いま読まれている記事

強さのバランスはぶっ壊れているけど、ド派手な戦闘に脳汁が止まらなくなる『マヴカプ2』は、唯一無二の面白さを持つ格闘ゲーム。永久コンボはあるは、トンデモ性能のキャラはいるは……やりたい放題できるのがハチャメチャ楽しい!

article-thumbnail-240912m

1

2

2024年9月12日より発売中の『Marvel vs. Capcom Fighting Collection: Arcade Classics』には、『マヴカプ2』とあわせて合計7作品のゲームが収録されています。

本記事では『マヴカプ2』を中心に紹介しましたが、他のゲームもアメコミ好きにはたまらないラインナップ。アメコミという要素を抜きにして、それぞれ尖った魅力にあふれる『Marvel vs. Capcom Fighting Collection: Arcade Classics』の収録タイトルについてお話していきたいと思います。

隠しキャラ出現のコマンドが難しすぎる『エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム』

本コレクションに収録されているタイトルの中で一番の古参なのが、 “ミュータント” と呼ばれる、超人的な能力を持つ人々の戦いを描いたMARVELの超人気シリーズ『X-Men』の格闘ゲーム『エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム』

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_016

このゲームを語る上で欠かせないのは、とある隠しキャラクターの存在でしょう。じつは、X-Menキャラばかりのこのゲームには、隠しキャラとしてCAPCOMのゲームのキャラクターが登場しているのです。

ただ、問題なのは、そのキャラクターを出現させるためのコマンドの難易度の高さ。操作としては、キャラクターセレクトで特定の順番でカーソルを動かした後、1秒ほど待ってから3つのボタンを同時押しするだけ……なのですが、鬼門となったのは最後のボタン同時押し

寸分の違いも許されぬレベルでの同時押しが求められるため、多くの人がコマンドに失敗し、強制的に「シルバーサムライ」遊ぶことになったんだとか(1P側でカーソルを動かす都合上、同時押しを失敗してしまった場合に選択されるのがこのキャラだった)。

コマンドの難しさから使いたいキャラも使えない世の中になってしまうこの現象は、キャラクターセレクト時の空耳に合わせて、 「シッパイサムラーイ」と呼ばれ親しまれています。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_017

そのコマンドの噂はかねがね聞いてはいたものの、実際に試すことができる機会は今回が初めて。

せっかくなので、ゲーム設定の隠しキャラの出現設定項目を、コマンドが不要な “簡単” からコマンドが必要な “オリジナル” に切り替えて、隠しキャラ出現にチャレンジしてみました!

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_018

シッパイサムラーイ

一発目はものの見事に失敗。まぁまぁ、最初ですからね。こちらとしても、いきなり出せるとは思っちゃいませんよ。難しいコマンドであることは百も承知。諦めずにチャレンジを続けていきましょう。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_019

シッパイサムラーイシッパイサムラーイシッパイサムラーイシッパイサムラーイ……。

……いや、いくら難しいコマンドだからって言ったって、こんなに成功しないもんですか……?

たった一回、たった一回成功してくれれば十分なのに、それすらままならぬこの状況。ここで一旦冷静になって状況を見つめ直してみた結果、「同時押しする3つボタンの位置が悪いのではないか」という結論に至り、キーコンフィングをいじって再チャレンジしてみたところ……

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_020

出たぞおおおおおおおおおお!

これです、これが見たかったんです!

そう、この作品でCAPCOM側の刺客として参戦したのは『ストリートファイター』シリーズでお馴染みの豪鬼。このゲームに限らず「隠しコマンドで出すキャラと言えば豪鬼」みたいなところはありますよね。

聞いた話によると、MARVELにも言わずに豪鬼をコッソリ隠しキャラとして入れていたんだとか【※】。中々にチャレンジングな行動ですが、これがキッカケとなって、後のクロスオーバー作品が実現した側面が大いにあるそうなので、巡り合わせの不思議を感じます。ありがとう豪鬼!

ジェムを使った駆け引きが面白い『マーヴル・スーパーヒーローズ』

続いてのゲームは『マーヴル・スーパーヒーローズ』

実写映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のモチーフともなった『インフィニティ・ガントレット』というコミックを舞台とする本作の特徴は、キャラクターの能力を大きく高めるジェムの存在。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_021

ジェムは、最初に攻撃を当てたキャラクターや体力がピンチになったキャラクターに渡される他、ランダムでステージ上にも出現します。

その能力を発動させれば、スピードアップ、攻撃力アップ、ライフ回復などといった戦いが有利になる恩恵を一定時間受けることが可能。敵を攻撃すればジェムも奪えるため、本作では他のシリーズ作品にない戦い方が必要になってきます。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_022

