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「ソウルライク」の“練習”ができる異色の新作ゲーム『V.E.D.A』は、アクションが苦手な俺たちを救ってくれるかもしれない。心を砕かれた挫折勢として、ちょこっと修行を体験してきた

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「ソウルライク」という言葉を耳にすれば、フロム・ソフトウェアが手掛ける『ダークソウル』『SEKIRO』『ELDENRING』といったタイトルや、それらを踏襲した数々の人気作が思い浮かぶ。

しかし、それらの作品を手に取った人の中で、どれほどのプレイヤーが苛烈な戦いを経て「クリア」したのかと問われれば、極端に少ないらしい。なんなら、序盤から挫折しているプレイヤーはかなり多いという。

そういったプレイヤーを救うべく開発されている作品が「ソウルライク」のトレーニングゲーム『V.E.D.A』だ。

とはいえ「ソウルライク」のトレーニングゲームってなんやねん、という疑問を持つ方もいるだろう。

イメージとしてはFPSにおいてストイックにエイムを強化する『Aimlabs』『KovaaK’s』のような作品ではなく、「ソウルライク」の楽しみ方を優しく伝えるという使命を背負ったアクションゲームだ。

正直に言って、誰もが「ソウルライク」の作品を挫折したくて挫折をしているわけではないと思う。なんなら「世界観を味わいたくても、そこまで行けない」といった切ない声もしばしば散見される。

かくいう筆者も『ELDENRING』で、弱体化後のマレニアやラスボスを諦め、DLCも怖くて放棄してしまっているような生粋の「ソウルライク」苦手勢だ。素性は「侍」を選んだのに、実情としては心も腕もか細い素寒貧野郎である。何度かビルドを変えたりしたものの、魂が敗北してしまった。

「上手くなれるもんなら上手くなりたいよ!」と素直に感じているし、濃密でダークな世界観をもっと味わいたいし、「アイツに勝った」という名誉も欲しい。そういう後ろめたさを抱えて、日頃キーボードを叩いております……。

なので本作がコンセプトのとおりの作品として発売された日には、我々のような人間への大いなる救いとなるはずだ。少なくとも、ここに救われる命が在る。

『V.E.D.A』試遊レビュー・感想。「ソウルライク」の“練習”ができる異色の新作ゲームを遊んできた_001
▲グラフ全体の形状は、多くのプレイヤーが挫折する姿を写し出している。(画像はSteam コミュニティ :: ELDEN RING :: 実績より)

このたび、韓国最大のゲームイベント「G-STAR2024」にて、本作を試遊する機会を得た。

本記事では、現地で伺った開発者の方のお話を交えて、試遊した感想をお届けしよう。

筆者と近しい境遇にある戦士たちに、再び希望の火が灯る日も近い。かもしれない。

「謎の訓練」として、バーチャル世界で「ソウルライク」な戦闘に挑む

本作は「ソウルライク」のトレーニングゲームという謳い文句の作品だが、以外にも明確に設定や、作中の世界における目標が与えられている。

主人公は記憶を失った存在であり、目覚めるとSFチックなポットの中に拘束されている。そのポッドに収容されるとバーチャルな世界が視界に広がる。そこでプレイヤーは「ソウルライク」な戦闘訓練へ半ば強制的に身を投じていくこととなる。

ストアページを参照すると、プレイヤーは「バーチャル世界に隠された謎」を解明することを目指す。いっぽうで、何者かにはバーチャルな訓練を通じて「最高の戦闘員を目指す」ことを強いられているようだ。

とくに後者の設定はハードコアな「ソウルライク」ゲームに立ち向かうべく『V.E.D.A』をプレイするプレイヤーにマッチしているだろう。

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▲目覚めた場所は、メカニカルなカプセルの中。
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▲すぐにバーチャルな世界へ接続。本作はアンリアルエンジンを使用している。構成要素はミニマルだが高精細な質感を獲得している。

ゲームプレイに関しては、ランダムで生成されるマップを踏破し、待ち受けるボスを倒していく形式だ。

アクションにおいては「ソウルライク」の作品らしく、攻撃と強攻撃、ガード、回避行動を駆使して戦っていく。カメラの位置に関しては俯瞰に近い位置で安定しているため、迫力は控えめだが焦らずに操作しやすくなっている。

マップ上にはいわゆる“歩兵”のような敵キャラクターのほか、ある程度の強靭度を持つ敵、攻撃や行動パターンが異なる敵もしっかり用意されている。

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実際に遊んだ際のフィーリングは、ちゃんと「ソウルライク」っぽいのだが、雑魚敵と戦っている時に過剰なストレスは感じない。

ゲームの基盤となるコンテンツは、しっかりと「ソウルライクが苦手な人」のトレーニングに最適な「程よい塩梅」で設計されていると思う。

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▲いわゆる“バックスタブ”に該当する技なんかも用意されている。

