて人でも楽しく遊べると思います。

その一方で、敵の数が多いので主人公だけでは限界がある。そこで助けた村人を指揮して戦いに参加してもらう「ストラテジー」の要素が活きてくる。こんな感じで「アクション」と「戦略」が互いを補うことで、華麗に立ち回る爽快感と、地形や味方を駆使し戦略を組み立てる楽しさが両立された奥深い戦闘が楽しめるようになってくるのです。

というわけで今回は、情報をちょっと集めただけではなかなか分かりにくい『祇:Path of the Goddess』のゲームプレイと、その絶妙な“神”バランスの紹介。そして実は本作が「非常にカプコンらしいゲームである」と考える理由についてお話していければと思いますので、プレイ前までの私と同じモヤモヤを感じている方の参考になれば幸いです。

『祇:Path of the Goddess』レビュー・感想:「アクションと戦略のバランス」が絶妙_002

なお今回のプレイ環境はPC(Steam)版で、操作はXbox 360コントローラーを使用。そして「カプコンで『神』って言われると『大神』もだけど『GOD HAND』もいいよね」と言いたくなる程度にはアクションゲームが好きなプレイヤーの組み合わせでお送りします。その割に本作はノーマークだったのは……ほんっとうにすみませんでした!

文/白熊のヨゥ


3要素が融合したゲームプレイ、なのにややこしすぎないバランスが“絶妙”

ゲームの流れを説明……する前に、ここで改めて冒頭の「結局なにをするゲームなんだ?」という問いに答えておきましょう。

このゲームは、リアルタイムに進行する敵の攻撃に対して、自身がキャラクターを操作し敵と戦うことはもちろん、敵の攻撃対象である巫女を守るために、味方に対して配置の変更などの指示を出していく。つまり……

・アクションゲーム
・タワーディフェンス
・リアルタイムストラテジー

この3つのジャンルが融合したゲームになっているのです。と書くと難しそうに思えてくるのですが、実際にはこの3ジャンルの要素が互いを支え合い絶妙なバランスになっているので、決してそんなことはありません。というのは先に触れた通り。

次の項からはその辺りのことを深堀りしていくのですが、その前に本作のゲームプレイの流れをサクッと説明させてください。

ひとつのステージには「昼」「夜」というふたつフェイズがあり、

「昼」は「夜」戦うためのリソースを集めて準備をし

「夜」は「昼」集めたリソースを使い実際に戦闘する

このふたつのフェイズを繰り返し、プレイヤーが守る対象である巫女こと「世代(よしろ)」がゴール地点に到着すればステージクリア。ゴール地点から進行してくる敵によって彼女の体力が尽きてしまうえばゲームオーバー、というのがゲームの根本的なルールになります。

シミュレーションRPGにおける出撃準備やマップ上の移動を昼間に行い、ユニット同士の戦闘を夜間に行うと考えると多少イメージしやすいかと思いますが、通常のSRPGと異なり、これらのフェイズは基本的にリアルタイムで進行し続けるのが本作の特徴ですね。

「世代」はゴールに向かって移動することと、その場で待機する指示はできるものの、後退することはできず夜の間も無防備です。だからゴールに近づけば近づくほど彼女が攻撃を受ける可能性が増えるというのも抑えておきたいポイント。

『祇:Path of the Goddess』レビュー・感想:「アクションと戦略のバランス」が絶妙_003
待機の指示を忘れてしまうとゴール(=敵の出現位置)間際での苦しい戦闘になることも……

昼間に行う準備や移動は時間制限の中でいかに効率よく行うかが求められますし、夜間の戦闘も敵を倒せば終了ということではなく、日が昇る瞬間まで「世代」を守り続ける必要もあるわけです。

もうひとつ特徴的なのはこれらのアクションを、プレイヤーは巫女の護人である「宗(そう)」を操作して行う必要があるという点。もちろん敵との戦いも自動的に進むのではなく、実際に動かして戦うアクション性が強く爽快感があるものになっているという点。

アクション、RTS、TD、3つのジャンルの要素のうち、どれが主柱になっているかといえば間違いなく「アクション」で、爽快な操作感でありながらRTSやTDの要素を損なっていない。マジで絶妙というしかないバランスになっています。次の項目ではその性能や触った感想などに触れていきましょう。

爽快感とレスポンスの気持ちよさが両立している“神”アクション

実は私、アクションゲーム愛好家の端くれとして常々思っていることがあります。それは

「アクション+α」なゲームこそ、「アクション」部分に気合が入っていて欲しい!!

