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『スト6』の「プレイヤーを育てるCPU」の作り方。初心者から上級者まで、多彩なプレイヤーの“お手本”になるための作り込みとは? 「人間らしい」動きを目指したCPUの制作背景に迫る【CEDEC2024】

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『スト6』が長期運営を続けていくための工夫。他ジャンルへ応用するためのヒント

安原氏が最後の項目として挙げたのは“長期運営に対応する”だ。『スト6』のみならず、長期運営されるゲームはリリース後にも調整が行われる。そのため、本作では不定期に変更が発生する各キャラクターの技データの違いが行動に影響を及ぼさないように、依存度を下げる工夫が施されているという。本作のCPUは、事前に用意されている情報ではなく、ゲーム実行中の情報を判断材料の中心にして、技や行動を決定しているようだ。

作戦、戦術、実行能力という3つの観点からCPUの行動を決定し、それらを実行時に有機的に接続することで、幅広いプレイヤー層に対応しながらゲームプレイ体験を提供することが可能になったと安原氏はまとめた。

『スト6』CPUの作り方・講演レポート:CEDEC2024_019
CPUが行動を決めるためのゲーム中の判断材料は、勝利ラウンド、体力、SAゲージ、ドライブゲージ、位置・距離、硬直差、姿勢、特殊カウンタの8つの項目から行われている。

『スト6』CPUの作り方・講演レポート:CEDEC2024_020

最後に安原氏は、本作のCPUを他ジャンルへ転用する方法のヒントとして講演内でたびたび例えられていたカードゲームになぞらえて解説した。

安原氏はまず結論へつながるキーワードとして“時間単位”を挙げた。格闘ゲームは秒間60フレームで動いていることを例に挙げ、そこから技入力、方向変化などで数フレームずつ消費していくゲームと紹介。これらの要素をさらに引き伸ばしていくことにより、上述のカードゲームのように判断することができるという。

『スト6』CPUの作り方・講演レポート:CEDEC2024_021

その後、『スト6』のバランス調整を行った開発陣への感謝の言葉を述べつつ、社内スタッフからの“熱い”意見を前向きに対応した田智広さん矢部雅人さんを中心としたプログラマーの方々、そして本作を遊ぶ全てのプレイヤーの皆さんに感謝の意が示された。

本作はCPUの試合を見ているだけでも楽しめるように開発されていることが本講演で判明したと言えるだろう。安原氏「たまには手を休める時にでも、CPU同士の対戦を見て楽しんでいただけたらと思います」とコメントし、講演を締めくくった。

『スト6』CPUの作り方・講演レポート:CEDEC2024_022

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ライター
気になったゲームは古今問わず遊ばずにはいられない性格。シリーズ物も大好き。 中学生の時に東方Projectに触れてからゲーム音楽へ目覚め、アトリエシリーズと出会い覚醒。普段聴く音楽が9割ゲーム関連となってしまった。 幅広いジャンルのゲームを遊びながら、まだ見ぬゲーム音楽との出会いを求めて日夜探求し続けている。

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