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ザコ敵なんてヌルい茶番はねぇ! クソ強ボスしかいない『ナノアポスル』で珠玉のボス戦をしゃぶりつくせ。「勝てない…でも勝てそう…!」のループが生む地獄の中毒症状へようこそ

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ちっちゃい女の子がデッカい敵と戦う……みたいなの、好きじゃないですか? 俺は好き。

本作『ナノアポスル』は、まさに「ちっちゃい女の子がデッカい敵と戦う」ゲームだ。しかもアクションシーンは派手でテンポが良いし、主人公の女の子もかわいい。ドットイラストのキャラクターがくるくると動くさまは小気味良いほどである。

俺はこういう小さくてよく動くものに弱い。さらに言えば、アートワークがドンピシャの好み。あまりにもド真ん中を射貫いてくるので、チラッと見て思わず「きゅう」と唸ってしまった。俺にこの仕事を持ってきた編集者は、他人の性癖に限って言えば慧眼の持ち主と言えるだろう。

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▲(画像はナノアポスル|Steamストアページより)

しかし、同時に迷いもあった。というのも、俺が最近はアクションゲームというものをとんとやらなくなってしまっているからだ。子どもの頃はあんなに好きだったのに。動体視力の減退、認知機能の低下、衰える消化能力、緩やかな死……。

そんな迷いを抱えていると、例の編集者はこう言った。「大丈夫ですよ。Steamだとシナリオクリアまで5時間くらいって言われてたし、難易度自体はそこまで高いわけでもないみたいですよ(にっこり)」

「なら大丈夫かな」と俺は思った。いま思えば、甘すぎたと言うほかない。結論から先に言っておくと、この編集者はとんでもない大ウソつきであった。

なお、本作はもともと日本語未対応で配信されていたのだが、このたび10月17日(木)に、晴れてSteam版も日本語に対応していることをお伝えしておきたい。

しかし、なんでインディーゲームの開発者って、やたらとかわいい女の子を可哀そうな目に合わせるんでしょうね?(ド偏見)

文/恵那
編集/久田晴

※この記事は『ナノアポスル』の魅力をもっと知ってもらいたいBeep Japanさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


雑魚戦などという腑抜けた茶番はない。最初から最後まで魂がヒリつき続ける、マジで“勝てなさそう”な相手しかいないボスラッシュ

1面ボス:うっかりパリィ不可の攻撃をパリィしようとして死亡……

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2面ボス:全然勝てる気配がなく戦意喪失していたら死亡……

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3面ボス:移動力の低下するトラップに足を取られてモタモタしているうちに死亡……

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4面ボス:「俺はできる!」と言いながら3連続の鎌の刃スピンショットをパリィしようとして死亡……

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いきなり死亡シーン画像集から始まってしまい、驚いた方には申し訳ない。しかしながら、これから本作をプレイする方は嫌と言うほど見ることになるであろう画面なので、今のうちからぜひ見慣れておいていただきたいのだ。

そう、本作は「そこまで難しくない」どころか、猛者しかいない粒揃いのボスたちを、数多の試行錯誤を経ながら倒していく、一筋縄ではいかないゲームなのである。

『ナノアポスル』(NanoApostle)は台湾に拠点を置く開発スタジオ18Light Game Ltd.が開発したアクションゲームで、パリィやドッヂ(回避)といった相手の行動に対する即座のリアクションを重視した、「ダークSFボスラッシュゲーム」だ。

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謳い文句の通り、本作はひたすらに強力なボスとの戦いを続けていくボスラッシュ系のゲームだ。一部のトレーニングモードを除けば、いわゆる「雑魚敵」のようなものは、メインストーリーには一切登場しない。

