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ゲームをめちゃくちゃにできるFPS『FragPunk』がカオスすぎる。「敵の頭を巨大化(ヘッドショット判定も拡大)」などぶっ壊れ効果を駆使する異次元バトル、でも引き分けになると1対1の真っ向勝負が始まる、カオスと実力がせめぎ合う作品

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1年で6人のキャラを追加予定、2ヶ月に1回カードプールが変更。アップデートへの意欲も見せる

今回のツアーでは、『FragPunk』クリエイティブディレクター・プロデューサーのChang Xin氏、及びアートチームにインタビューも敢行。本作の特徴である「シューターとカード」という独特の組み合わせが生まれた理由や、物理法則を捻じ曲げる「グルナイト」の存在など、ゲームプレイやデザイン、世界観を問わずに気になる点をまるっと聞くことができた。

『FragPunk』評価・感想・レビュー:独自要素「シャードカード」でゲームをめちゃくちゃにできるFPS_007

──どういった経緯で「タクティカルシューター」と「カード」を組み合わせようと思ったのでしょうか?シューターに、ランダム性のある要素を組み合わせようと考えたのかが気になります。その……ゲームぶっ壊れないんでしょうか?

Chang Xin氏:
まず、シャードカードの使い方についてご説明したいと思います。このカードは、カード自体にコストが定められています。戦況に影響を与えやすいカードはコストが高く、かつ皆さんが手に入れられるコストポイントは固定されているので、大きく戦況を動かすカードは頻繁に使えないように調整されています。

試遊でプレイいただいたのはカジュアルモードですので、ランダム性が強いものになっています。今後実装予定の「ランキングモード」では、両チームがあらかじめ1枚ずつカードをバンして、3枚選ぶという仕様を予定しています。両チームに対して公平な戦いを目指しています。

マッチングができたら10人のルームに入り、チームが分けられます。そしてそれぞれ同時に8枚のカードが表示され、各チーム1枚ずつバンしていく。つまり、プレイヤーが全員同じ情報量の下で選択するので、それによって公平を保つようにしています。

もちろん、「ゲームを壊す」ようなカードを作らないようにはしています(笑)。もちろんリリース後も実際の数値データであったり、皆さんのフィードバックを受けての調整も続けていく予定です。

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──シャードカードについて質問です。ゲームをプレイし始めて、すぐに100種類以上のカードが即座に使えるんでしょうか?それとも、トレーディングカードゲームのようにカードパックを引いていくような要素はありますか?

Chang Xin氏:
トレーディングシステムは実装していません。ードはプレイヤー全員が全種類使えます

ですが、初心者が最初から100種類以上のカードを目にしたらパニックが起こってしまいますね(笑)。レベルアップにつれて、新しいカードが解放されて、徐々にいろいろなカードに慣れていくことができます。想定としては、7〜8時間前後で全てのカードが使えるようになります。

──レベルで解放されていくということですが、高レベルの人とマッチングしたときは、カードプールはどのようになりますか?

Chang Xin氏:
カードを配るシステムはちょっと複雑なんですが、お話させていただきます。10人のルームで同じ8枚のカードを分配することになります。ですので、低レベルの人が高レベルの人とマッチングした場合は、高レベルの人が持っているカードを全員が使うことができます。

それから、カードの出現率は全員の所持率で決まります。例えば、低レベルのカードならほぼ全員が持っていることになるので、出現率が高くなります。レベル1が9人、レベル10が1人だった場合は、レベル10のプレイヤーが持ってるカードの出現率は低くなります。ですが、カードが出現したら全員が使えます。

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──アップデートではどのくらいのシャードカードが追加予定ですか?また、スキンや武器についても想定されているアップデートを教えていただきたいです。

Chang Xin氏:
本作は4ヶ月のシーズン制で、前半と後半で2ヶ月ずつ分けられています。前半と後半、つまり2ヶ月ごとにランサー(キャラ)とマップ、スキンが追加されます。

つまり、ランサーは1年で6人追加されます。1プレイヤーとしては「このゲームのキャラ少ないな」と思っているので、追加していきたいと思っています。

さらに2ヶ月ごとにシーズンのルールも変わりますので、そのルールに従って新しく30〜40枚くらいのカードを追加することを想定しています。既存のカードを取り除いたりして、カードプール自体が変わっていくというある程度のローテーションになっています。