また、マップは戦闘のトレーニングをしやすいようにシンプルな構造を採用しているが「ソウルライク」らしく“実は破壊可能な壁”も用意されている。

トレーニングと言われると求道的なニュアンスを感じるかもしれないが、きちんと遊び心もある。オリジナルのジャンル名から香り立つ、無骨な雰囲気を恐れる必要はないだろう。

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このほかに、Steamストアページによると専用のゲージが貯まると放つことができる必殺技「オーバークロック」も開発中であるという。

もちろん、筆者がプレイしたバージョンも開発中のビルドであるため、体験した以上に洗練された「トレーニングゲーム」となるポテンシャルも充分に秘めている。

ボス戦はしっかりと歯応えがある。トレーニングと言えど、容赦ない。

複数のエリアで敵を倒し、ステージを進んでいくとボス戦が開幕する。

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筆者が戦ったボスは「ブッチャーのアルシス」という名前で、二刀流で戦うキャラクターだった。

攻撃パターンはオーソドックスで、攻撃パターンは切り下げと切り上げ、連撃、そして必殺技のような立ち位置の回転斬りなどで構成されていた。

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「ブッチャーのアルシス」は恐らく最初のボスなので、戦っている際の立ち回りは、そこまで複雑ではない。しかし、筆者が選択した武器の性質のせいか、一撃単位のダメージ量は少なかった。

ちなみに、敵の攻撃をガードした際に減少するスタミナゲージも“メチャクチャ削れる”訳ではなかった。つまり、堅実に攻撃をガードし、安全に攻撃を放てるタイミングでのみダメージを与えれば“理論上は”勝利できる。

非常に「ソウルライクのボス戦」におけるスタンダードな性質が採用されたボスだと言える。

とか偉そうにぺちゃくちゃぺちゃ喋らせて頂いているのだが、まんまと敗北してしまった。

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なぜなら、筆者がマジで下手だから。

慰めの言葉かもしれないが、開発者の方もボスは強力に設定していると仰られていたし、負けるのも必然であるだろう。しゃーなし。

ただし、敗北するからこそ反省し、学び、成長ができる。そもそも、そういうコンセプトのゲームである。反省をしよう。

反省ついでに紹介をする訳ではないが、初戦のボスがシンプルであるが故に、反省もしやすいと感じた。

自分の場合はまさに「ダメージを受けないタイミング」以外にも攻撃の入力をしてしまったこと、一見攻撃できるタイミングに見えても、ランダムで追撃されてしまうタイミングがあることを試遊のボス戦理解できた。

ただし、理解できたからといって、実行できるとも限らない。製品版が発売されれば、繰り返し挑戦させていただきます……。

「あそびやすさ」を高めるローグライト要素

また、反省の際には「本当に自分の好みにあった装備をしていたのか」についても考えた。

というのも、本作では敵を倒すとランダムに装備を獲得できるハック&スラッシュ的な要素が用意されているからだ。

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▲画面上でホログラムのようにドロップした装備が表示されている。

それぞれの装備はアビリティを有しており、たとえば防具であればローリングであったり、素早い緊急回避であったりと行える回避行動が変化する。また、シールドに関してもパリィできるもの、できないものが存在する。

少なくとも試遊版では、攻撃用の武器においても、強攻撃のモーションやダメージが如実に異なる仕様となっていた。

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もちろん、本作は「ソウルライク」のトレーニング用ゲームなので「パリィ」に慣れるべくシールドを選んだり、あえて得意じゃないスタイルの装備を選ぶこともできる。

実際にプレイする際には、好みや学びたい要素、自身の技術、心の強靭度と相談しながら装備を選びたいところだ。

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なお、本作はランダムなマップを舞台に、ドロップする武器を取捨選択しながら戦い、敗北することなくボスを倒すことが目標となる。

とはいえ、遊ぶほどメリットを獲得できるような「ローグライト」の成長要素も用意されているそうだ。

この点に関して開発者の方に尋ねると、相対的にハードコアなローグライクではなく、カジュアルなローグライトの形式を意図的に採用しているという。

心の負担を和らげながら、少しずつ成長していく楽しさも味わっていこう。


ちなみに、本作が誕生した経緯を開発者の方に伺うと「ソウルライク」の作品は素晴らしいのに、多くの人が挫折してしまう状況を知り「もったいない」と感じたからだという。

そういった状況を踏まえて、より多くの人が「ソウルライク」の作品を楽しめる状況を作るべく「ソウルライクのトレーニングゲーム」の開発にいたったワケだ。

ディレクターの方においては「僕も全然「ソウルライク」が上手くないんです(笑)」と語られていたので、間違いなく「ソウルライク苦手勢」の気持ちを理解してくれる作品になっているだろう。

「ソウルライク」のゲームにハードルを感じている方は、ぜひ本作をウィッシュリストに登録し、大いなる苦手意識を克服する日に思いを馳せよう。

そして、再び“本家”に挑んでみよう。

編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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