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運要素の少ない戦略ゲーなのにビックリするほどプレイ感が軽いオートバトル『Mechabellum』プレイレビュー。1プレイ20分という手軽さでゲーマー的PDCAサイクルがぐるぐる回る

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あなたはゲームの最終的な勝敗がで決まる、という要素は好きだろうか。

筆者はそういった運要素については「わかっていれば楽しめる」という比較的肯定派だと自認している。とはいえ、対戦ゲームにおいて運ゲー要素が明確に好き、というプレイヤーばかりではないだろう。自分が勝つ分にはありがたい要素だが、これが原因で負けるとゲームそのものに疑問を持ってしまい、「運ゲー!」となってゲーム自体に見切りをつけるきっかけにもなりかねない。

本作『Mechabellum』は明確に対人戦を押して出しているタイトルだが、『Auto Chess』『チームファイト タクティクス(TFT)』などに代表される、プレイヤーの配置したユニットが自動で戦う“オートバトル”というジャンルに属しながらも、同ジャンルの作品と比べてかなり運ゲー要素が薄い。両プレイヤーが使えるリソースは同じ、カードのドローなどの運要素もなしという、なんとも硬派なルールで組み立てられた戦略ゲームである。

ここまで読んで、「将棋みたいなガチガチの戦略ゲームは重くてちょっと……」となってしまう諸賢もおられるだろう。しかし安心してほしい。本作『Mechabellum』はそんな運要素をかなり廃した戦略ゲームであるにも関わらず、非常に軽いプレイ感で次々に対戦したくなる稀有なタイトルなのだ。アレがだめならコレを試して、といった試行錯誤、ゲーマー的PDCAを回す楽しみに純化されている。

本稿では、一体何が本作の対戦を理詰めで重苦しいものから開放しているのかを紐解きつつ、作品の魅力や初心者プレイヤーへ向けた基本的なゲームの考え方などにも言及しているので、最後まで読んでいただければ幸いである。

文/hardwired
編集/うきゅう

※この記事は『Mechabellum』をもっと知ってもらいたいアクティブゲーミングメディアさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


配置したユニットが勝手に戦う“オートバトル”ジャンルには珍しく、運要素の薄い異色作

本作『Mechabellum』は、Game River開発、Paradox Arc販売のSFメカオートバトラーに分類される戦略ゲームである。配置したユニットが自動で戦う“オートバトラー”は比較的新しい分類ジャンルだが、一時期かなり隆盛したのでご存じの方も多いだろう。

『Dota2』のMODゲームとして大きな人気を獲得した『Dota AutoChess』に始まり、『Dota Underlords』や『TFT』、モバイルでのライトなものでいえば『クラッシュ・ロワイヤル』も少し近いタイトルと言える。

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オートバトラーの名のとおり、ユニットは自動で戦う。活かすも殺すもプレイヤーの配置次第だ。

これら既存のオートバトラーを遊んだプレイヤーはほぼ必ずといっていいほど「アレが引けてれば勝っていた、引かなかったので負けた」などの運要素を体験しているはずだ。

もちろんゲーム自体がそういったデザインなので仕方のない部分ではあるが、「運ゲー!」と叫んで投げ出したい気持ちも少なからず理解できる。オートバトラーに限らず、TCGなど最終的に強めの運要素が絡むゲームをやりこんだ人なら、こういった経験も少なくないだろう。

本作はそういったシチュエーションがかなり少なくなるよう細心の注意を払ってデザインされている。使うべき手は常に目の前に並んでおり、コストが許す限り自由に利用できる。

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ここでゲームの流れを簡単に説明すると、ターン開始時に両プレイヤーは一定量のコストポイントを獲得し、1種類のユニットをアンロックできる。そしてこれまでアンロックされている中からコストの許す限りで2部隊までユニットを購入し、戦場に配置する。

配置されたユニットは自軍か敵軍のどちらかが全滅するまで戦闘を展開し、戦闘終了後に生き残ったユニットの数や種類に応じたダメージが対戦相手へと与えられる。次のターンにはそれまで配置したユニットはすべて復活し、そこに追加するかたちでユニットを配置していく。

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これを繰り返し、対戦相手のライフを先にゼロにしたほうが勝者となる。基本はシンプルなルールで構成されているので、プレイし始めればすぐに慣れるだろう。しかしこのゲームを極めようとすれば、組み合わせと読み合いが絡み合い、熟考に足る奥深い複雑さが展開される。「Easy to Learn, Difficult to Master」(習得は簡単だが極めるのは難しい)を地で行く戦略ゲームである。

ターンの間にランダムにバフやユニット、1発打つとクールダウンありの強力な攻撃などがランダムに4つ提示され、それを選択して獲得できるローグライク的なちょっとしたランダム要素もあるにはある。しかしこれは双方のプレイヤーが同じタイミングで獲得するうえ、提示される選択肢も自分と相手で同じである。極端な差はつきづらいし、相手がどれを取るかという読み合いも発生する。