──ランサーが増えていくとバランス調整が難しそうですが、そのあたりはいかがですか?カードとランサーの組み合わせは膨大な数になりますので、どうやってバランスをとっていくのかが気になります。

Chang Xin氏:
ランサーの調整は、カードと比べたら、まだやりやすい方です(笑)。

おっしゃる通り、バランス調整は本作のいちばん難しいところではあります。組み合わせの可能性は無限大ですが、「対戦するふたつのチーム」が同じ条件で戦えるように、同じ土壌を作るということを意識しています。

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プレイヤーのみなさんが新しく強い組み合わせを見つけるのには1〜2ヶ月ほどかかる想定です。2ヶ月に1回の更新で、この「新しく強い組み合わせ」を調整していく形になるかと思います。

ですが、「新しく強い組み合わせ」が他チームが対抗できるようなものであれば、それもひとつの遊び方として許容していきたいと思っております。

──シャードカードの効果はどのように考えていますか?「裏世界に行く」など、普通にシューターをプレイしているだけではあまり思い付かないような、ユニークな効果なものがたくさんありますよね。

Chang Xin氏:
先程の「ビッグヘッド」は「マリオ」からインスパイアを受けています。「マリオ」の二頭身をこのゲームに入れたら面白いな、と思いつきました。

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──シャードカードでデッキを組む要素はありますか?

Chang Xin氏:
今後の実装については、より個人の活躍が目立つようなものとして、デッキの実装も考えております

──ラウンドが進むにつれてレアなカードが出やすくなるみたいなことってあったりしますか。

Chang Xin氏:
そのような仕様はありません。

ですが、強い効果を持つカードは高いコストを持っているので、結果として後のラウンドの方が手に入れやすくはなっています。

制作チームは皆FPSプレイヤー。「常日頃喧嘩」しながら作り上げられた

──『FragPunk』の企画はいつ頃に開始しましたか?開発期間はどのくらいですか?

Chang Xin氏:
プロダクトが成立してから3年くらいになります。

──本作を手がけているのは、eスポーツ関係のゲームをプレイしてる若手のチームですよね。制作チームの中で、どのように意見をまとめていきましたか?

Chang Xin氏:
結論から申し上げますと……常日頃喧嘩しています(笑)。でも、我が強いからこそ、自分がいかに正しいのかを証明したがるので、その話題についてみんなに議論して、認められていくっていうプロセスで開発をしています。

実際、今までのクーロズベータテストでも、プレイヤーの皆さんかあ届いた声で「俺の言ってることが正しかった!」と証明されることもありました(笑)。

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──クローズドベータテストでは、ユーザーからどのような声がありましたか?

Chang Xin氏:
特にいただいたのは「ビジュアルがスタイリッシュ」、「短時間でできるからこそ、爽快感のあるプレイが楽しめる」というふたつです。

ネガティブな反応としては、バランスの面についてご意見をいただくことが多かったです。
例えば、とあるテスト環境では「スナイパーを使ったら大体負けない」という感じだったんです。これによって、スナイパーの調整ができました。

マップについてのフィードバックもいただきました。特に攻めやすいマップや、防衛しやすいものがあったりしたので、そういった調整もしています。

シャードカードの数値周りについても、フィードバックを踏まえて調整しています。例えば「ヘッドショットのダメージアップが100%増加」というカードがあったんですが、このカードが出たらみんなが選んでしまいますし、それだとゲームがつまらなくなるよねという点で、これも調整しました。

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──ゲームモードについてはいかがでしょうか?

Chang Xin氏:
ゲームモードについても、ご意見をいただきました。先ほど試遊していただいたのは、爆弾を設置する・それを解除するというモードでしたが、このルールに慣れてないユーザーさんもいらっしゃいます。このモードは復活もできないですし、ラウンドも短いのでプレッシャーの中で戦う必要があります。

もうちょっとカジュアルであったり、ひとりでプレイできるゲームモードを追加してほしいという意見をいただいています。

──リリース後のeスポーツ展開はどのように考えていますか?大会の開催や、リーグを作ったりといった計画はしていますか?