登場するボスは全部で6体。少なく感じるかもしれないが、ラクに勝たせてくれる相手などひとりとしておらず、いずれもまったく異なる能力を持った精強な相手だ。

基本的なゲームの流れは、ボス戦→短いストーリー→ボス戦……という繰り返しで、これが最後のボスまで続いていく。どういうことかと言えば、魂をバーナーの直火で炙られているようなヒリつく緊張感が、最初から最後までプレイ中ひたすら続くのである。言っておくが、こいつはマジで痺れるぜ。

初戦で戦う狂戦士(Berserker)からして、比較的単純な力押しタイプのボスではあるものの、息をつかせぬ連続攻撃やパリィ不可の広範囲ダメージ、倒したと思ったら平然と第2形態での戦闘開始……と、チュートリアルボスなどいないとばかりに、最初から全力でプレイヤーを殺しに来ている。

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▲初回ボスの狂戦士くん。普通にめちゃんこ強い。もう少しなんというか、手心というか……

正直プレイ中は「いやまだ最初なんだからもうちょっとラクに勝たせてくれよ……」と思っていたのだが、後半までプレイしてから振り返るとこれでも相当手加減されており、実際のところは右も左もわからないプレイヤーが、”ちょうど良い感じ”に苦戦するように調整されているのが分かる。このあたりの難易度調整はかなり絶妙な出来だ。

後述するが、基本操作のうち「ため攻撃」が最初の戦闘時点では解放されておらず、実際にすべての機能をプレイヤーが使えるようになるのは3戦目以降。1戦目は基本的な回避とパリィ、2戦目は射撃、3戦目がため攻撃について、プレイヤーが理解するのを手助けするような構成となっている。

そして、それらが揃った4戦目ボス死神(Reaper)以降は、はじめから十分難しかった難易度曲線の係数がちょっとおかしくなる。というか死神、お前だけはマジで許さねえからな。4面ボスでやっていい強さじゃないし、悪夢の空間のような専用ギミック(foggy area)が、音楽と相まってマジで怖すぎるのよ。

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▲本作随一のトラウマボス・死神くん。前振り・攻撃方法・音楽、すべてが怖い。エグいほど強い

いずれのボスもかなり練り込まれているなと感じたのは、基本的にどのボスも初回は「これにどうやって勝てと……?」と思うようなインパクトを与えてきつつも、死体の山を築いているうちに少しずつギミックや攻撃パターンが“なんとなく”見えてくるようになっていることだ。

確かに難しいのだが、コンクリートの壁に体当たりしているようなどうしようもない感じではなく、腰を据えて押し続けたらある瞬間ドミノが倒れるように突破できるというような、そういう「あと一歩で気持ち良くなれそうな感覚」もずっとあるのだ。

そのせいで遊んでいると次第に変なアドレナリンが出てしまい、「ツラいのにやめられない……!」という地獄の中毒症状に陥ってくる。

なお補足として、本作に「ハードからイージーまで3段階の難易度を選べる」などといった軟弱なシステムは存在しない。お前を高みに登らせてくれるのは、お前の死体だけだということだ。

アクションのちょうどイタくて気持ちイイところを押さえた、ムズいのに爽快なゲームシステム

前述した通り、本作はパリィや回避といった、相手の攻撃をいなした上で次の攻撃に繋げていく「リアクション」を重視したゲームスタイルになっており、戦闘ではこのふたつをうまく使い分けて被弾を抑えていく必要がある。

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基本的な操作は攻撃・回避・パリィのみで、そのほかにゲージを消費して使用できる最大3発の遠距離射撃と、攻撃ボタン長押しによる溜め攻撃、回数制限のあるHP回復がある。「グラッピングフック」と呼ばれる武器もあるのだが、これは特定の状況下でのみ使用可能なものなので、基本操作はかなりシンプルだ。

回避中は無敵状態となり、パリィも受付時間が長めであったりと、そこまでシビアな判定がないため、操作性については親切な部類と言ってもいいだろうと思う。

一方で、相手の攻撃をいなすことが前提のゲーム性であるため、どのボスも攻撃はかなり苛烈だ。その上、ボスの攻撃の中には通常のパリィではなく、溜め攻撃を使わなければ弾けないものや、そもそもパリィ不可で避けるしかないものも存在する。