その点、本作は「アクション」がかなりしっかりとしています。

主人公はざっくり言うと“すごく強い”ですし、操作のレスポンスも抜群で、シングルプレイのアクションゲームの主人公としてはかなり強力な性能にまとまっている。RTSやTDに関しては門外漢なので断言はできませんが、アクションの気持ち良さについて言えば、ガチだと思います。

まず基本的な攻撃手段は刀を使った斬撃で4回まで連続で行えるほか、いわゆる強攻撃として「舞技」(まいわざ)というアクションも使用可能。こちらは攻撃との組み合わせによって特性が異なる技に派生します。

その他、防御と回避、ジャンプといった動作はもちろん使えるし、通常攻撃はそれらの行動でキャンセル出来るので攻防の切り替えも素早く行える。動作のキャンセルを絡めた直感的な立ち回りのレスポンスの気持ちよさは「さっすがカプコン、分かってるな〜」なんて思っちゃいます。

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その名の通り、剣舞のような流麗なモーションも見どころのひとつ。この刀の軌跡と手首の角度、めっちゃよくないですか?

一緒に戦う「村人」と共用とはいえ、回復アイテムも潤沢に持ち歩けるし、おまけに体力の自動回復能力まで持っていると聞けば、基本性能の高さについては納得していただけるはず。

弱点があるとすれば「舞技」はスピードが少し遅めなのと、動作をキャンセルできないこと。また、回避モーション後の隙が少し大きいことくらいなんですが、「舞技」の攻撃力はかなり高いし範囲も広く、一回で数体の敵を巻き込みながら倒すなんて芸当もできるほど強いのであまり気になりません。

それにアクションゲームにおいて「回避」という選択肢が強すぎると難易度がかなり下がってしまうということもありますからね。全体的に思ったのは、強い行動を無闇やたらに使うのではなくタイミングを見極めて使うことを想定し、あえてこういう調整にしているのだろうなと感じました。

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「回避→攻撃→防御」を素早く入力すると回避の隙が少し減るみたいなゴリゴリのアクションゲームっぽい動きも一応できる(もちろん必須ではない)

ゲーム開始時からすでにかなりの高性能を誇る「宗」なのですが、ゲーム中盤でパワーアップ要素が解禁されると、それまでは持っていなかった遠距離攻撃やジャストガード、さらには短い距離を詰める攻撃や、ダウン中の敵に大ダメージを与える大技などが使用できるようになります。かゆいところに手が届いた感がスゴい。

とはいえ、最初こそ数体程度しか出てこない敵も夜が更けるごとにだんだんとその数を増していき、溢れんばかり出現するし、ゲームを進めるごとに当然敵のバリエーションもその強さも増えていくので、いくらパワーアップしても一人で殲滅することはやはり不可能。

そして忘れてはいけないことですが「宗」の目的は敵を倒し切ることではなく、あくまでも「世代」を守り切ること。一人で守りきれないのであれば仲間の手を借りなければいけません。

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本当に溢れるくらい出てきて、思わず「多くない!?」と口に出てしまった初見時の思い出

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ライター
アクションゲームとアメコミ映画を愛する三十路ゲーマーで、前職は某ゲーム機のカスタマーサポートとのウワサ。一人用ゲームを好むが、人が好きなものの話を聞くのはもっと好きなので「誘われればどんなゲームでもやる」がモットー。そんなこんなで始めた「スプラトゥーン3」を気づけば1000時間遊んでいたチョロいやつでもありますが、私が書いた文章をきっかけに誰かが「好きなもの」を見つけてくれたらいいなと思っています。

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