そして、本作をプレイして印象的だったのは、キャラクターセレクト画面のイラスト。これが全員もれなくカッコよくて、テンションが上がりました。

そんななか、本作のアメコミ愛の深さを感じるのが、下の画像の左上にいる単眼のキャラクター、シュマゴラス『Dr.ストレンジ』というシリーズの悪役……なんですが、これがまた超絶マイナーキャラ。

その知名度の低さは、CAPCOMの担当者が「シュマゴラスを出したい」とMARVELの担当者に伝えたところ、その担当者がシュマゴラスのことを全く知らなかったという逸話(ファンの間で語り草となっている)が残っているほど。

実写映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にもちょっとだけ出てきたんですけど、権利関係の都合上、違う名前になっていたんですよねぇ。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_023
シュマゴラス(左上)

本作とのCAPCOMのつながりを感じさせる隠しキャラクターが、こちらのアニタ。彼女は、CAPCOMの格ゲー『ヴァンパイアハンター』の主人公格であるドノヴァンのそばにいる女の子。戦闘には参加しない、脇役でしかないのです。

「じゃあなんでこの作品で隠しキャラクターとして出ることになったんだ?」という疑問も湧き上がってきますが、それについては、当時の開発スタッフの方が詳細に語ってくださっていますので、気になる方は実際に調べてみることをオススメします。

勝利を収めると勝利セリフの代わりに「マーヴルコミックスファンのみなさん、ごめんなさい」と表示される彼女もまた、先ほどの豪鬼とはまた違った形で出すのが難しいキャラクターなんですが、今回はさっきの二の舞を避けるべく、簡単モードでさっさと出してしまいました。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_024
アニタ
『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_025
ヴァンパイアハンター(『 CAPCOM Fighting Collection』より)

ちなみに、完全な余談ですが、本作のMARVELの隠しキャラはラスボスであるサノスと、Dr.ドゥーム

奇しくも、Marvelの映画シリーズ『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』の強大な悪役と、強大になるであろう悪役の組み合わせ。悪役好きとしては気持ちが昂りましたねー。期待してるから頼むぞ、MCU。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_026
Dr.ドゥーム(左)、サノス(右)

格ゲー屈指の異色キャラ、憲磨呂を堪能できる『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』

先ほどのコッソリヒッソリクロスオーバーな2作品を経て、ついにMARVELとCAPCOMは本格的なクロスオーバー作品『エックスメン VS. ストリートファイター』を世に送り出します。

本作に登場するのは、そのタイトルが示す通り、『X-MEN』のキャラクターと『ストリートファイターシリーズ』のキャラクターたちだけ。プレイヤーはそれらのキャラクターの中からふたりを選び、タッグチームとして戦います。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_027

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_028

そして、その続編として発売されたのが『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』

CAPCOM側のメンバーはあまり変わりませんが、MARVEL側は『X-MEN』以外にも様々なコミックスのキャラクターたちが登場。メンバーの豪華さに拍車がかかっています。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_029

本作で遊んでいて楽しいのは、ゲージ技を使うとキャラクターのカットインが表示されてド派手な技が繰り出される、カッコいい演出です。

超人集団と闘うために超人的な攻撃性能を手に入れたストリートファイターキャラクターたちが見られるようになったのもこの作品から。リュウの真空波動拳、この時点で既に完成されています。まぁ、『マヴカプ2』を超えた先にある『MVC3』では、この真空波動拳が更に進化するのですが、それはまた別のお話。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_030

この作品において私がどうしても使いたかったキャラクターが、下の画像の憲磨呂

その異彩を放つデザインで周囲からかなり浮いている彼は、当時放送されていたとんねるずのバラエティ番組の企画から誕生した異例のキャラクター。彼に並ぶレベルの異色キャラクターは、『新・豪血寺一族 煩悩解放』のボビー・オロゴンその人くらいではないでしょうか。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_031
憲磨呂

リアルタイムで企画を追えてはいないので、憲磨呂の詳しい誕生経緯についてはあまりよく知らないのですが、彼は、10年ほど前にその存在を知ったときから、一人のお笑い好きとして「是非一度使ってみたい」と恋焦がれていたキャラクター。

10年分の思いを乗せ、満を持して使った憲磨呂は……信じられないほど使いにくかったです。そのトリッキーさというか特殊さはかなりのもので、「こんなに手に馴染まないことある!?」と思わず声に出してしまったほど。

結構変なキャラを使うのは得意で、格ゲーの持ちキャラにはそういうキャラが多いんですが、憲磨呂は別格でした。つかみどころのないネタキャラという見た目の印象そのままです。格ゲーキャラは見た目が9割。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_032

そんな状態ではありましたが、何としてでも憲磨呂のエンディングをその目に焼き付けたかったので、使い慣れた持ちキャラにラスボスの体力の9割を削ってもらい、残りを憲磨呂が引き受けるという手法でストーリーモードをどうにか攻略しました。

これこそ、タッグで強大な敵に立ち向かうメリットですね。これが無かったらクリアできていた気がしません。ちなみに、憲磨呂のエンディングはしっかりとふざけた内容でした。ギャグキャラはこうでなくっちゃ!

