これだけ覚えれば大会観戦も楽しくできる? 『Honor of Kings』超大ざっぱ解説
さて、試合の模様をくわしくお伝えする前に、先んじて「そもそも『Honor of Kings』とは何なのか?」というお話を軽くさせていただきたい。というのも、試合内容をレポートする際にどうしても多少の専門用語が必要になるからだ。
逆に言うと、ここで紹介する最低限の知識があれば、「どっちのチームが優勢なのか?」くらいは読み取れるようになるはず。また、本作はプレイヤーが操作するヒーローの1キルがかなり重く、プレイヤー同士の戦闘は集団戦になることが多いため、生半可な知識でも盛り上がりのタイミングが分かりやすい点も嬉しい。
あらためてイチから紹介していくと、『Honor of Kings』は「MOBA」(マルチプレイ・オンライン・バトル・アリーナ)と呼ばれるジャンルのタイトルである。『リーグ・オブ・レジェンド』や『ポケモンユナイト』などが日本では有名なMOBAだが、『Honor of Kings』のルールは『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)にかなり近い。
※なんかかわいいチュートリアルアニメ(公式)があります。
ゲームは5vs5のチーム戦で行われ、互いの最終目標は相手の本拠地を破壊すること。自チームと敵チームの本拠地は「レーン」と呼ばれる3つの道で結ばれており、その間には「タワー」と呼ばれる砦のようなモノが立ちふさがっている。敵の本拠地を叩くため、原則的にはこのタワーを破壊して進軍の道筋をつくる必要がある。
また両チームともに「ミニオン」と呼ばれるNPCの戦闘ユニットを持つ。タワーは射程距離に入った敵を攻撃する特性があるため、先にミニオンをタワーへ進軍させ、攻撃をひきつけさせている間にタワーにダメージを与えるというのが基本的な戦い方だ。同時に、敵のミニオンは経験値やお金を手に入れられるリソースでもある。
レーン以外の「ジャングル」と呼ばれる空間には、どちらのチームにも属さないモンスターが現れ、こちらも倒せば経験値やお金を手に入れられる。特に見るからにデカくて強そうな「タイラント」は倒したときにバフを得られることもあって価値が高い。
お金は装備の購入、経験値はレベル上げ(スキルの強化)につながるので、もちろん多く稼いだ方がプレイヤー同士の戦闘で優位に立てる。その一方、各プレイヤーは一度デスしてしまうとリスポーンには短くとも10秒以上がかかり、その間は戦闘に参加できず、育成も止まってしまう。プレイヤー同士の戦闘では人数の有利が色濃く現れることもあり、特に高いランクではひとつのデスがとても重いのだ。
つまるところ、「どっちのチームが有利なのか?」を大ざっぱに見極めるためには
・プレイヤーの人数差、キル数の差
・タワーの破壊数
・稼いだお金の額
・タイラントの撃破数
あたりに焦点を当てると分かりやすいだろう。
※上のアニメとは別に、本格的なチュートリアル映像(英語)もあります。
もうひとつ覚えておきたいのが、各プレイヤーが担う5つの役割。少し長くなるが、試合レポートの中にもたびたび登場する単語なので順に紹介していこう。
・クラッシュレーン
3つのレーンのうち、上側のレーン(クラッシュレーン)を主に担当する。「タンク」や「ファイター」に分類される、防御力が高く近接戦を得意とするヒーローが選ばれやすい模様。なんか相手のクラッシュレーンとタイマンしているイメージが強い。
・ミドルレーン
真ん中のレーン担当。「メイジ」と呼ばれる火力が高く、範囲攻撃に長けたヒーローが選ばれやすい。敵本拠地への距離がもっとも短く、さらに上からも下からも襲われる可能性があるので忙しそう。
・ファームレーン
下側のレーンを担当し、射程距離が長めの「マークスマン」が選ばれやすい役割。マークスマンは特に序盤では打たれ弱いため、後述する「ローム」と一緒に行動することが多い。お金を稼ぎやすく、なるべく装備を充実させて本格的な戦闘に備えたい。
・ジャングラー
レーン以外のエリアで、ミニオンではなくモンスターを倒して育成する。序盤のレベルアップが早いため、ある程度育ったら積極的に敵を奇襲してキルにつなげたい。逆に敵のジャングラーがうまいと、いつ襲われるか分からず、レーンの押し合いがホラーゲームばりに怖くなる。
・ローム
「サポート」や「タンク」のヒーローが選ばれやすい役割。支援能力の高さが特徴で、基本的には誰かと一緒に行動する。特に序盤はマークスマンに寄り添ってあげるパターンが多いようだ。
少し長くなってしまったが、以上で『Honor of Kings』のざっとした解説は終了。本作は日本でも2024年6月から展開をはじめており、基本プレイ無料で誰でも遊べる。筆者も今回の取材の半月ほど前にプレイをはじめたのだが、先述の通り、ちゃんとMOBAを遊ぶのは本作が初めて。つまるところ、ゲームへの理解度はまだまだ浅い。
しかし、ゲームスタート時にはどのレーンへ足を運ぶべきか教えてくれたり、購入するアイテムは上級プレイヤーの購入リストをコピーできたりと、初心者的にはかなり入りやすい。マッチングも非常に早く、ランクマッチはまだ未検証だが、クイックマッチは遅くとも30秒以内にはゲームをはじめられるという快適っぷりだ。
日本でプレイしているとインドネシアやマレーシアなど、東南アジアのプレイヤーと一緒にプレイすることが多いのも印象に残る点のひとつ。実際、今回のEWCでご一緒したメンバーもアジア圏ではインドネシアや韓国、その他ではブラジルやメキシコにいたるまで、世界中から集められていた。
現地では参加者の何人かにお話を聞くこともできたので、簡単にその模様をお届けしておきたい。