ミスしても面倒がないのでガリガリ遊べる
あとデスペナの少なさも特筆すべきでしょうね。まず、死んでも溜め込んでた強化用リソースの没収とかは一切ないです。
また、ギミックを解除したあと死に戻りしちゃってもギミックは解除されたままなので「死にながら死にながらゴリ押しで次のレストポイントを目指して驀進する」みたいなプレイも可能。
そんなわけで全体的にとにかくノンストレスというか、「この要素はムカつくだけやろ!」というポイントを的確に見極めて取り除き、楽しいところだけが残された感じで非常に好感が持てるゲーム設計となっているんですよね。こりゃいいわい。
Miliの曲と本作の雰囲気が見事なベストマッチ
と、ゲームのシステム的な面ばっかり触れてしまったのでフレーバー的な面も触れておきましょう。
パッと見のビジュアルでも儚くて退廃的な美しさがうかがえる本作。グロテスクな敵キャラと、ちょっと転んだだけでも動かなくなってしまいそうなほど弱々しい主人公リリィのビジュアルのコントラストも印象的で「や、やめてくれ……」という気持ちが芽生えてくる。
残酷すぎますわ! こんな小さな子に戦わせるなんて!
で、そんなままならん気持ちを携えたまま遊び始めるとさ……あっ!!!!! 曲がMiliだ!!!!!! Miliだいすき!!!!!!!
上記の感じのBGMが流れます。よい。あと本作と関係ないけど「Miliいいよね」ということを言いたいので貼っておきます。いいだろう。
Miliの「オシャレ寂しかわいい」みたいな曲風がマジで好きなんですよ。その雰囲気と本作の雰囲気は見事なベストマッチで、互いが互いを高め合っている!
これはすばらしい。とくに村とかで聞けるメインテーマ的な曲が好きです。
また、そうした寂しい美しさに満ちた曲が連発されるなかラストダンジョン最深部でぶち込まれる曲が超怖かったのも印象的でした。いや、その音が差し込まれるのは想定しとらんよ。最初ゲームの音だと思わなくてゾクってなったよ……君の耳で確かめてみてくれ!
リリィの「ズサー」に笑い、騎士さんに惚れる
主人公のリリィは先も言ったとおり、たいへん儚い。吹けば飛ぶような、か弱い女の子だ。
でも操作したらすぐに気づくだろう。その「回避アクション」の元気さに!
なんだその全力のヘッドスライディングは。しかもジャンプ後にも発動できる。元気すぎる。
ちょっとこれおもしろすぎるので皆さんもしばらく連打してしまうと思います。っていうか先述通り性能がいいので頼らざるを得ない。
また、最初に出会う登場人物でありデフォルトの攻撃手段でもある「黒衣の騎士」がめちゃくちゃいいキャラクターだ。
なんかね……優しい……。リリィが小さい女の子だから優しくしてくれるのかと思いきや、みんなに優しい……。
こんなん惚れるぜ。いい人すぎる。
最初は「どうせこいつさぁ……調子のいいこと言っといて裏切るんだろ! なんか! なんかしらの形で利用してさあ!」とか思ってたけど、やればやるほど「騎士殿がリリィを裏切るはずがないだろ……こんなに気高くていい人なのに……」と自然に思わされる。
本作は黒騎士夢女子ゲーとしても機能していると言えるだろう。
各ボスキャラのストーリーもしみじみと沁みるものがあってよい。初見だと苦戦するバトルや倒したあとの「スキルとしての活用」といった要素も相まって、各ボスに自然と愛着が湧く。つくづく、ゲームにおけるキャラ立てってのは物語だけじゃないわなと思わされますね。
操作待機中やレストポイントでの休憩時に、セットしているボスたちがリリィに付き従うように現れるのも地味にうれしい。
要所要所で手に入るテキストでも主にボスキャラ視点からストーリーが語られていてこれも雰囲気よい。こうしたところがいちいち気が利いててうまいね。
ただ断片的な情報というだけではなく、ちゃんとしっかり読むと世界設定がわかるようになっていてうれしい。このへんを読むとシーグリッドの姉シルヴァとかかなり愛しくなってしまうね。
スキルもガード貫通できて便利だし……ラスボスにも連れて行きました。奥義が強いし……。
続編『エンダーマグノリア』がもうすぐ出る! いまやろう!
そんなわけで20時間弱、楽しく濃密な体験をすることができました。エンディングは複数あり、どのエンディングもそれぞれに寂しく哀しくも美しい結末が待っていてほんのりと心に余韻を残してくれるいい終わりかたでよかったよ。
みなさんもこのゲームを終わらせるもの「エンダー」になってみてはいかがでしょうか。ほな私はこの原稿を書き終わり次第『エンダーマグノリア』を始めます。さようなら……。