Chang Xin氏:
まず、eスポーツについての展望はもちろんあります!そもそも、開発者全員がこういったFPSや競技系のゲームが好きで、eスポーツを見て育ったゲーマーなので、自分たちの大会を開きたいという気持ちが強いです。

その一方で、『FragPunk』のゲーム性はほかの作品とちょっと違うのも事実です。実際、どのようにリーグを作るか、どのように大会を開くかは、これから考えていくことになるんですが、目標のひとつですし、やりたいことのひとつです。

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1対1で戦う「デュエル」のインスパイア元は、サッカーのPKと『ザ・キング・オブ・ファイターズ』?

──「デュエルモード」をゲームに入れようと思ったのはなぜでしょうか?

Chang Xin氏:
対戦ゲームには、必ず引き分けが存在しますよね。その場合は大体、追加の試合時間を設けていて、場合によっては本戦より長くなってしまうこともあります。

それではオリジナリティが欠けているなと思い、「私たちで新しいルールを作ってみませんか」というところから議論がスタートしました。ちょうどその期間がワールドカップ中だったんです。それで、サッカーのPKに影響を受けてこのようなルールになっています。

あと、日本の作品ですと『ザ・キング・オブ・ファイターズ』では3対3で1人ずつ対戦していきますよね。そういった格闘ゲームからも、ヒントを得ています。

──ゲームモードを追加していく予定はありますか?

Chang Xin氏:
今すでに「チームデスマッチ」や、特別に作った「デュエルマスター」というモードを開発中です。正式リリースの後にも「ゾンビモード」などエンターテイメント寄りのモードを追加予定です。

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──シャードカードを使ったランダム性の高い本作の中で、「デュエル」は実力が問われるモードですよね。それは意図した設計なのでしょうか?

Chang Xin氏:
通常のプレイとデュエルでは「ユーザーが試されてるものが違う」というのは、確かです。実は、チーム内でも意見が分かれていて、今もその議論が続いているんです。

ただ、実際実装してみて、いろんなプレーヤーに触ってもらったところ、すごく刺激的な感情や色んなストーリーがプレイヤーの中で生まれるんです。それがすごく楽しいし、新しいと思ってるので、今のところはこのモードを続けたいと思っています。

サッカーと一緒で、PKではチームワークや走りの速さはあまり要求されないですよね。その瞬間の個人の出来で試されるからこそ、干渉性が高く、エンタメ性が高いと思っています。

──「頭が大きくなる」シャードカードを使ったとき、ヘッドショットが当たりやすくなるだけでなく、頭が大きくなるせいで視界を妨げられる……といった副次的な効果もあるのがすごくユニークでした。カードの効果をベースとしたイベントマッチなどは予定していますか?

Chang Xin氏:
ゲームモードについては、ローテーションでいろんな楽しみ方を提供したいというふうに思っています。「ビッグヘッド」というカードを使ったゲームモードや、もしくはマップが2週間だけ遊べるとか、近接武器しか使えないマップなど、そういった遊びも取り入れていきたいです。

皆さんがいつ遊んでも、新しい遊びができるようにしたいと思っています。

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──シナリオを追っていくような、ソロモードの実装予定があるのならぜひお伺いしたいです。

Chang Xin氏:
やりたいんですが……!

世界観がちゃんとしているタイトルなので、それに結構なリソースを使って開発しなければいけないんです。BadGuitarStudioは少数精鋭のチームなので、まずはバランス調整であったりとか、より多くの方が楽しめるようなゲーム環境を作ることが最優先だと思っております。

──マップギミックはありますか?

Chang Xin氏:
はい、既存のマップの中にもそういった遊びを入れてます。

例えば、とあるマップの橋は、あるボタンを押したら消えるんです。敵がそこを走ってるときにボタンを押せば、落とすことができます。今度も、こういった要素も実装しようと思っています。

プロデューサーは「FPSゲーマーである以上に、カードゲーマー」。ユニークなゲーム性の源泉はカードゲームとサッカー

──「シューター」に、また一つ新しい遊びとしてカードをピックする「ランダム性」を追加するという突飛な組み合わせ、発想はどのように生まれましたか?