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▲主に範囲攻撃など、パリィ不可のものは明らかにヤバそうな色とアラートで教えてくれる

そうした攻撃が間髪空けずに次々と襲い掛かってくるため、予備動作などから相手の行動を即座に判断せねばならず、とにかく何度も戦って相手の行動を憶えていく必要があるのだ。

と言っても、回避不可の攻撃はアラート音と赤い危険色のダメージエリア表示などで非常にわかりやすくなっているため、判別が難しいというわけではまったくない。まあ問題は、反応速度はそう簡単についてこないってことなんですけどね……。

ボスの特定の攻撃をパリィしたり、あるいは特定の行動の後に反動として「破壊ポイント」と呼ばれるものがボスに表示されることがある。受付時間は長くはないもののそこまでシビアではない程度で、そのタイミングに攻撃を行うことで、大きなダメージを与えつつ、一定時間相手を行動不能にできる。

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▲「破壊ポイント」が現れた状態。ボスの周りにある白い円環が残り時間

これが本作の戦闘で最も重要なポイントのひとつ。通常攻撃で殴っているだけではあまり大きなダメージにならないため、積極的にパリィを行って「破壊ポイント」の攻撃を狙っていくのが戦い方のコツだ。

と言っても前述の通り、パリィで対処できる攻撃もあれば、対処できない攻撃、対処はできるが避けたほうが無難な攻撃などが間断なく繰り出されてくるため、ことはそう単純でもない。パリィできる攻撃でも、受けずに避けたほうが安全な場合というのも、いくらでもありえる。

さきほども紹介したボス・狂戦士はまさにこうした「返せるものを見極めてパリィし反撃する」という本作における基本中の基本を煮詰めてダシを取ったような相手で、まさに入門者向け対戦相手として適切な相手となっているのだ。ただし、難易度が適切であるかどうかはプレイしてお確かめください。

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▲初回ボスだろうが何だろうが一切手加減のない狂戦士くん。でも実は一番シンプルでもあり、単にこれがこのゲームの基準だったというだけですね

さらに、何度か「破壊ポイント」の攻撃に成功すると、追加のコマンドが表示されて「グラッピングフック」が使用できることがある。このタイミングでだけ使える『ゼルダの伝説』のフックショットのような代物だ。

「破壊ポイント」を遠距離からの射撃で攻撃した際などでも、「グラッピングフック」を使用することで一気に距離を詰めて、行動不能に陥った相手へラッシュで畳みかけられる。決まりさえすれば非常にテンポよく連撃が続けられるため、攻撃ヒットの効果音なども相まってかなり爽快だ。

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▲「グラッピングフック」は本作随一の気持ちいいポイント。撃って、近づいて、流れるように攻撃に移行できる

また射撃というのも、単に遠距離から攻撃ができるというだけのものではない。フレーバー的な意味合いでは、この射撃はハッキング弾のようなものを打ち出す攻撃であり、ボスに当たれば「感染」(Infect)という状態を付与できる。

「感染」するとHPゲージの上に別の小さな四角のゲージが表示され、通常攻撃などを当てることで感染が進行、MAXまで進行するとボスにダメージを与えつつ自身のHPを回復させる「吸収」(Absorb)を発生させることができる。これもゲーム中ではかなり重要なダメージソースだ。

ボスが使用してくる一部のギミックには、射撃を当てることでハックして乗っとることが可能なものもある。例えば第2戦のボス・司令官(Commander)は無数の小型ホバーキャノンを展開して攻撃を行ってくるのだが、これらは射撃を当てることで司令官自身への攻撃に変えることができる。

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▲ハックしたホバーキャノンは、そのまま相手に飛んで行ってダメージを与えるミサイルのような攻撃に

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ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。
編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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