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_033

物語の終わりを見届けた後は、ギャラリーモードへ移動し、憲磨呂の設定画集を鑑賞。当然のことではありますが、こんなネタキャラでもしっかりモーションが作り込まれているんだなぁと感銘を受けましたし、何故か嬉しくもなりました。

そして、サウンドモードで憲磨呂のテーマ曲に耳を傾けたところで、憲磨呂フルコースは終了。これほどまでに憲磨呂を堪能できるゲームは他にないでしょう。大満足です。

ふたりがかりで相手をフルボッコにできる『マーヴル VS. カプコン クラッシュ オブ スーパーヒーローズ』

さて、憲磨呂に別れを告げたところで、次に登場するのは『マーヴル VS. カプコン クラッシュ オブ スーパーヒーローズ』。長いタイトルですが、要するに、初代『マーヴル VS. カプコン』です。

本作では、これまでの『ストリートファイター』の枠を飛び出し、CAPCOMのゲームキャラクターが多数参戦。キャラゲーとしての見栄えがさらにパワーアップして、キャラクターたちが集合しているイラストを見ているだけでもテンションが上がります。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_034

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_035

さて、タッグバトルが熱い本作の印象的な要素のひとつが、プレイヤーを援護してくれる「スペシャルパートナー」の存在。

このシステムの面白いところは、アシスト攻撃を繰り出すのが控えキャラクターではなく、専用のアシストキャラクターたちであるということ。このアシストキャラクターたちは、これまでのシリーズに参戦していなかったものが多く、キャラゲーとしてのお祭り感にさらなる彩りを加えています。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_036

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_037

そして、プレイを進める中でもうひとつ印象に残ったのは、カッコよすぎる演出。とくに、一定時間タッグパートナーとの同時攻撃が可能になる 「ヴァリアブルクロス」は素晴らしかったです。

発動の瞬間に、ふたりのキャラクターの顔がひとつになるカットインが表示された時点で、かなり心を揺さぶられました。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_038

この技が何より魅力的なのは、発動中にゲージ技が使い放題だということ。これが上手く決まれば、超気持ちいい!

バランスについてはぶっ飛んでいますが、カッコよさはマックス。戦っていてテンションが上がります!

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_039

本コレクション唯一の横スクロールタイトル『パニッシャー』

最後に紹介するタイトルは、ベルトスクロールアクションの『パニッシャー』

本作の主人公であるパニッシャーは、『マヴカプ』シリーズにこそ登場しませんが、高い人気を持つアメコミキャラクターのひとり。彼の最大の特徴は、悪党に一切容赦せず、どんな手を使ってでも片っ端から処刑していくこと。悪党死すべし、慈悲はない。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_040

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_041

主人公がそんな感じの空気感なので、『パニッシャー』もベルトスクロールアクションにしてはかなりバイオレンスなのが魅力。銃器で悪党を撃つわ火炎放射器で悪党を燃やすわ、やりたい放題できます。

これは私の所感になりますが、ゲームスピードが速めなのも本作の楽しいところ。サクサクとした動きでサクサクと悪党をうち滅ぼし、サクサクとステージをクリアしていく。ベルトスクロールアクションでありつつも、悪党相手に無双することが比較的簡単にできる『パニッシャー』は、かなり爽快な作品と言っていいでしょう。

『マヴカプ2』Switch版レビュー・評価・感想:『アベンジャーズ』や『ストリートファイター』のキャラが強すぎて楽しい_042

その他にも、本作にはプレイをしていて楽しくなってくるような仕掛けが満載で、悪党を攻撃した時にアメコミでよく見る擬音が出現したりします。こういうコミックを意識した演出って、いいですよね。

これは完全な余談になりますが、今回のコレクションに収録されていないCAPCOM製のMARVELゲームってまだまだあるんですよ。この辺のゲームたちも、いつかコレクション化してくれたら嬉しいなって。

ついでに、『ダックテイル』とか『チップとデールの大作戦』といった、CAPCOMが作ったディズニーゲームたちがコレクション化されたら最高だなって思うのです。

1

2

ライター
レトロゲームから最新ゲームまで、面白そうだと感じた家庭用ゲームを後先考えず手当たり次第に買い漁る男。500を越えてから、積み上げたゲームを数えるのは止めました。 ディズニーアニメ・お笑い・音楽・漫画などにも広く浅く手を伸ばし、動画投稿者としても蠢いています。
Twitter:@DuckheadW
サブデスク
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