突然だが、私は人間観察が好きだ。
道行く人の表情や歩き方、姿勢などから、その人物が何者であるかを想像し、どんなことを考えているのか妄想するという遊び。
接客業や営業職の経験者なら共感してもらえるかもしれないが、客を一目見た瞬間、その人の総合的な“印象値”みたいなものを推し量ることがある。
筆者は常日頃から、道ですれ違うような人に対しても、それが勝手に発動してしまうのだ。我ながら病気だと思っている。
そんな筆者にとって、今回紹介するライフシミュレーションゲーム『inZOI』は、夢のようなゲームである。“Zoi”と呼ばれるキャラクターを作成し、彼らの人生を思う存分に観察し、しかも操作までできてしまうのだ。
ライフシムといえば『シムピープル』『ザ・シムズ』のシリーズが定番だが、本作は2025年に登場する新作タイトルらしく、各方面が大幅に強化されている。
そのなかでも興味津々なのは、Zoiにとっての“人生の指針”を定めることができる点だ。プレイヤーが背景や環境を整えてあげれば、後は勝手に“人間ドラマ”を生成してくれそうである。
聞くところによると、本作のZoiは定職に就かずとも暮らしていけるという。それならば、ということで今回は「職探しもせずに、歌手やインフルエンサー生活を夢見る女の子」のZoiを作り、彼女の人生をじっくりと観察してみた。
Zoiよ、お前は本当に生きていけるのか?
文:TsushimaHiro
編集:kawasaki
「何時間かかるんだ」ってくらい細かなキャラメイク
さて、人間ドラマを観るにも、役者がいなきゃ始まらない。
何はともあれ、主役たるZoiのキャラクターメイクを行ってみよう。
ここまでするのか……。
映画のモーションキャプチャーの撮影とかでよく見る、俳優に丸いボールを付けるアレみたいになってるじゃん……。
年齢は子ども、青少年、青年、中年、壮年、高齢者の6段階で選べる。
髪型(ショート、ミディアム、ロング、ポニーテールなど)、肌の質感、ワンポイント(ほくろ、そばかす、傷、フェイスアート)、目(目の色、眉毛、まつげ)、メイクアップ(ハイライト、チーク、アイシャドウ、アイライン、口紅)等々、非常に細やかなカスタマイズ可能だ。
そのほかにも目・鼻・口はもちろん、眉間のしわ、涙袋、頬、鼻筋、ほうれい線、唇の輪郭、われ顎、顎のライン、肌のつやなど、かなり細かく調整できる。しかも各部位にカーソルを合わせることで、直感的に操作できるのだ。
衣類に関しては、トップス、アウター、セット、ボトムス、靴下などの小物、シューズ、アンダーウェアといった種類別に、多数あるプリセットのなかから選択できる。
また、普段着、フォーマル、制服、就寝、パーティ、運動、水着、暑い日、寒い日など、Zoiが置かれた環境ごとに、着用する衣装やアクセサリーを選べる。アクセサリーに関しても、帽子、メガネ、ネックレス、イヤリング、ヘアアクセサリー、ネイル、ブレスレット、リング、ピアスなどがある。
一部の服装は、袖や胸元、裾などの形状や色彩を変更できるほか、任意の画像を取り込み、それをテクスチャとして服に貼りつけることも可能だ。
……てか、細かすぎだよ!
カスタマイズできる項目が多すぎて戸惑うかもしれないが、形状を細かくカスタマイズする「詳細編集」とは別に、大まかに指定する「一般編集」も用意されている。また、男女別にプリセットが80種類ずつ用意されているので、これをベースに一般編集を施せば、比較的カンタンに自分好みのZoiをカスタマイズできるだろう。
ちなみにカスタマイズできるのはZoiの外見だけではない。
人生を歩む上での道しるべとなる“気質”(計18種類)と、“希望する人生”(計16種)を選ぶことで、何を行うことで満足するのかや、何が得意で何が不得手なのかといった、Zoiの内面も変えられるのだ。
【気質】
調停者、夢想家
完璧主義者、社会運動家
ボランティア、愛に生きる人
人気者、野心家
芸術家、個人主義者
専門家、探求者
協力者、安全主義者
冒険家、エンターテイナー
統率者、独善者
さらに、その気になれば、複数名のZoiを作成して1世帯を構成することも可能だ。間柄についても婚姻のほか、親族や同居人といったなかから選べる。それどころかゲームプレイ中に新たな住民のZoiを作成して入居させることもできるようだ。
自由度が高すぎる……。
ちなみに本作には「Live Link Face」というアプリと連動した、フェイシャルキャプチャ機能も搭載している。
これは端的に言うと、プレイヤーの表情を読み取ってZoiに反映するというもので、Zoiの表情と連動させられるのだ。Vtuberが行うような実況プレイにも向いてそうである。
というわけで、たっぷり8時間かけて、ついにキャラクターメイクを終えました。
紹介しましょう。爆アゲ女子Zoiの、電ファミ ニコちゃんです!