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相手はどれを取るだろうか、それに備えて自分はどれを取っておくべきか。静かながら熱い心理戦

また、明確にユニット間での有利不利が設定されているのも注目すべき点だ。いくら高いコストを払って配備したとしても、不利なユニットにはかなり簡単に負けてしまう。

汎用的に使える便利なユニットや、状況を選ばないと使いづらいユニットなどの違いはあるものの、本当に必要なくなってしまうような下位互換、上位互換の関係にあるユニットは存在しない。的確に判断して使いこなせば、必ず強さを発揮してくれるはずだ。

本作は複数ターンの戦闘の間に相手の行動、戦略を読みきり、うまく対策を打つというコンセプトになっている。得られるリソースが両プレイヤーで同じなので、強力な部隊を作れたとしても相手も同等に強力になる。そこに相性はあるが明確な戦力差といえるものはない。いかに相手を読み切り、対策を打てるかが勝負のカギとなる。

さらに、常に存在する選択肢として使い切りのシールドやミサイル迎撃機など、コストを払うことで有利不利をある程度緩和できる手段がある。これもまた、戦略や読みに織り込む必要がある。

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ユニットをレベルアップさせるというオートバトルではお馴染みの要素は本作にも存在する。レベルアップや能力付与させるとまるで別物になるユニットや、明確に対策への対抗を得られるものが存在する。これのおかげで有利不利が覆る可能性を考慮にいれる必要が出てくる。

また、MOBAゲームのようなタワーが各プレイヤー2本ずつ盤面に配置されており、相手のタワーを破壊できれば極端なスロー効果+攻撃力減衰を相手のユニットすべてに与えられる。このタワーを狙うためのユニット側面配置という選択肢もあり、奇襲をかけてタワー破壊に成功すれば一気に盤面が覆る。

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本格戦略ゲームながらも軽いプレイ感。その理由は試合時間の短さとオートバトル特有の操作数の少なさ

などなど、ゲームの説明を聞くだけでもわかるようにかなりハードな戦略性を要求される本作だが、その戦略性からすると意外なほどプレイ感は軽い。その理由として以下の要素が考えられる。

まず反射神経が一切必要ない。対人戦は手を打つ際に時間制限こそあるが、時間いっぱいゆっくり考え尽くして手を打つことができる。これはプレイに対する忙しさ、つまり負荷が少ないといっていいだろう。

そして操作数が少ない。ターン開始までにどのユニットをどこに、どのように配置するかを的確に判断する必要があるが、ターンが開始してしまえばオートバトラー、プレイヤーは戦闘が進むのを黙って見ているだけだ。

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1試合が15~20分で終了するのも見逃せないポイントである。この手の戦略ゲームには勝負の趨勢が見えてからもゲームが続いてしまうルールであることが少なくないが、本作は戦況が大きく傾くとライフに大きくダメージが入るルールであるため、こういった事が起きづらい。加えて本作はラウンドごとに勝敗が区切られており、今戦ったラウンドの結果に対する対策を考えるタイミングが必ず存在するので、モチベーションの維持にも一役買っている。

一般的な戦略ゲームにおける重さとは、思考に要する前提情報の多さ(ユニットの種別、立ち位置、射程、地形効果、などなど)とそれをしっかりと考えなければならない、長考を必要とするところにも起因する。これに加えて操作数、つまり忙しさや反射神経がさらに必要になると、いきおいプレイに対するハードルとなってしまうだろう。

本作のプレイ感の軽さは上記のような「重さ」に通じる要素がほぼないことによるものだろう。非常に洗練され作り込まれたシステムである。

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ターンごとに得られるコストは増えていき、戦況は加速する

さらに本作は一方的な展開になりづらい構造をしている。これを実現しているのが、ゲームのラウンド制だ。あるラウンドで負けた側は今の敗北に対して対策を考えることができるが、勝った側は次のラウンドで相手がどんな対策を打ってくるのか、複数選択肢から読み切る必要がある。下手に圧勝してしまうと「このラウンド、何が要因で勝敗が決まったのか」が明確に読み取れてしまい、次のターンでその要因にキッチリ対策を取られて大逆転される可能性さえある。

とはいえ、対戦を始めても最初は何もわからず負けることが多いだろう。だが、次第に負ける場面がわかるようになってくる。なぜ負けたのか、そしてどのユニットを使えばそれへの対策が可能なのかがわかり始める。ここがこのゲームの初期段階で最も面白い部分といっていい。