Chang Xin氏:
私は、FPSゲーマーである以上に、カードゲーマーなんです。『ハースストーン』『Slay the Spire』など。FPSとカードのふたつをなんとか融合したいという気持ちが発端です。それから、スポーツ観戦も好きなんです。競技性が高かったり、スポーツで試合のプロセスを変えるようなものにインスパイアされています。

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自分が好きなFPSでも、同じように競技性があって、新しくて、ランダム性があるものができないかという考えが、本作の最初のアイディアになりました。

私が好きなゲームのランダム性は、特定の何かを強化するローグライク的なものが多いです。私がやりたいのは、特定の効果ではなく、ルール自体を変えることです。遊び方をラウンドごとに変えられるゲームを作りたかったんです。

競技性の高いゲームジャンルだからこそ、バランス調整が難しいです。ほかのメーカーさんが大量のリソースを投入して作るのは厳しい、だからこそ自分たちで作ろうと思いつきました。

──シーズン制ということですが、本作は「バトルパスで報酬を得ていく」というスタイルになりますか?シーズンのいちばん最後に貰えるスペシャルなアイテムはどんなものになっていますか?

Chang Xin氏:
はい、バトルパスが存在しています。

主な報酬は、ランサーや武器のスキンになっています。最後の目玉商品として用意しているのは、ランサーと武器がセットのいちばん派手なスキンです。

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──エモートは存在していますか?

Chang Xin氏:
そこに関してまだ思いついていなかったんですが、お話をいただいたのでぜひ検討したいです!具体的に実装してほしいアクションはありますか?

──武器を回すようなものとか、かっこいいですよね。

Chang Xin氏:
それなら、武器のスキンの一部として収録しています!特定のスキンを使うと、そのエモートが発動するようなものです。

──RushGamingのグリードさんが動画を上げていて、その数ヶ月後に「開発者さんらメッセージをいただきました」みたいな動画も上がっていました。このように、今後も配信者と開発側でディスカッションして、ゲームをブラッシュアップしていくことは予定していますか?

Chang Xin氏:
はい、もちろんです。特に私達のようなゲームには、インフルエンサーの方の声が非常に大事です。良いことでも、悪いことでも、私達にとって大事なアドバイスですし、そういった形式の対談もこれからやっていく予定です。

『FRAGPUNK』自体があらかじめのファンがいないオリジナルIPなので、プロモーションで結構苦戦しています。なので、ぜひいろんな方に認知してほしいなと思っています。

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──ランサーは現状12人実装されていて、2ヶ月に1回追加されるとのことですが、彼ら彼女らは初めから全員使えるんでしょうか?アンロックしていく形なのでしょうか?

Chang Xin氏:
一定数のキャラクターはすぐに使えますが、その後はゲームの繰り返しによって得られる通貨でアンロックしていくシステムです。

結構クセの強いランサーも存在しているので、初心者のみなさんにとってわかりやすいランサーで遊んでいただいてから、自分の好きなものをアンロックしていくプロセスがよいかなと思っております。

──ヒーローシューターはもう競技シーンが出来上がっていたり、プレイヤー人口が飽和しつつあると思います。その中で、本作だけが持つ勝ち筋はなんでしょうか?

Chang Xin氏:
おっしゃる通り、正直このジャンルにはいろんな作品があります。でも、だからこそ結構細分化されていて『オーバーウォッチ』と『FRAGPUNK』は全く別のゲーム性を持っています。
その中で、『FRAGPUNK』しかできないことが我々はできるんじゃないかなと思っています。シャードカードというシステムを実装しているので、それが私達の自信の源です。

ヒーローシューターですので、キャラクターが皆さんに愛されるかどうかも、試される点かなと思います。チーム一同力を入れて、「たくさんの方に愛されるキャラクターがいるヒーローシューター」を目指しています。

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──日本のユーザーに対して、どのような印象を持ってらっしゃいますか?

Chang Xin氏:
日本のFPSのプレイヤーはスカールズカップやCRカップなど、ローカルの大会が非常に盛り上がっていますよね。この面から、私達は香港のせんりゃくとしてもっとローカルの大会に力を入れる戦略を立てています。

日本のユーザーの方は一度愛したゲームをずっと続けて遊ぶようなイメージがあるので、継続的にコンテンツを投入して日本ユーザーの注目を集められるよう運営していく予定です。一度に大量のコンテンツを投入して後には何もないような、そういった戦略ではないです。

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編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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