注目ポイントとしては、気質を“人気者”にすることで承認欲求をマシマシに。そして希望する人生は“豊かな人生”をチョイスしてみた。さぁ、これで夢のインフルエンサー生活に挑戦してもらいましょう。
プレハブ小屋からスタート。さぁ、成り上がれ
Zoiを作成したら、次は住む都市を選択する。
早期アクセス版では、韓国の大都市を彷彿とさせる、芸術・文化的なコンテンツがあふれる「ドウォン」と、一年を通して温暖な気候で、アメリカの沿岸都市を思わせる町「ブリス湾」から選べる。
やっぱり、インフルエンサーを目指すなら韓国だよね、ということで「ドウォン」を選んでみた。
すると、アパートが2部屋、空き地が一つあることがわかった。
選ぶ部屋のグレードによって、掛かる費用は違っている。もちろん、予算も限られている。
無難にアパートを選んでもいいのだが、それだと特筆すべきドラマも生まれにくいだろう。私は人間観察がしたいんだよ。
なので、本作の建築機能を活用して、必要最低限の設備のみを配置したプレハブ小屋に住んでもらいましょう。
サクっと10分くらいでプレハブ小屋が完成した。
屋内の主な設備や家具は、寝具とキッチン、お手洗いのみ。ニコちゃんは音楽方面に進んでもらいたいので、マイクやギターも無造作に置いてみた。
ここから、ニコちゃんのインフルエンサーへの道が始まるのだ。
inZOIの世界に降り立ったニコちゃんは、さっそく歌の練習を始める。
最初はレベル1で、音程は外れまくり。歌うことに慣れていないのか、恥じらいながら咳込みが頻発するという有様だ。ニコちゃん、そんなんで大丈夫か?
また、ずっと歌の練習をし続けるわけにもいかない。
Zoiは常に“欲求”が発生し続けるからだ。
食事をすることで満たされる空腹度をはじめ、身体を綺麗にすることで保たれる清潔度、寝ることで上昇する睡眠度のほか、トイレ、楽しさ、社交、活力、そして承認欲求と、合計で8つもの欲求を抱えている。
これらを満たすことができないと、Zoiは人間的な生活を営めない。
しかしニコちゃんは無収入なので贅沢はできない。
この世界では比較的安価なサラダを食べて、飢えを凌ぐことに。
しばらくは試行錯誤の生活が続きそうだ。
将来の不安からは目を背け、腹が減ったら飯を食い、眠くなったらスヤスヤと眠る。
こんなんで生きていけるのかなぁ……。
そんな筆者の心配をよそに、歌の練習を地道に続けることで、少しずつ能力がアップするニコちゃん。公演能力がレベル4になったら歌が明確に上手くなり、R&Bやラップも歌えるようになった。
外に出ると行き交う人々がたくさん
ずっとプレハブの中で練習していては息が詰まる。
ニコちゃんは時間だけは好きなだけ使えるので、気晴らしに外出させてみた。
そこかしこに英語やハングルが見られ、異国情緒が溢れる町並み。
川辺の公園で優雅なコーヒーブレイクだ。
すると、いそいそとライブをし始める人が。
大舞台を目指すニコちゃんは、後学のために話を聞いてみることに。
……選択肢、多すぎ!
挨拶、雑談、親しみをこめたコミュニケーション、ロマンチックな雰囲気作り、ビジネス、哲学、趣味の話題など、Zoiが選べる会話のバリエーションはかなり多い。
しかも会話の内容によって、相手との関係性も変化する。親密度が上がると、知人→友人→親友→ソウルメイトといったふうに結束も強くなる。選択肢次第では、ビジネスパートナーや、恋愛関係に発展することもあるようだ。
社交的なニコちゃんは、なんと飛び入りでライブに参加することに。やるじゃん!
楽器演奏のスキルを磨いていないので下手っぴだけど、一所懸命にがんばっている姿が微笑ましい。
さらに、このライブの観客のチョン ヒソンちゃんと音楽の話で盛り上がり、友人にもなれた。これはソウルメイトも間近か?
ちなみに、街中で知り合ったり、仲良くなったりした人からは、貢ぎ物が自宅へ送られることがあった。“働かなくても暮らしていける”って、こういうことなのだろうか……。