対策を繰り返すうちに強いと感じるユニットやそれに対応されたとき相手がしてきた行動、相手プレイヤーに苦しめられた強い戦法など、様々なシチュエーションを経験すれば否応なくその対策を考える。始まってしまうゲーマー的PDCA。真に戦略を考える、ゲーマー至福の時間である。

このゲームはやりこんでもキャラクターやアカウントが強くなったりしない。何百時間やり込んだプレイヤーでもできることは同じだ。次々に知識を取り込み、それによってプレイヤー自身が強くなっていく実感がこのゲームのキモといえる。対戦中、実際にユニットが戦っている時間はプレイヤーの操作はない。手を動かさない時間が長いゲームにも関わらず、暇ということは一切ない。行われている戦闘行動の原因、結果、そのすべての情報を得なければならないのだ。逆に忙しいくらいである。

タイマン、2対2、4人バトロワ。多種多様なゲームモードが対戦を盛り上げる。オートバトルには珍しい「観戦機能」も

本稿を書いている時点で本作はまだアーリーアクセス期間だが、すでに十分な数のプレイヤーが存在しており、世界中のどのサーバーでもマッチングが成立するシステムというのも相まって、マッチング時間が長くかかるということがない。さらに、遠いサーバー間での対戦でもゲームシステム的にラグが全くといっていいほどないので非常に快適な対戦ができる。

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国を超えたラグもゲームシステム上、特に関係ない。素晴らしい

ゲームモードも充実している。1対1対戦、2対2対戦、4人生き残り対戦に加えて、一人用のサバイバルモードやレベル別CPU戦も完備しており、始めたばかりで対人戦がまだ怖いという人も安心だ。

面白いのが、好きなユニットを配置してシチュエーションを設定し結果を確認できる、いわゆるサンドボックス機能だ。自分の戦略を試したり、人がやっていた強い戦法をシミュレーションしたりもできて大変便利であり、前述したPDCAサイクルをさらに加速させてくれる。

なにせ計画(Plan)も実行(Do)も評価(Check)も自分一人の手で確認することができ、その結果から対策(Action)を講じることもできるのだから、まさに理想的な機能と言えるだろう。

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寡聞ながら既存のオートバトラー系タイトルでは聞いたことがない機能だが、絶対にほしい機能でもある。ぜひ他のタイトルも真似してほしいところだ。

一人用のキャンペーンモードもあるにはあるが、このゲームの本懐は対人戦にあると考える筆者としては、読者にもぜひ奥深い対戦の世界へと足を運んでほしいと思っている。

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なんとゲーム内で大会すら開かれている。腕に自信がついたらぜひ参加してみてほしい

また対戦に関連して、本作独自のフィーチャーと言えるのが観戦機能だ。オートバトルにも様々な種類があるが、自分と関係のない試合を見ることができるタイトルはあまり聞かない。

しかもこの対戦機能はただ試合を眺めるだけでなく、現在行われている対戦でどちらが勝つかを予想し、ポイントを賭けることができる。これはランクポイントとは別軸のものだが、何度も観戦を繰り返し、賭けの精度を高めて予想名人になってみるというのも面白いし、戦況を予想する能力を鍛えることは実際に対戦する際の力にもなるだろう。

観戦機能を有する他ジャンルの対戦ゲームを見回しても、この勝利予想という要素はほとんど見当たらない。もっと他のゲームも真似してほしい機能その2である。

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ユニット間の相性やそれぞれの強みと対処法など、『Mechabellum』の基礎的な戦い方を伝授

あれこれと対戦について語ってきたものの、ゲームの戦い方を知らなければ当然対戦での勝利など望むべくもない。「チュートリアルをやって、あとは実戦で学ぼう」と言ってしまえばそれだけだが、誰もがその“学び”を得るまでの敗北に耐えられるというわけでもない。

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チュートリアルはちょっと物足りないが、やっておけばゲームには慣れる

そこで、この場を使って本作の対戦において必要な考え方も紹介しておこう。

対戦においてまず抑えておくべき情報は、各ユニットの特性と、その対処方法だ。ユニットの種類は26種とやや多いが、役割の似たユニットなどもあるため、ゲーム中に遭遇することになる選択式の特殊能力を考えても、見た目ほど複雑ではない。

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26種のメカたちに、試合中付与できる特殊能力がそれぞれ4種(特殊なメカは6種)

本作のプレイヤーが最初に試行するのは、「クローラー」のような大群ユニットへの対処だろう。チュートリアルでも明言されているように大群ユニットは、1体ごとに対象をとって攻撃する高火力ユニット「マークスマン」などに対してとても強く出られる。犠牲をものともせず急接近することで射程の短さをカバーし、数の優位で押しつぶすのだ。

そんな大群ユニットは、「アークライト」を始めとする範囲攻撃ユニットを用いることで一網打尽にできる。一方で、範囲攻撃ユニットはそれほどダメージが大きくないので「フォートレス」などの高耐久ユニットには効果が薄い。そんな高耐久ユニットには、高火力が売りのマークスマンをぶつけよう。

