「釣りで世界を救う」
……というテーマをかかげて制作されたRPG『Sea Fantasy(シーファンタジー)』、救えるのか!?
本作の主人公「ロッド」くんは、親友のアクセルくんと共に海に浮かんだ島々を船で移動して、湖や海などに生きる「シーアズ」を釣り上げる冒険に旅立つ。
釣り……と聞くと、「平和な雰囲気のゲームなのかな」と想像してしまいますね。
親友と一緒に穏やかな気候の中で釣り糸をたらし、のんびりと暮らす……
いいね、そういうRPG。面白そうだし、癒やされそうな……
しかもこのアクセルくん、とっても優しい。
バケモン蛙が出現したら身を挺して主人公を守ってくれます。
全然平和じゃなかった。
開幕数十分で親友がバケモンに喰われました。
え?……親友……死んだの?この世界、シビアすぎん?
※(後に生存が確認されます。)
ということで、幕張メッセにて開催中のイベント「東京ゲームショウ2024」にて試遊版が展示されている釣りで世界を救うRPG『Sea Fantasy』 を遊んできました。
本記事ではすでに配信されている体験版には実装されていない試遊限定のハードモードを含めた体験内容を紹介します。
さらに、本作を手がける株式会社メタスラの代表取締役・中島克征氏に伺った本作にかけた想い、釣りRPGというユニークな作風のルーツなども伺えたので、あわせてお伝えしたいと思います。
文・取材/TsushimaHiro
編集/りつこ
釣る魚によってバトル内容が変わる。釣りゲーだけど ボス戦もある
『Sea Fantasy』は、世界中の「シーアズ」を釣りあげる夢を掲げて、主人公が親友と共に大海原へ旅立つシーンからスタートする。「シーアズ」は釣り上げることで素材となり、売り払うとお金にかえられるほか、自ら使用して釣り竿や装備などをクラフトすることが可能だ。
この世界での「釣り」は、釣り竿を構えて、カーソルを魚影に合わせてから釣り竿を振るとバトルがスタートする。基本的には左右に動くゲージの中にある色付きのポイントの中でボタンを押すと魚の体力を減らせる。逆に色枠以外の場所でボタンを押すと、こちらの体力が削られてしまう。
また、「シアーズ」は魚種によって大きく難度が異なり、特殊な攻撃を仕掛けるボスも登場。ボスにおいてはゲージの中に泡が出現したり、2Dアクション形式で繰り出される攻撃を一定回数避けてからでないと攻撃をしかけられない種類も存在する。
本作ではシンプルな「釣りのミニゲーム」がベースとなっているが、しっかりと味変が用意されることで一筋縄ではいかない釣りバトルが楽しめそうだ。
また、本作では「シアーズ」を釣り続けていると経験値がたまり、主人公のレベルが上がる。
主人公には敵に与えるダメージを増加させるパワー、自分が受けるダメージを減少させるガッツ、ゲージの幅を広くしてくれるテクニックなど、合計5種のステータスがある。
プレイヤーの好みにあわせてビルドを組んだり、気合を入れたレベル上げをして魚を釣りまくるような遊び方もできるだろう。
大海に浮かぶ島々を船で大冒険。探索要素やサイドコンテンツも充実。苛烈なハードモード
記事冒頭で親友がカエルに喰われてしまう衝撃的なシーンを紹介したが、本作の冒険はそこから本格的にスタート。
親友のアクセルくんに庇われた主人公のロッドくんは金色に輝く龍に出会い、友人を探すためには龍が持つ千里眼の能力を復活させるための「仙薬」が必要だと諭される。
「お金がない……」と嘆くロッドくん。哀しい。
彼は親切な大人に奢ってもらいながらも船を入手して、仙薬を手に入れるための大冒険へと出発する。
行ける場所は砂浜、池、ジャングルなどさまざまで、上陸する場所によっては宝の眠るダンジョンやボスが居座る洞窟なども発見できる。
船を入手した後は一気に行動範囲が広がるので、ふと見つけた洞窟や未踏の島など、さまざまなロケーションで釣りを楽しむことが可能だ。(まずは親友を助けなくてはならんが……)
今回の試遊では体験できなかったが、9月10日に公開されたトレーラーでは、転がってくる巨岩を避けて探索する場面や、トロッコでジャンプをしながらマップを駆け抜ける場面、そしてサイドビューで展開される巨大な敵との戦闘も確認できる。
製品版では「釣りのミニゲーム」以外のさまざまなコンテンツにも期待したい。
ちなみに、試遊版に実装されていた「ハードモード」を試してみたところ、ノーマルモードではあったはずのゲージの青い部分が消滅していた。
このゲージは、広めの範囲であまりタイミングを狙わずとも敵にダメージを与えられる優しいゾーンだったのだが、ハードモードではそれが削除。黄色いピンポイントのゲージだけになってしまった。