「単体高火力ユニット<大群ユニット<範囲攻撃ユニット<高耐久ユニット<単体高火力ユニット」
このパワーバランスさえ把握できてしまえば、あとは相手の配置に対してより有利なユニットをぶつける形で勝負をかけていくことができるだろう。

また、高耐久ユニットへのマークスマン以外での対処として「スチールボール」や「メルティングポッド」などがあげられる。どちらも攻撃を開始してから時間が経つごとに攻撃力が上がっていくタイプのレーザーを照射し、硬いユニットをみるみるうちに溶かすことができる。

ただしこれらのレーザー照射ユニットはマークスマンと違って射程が短いので、うまく接近できるように他ユニットでフォローする必要がある。この「他ユニットによるフォロー」をいかに巧みにおこなうかが戦略ゲームである本作のプレイヤーの腕の見せどころといえるだろう。

大群ユニットと並んで、ゲームを始めたばかりのプレイヤーが対応を迫られるユニットが「ストームコーラー」だ。全ユニット内で最大級の長射程を誇り、ほぼ確実に先手を取ることができる。そのうえ火力や攻撃範囲も確保されているため、重量級のユニットであってもかなりの被害は免れない。

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このストームコーラーへのシンプルな対応策は2つ。ひとつはストームコーラーに対空能力がないところを突いて航空戦力で倒しに行く。もう一つは100コストでいつでも配置できるミサイル迎撃機や大群ユニット「マスタング」の能力アップグレードを利用して、ストームコーラーのミサイルを迎撃してしまうことだ。

特に後者は配置を変えることなく突然ミサイルに対処できるようになるので奇襲度が高い。自分がストームコーラーを使っている場合にも、敵の取りうる選択肢として頭の片隅に置いておき、すばやく対応できるようにしたいところだ。

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マスタングのミサイル迎撃能力。こういった能力ひとつでガラリと戦況が変わってしまう

また、シブめのストームコーラー対策としてクローラーや「ライノ」など足の早いユニットで攻める手法もある。「ストームコーラー」の攻撃は放物線を描くミサイルなので対象を取ってから着弾までタイムラグがあり、機動力の高い目標には直撃しづらいのだ。

ちなみに、前述のマスタングは能力アップグレードをせずとも優秀な対空能力があるので、後列部隊やタワーを狙ってくる相手の航空戦力の側面配置に対しても非常に有効だ。とりあえず対空能力が欲しい時は常に選択肢に入る候補となるので覚えておこう。

少しうまい相手との対戦になると「ハッカー」を有効利用されて盤面を覆される場面が出てくるだろう。ハッカーは相手のユニットの制御を奪い、自軍ユニットへと転用できてしまう。このハッカーにこちらの重量級を奪われてしまったときの絶望は筆舌に尽くしがたいものがある。しかし、幸いハッカーは射程が短く耐久も低いので、マークスマンやストームコーラーなどの高射程高火力で先手を取る配置を考えていこう。

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これらの多種多様なユニットの能力や特性を理解し、何度か戦いを繰り返せば、きっと勝利することができるだろう。その喜びこそが、何よりの褒美となる。頑張ってほしい。

最後にビジュアル面の話を少し。世界観を表現するグラフィックは美麗という部類のものではないが十分にカッコいい。多数のユニットが入り乱れて戦うさまは単純に見ていて気持ちいいし、ある程度の数が1ユニットとしてまとまって行動するので、アナログゲームの『ウォーハンマー』的な、マス目を介さない戦略ゲームに通ずる快感を得られるはずだ。

筆者がプレイしたタイミングは早期アクセス期間中ということもあり、本作はかなり精力的にアップデートを重ね、新ユニットの追加にも意欲的だった。1種類ユニットが増えるだけでガラリと環境が変わる、というシチュエーションは、他ゲームで似たようなことを経験しているプレイヤーも多いだろう。これからもアップデートのたびにある程度新鮮なプレイ感が期待できるといえる。

『Mechabellum』はSteamにて1700円で配信中となっており、9月27日には正式版をリリースした。

筆者の本作への総評は「重くないプレイ感で戦略ゲームの旨味、喜びが充分に堪能できる秀作」。戦略ゲームに自信のあるプレイヤーも、ライトなプレイ感を大事にしたいプレイヤーも、ぜひ運ゲー排除系オートバトラーともいえる本作に触れてみてほしい。

ライター
目に入ったゲームはとりあえず食べてみる雑食系。近年の好物は推理ものアドベンチャーや格闘ゲーム。ボードゲームにも目が無く、アナログデジタル問わず多数摂取。 近年はため込んだ各種TCGカードの置き場所に困る日々。
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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