もちろん、狭い範囲の黄色いポイントに狙いを合わせてボタンを押すのは至難の業、敵によっては体力も多く、しっかりと装備を整えてレベルを上げなくては簡単にはシアーズに勝つことはできない歯ごたえのあるモードとなっていた。
もし、「東京ゲームショウ2024」に参加する予定があり、腕に自信がある方はハードモードも体験してみてほしい。
なぜ「釣りRPG」なのか。開発者に聞いてみた
次は、株式会社メタスラの代表取締役である中島克征氏にいくつか気になったことを質問をしてみた。
──『Sea Fantasy』は「釣りRPG」というユニークなジャンルの作品になっています。これは どのような経緯で編み出されたのでしょうか。
中島 克征氏(以下、中島氏):私は元々、『どうぶつの森』の釣り要素が大好きなんです。釣って売ってゴールド集めて買う、という遊びが好きで、自分のゲームに組み込んでみたいと思いました。
くわえて、私はRPGが大好きだったのですが、もし自分が作るなら、ただのコマンドバトルRPGにはしたくなかったんです。
そういったふたつの想いが組み合わさることで、本作は「釣りRPG」という形式の作品になりました。
──『剣と勇者とレベル上げ』や『ローグダンジョンウォーカーズ』などのスマートフォンゲームを制作してきた中島さんが、PCゲームの開発に着手したきっかけは何だったのでしょうか。
中島氏:元々、RPGを作りたいという想いはありました。しかし、RPGを制作するにはかなりの開発期間や資金が必要です。
なので、スマートフォンのゲームを開発してお金をため、人を雇えるようになったことで夢だったRPGを作り始めました。
──本作はシンプルな釣りゲームであるだけではなく、戦闘や探索、クラフト要素などさまざまな要素が組み込まれている点が印象的です。この作風には、どのような狙いがあるのでしょうか。
中島氏:自分は釣りのゲームが好きなのですが、やはりコアなジャンルではあると思っています。シンプルな「釣りのミニゲーム」を繰り返しているだけでは飽きられてしまうかもしれないと思い、2Dのアクション要素や特殊なギミックを追加して「飽きられない釣りゲーム」を目指しました。
──なるほど、自分の好きな要素がより幅広いプレイヤーに楽しまれるように様々なコンテンツが導入されているんですね。
本作を遊んでいて、「ここからどうすればいいの?」というシーンがほとんどなく、かなり親切な遊びやすさを感じました。
中島氏:それは、スマートフォン向けのゲームを作っていた時の名残ですね。
というのも、スマートフォン向けのゲームにおいては、ユーザーインターフェースやチュートリアルはとにかく親切にしないとすぐにやめられてしまうことが分かっていました。そういった経験からも、親切な設計になっていると思います。
いっぽうで、ストーリーでダレてしまうのも嫌なんです。なので、基本的な設定や遊び方は素早く提示して、早く本作の楽しい部分を遊べるような設計にしています。
──この度、試遊版にハードモードを実装した理由をお聞きしたいと思います。めっちゃ難しかったです。
中島氏:『Sea Fantasy』を「東京ゲームショウ2024」に出展するにあたって、Steamのデモ版をそのまま出したくないと思っていました。ですので、試験を兼ねて試遊版に実装してみました。
もし今回の試遊でハードモードが好評であれば製品版にも実装しようと考えています。
また、今回配布しているハードモードが収録されている体験版は、試遊してくださった方の記念になれば良いなと思いパッケージも作りました。
──ありがとうございました。正式リリースを心待ちにしております。
中島氏:ありがとうございました!
実際にお話を伺うと、「釣りで世界を救う」というRPG『Sea Fantasy』は、中島氏の「RPGを作ってみたい」という夢と「釣りのゲームが好きだが、多くの人が楽しめる作品にしたい」という開発者としての視点が融合することで生み出された作品であることが伺えた。
今回は試遊版ということで途中までしか遊べなかったが、世界中の海を冒険しつつシアーズを釣り、お金を稼いでレベルを上げ、素材を獲得して装備をクラフトするというメインコンテンツ。そして、気を抜き過ぎれば即座に敗北してしまう絶妙な緊張感など、本作の魅力は多岐に渡る。
本作が気になった方は、ぜひSteamストアページより体験版をダウンロードするか、9月29日(日)まで開催されるイベント「東京ゲームショウ2024」のホール9 09-W30にてぜひ遊んでみて欲しい。